2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「折々のことば:965 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月18日(月)付。

- 折々のことば:965 鷲田清一 2017年12月18日 昭和十年代の軍事指導者らは自分に都合の悪いことが生じたとき、箝口令(かんこうれい)と戦死の二大命令を兵士たちに強要するのが特徴であった。 (保阪正康) ◇ 事件が起こるや直ちに箝口令を敷き、関係す…

覚え書:「社説 南京事件80年 冷徹な直視の姿勢こそ」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 社説 南京事件80年 冷徹な直視の姿勢こそ 2017年12月17日 南京事件は、日中戦争の初期におきた。1937年12月13日に南京を陥落させた日本軍が、捕虜や一般市民を数多く殺害した。 それから80年。この事件は今も日中間の火だねとなる歴史認識問題…

覚え書:「社説 政治と女性 目標値を検討する時だ」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 社説 政治と女性 目標値を検討する時だ 2017年12月17日 もはや「自然増」を漫然と待つべき状況ではない。政治の世界に女性が少なすぎる。 10月の衆院選で、女性候補者は全体の17・7%だった。それでも過去最高だったというが、5人に1人にも満たない…

日記:ロックのフィルマー批判

ジョン・ロック(加藤節訳)『完訳 統治二論』(岩波文庫)。膨大な第一部はフィルマーの王権神授説批判。「いかなる人間も自由に生まれついていない」というフィルマーの神学は、人間の自由や幸福の追求を保証する神への冒涜に他ならない。近代民主主義基礎…

覚え書:「折々のことば:964 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 折々のことば:964 鷲田清一 2017年12月17日 大学って、早く出たいけどずっといたい不思議なところですね。 (谷口キヨコ) ◇ 哲学を学ぼうと大学院に入学した関西の人気ラジオパーソナリティーは、4年かけて修士論文を書き上げた後、私にこう言った。…

覚え書:「社説 BPO意見書 放送の倫理が問われた」、『朝日新聞』2017年12月16日(土)付。

- 社説 BPO意見書 放送の倫理が問われた 2017年12月16日 何でもあり、の情報たれ流しがまかり通ってはならない。一テレビ局の問題にとどめず、放送界全体が改めて足元を見つめ直す機会とするべきだ。 東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が1月…

覚え書:「社説 生活保護費 引き下げ方針、再考を」、『朝日新聞』2017年12月16日(土)付。

- 社説 生活保護費 引き下げ方針、再考を 2017年12月16日 厚生労働省が生活保護費の引き下げを検討している。一般の低所得世帯の生活費と比べて、都市部などで保護世帯の受給額の方が多いという検証結果が出たためだ。子どものいる世帯や高齢者世帯が影響を…

日記:物事をより多面的・長期的に理解するための弁証法

- 少し大げさな言い方になりますが、西欧では古代ギリシア以来、二つの対立する立場に分かれて問答しながら、お互いに相手の議論の曖昧なところ、捻れているところを指摘し、批判し合うことで、双方がそれぞれの考えを修正し、単なる思い込み(doxa:ドクサ…

覚え書:「折々のことば:961 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月14日(木)付。

- 折々のことば:961 鷲田清一 2017年12月14日 大人者、不失其赤子之心者也 (孟子) ◇ 「大人(たいじん)とは、その赤子(せきし)の心を失わざる者(ひと)なり」。意味の枠組みにとらわれないで、ものをまっすぐ見つめる。変化の兆しに敏感でいる。余…

覚え書:「社説 巡航ミサイル 専守防衛の枠を超える」、『朝日新聞』2017年12月13日(水)付。

- 社説 巡航ミサイル 専守防衛の枠を超える 2017年12月13日 防衛省が長距離巡航ミサイルの導入を決めた。来年度当初予算案に関連経費約22億円を追加要求する。 日本はこれまで専守防衛のもと、自衛隊のミサイルの長射程化を控えてきた。財政的な制約や、不…

覚え書:「ニッポンの宿題 なり手不足の地方議会 中村健さん、戸田靖子さん」、『朝日新聞』2017年12月13日(水)付。

- ニッポンの宿題 なり手不足の地方議会 中村健さん、戸田靖子さん 2017年12月13日写真・図版 町村議会の現状<グラフィック・前川明子> 地方自治体では議員のなり手不足が問題になっています。議論が低調で執行部に対するチェック機能も十分に果たせない議…

日記:目先の権力闘争に明け暮れ将来に禍根を残すな

ハーバー・ビジネス・オンライン編(上西充子、田中信一郎解説)『枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)到着。「枝野幸男の演説は…あるべき民主主義とは何か、あるべき国会審議とは何かを、教えてくれる」=上西充…

覚え書:「折々のことば:960 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月13日(水)付。

- 折々のことば:960 鷲田清一 2017年12月13日 食べ物をいくら残しても叱られない時代はきたが、それは同時に胃袋でない形の新しい飢えの始まりでもあった。 (たかとう匡子〈まさこ〉) ◇ ひもじさには二つの形がある。一つは窮乏の生活からくる空腹であ…

