覚え書:「今週の本棚:『ブラッドベリ、自作を語る』=レイ・ブラッドベリ、サム・ウェラー著」、『毎日新聞』2012年7月22日(日)付。




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今週の本棚:『ブラッドベリ、自作を語る』=レイ・ブラッドベリ、サム・ウェラー著
晶文社・1995円)


この六月に死去したSFの詩人への最後のインタビュー。日本でも愛されている『火星年代記』『たんぽぽのお酒』など自作のことから、子供時代の思いでまで縦横に語る。
イリノイ州のスモールタウンの出身。子供時代に好きだった恐竜、町にやってきた巡回遊園地、さまざまな玩具。子供時代こそ創造の最大源という。書斎も玩具だからけ。
名作「優しく雨ぞ降りしきる」(『火星年代記』)は、広島の原爆で人間が影として家の壁に焼きつけられた写真を見て衝撃を受けて書いた、という意外な事実も。
一九五〇年代、赤狩りの嵐が吹き荒れた時、『バラエティ』誌に、赤狩りに抗議する全面広告を出したこともある。勇気がある。
映画が大好き。若い頃に見た「ファンタジア」と「市民ケーン」は忘れられないと熱く語る。映画好きが高じてジョン・ヒューストン監督の「白鯨」の脚本を書いた。
ロサンゼルスで暮らしながら車を運転しないのは意外。パソコンを使わないというのも。二〇〇三年、五十六年も連れ添った奥さんに先立たれた。八十歳を過ぎ、それでも仕事をし続けたのは驚く。=小川高義訳(川)
    −−「今週の本棚:『ブラッドベリ、自作を語る』=レイ・ブラッドベリ、サム・ウェラー著」、『毎日新聞』2012年7月22日(日)付。

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http://mainichi.jp/feature/news/20120722ddm015070014000c.html

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ブラッドベリ、自作を語る
レイ・ブラッドベリ サム・ウェラー
晶文社
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