日記:「あんときのデジカメ」 Canon PowerShot Pro1 2004年 もっとも「自分の目で見た色彩を再現する」カメラ


■ 今なお人気の高い「あんときのデジカメ」
その存在を同時代的には知らず、こんなデジタルカメラがかつて発売されていたのかと数年後に驚き、なかなか巡り合うことのできなかったカメラの一つが、2004年発売のキャノンのPowerShot Pro1、そしてもう一つが2005年発売のSONY Cyber-shot DSC-R1。どちらも発売時の実売価格は軽く10万円超えで、今なお、程度のよいものだと1万円を超えてしまうこともある。

コレクターではないので、さすがに10年以上前に発売されたデジタルのカメラに1万円以上も投資してしまうことには躊躇する訳ですが(といいながら、Contax TVS Digitalをゲットしているのであんまり説得力はないのですが・汗)、今月のはじめに、レンズフィルターが外せなくなったPro1が、3000円で出ていたので、飛びついてしまった(涙

コレクターという自覚はないのだけど、これだから、収集癖のある人間というのは、業が深いものだなあと実感した次第である。

まあ、銀塩カメラからまともなデジタルカメラへの切り替えとして購入したのが2005年に発売されたPanasonicDMC-LX1なのだけど、これが当時の実売価格で六万ウン千円。デジタルカメラにこんな大枚を投入してよいのか苦悩した記憶があるが、まあ、これも「今は昔」というところか。

銀塩銀塩でよいのだが、銀塩との切り替えとしての「デジタルカメラ」という捉え方を自分自身はしていたように思う。そうではなくデジタルカメラデジタルカメラで良いのではないか、と思うようになったのは、この10年間の変化なのではないか。転向ではなく。

■LuxuryなLレンズ
キャノンのパワーショットにはいくつかのジャンルがある。ひとつはAシリーズに代表される入門機。もう一つは中高級コンデジを代表するSシリーズ。そしてハイエンドコンデジの代表がGシリーズ、S、Gはプロでも愛用者が多いという。

では、Pro1はどこに位置するのだろうか。まちがいなくGシリーズの路線には乗るものの、デザインや操作性、そしてレンズの仕様がまったく異なるハイエンドコンデジといってよく、20世紀から都合3機種が発売され、今回紹介するPro1が最後のカメラになった。
Pro1にはいくつか孤高の特徴があるのだけど、そのひとつはコンパクトデジカメで初めて「Lレンズ」を搭載したこと。キャノンの35mm一眼レフカメラ「EOS」シリーズ用のレンズには「EF LENS」シリーズがある。その上位モデルにのみ冠されているのが「L」。これは、蛍石レンズやUD(Ultra Low Dispersion)レンズといった、特殊光学材料を採用した高性能レンズを表す称号で、PowerShot Pro1では蛍石レンズ1枚とUDレンズ1枚が使用されている。「L」とはLuxuryとの意だそうな。レンズ部のデザインにも、EF LENSシリーズのLレンズと同様に、赤い鉢巻が巻いてある。

■ 印象批判をすれば、もっとも「自分の目で見た色彩を再現する」カメラ
では、仕様を簡単にご紹介。搭載する800万画素CCDは、1/1.8インチとコンパクトカメラとしては非常に大きい。レンズは35mmフィルムカメラ換算で28−200mmの7倍ズーム、デジタルズームは約3.2倍で光学ズームと合わせて最大約22倍となる。デジタルズームはほとんど使わないのだけど、Lレンズという優秀さをさらに後押しするのがレンズの明るさで、開放F値はF2.4−3.5。手ぶれ補正はついてないのだけど、200mm望遠端でf3.5と非常に明るいのでなかなか使い勝手がよい。

露出モードはP、Tv、Av、Mのフルモードで、RAWモードでの撮影も可能だが、現在の高性能モデルのようなJPEG同時記録(RAW+JPEG)には対応していない。

半月あまり使ってみた印象としては、ズームレンズの操作性が微妙としか言いようがない以外には、まったく問題ない。Pro1のズーム操作は、レンズ鏡胴そのものをズームリングで行うカメラらしいカメラ操作だが、超音波モーター(USM)仕様なので、手動で操作すると「ちょっと遅れてから」ズーミングしていくという作り。これで、微妙なタイムラグが出てしまう。慣れれば慣れるちゅう話なんだけど、まあ、微妙だ。

絵作りに関しては、キヤノンが誇る高性能映像エンジン「DIGIC」が搭載されおり(たぶん、初代)、色彩再現能力に関して言えば、非常に「自分の目で見た色彩を再現する」ことのできるカメラという印象が強い。これはHDR的に、そのまま写実するというとはちょっと違うのだけど、自分が強弱をつけたとおりの色をナチュラルに再現することができているという意味で、私個人としては、大好きな画作りをしてくれる。

ちょっと重いし、操作感が微妙なところもあるのだけど、Lレンズと合わせて、活躍の出番が多くなりそうなカメラという予感だ。10年以上前のカメラとは思えない高性能なのだけど、Lレンズ搭載のProシリーズの後継機をぜひともキャノンさんには作って欲しいと願うものであります。

以下、作例、ISO100、プログラム撮影。ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は3264×2448で保存。筐体はiPhone6sで撮影。



↑ 広角端28mmで撮影(A)


↑ 望遠端200mmで(A)を撮影。


↑ (A)をデジタルズーム22倍で撮影。




↑ 広角端28mmで撮影(B)


↑ 望遠端200mmで(B)を撮影。


↑ (B)をデジタルズーム22倍で撮影。














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Playing old digital camera Canon PowerShot Pro1 2004 | Flickr



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