2013-01-01から1年間の記事一覧
- 動きすぎてはいけない ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学 [著]千葉雅也 [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2013年12月08日 [ジャンル]社会 ■繋がり過ぎる時代、あえて留まること 思想家を論じるには大きく二通りの方向がある。「○○は何を考え…
- Listening:<特定秘密保護法に言いたい>「待ち」ではなく積極関与を 想田和弘さん 2013年12月11日 ◇想田和弘さん(43) 民主主義は国民一人一人に権力があるが、選挙で選んだ政権に間接的に預けることで機能する。預けた権力は絶大で刃物を持…
- 日本の歳時伝承 小川 直之 著 2013年12月8日 ◆餅を食べない正月も [評者]金田久璋(ひさあき)=民俗学研究者 「まえがき」で折口信夫の説を引用しているように、日本の伝承文化としての歳事、すなわち「年中行事」を対象とする民俗誌である。ちなみに歳…
- ミケランジェロ 木下 長宏 著 2013年12月8日 ◆混沌を生き抜く人間描く [評者]榑沼(くれぬま)範久=横浜国立大准教授 著者はルネサンス美術の専門家を名乗らない。専門家の見解も重要だが、専門家は解釈を提示することに懸命なあまり、芸術の発する問い…
想田和弘『日本人は民主主義を捨てたがっているのか?』岩波ブックレット、読了。橋下現象から安倍政権の誕生まで−−。進行する「熱狂なきファシズム」を鋭く抽出する恐ろしい本だ。消費者と化した有権者の意識、みんながハードルを下げ、賢くなることを拒否…
- 辞書の仕事 増井 元 著 2013年12月8日 ◆鬱屈、憤懣にじむ実像 [評者]武藤康史=評論家 国語辞典の編集部にはずいぶんいろんな電話がかかって来るものらしい。AとB、どちらの言い方が正しいのか? テレビで言っているこのことば遣いは正しいか? なぜこ…
- 日米同盟と原発 中日新聞社会部 編 2013年12月8日 ◆核への欲望 隠される事実 [評者]山岡淳一郎=ノンフィクション作家 権力者は電力供給と核抑止という二枚のカードを求めて原発を欲しがる。しかし、その本心を明かせば平和を望む国民の支持を失う。そこ…
- 今週の本棚・新刊:『ヒトに問う』=倉本聰・著 毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊 (双葉社・1050円) テレビドラマ「北の国から」などで知られる脚本家で、北海道・富良野で環境教育にも取り組む著者が、東日本大震災以後2年半にわたって書きつづっ…
- ひと:辛淑玉さん=ヘイトスピーチを乗り越えるネット設立 毎日新聞 2013年12月11日 東京朝刊 ◇辛淑玉(シン・スゴ)さん(54) 「憎悪の扇動に沈黙は許されない」。この秋、「ヘイトスピーチ(憎悪表現)とレイシズム(差別主義)を乗り越える国際ネット…
- 今週の本棚:白石隆・評 『支配への競争−米中対立の構図とアジアの将来』/『自滅する中国−なぜ世界帝国になれないのか』 毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊 ◆『支配への競争−米中対立の構図とアジアの将来』=A・フリードバーグ著、佐橋亮・監訳 (日本評…
- 今週の本棚・本と人:『ザ・タイガース 世界はボクらを待っていた』 著者・磯前順一さん 毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊 (集英社新書・819円) ◇人々は何に救われてきたのか−−磯前順一(いそまえ・じゅんいち)さん 3日に日本武道館で再結成コンサ…
野村真理『隣人が敵国人になる日 第一次世界大戦と東中欧の諸民族』人文書院、読了。一次大戦とは、独仏の直接対決と戦後の民族自決の印象から、帝国から国民国家へ歴史に見えるが、そう単純ではない。帰属意識も疎らな多民族混淆地域の東部戦線では「隣人が…
- 今週の本棚・CoverDesign:『鑛毒 田中正造と谷中農民』 毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊 私財をなげうって栃木・足尾銅山鉱毒事件の被害者救済に半生をささげた人の、まっすぐな瞳が印象的な写真集『鑛毒(こうどく) 田中正造と谷中農民』(…
- 今週の本棚・新刊:『モダニズムの惑星 英米文学思想史の修辞学』=巽孝之・著 毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊 (岩波書店・3150円) 著者のアメリカ文学思想史三部作に続く一冊である。ただし新しい基本構図として、文芸評論家ガヤトリ・スピヴァク…
- 今週の本棚・新刊:『白山信仰の謎と被差別部落』=前田速夫・著 毎日新聞 2013年12月08日 東京朝刊 (河出書房新社・2100円) 白山神社は全国にある。奈良時代の僧、泰澄が加賀白山に登り、開眼したのが始まりとされる。 白山信仰は謎が多いという。一…
