2012-06-25から1日間の記事一覧

書評:荻野富士夫『特高警察』岩波新書、2012年。

- 『特高警察』が新たな取締り対象を求めて自己増殖化していくこと、ひとたび制定された治安維持法がその使い手である取締り当局の恣意的運用にまかされていくことを、大きな犠牲の代償として学んだ。ゲシュタポの「非社会的分子」の強制排除やスターリン粛…

覚え書:「目撃者=三留理男著」、『毎日新聞』2012年6月24日(日)付。

- 目撃者=三留理男著 (毎日新聞社・3990円) 20世紀後半、報道写真家として時代の最前線に立ち続けた三留理男。第1回土門拳賞受賞者でもある著者の、膨大な枚数の写真とインタビューでつづられた回顧録である。 60年安保や三里塚など国内での取材はもちろ…

明るかったですね。とにかく天下国家の仕事をしているんですから

- 取締りをすることの自負 一九三〇(昭和五年)九月の大阪府特高課『特高時報』に寄稿した小橋正男は、社会主義の取締りについて「正面から議論で行くことは禁物で」、「搦手から彼らの揚足を取るに限る」と指導を受けてきたことに疑問や不満をもっていた。…