2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「折々のことば:902 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年10月14日(土)付。

- 折々のことば:902 鷲田清一 2017年10月14日 都市を……憂うる者の慰安所、また疲れたる者の休息所ともしてみたい。 (柳田國男) ◇ そして農村を「志気(しき)の剛強なる者の国のために、努力しかつ思索する場所としたい」と続く。地方は本来、じかたと…

覚え書:「現代語訳 銀行業務改善隻語 [著]一瀬粂吉 [評者]加藤出 (東短リサーチチーフエコノミスト)」、『朝日新聞』2018年03月04日(日)付。

- 現代語訳 銀行業務改善隻語 [著]一瀬粂吉 [評者]加藤出 (東短リサーチチーフエコノミスト) [掲載]2018年03月04日 昭和2(1927)年の春、預金者が銀行に殺到する取り付け騒ぎが全国で起き、30もの銀行が休業に追い込まれた。 この昭和金融恐慌の混…

覚え書:「戦争とトラウマ 不可視化された日本兵の戦争神経症 [著]中村江里 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2018年03月04日(日)付。

- 戦争とトラウマ 不可視化された日本兵の戦争神経症 [著]中村江里 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2018年03月04日 戦争神経症に対する研究は、現在も充分(じゅうぶん)に行われていない。戦後の精神医学界でも無視されたテーマであった。本…

覚え書:「トレイルズ 「道」と歩くことの哲学 [著]ロバート・ムーア [評者]野矢茂樹(東大教授)」、『朝日新聞』2018年03月04日(日)付。

- トレイルズ 「道」と歩くことの哲学 [著]ロバート・ムーア [評者]野矢茂樹(東大教授) [掲載]2018年03月04日■静かに染み込んでくる探求の旅 アパラチア山脈に沿って三千五百キロに及ぶ自然歩道、それがアパラチアン・トレイルである。著者ロバート・ムー…

覚え書:「社説 衆院選 憲法論議 国民主権の深化のために」、『朝日新聞』2017年10月16日(月)付。

- 社説 衆院選 憲法論議 国民主権の深化のために 2017年10月16日 憲法改正の是非が衆院選の焦点のひとつになっている。 自民党、希望の党などが公約に具体的な改憲項目を盛り込んだ。報道各社の情勢調査では、改憲に前向きな政党が、改憲の発議に必要な3分…

覚え書:「日曜に想う 衆院選、イソップが教えること 編集委員・曽我豪」、『朝日新聞』2017年10月15日(日)付。

- 日曜に想う 衆院選、イソップが教えること 編集委員・曽我豪 2017年10月15日写真・図版 「あの頃のこと」 絵・皆川明 現実政局の取材に疲れると、本棚から引っ張り出す本がある。前にも一度引用したが、「イソップ寓話(ぐうわ)集」(中務哲郎訳 岩波文庫…

覚え書:「ヒトごろし [著]京極夏彦 [評者]末國善己(文芸評論家)」、『朝日新聞』2018年03月04日(日)付。

- ヒトごろし [著]京極夏彦 [評者]末國善己(文芸評論家) [掲載]2018年03月04日■思わぬ形で新選組を読み替え 京極夏彦が新選組に挑んだ本書は、“鬼の副長”の異名を持つ土方歳三を人外(にんがい)のモノとして描いている。 といっても、本書はホラーではな…

覚え書:「炎と怒り トランプ政権の内幕 [著]マイケル・ウォルフ [評者]立野純二(本社論説主幹代理)」、『朝日新聞』2018年03月04日(日)付。

- 炎と怒り トランプ政権の内幕 [著]マイケル・ウォルフ [評者]立野純二(本社論説主幹代理) [掲載]2018年03月04日■生々しい内情に潜む真の危うさ 為政者にとって、メディアに自画像をどう描かせるかは死活的な問題だ。とりわけ、トランプ米大統領は異形の…

覚え書:「J・G・バラード短編全集(全5巻) [著]J・G・バラード [評者]円城塔  (作家)」、『朝日新聞』2018年03月04日(日)付。

- J・G・バラード短編全集(全5巻) [著]J・G・バラード [評者]円城塔 (作家) [掲載]2018年03月04日■探査し続けた内と外の宇宙 今わたしの頭の中にはひとつの妄想が渦巻いていて、それはこういうものである。 人がバラードの作品を読むときは、自分が…

日記:権利侵害があまりに一般化していると、それを権利侵害と認識することが難しい

- 子どもの権利を考えるうえで重要なことは、「権利侵害があまりに一般化していると、それを権利侵害と認識することが難しい」ということだ。 例えば、アメリカ全土で黒人奴隷が禁止されたのは1865年のことだ。それ以前には、「白人には、黒人奴隷を使う…

