書評:ヴォルフガング・シュヴェントカー(野口雅弘、鈴木直、細井保、木村裕之訳)『マックス・ウェーバーの日本 受容史の研究1905‐1995』みすず書房、2013年。




W・シュヴェントカー(野口雅弘、鈴木直、細井保、木村裕之訳)『マックス・ウェーバーの日本 受容史の研究1905‐1995』みすず書房、2013年、読了。出版部数の2/3はドイツではなく日本で売れた!

大正時代から現代まで−−本書は日本のウェーバー研究とその受容を詳細に検討する一冊。 

その嚆矢は1905年、福田徳三による紹介。広汎に読まれるようになったのはマルクス主義が退潮し天皇ファシズム確立期。64年の生誕百年がクライマックスだ。その理論が時にはマルクス主義を代補し、日本的資本主義解読のしるべとなった。

ウェーバー受容の全体像を明らかにする本書は日本におけるウェーバー受容の消息と特徴を明らかにするだけでなく、本国以上に読まれた意義は、(ウェーバーだからこそ)学問や大学のあり方を問い直す労作となっている。アジアで唯一資本主義を達成した意義を理解するためにも、マルクスよりウェーバーが読まれた(=受容)されたといってよいだろう。

ウェーバーの著作はほとんど翻訳されているし、日本語の著書・論文は2千点を超えている(巻末に「マックス・ウェーバーの著作の日本語訳一覧(1905-2012)」。近代理解に専念したウェーバー受容辿る本書は良質な日本思想史の一冊である。





『マックス・ウェーバーの日本』 | トピックス : みすず書房





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マックス・ウェーバーの日本―― 受容史の研究 1905-1995
ヴォルフガング・シュヴェントカー
みすず書房
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