メディア時評 異常、異例の秘密保護法案強行採決 野里洋 元琉球新報論説委員長、北陸大学客員教授 前回(11月9日)も書いたが、今回も同じことを書かねばならない。知る権利、報道の自由、民主主義の今回に関わる大問題だからだ。「特定秘密保護法」であ…
- フラクタリスト―マンデルブロ自伝 [著]ベノワ・B・マンデルブロ [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]科学・生物 一見、無秩序に見える自然をとらえる幾何学。逆に、簡単な数式が複雑で不思議な図形を描く−−フラクタル理論を「発見」したのがマンデルブロだ。…
- 秘密法で戦争準備・原発推進 [著]海渡雄一 [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]政治 友だちとの何げない会話が「特定秘密」にふれた、と密告され、逮捕される日が来るかもしれない−−。参議院で審議が続く特定秘密保護法案。福島や浜岡など、多くの原発訴訟に…
- こんなふうに、自分の分かっていることが言い表せないとは、ほんとうにいらいらします。男気について、それが何であるかということを、わたしはたしかに分かってはいるように、自分には思えるのですが、ところが先ほどは、どうしたわけか逃げられてしまい…
- 日本人はなぜ存在するか [著]與那覇潤 [評者]原真人(本社編集委員) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]社会 ■歴史の見方の「殻」を破る 通説にとらわれない新鮮な日本史観を提示してきた気鋭の歴史学者が、こんども多くの読者が興味をそそられるであろう「…
- スモールマート革命―持続可能な地域経済活性化への挑戦 [著]マイケル・シューマン [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]経済 ■小さいことは、いいことだ 経済成長と規模の拡大。一般にこの二つは不可分の関係にあると信じ…
- みんなの広場 国民はもっと声を上げよう 主婦 45(横浜市戸塚区) 多くの国民が慎重審議か、廃案を訴えるさなか、参院の特別委員会でも特定秘密保護法案が強硬採決された。この与党の暴挙に、戦前に通じる危うさと不気味さを感じているのは大人だけではな…
- どっこい大田の工匠たち―町工場の最前線 [著]小関智弘 [評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]経済 ■技能が磨いた底知れぬ謙虚さ 五十年の職人生活を送った旋盤工であり、作家でもある小関智弘さんは、職工の世界を内と外か…
- 罪人を召し出せ [著]ヒラリー・マンテル [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]文芸 ■危機的状況に断を下す者描く 時はF・ブローデルのいう「長い16世紀」(1450−1640年)の真っ只(ただ)中、1535年9月…
- 中島岳志・評上田誠吉著『ある北大生の受難――国家秘密法の爪痕』(花伝社・1785円)軍機保護法“再来”を認める前に知るべきこと秘密保護法案が可決されようとする中、振り返らなければならない歴史がある。宮沢・レーン事件――。「大東亜戦争」勃発直後に北…
特定秘密保護法が参議院で可決されたようですね。 ベンヤミンの言葉を書簡から紹介させていただきます。 - ヘルベルト・ペルモーレあて [一九一六年末] ヘルベルト君、 きみが手紙をくれたことはとても嬉しかった。 でもきみの手紙は事物を即物的に伝えて…
- 沈むフランシス [著]松家仁之 [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学准教授) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]■美しい文体から届く不穏な雑音 タイトルが謎めいている。沈むフランシス? だが冒頭、視界に飛びこんでくるのは、水の流れに運ばれていく人間の体…
- トップシークレット・アメリカ―最高機密に覆われる国家 [著]デイナ・プリースト&ウィリアム・アーキン [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]政治 ■多すぎる機密がむしばむ民主制 9・11以降、米国では国家安全保障…
- 都会で聖者になるのはたいへんだ―ブルース・スプリングスティーンインタビュー集1973−2012 [編]ジェフ・バーガー [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2013年12月01日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■はぐれ者のスター、肉声が映す米国 16歳の冬…
特定秘密保護法案をはじめ、現在の政府のやろうとしていることには、納得がいかないし、反対の立場を表明していますが、ただいろいろと考えることがある。現実に信念として安倍晋三首相を支持する勢力というのは、ネトウヨを加えてもそんなに多いとは思われ…