日記:「あんときのデジカメ」 SONY DSC-S75 2001年製 泣く子も黙る「バリオゾナー」とフェザータッチのシャッターという恐ろしい邂逅



■ 思わぬ「ひろいもの」
久しぶりに元箱など付属品完備のデジカメを入手。と言っても、2001年4月発売、SONYの324万画素コンパクトデジタルカメラ DSC-S75。先だって、その前機種になるS70(こちらは2000年3月発売)をジャンク扱いで本体のみもらっていたのですが、バッテリーと充電器が欲しいと思い、メモリースティック付のS75を1000円で手に入れました(64MBの無印メモリースティックだけでも500円はしますので)。バッテリーは共用なので、両機種で動作することを確認してから、S75で200枚近く試し撮りしてみました(なぜ、目的のS70で試さないのかは内緒)。

2001年即ち「21世紀のデジカメ」は、CANONIXY DIGITAL 300(211万画素・3倍ズーム)を使ったことがあり、操作感覚(動作のスローミーという意味での)は、S75とIXYはほぼ同じなのですが、同じようで違います。IXYはどうしても「入門機」、かたやS70は当時は10万円以上した「高級機」……、はい、その動作と描写におじさんはおどろいてしまいました。

そもそもパーツ流用が目的で、カメラ自体に一切期待を抱かず(忖度ではありません)、触ったところよく写ります。思わぬ「ひろいもの」とはまさにこのことではないでしょうか。

銀塩からデジタルへの「誘導」カメラ
それではスペックを簡単におさらい。
撮像素子は1/1.8型334万画素CCD、レンズは35mmフィルムカメラ換算で、34-102mm(F2.0-2.5)。画素数はスルーしても、コンパクトデジタルカメラとしては、明るいレンズを搭載し、非常に「高級」、現代でいうところのまさに「高級コンデジ」。今でこそ、SONYデジタルカメラ市場の一角を占める雄へとなり得たといってよいですが(そして銀塩時代の名門カメラメーカーがデジタル市場で淘汰されたのが非常に興味深い対比になりますが)、市場をリードするきっかけになったのは、やはり開発ベースの速さ。競合他社に比べて一歩リードした「特徴」で市場に食い込み、コニカミノルタの吸収後は、デジタル一眼でも新時代を築きました。

しかし、その黎明期は、銀塩カメラの蓄積がない分、自由な発想と展開でユニークなカメラを創造したとは言え、そのクリエィティブは言い方を返れば、暗中模索といったのも事実です。それが「いわゆる」カメラらしからぬカメラを作り出すことになり、性能とは裏腹に、銀塩親父からは敬遠されたのも事実で、僕自身もSONYコンデジを手に取るは2006年以降の話。

さて、このSシリーズですが、SONYははじめて銀塩カメラのユーザーを対象に、サイバーショットは「使えるカメラですよ」と売り込んだ切り札だったといいます。きちんと割り振られたレバーとボタンの操作感はまさに「カメラ」であり、ごっつい筐体は、デジタルという筆頭文字をとりはらってもまさに「カメラ」。マニュアル撮影もこなし、明るいレンズを搭載したSシリーズで、初めてSONYデジカメラでデジタル化した人も多いといいます。確かに動作はその時代の標準ですが、よく練られた寄稿と操作は、銀塩の延長でのデジタルの以降にぴったりの一台ではないのか! などと推察した次第です。

■フェザータッチのシャッターに驚く
では、どのぐらい写るのでしょうか。これも繰り返しになりますが、製造された時代の限界を承知しながらも、その時代の商品としてはよく「写り」ます。これは搭載されたレンズが広角から望遠端まで非常に明るいことがその理由。現在の3倍ズームでもF2.0はじまりでF2.5というのはなかなか見当たりません。

そして驚くことなかれ。搭載されたツァイスレンズは、泣く子も黙る「バリオゾナー」。SONYは早くからツァイスのレンズを「ウリ」にしてきましたが、コンパクトデジタルカメラ搭載のツァイスレンズはだいたい「バリオテッサー」。テッサーレンズが悪い訳ではありませんが、ツァイスを代表するのはどうしても「ゾナー」レンズ。一眼レフ用のゾナーはいくつかありますが、SONY製コンパクトデジタルカメラでも、「バリオゾナー」搭載の機体は意外にも少なく、現行の超高級ラインのRXシリーズや30倍ズームのDSC-WX500ほかのいくつか。下手の横好きで写真を撮っておりますが、やはりゾナーはよく写ります。

そして撮影するうえで写真の出来具合に大きく影響を与えるのがシャッターの「重さ」。軽くキレるほどいいという訳でもありませんが、軽くキレることは、低速シャッター時のブレが軽減されるうえで、アドバンテージとなります。これまでいつものデジタルカメラを触ってきましたが、お世辞抜きにトップクラスの軽さ。これを「フェザータッチ」といってよいのではないかと思います。ライバルはコンタックスRTSぐらいか(違

ただし問題がない訳でもありません。メディアが無印のメモリースティックということ。それがまさに2001年のデジタルカメラらしいと言えばいいのですが、64MBの容量だと、最高画質で保存すると40枚でいっぱいになってしまう。2枚あるので、まあ、まだましな方でしょうが、36枚撮りフィルムを交換するような感じです(涙 デジタルカメラだからこそ、フィルムの限界を突破した訳ですが、ここが2001年らしいといえばらしいですね。ちなみにメモリースティックは128MBまで対応。これが、まあまあ、いい値段がするので手が出せません。そんでやっぱり「でかい」ですね。重さもサイズもnexより「大きい」。

以下、作例。ISO100、プログラム撮影(一部、露出優先)、ホワイトバランスオート、露出補正なし。画像は2048×1536で保存。筐体はiPhone6sで撮影。












↑ 広角34mmで撮影(A)


↑ (A)を光学3倍ズーム102mmで撮影


↑ (A)をデジタルズームで6倍にして撮影













↑レンズが明るいので夜景も手持ち撮影でなんとか可能


↑バリオゾナーですよ、旦那。


nex-c3dとの対比。当然S75の方が大きい。時代を感じます。



Playing old digital camera SONY DSC S-75 2001 | Flickr

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