哲学・倫理学(近代)
- 異議あり:松陰の「行動」への賛美、実は危うい 儒教思想を研究する小島毅さん 2015年03月19日(写真キャプション)小島毅さん=東京都文京区、西田裕樹撮影 今年の大河ドラマ「花燃ゆ」は、吉田松陰の松下村塾が舞台。安倍晋三首相も、地元・長州が生んだ…
- 引用句辞典 トレンド編 [政治家の質の劣化] 鹿島茂唯一の防御策は間接選挙の導入ワシントンの下院議場に入ってみれば、この大会議場の俗っぽさに驚愕の思いをするであろう。(中略)この議場のすぐそばに上院の扉が開いており、その狭い議場の中にアメリ…
10月08日水曜日の皆既月食。手持ち撮影のコンデジでも割とうまく撮れました(ISO高いので粒子あらめ・涙さて……と、こういう天体の妙演や大自然の雄大さを間近にすると、Der bestirnte Himmel uber mir, und das moralische Gesetz in mir.……というカント…
仲正昌樹さんの『精神論ぬきの保守主義』新潮選書をちょうど読み終えた。保守とは字義の通り「古くからあるもの」を“守る”思想的系譜のことだが単純にあの頃は良かったと同義ではない。本書は近代西洋思想におけるの伝統を振り返りながら、現下の誤解的認識…
- 読書 アダム・スミスとその時代 ニコラス・フィリップソン・著 永井大輔・訳近代経済学の父の生涯と思想 近代経済学の父=アダム・スミスの最新の評伝である。その生涯と思想をバランスよく叙述する本書は、大部の著作ながら一気に読み通すことができる。 …
- 賢者の現存 デカルトの倫理の意義をカントとの対比でまとめておこう。 カントは『純粋理性批判』において、賢者の実例が現存すると考えたのでは、倫理学を構築することはできないと論じている。「徳の概念を経験から創出しようとする人、実例として不完全…
野田又夫『哲学の三つの伝統 他十二篇』岩波文庫、読了。枢軸時代のギリシア、インド、中国で同時に誕生したのが哲学。著者はこの3つの伝統に注目し、哲学の大胆な世界史的通覧を試みる。哲学とは「理性をもって自由に答えよう」とする「世界と人生とについ…
権左武志『ヘーゲルとその時代』岩波新書、読了。保守的な国民国家思想家像からロールズのリベラリスト評に至るまで様々な顔をもつヘーゲル。本書は、影響史の視点から俗評をかき分け、ヘーゲルが生きた生活世界と時代との応答まで降り、その思想を公正に解…
金森修『動物に魂はあるのか 生命を見つめる哲学』中公新書、読了。動物には魂があるのか、それとも機械なのか。本書はアリストテレスからデリダに至るまでの動物霊魂論……主として17-18世紀フランス思想……の系譜を読み直す試み。動物とは何かとの問いは人間…
- 『ジャン=ジャック・ルソーと音楽』 海老澤敏著評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授) 「ルソーはまず音楽家だった」、モーツァルト研究の第一人者でもある著者の年来の揺るぎない確信である。18世紀フランスを代表する大思想家で、『エミール』や…
- 一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年02月10日■教会も受容した死を超える快楽 イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写本の蒐集(し…
- 私はバラモンで、バラモンとして生まれ、すなわち上層カーストとして生まれ、先に述べた通り、潜在的に暴力的な−−すべてのヒンドゥー教徒が暴力的なのではありませんが−−それでも自国内では、潜在的にあるいは実際に暴力的になりかねない多数派の一員です…
- 今週の本棚:村上陽一郎・評 『非合理性の哲学−アクラシアと自己欺瞞』=浅野光紀・著 (新曜社・3990円) ◇“意志と行動”のへだたりを考える 哲学ときくと、それだけで拒否反応を示す読者もあるかもしれません。この本も「哲学」と銘打たれています。し…
- ヘラクレイトスの仲間 坂口ふみ著 ぷねうま舎 評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授)自己の中に探る宇宙 「個」の誕生というテーマを長年一貫して問い続けてきた著者が今回たどり着いたのは、意外にもヘラクレイトスである。「万物流転(パンタ・レイ…
- 今週の本棚:鹿島茂・評 『ジャン=ジャック・ルソー』=永見文雄・著 (勁草書房・7770円) ◇分裂の思想家像、解釈への決定版 ルソーはラディカル(根源的)な思想家である。ゆえに歴史の曲がり角でしばしば召喚され、フランス革命では「人民主権」が…