覚え書:「折々のことば:900 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年10月12日(木)付。

- 折々のことば:900 鷲田清一 2017年10月12日 imitatio Christi (トマス・ア・ケンピス) ◇ イミタチオ・クリスティ。「キリストの模倣」を意味するラテン語で、「キリストに倣(なら)いて」と訳されてきた。イミテーションといえば、…

覚え書:「【東京エンタメ堂書店】韓流ドラマ、K−POP 次はK−文学」、『東京新聞』2018年02月19日(月)付。

- 【東京エンタメ堂書店】 韓流ドラマ、K−POP 次はK−文学 2018年2月19日 韓国文学の日本語翻訳出版が増えています。純文学からミステリーまでジャンルもさまざま。映画、ドラマ、K−POPに次いで、「K−文学」として注目されています。最近読んで面白…

覚え書:「【書く人】武士の世、始まりの理想 『修羅の都』 作家・伊東潤さん(57)」、『東京新聞』2018年03月11日(日)付。

- 【書く人】 武士の世、始まりの理想 『修羅の都』 作家・伊東潤さん(57) 2018年3月11日 戦国時代や幕末・維新を舞台にした歴史小説を多数発表してきた伊東潤さんの新作『修羅の都』は、鎌倉幕府を開いた源頼朝と妻の政子の物語である。初めて鎌倉期に…

覚え書:「書評:奇跡の大地 ヤア・ジャシ 著」、『東京新聞』2018年03月04日(日)付。

- 奇跡の大地 ヤア・ジャシ 著 2018年3月4日 ◆奴隷制、闘争に翻弄されて [評者]荒このみ=東京外語大名誉教授 十九世紀のはじめ、アメリカ植民協会が設立され、合衆国建国のころからの頭痛の種だった奴隷問題の「最終解決法」を模索していた。白人は、解放…

覚え書:「憲法季評 規範なきがごとしの政権 解散・改憲、際立つ不誠実 蟻川恒正」、『朝日新聞』2017年10月14日(土)付。

- 憲法季評 規範なきがごとしの政権 解散・改憲、際立つ不誠実 蟻川恒正 2017年10月14日 今回の衆議院の解散は、一言でいえば、不誠実な解散である。 野党4党などによる臨時国会召集の要求書が6月に出されながら、憲法により召集義務を課された内閣がその…

覚え書:「2017衆院選 リベラルとは:上 「民主化」「中道」こそ、目指した道 歴史家・坂野潤治さん」、『朝日新聞』2017年10月13日(金)付。

- 2017衆院選 リベラルとは:上 「民主化」「中道」こそ、目指した道 歴史家・坂野潤治さん 2017年10月13日 歴史家・坂野潤治さん 衆院選で政党の枠組みが変わる中、最近よく聞くのが「リベラル」という言葉だ。直訳すると「自由な」という意味だが、わ…

覚え書:「書評:小村雪岱随筆集 小村雪岱 著」、『東京新聞』2018年03月04日(日)付。

- 小村雪岱随筆集 小村雪岱 著 2018年3月4日◆「昭和の春信」美しい装い [評者]山下裕二=明治学院大教授 埼玉県の川越市立美術館で「生誕百三十年 小村雪岱−『雪岱調』のできるまで」という展覧会が開催されている(十一日まで)。川越生まれで、明治末期…

覚え書:「書評:いのちなりけり 吉野晩祷 前登志夫 著」、『東京新聞』2018年03月04日(日)付。

- いのちなりけり 吉野晩祷 前登志夫 著 2018年3月4日◆存在の根源へと誘う [評者]宇江敏勝=作家・林業家 「自然の中に人間を樹(た)てる」ことが生涯のテーマだと自覚している、と書いている。雅号は「樹下山人(じゅかさんじん)」、奈良県吉野山の里に…

覚え書:

- 「くらし」の時代 米澤泉 著 2018年3月4日 ◆流行より丁寧さ志向 [評者]森彰英=ジャーナリスト いま世の中で起きている動きに驚いたり、その底流を説明されて納得しながら、一気に読み終えた。著者は近年発行された膨大な雑誌群(主に女性誌)に分け入り…

日記:なぜ人権が保障されねばならないか?

