書評:立木康介『露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析』河出書房新社、2013年。



立木康介『露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析河出書房新社、読了。全てを晒そうとする欲望と内面の露出が人間を突き動かしている。現代文明の特徴とは「露出」ではないか−−挑発的な現代批評だが肯きながら読んだ。躍起になってベールをはがしたところで空虚な現実しか存在しない。

「心の闇」の解明こそ現代社会の至上命題だが「『心の闇』は社会の敵なのか」(帯)。むしろ私たちは「心の闇」(修辞や隠喩)と、そのつきあい方を喪失した、解答集の模範解答のごとき「内面」などそもそもない。

「心の闇」の駆逐は結局のところ思考の弱体化をもたらす。実際的な現代の認知療法とて「晒す」と「露出」の圏内にとどまっている。ラカン派の精神分析学者の本格的現代批評。



 





露出せよ、と現代文明は言う :立木 康介|河出書房新社





Resize0063