作業用ノート

【覚え書】アマルティア・センのハンチントン文明観批判

- サミュエル・ハンチントン〔アメリカの政治学者。『文明の衝突』の著者〕は、インドを「ヒンドゥー文明」として描きました。これはインドネシアとパキスタンを除いて、インドに世界のどこよりも多くのイスラム教徒(約一億二五〇〇万人−−イギリスとフラン…

【覚え書】ハーバーマス:多数決原理が正当化の力を保持しうるためには、いくつかの最低限の前提が満たされていなければならない

- 多数決原理は時間的制約下において相互了解のプロセスを理性的に操作可能なものとするが、その際に本来前提されているもろもろの条件に較べて、実際の政治的決定過程がいかにずれているかは、多数決の社会学が冷ややかに明らかにしてくれているとおりであ…

21世紀を生きるひとびとのマニフェスト:ポパーの寛容論

- VI ですから、こんにちでも「わたくしは、自分が何も知らないということ、そしてそのことをほとんど知っていないということを知っている」というソクラテス的洞察がきわめて実際的である−−おそらくソクラテスの時代よりもはるかに実際的である−−ことを示す…

トインビー『交遊録』(オックスフォード大学出版局、1968年) 人間であるということをどのように学ぶのか

- 私の経験では、伝統的な偏見を徐々になくしてゆくのは、個人的なつきあいであった。どんな宗教、国籍、あるいは人種の人とでも、その人と個人的に付き合えば、かならずその人が自分と同じ人間であることがわかる。 −−トインビー(長谷川松治訳)『交遊録』…

トインビー「一歴史家の宗教観」 宗教間対話基礎論 

- 今日われわれをとりまいている世界においては、異なった現存宗教の帰依者は相手の宗教的遺産を容認し、尊重し、敬意を表するだけの用意を、従来にもましてもたねばならない。 −−トインビー(深瀬基寛訳)「一歴史家の宗教観」、『トインビー著作集4』社会…

「宗教社会学は、どの分野の社会学でもそうであるように、科学であろうとしている」 B・ウィルソン 宗教社会学 

- 宗教社会学は、どの分野の社会学でもそうであるように、科学であろうとしている。この点に関して、宗教社会学はいったい何を探求しようとしているのか、そして宗教社会学で探求可能なことがらの背後には何があるのか、ということを認識することが重要にな…

【覚え書】「絶えず幸福でありたいと願っている」人々

- 近代は、それが始まったときから、大胆さと不安との対位的な構造によって特徴づけられてきた。大胆さは、デカルトと彼の後継者が示した数学への熱狂によって最もよく説明され得る。大胆さは、自分自身の影、つまり恐怖を投げかける。パスカルの言葉で言え…

【覚え書】抵抗論 ジジェク「強大な世界秩序としてのユートピア」

[抵抗][ヨーロッパ][アメリカ][中国][NO][宗教] - ヨーロッパ的価値とは何か レイコ(以下R) 今回のインタビューは二つのエッセイと併せて一冊とします。まずは国際情勢についていくつかお訊きしたいことがあるのですが、アメリカや中国とは一線を画す、…

【覚え書】心身論に関するノート(2)

- 村上 若い世代の身体観について ひとつ言えるのは、身体的な感覚価値がそのまま精神的な感覚価値に結びつく傾向が、時を追うごとに強くなっているということでしょう。つまり頭でっかちから、「気持ちよければそれでいいじゃん」という考え方へのシフトで…

【覚え書】心身論に関するノート(1)

- 村上 小説を書き始めるまで、自分の体にはそんなに興味を持っていなかったのです。ところが、小説を書いていると、自分の身体的なもの、あるいは生理的なものにものすごく興味をもつようになって、体を動かすようになりました。そうすると、体が変わってく…

【覚え書】吉田健一 現代ヨーロッパ政治の根拠

- もともと政治の対象は人間であって観念ではない。しかしもしフランス革命を十九世紀の始まりと見るならば。その経緯でも解る通り、十九世紀には、観念、それも当面の問題と必ずしも関係がある訳ではない純粋の観念を目標に掲げてそれで人間を動かすことが…