覚え書:「折々のことば:953 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月05日(火)付。


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折々のことば:953 鷲田清一
2017年12月5日

 冒険の現場というのは概(おおむ)ね退屈で、冒険に行くだけでは面白い文章が書けないことが多い

 (角幡唯介

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 冒険の現場は人が思うほど劇的ではない。苛酷(かこく)をきわめる北極探検も「雪の上を歩いた。寒かった。飯を食った。寝た。」の22文字ですむ。これが何十日も続くのが冒険で、だから遭難でもしないかぎり面白い話にはならないと冒険家は言う。私たちの日常もきっとそう。日々無事に過ごすだけでも大仕事なのに、それをことばにするとなんか凡庸になる。『探検家の憂鬱』から。
    −−「折々のことば:953 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月05日(火)付。

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折々のことば:953 鷲田清一:朝日新聞デジタル






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