- 今週の本棚:近代を創ったスコットランド人=アーサー・ハーマン著 (昭和堂・5040円) 近代における人間や社会や世界に対する新しい認識を切り開いた18世紀の啓蒙思想。フランスほど華やかではないが、スコットランドでは活発で独創的な思想が花開き…
- 今週の本棚:中村桂子・評 『動物に魂はあるのか』=金森修・著 (中公新書・924円) ◇「機械論」から「現代の霊魂論」への科学思想 「恐らく、多くの読者は<動物機械論>についてならどこかで聞いたことがあっても、本書の主題<動物霊魂論>などは、…
- 今週の本棚:山崎正和・評 『西洋哲学史 1−4』=神崎繁・熊野純彦・鈴木泉、責任編集 (講談社選書メチエ・1890〜1995円) ◇世界文明を生んだ「奇妙な精神」の歴史 哲学への無関心が今、とりわけ日本の言論界に瀰漫(びまん)している。学界を超…
マシュー・スチュアート(桜井直文、朝倉友海訳)『宮廷人と異端者 ライプニッツとスピノザ、そして近代における神』書肆心水、2011年。「不気味に自足した賢者」と「究極のインサイダー」の邂逅。 廷臣ライプニッツは破門の異端者スピノザの思想の何を敬い…
- 否定的自由にとっては、あらゆる特殊化と客観的規定を絶滅することからこそ自由の自己意識が生じる。そこで、否定的な自由が欲すると思っているものはそれ自身すでに抽象的な表象でしかありえず、これの現実化は破壊の凶暴でしかありえないのである。 −−へ…
- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『子どもの教育』/『マス・リテラシーの時代−近代ヨーロッパにおける読み書きの普及と教育』 ◇『子どもの教育』=J・ロック著、北本正章・訳 (原書房・5040円) ◇『マス・リテラシーの時代−近代ヨーロッパにおける読み…
- 今週の本棚:本村凌二・評 『哲学者マキァヴェッリについて』=レオ・シュトラウス著 (勁草書房・7350円) ◇信仰による真理を拒んだ「近代哲学」の立役者 二十年ほど前、「新入生に薦める三冊の本」という企画があった。そのとき私がとりあげた一冊が…
- 一 (真理を探究するには、生涯に一度はすべてのことについて、できるかぎり疑うべきである。) 我々は幼年のとき、自分の理性を全面的に使用することなく、むしろまず感覚的な事物について、さまざまな判断をしていたので、多くの先入見によって真の認識…
- 人間の知性は(或いは迎えられ信じられているという理由で、或いは気に入ったからという理由で)一旦こうと認めたことには、これを支持しこれと合致するように、他の一切のことを引き寄せるものである。そしてたとい反証として働く事柄の力や数がより大で…
1. - ここに二つの物がある、それは――我々がその物を思念すること長くかつしばしばなるにつれて、常にいや増す新たな感嘆と畏敬の念とをもって我々の心を余すところなく充足する、すなわち私の上なる星をちりばめた空と私のうちなる道徳的法則である。私は…
- 公衆は、ひとつの国民でも、ひとつの世代でも、ひとつの同時代でも、ひとつの共同体でも、ひとつの社会でも、この特定の人々でもない。これらはすべて、具体的なものであってこそ、その本来の姿で存在するのだからである。まったく、公衆に属する人はだれ…
- 理屈をこねるというのはどういうことか? 理屈をこねるというのは、主体性と客観性との情熱的な区別が排除されていることである。屁理屈は、抽象的な思惟としては、弁証法的な十分な深さをもたない。また意見や確信としては、個性の純血種ではない。けれど…
- 今週の本棚: 富山太佳夫評 『道徳・政治・文学論集』ヒューム著、田中敏弘訳(名古屋大学出版会、8400円) 『秘義なきキリスト教』トーランド著、三井礼子訳(法政大学出版局、5040円)啓蒙的合理主義とは違うもうひとつの世界 ともかく暑い。ま…
- 一言で言えば、−−私の意志の根本的改善によってのみ私の現存在と私の使命の上に新しい光が射す。この改善なしには、私がたといどんなに省察しても、また優れた精神的賜物を授けられていても、私のうちにも私の周りにもただ暗黒が存在するだけである。心の…
- 一 (真理を探究するには、生涯に一度はすべてのことについて、できるかぎり疑うべきである。) 我々は幼年のとき、自分の理性を全面的に使用することなく、むしろまず感覚的な事物についてさまざまな判断をしていたので、多くの先入見によって真の認識か…