- 人権とは、「人間が人間であるという理由のみで保障されるべき権利」を言う。安全で健康に生きる権利、内心で多様な価値を育む権利、何の理由もなく身柄を拘束されない権利、差別されず個人として尊重される権利などだ。 人権は人間にとっててとも重要な権…

覚え書:「折々のことば:899 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年10月11日(水)付。

- 折々のことば:899 鷲田清一 2017年10月11日 へいたいさん、まんしうはさむいそうですね (小沢信男) ◇ 昭和10(1935)年、小学2年生だった作家は、戦地に送る慰問袋に入れるために学校で書かされた慰問文をこう書き出す。「お義理で書いている…

覚え書:「みる ザハ・ハディドの仕事にため息」、『朝日新聞』2018年04月07日(土)付。

- みる ザハ・ハディドの仕事にため息みる ザハ・ハディドの仕事にため息 2018年04月07日『ザハ・ハディド 全仕事』(松下希和・監修)から 新国立競技場の騒動で知名度抜群になったイラク出身の建築家の業績をまとめた本書では、ほとんど宇宙人的な造形感覚…

覚え書:「スーパーインテリジェンス—超絶AIと人類の命運 [著]ニック・ボストロム [評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論)」、『朝日新聞』2018年02月25日(日)付。

- スーパーインテリジェンス—超絶AIと人類の命運 [著]ニック・ボストロム [評者]佐倉統(東京大学大学院情報学環長・科学技術社会論) [掲載]2018年02月25日■全編覆い尽くす論理的知能偏重 最初から最後まで「?」と「!」の連続。 制御不能な超絶人工知能…

覚え書:「貧困の戦後史—貧困の「かたち」はどう変わったのか [著]岩田正美 [評者]斎藤美奈子(文芸評論家)」、『朝日新聞』2018年02月25日(日)付。

- 貧困の戦後史—貧困の「かたち」はどう変わったのか [著]岩田正美 [評者]斎藤美奈子(文芸評論家) [掲載]2018年02月25日■「社会の病巣」と目をそむけるな ちょっと反省した。日本の貧困について、私は何を見ていたのだろう、と。 もしかしてあなたも思って…

覚え書:「私の視点 ナチスの加害学ぶ独 悲劇繰り返さないために サンドラ・ヘフェリン」、『朝日新聞』2017年10月12日(木)付。

- 私の視点 ナチスの加害学ぶ独 悲劇繰り返さないために サンドラ・ヘフェリン 2017年10月12日写真・図版 サンドラ・ヘフェリンさん 来日して20年の私が驚くこと。それは、日本にはナチスを称賛したり、部分的にではあっても「ヒトラーの何々がよかった」…

覚え書:「寂聴 残された日々:28 稲垣足穂の机 奇妙な天才との出会い」、『朝日新聞』2017年10月12日(木)付。

- 寂聴 残された日々:28 稲垣足穂の机 奇妙な天才との出会い 2017年10月12日 写真・図版 寂聴さんが稲垣足穂からもらった机=徳島県立文学書道館提供 今年は稲垣足穂(たるほ)の没後40年にあたるそうだ。何かでそれを読んだ時、私はかつて書いた自作の…

覚え書:「絶滅危惧種ビジネス―量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇 [著]エミリー・ボイト [評者]市田隆(本社編集委員)」、『朝日新聞』2018年02月25日(日)付。

- 絶滅危惧種ビジネス―量産される高級観賞魚「アロワナ」の闇 [著]エミリー・ボイト [評者]市田隆(本社編集委員) [掲載]2018年02月25日 約3千万円で取引されたこともある世界一高価な観賞魚アジアアロワナ。中国などの富裕層に人気は高まる一方で、なぜそ…

覚え書:「少女を殺す100の方法 [著]白井智之 [評者]末國善己(文芸評論家)」、『朝日新聞』2018年02月25日(日)付。

- 少女を殺す100の方法 [著]白井智之 [評者]末國善己(文芸評論家) [掲載]2018年02月25日 白井智之は、全身に人面瘡(そう)ができる奇病が流行した日本など、グロテスクで特殊な設定を活(い)かしたミステリーで注目を集めている。 著者初の短編集とな…

覚え書:「見知らぬ記憶 [著]小林紀晴 [評者]宮田珠己(エッセイスト)」、『朝日新聞』2018年02月25日(日)付。

- 見知らぬ記憶 [著]小林紀晴 [評者]宮田珠己(エッセイスト) [掲載]2018年02月25日■撮るとは? 答えを探り続けて 著者は90年代、アジア各地を旅する日本の若者たちの写真を撮り、インタビューとともにその内面に迫った。『ASIAN JAPANESE』…

日記:課題としての「中間勢力(中間団体)」の再生

- 原発の危険性について無知であったわけではない。一九八〇年代には作家、広瀬隆の『危険な話』が大ベストセラーとなり、各地で反原発闘争があった。しかし、それはいつのまに消えていった。もちろん、まったく消えたのではない。たとえば、私は五、六年前…