科学哲学

拙文:「読書:井上順孝編『21世紀の宗教研究』平凡社 刺激に富む先端科学との邂逅」、『聖教新聞』2014年11月22日(土)付。

- 読書 21世紀の宗教研究 井上順孝編 刺激に富む先端科学との邂逅 「科学的」という評価が合理的な価値あるものと見なされる現代。その対極に位置するのが宗教だ。宗教を迷信と捉えず、「宗教とは何か」を科学的に探究するのが宗教学の出発だったが、学の…

書評:野家啓一『科学の解釈学』講談社学術文庫、2013年。

野家啓一『科学の解釈学』講談社学術文庫、読了。科学は果たして万能か。信仰にも似た科学へ信頼は諸学の隷属化すら招いている。本書は、その対極の反科学主義を排しながら、「科学を御神体として後生大事に抱え込む哲学的傾向に見られるこうした『俗悪さ』…

書評:ロナルド・H・フリッツェ(尾澤和幸訳)『捏造される歴史』原書房、2012年。

ロナルド・H・フリッツェ『捏造される歴史』原書房、読了。「アトランティス大陸」から「天地創造説のなかの人種差別」まで−−。本書はアメリカにおける疑似歴史、疑似科学隆盛の歴史と現在、そしてその受容心象を明らかにする一冊。 疑似科学的なるものを荒…

書評:ジャン=ピエール・デュピュイ(永倉千夏子訳)『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り 現代の「悪」とカタストロフィー』明石書店、2012年。

- 我々が悪と呼ぶものは、仮象の領域に属している。なぜなら、見ることができる者にとって、このいわゆる悪は、可能なもののうち最良の世界において善を最大化することに貢献するからである。技術文明は、原子力なしでやっていくことはできない。そして、そ…

覚え書:「書評:量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 [著]マンジット・クマール [評者]角幡唯介」、『朝日新聞』2013年06月09日(日)付。

- 量子革命 アインシュタインとボーア、偉大なる頭脳の激突 [著]マンジット・クマール [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) [掲載]2013年06月09日 [ジャンル]科学・生物 著者:マンジット・クマール、青木薫 出版社:新潮社 価格:¥ 2,940Amazon.…

覚え書:「今週の本棚:三浦雅士・評 『集合知とは何か』=西垣通・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:三浦雅士・評 『集合知とは何か』=西垣通・著毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (中公新書・861円) ◇ネット社会を考える貴重な一冊 ここ十数年のメディア環境の変貌ははなはだしい。フェイスブックやツイッターなどといったソーシャルメ…

覚え書:「今週の本棚:気になる科学 元村有希子・著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:気になる科学 元村有希子著 (毎日新聞社・1575円) 毎日新聞社科学環境部といえば、思い出すのは日本の科学と科学者の現実を生々しく追って私たち科学者にはちょっと切なくもあった、『理系白書』である。その著者たる毎日新聞科学環境部…

書評:山崎正勝『日本の核開発:1939〜1955 原爆から原子力へ』績文堂、2012年。

山崎正勝『日本の核開発:1939〜1955』績文堂、読了。戦時下日本の旧陸海軍の原爆開発から1955年の原子力基本法成立へ至る日本の核開発の歴史をたどる一冊。開発から挫折、平和利用で導入へという経緯が詳しく、専門的書物ながら資料としてきわめて価値たか…

覚え書:「ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』」、『朝日新聞』2011年11月06日(日)付。

- ニセ科学って何だ? 久保田裕さんが選ぶ本 『もうダマされないための「科学」講義』 [文]久保田裕(科学医療部) [掲載]2011年11月06日■思い込みが行動を左右する 一見、科学的な主張に見えるものの、実は科学でない。そんな主張を、ニセ科学とかエセ科学…