覚え書:「耕論 若者の恋愛ばなれ? 牛窪恵さん、トミヤマユキコさん、山田舜也さん」、『朝日新聞』2017年12月12日(火)付。

- 耕論 若者の恋愛ばなれ? 牛窪恵さん、トミヤマユキコさん、山田舜也さん 2017年12月12日写真・図版 20、30代の恋人がいない未婚者への内閣府調査<グラフィック・荻野史杜>写真・図版 写真・図版 写真・図版 街角にクリスマスソングが流れる季節。か…

覚え書:「「すぐれた物語」気づいた夜 カズオ・イシグロさん、ノーベル賞記念講演」、『朝日新聞』2017年12月12日(火)付。

- 「すぐれた物語」気づいた夜 カズオ・イシグロさん、ノーベル賞記念講演 2017年12月12日写真・図版 スウェーデン・アカデミーで7日、記念講演するカズオ・イシグロさん=ロイター 10日にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんは、式典に先立ち…

日記:グローバルな市民精神は本当に人文学を必要としているのでしょうか?

- グローバルな市民精神は本当に人文学を必要としているのでしょうか? 世界市民は事実に基づく多くの知識を必要としています。なるほど、人文学的教育を受けていなくても、学生たちはそうした知識をえることができるかもしれません。たとえば、BJPが使用…

覚え書:「折々のことば:959 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月12日(火)付。

- 折々のことば:959 鷲田清一 2017年12月12日 縮むことができるのは、もう大きくなっている人々であり、坂道を下ることができるのは、すでに坂を上った人々だ。 (ブレイディみかこ) ◇ 子どもの貧困はコミュニティーの相互扶助の仕組みを厚くすることで…

覚え書:「社説 核なき世界へ 日本の登場、待たれている」、『朝日新聞』2017年12月12日(火)付。

- 社説 核なき世界へ 日本の登場、待たれている 2017年12月12日 核兵器を使う、作る、持つ。そのすべてを法的に禁じる核兵器禁止条約の採択を推進した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN〈アイキャン〉)に、ノルウェーのオスロで、ノーベ…

覚え書:「社説 憲法70年 内閣と国会に緊張感を」、『朝日新聞』2017年12月09日(土)付。

- 社説 憲法70年 内閣と国会に緊張感を 2017年12月9日 特別国会がきょう閉幕する。改めて鮮明になったのは国会を軽んじる安倍政権の姿勢だ。 森友学園への国有地売却をめぐり、会計検査院が手続きのずさんさを指摘する調査結果を国会に報告した。野党の質…

日記:西洋史における良心

- 西洋史における良心 英語のconscienceはギリシア思想に由来する長い系譜を有しており、日本では一九世紀末に「良心」という定訳を与えられることになった。文献的に確認される初出はブリッジマン・カルバートソン訳『新約聖書』(一八六三年)と言われてい…

覚え書:「折々のことば:958 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月10日(日)付。

- 折々のことば:958 鷲田清一 2017年12月10日 変化はとてもゆるやかにあらわれたので、日常という闇にまぎれて、人びとを驚かすことはなかった。 (ジャン・ジオノ) ◇ 不毛の地といわれた南仏の山岳地帯で、来る日も来る日も植樹を続けた一人の名もない…

覚え書:「日曜に想う 「左のナショナリスト」の憂い 編集委員・大野博人」、『朝日新聞』2017年12月10日(日)付。

- 日曜に想う 「左のナショナリスト」の憂い 編集委員・大野博人 2017年12月10日 写真・図版 「家路の交差点」 絵・皆川明 「左のナショナリスト」と呼ばれたフランスの老政治家に会いにいった。ジャンピエール・シュベヌマン氏(78)。2000年に一度イ…

覚え書:「欧州季評 二者択一の不条理 EU離脱が招く和平の亀裂 ブレイディみかこ」、『朝日新聞』2017年12月09日(土)付。

- 欧州季評 二者択一の不条理 EU離脱が招く和平の亀裂 ブレイディみかこ 2017年12月9日 地下鉄の駅での人身事故や発砲事件がニュースで報じられるたびに、「またテロか」と反射的に思ってしまう。ふと、20年前に英国に来た頃のことを思い出す。誰かの忘…

日記:人の暮らしのかたわらが、猫のホームグラウンド

猫は地上に舞い降りた精霊に違いない。きっと雲の上だってふわりふわりと歩けるはずだ=ジュール・ヴェルヌ。アンガス・ハイランド+キャロライン・ロバーツ(喜多直子訳)『名画の中の猫』(エクスナレッジ、2018年)とともに伯父さんは優雅な休日(°▽°) pic…

覚え書:「折々のことば:957 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月09日(土)付。

- 折々のことば:957 鷲田清一 2017年12月9日 経験というものはさまざまな風に煮えこぼれるもので、われわれに現在の方式をさまざまに修正させてゆくものである。 (ウィリアム・ジェイムズ) ◇ どうにも動かせないかに見える習慣や仕組みも、かつて人が…

覚え書:「インタビュー ノーベル平和賞の先に ICAN国際運営委員・川崎哲さん」、『朝日新聞』2017年12月08日(金)付。

- インタビュー ノーベル平和賞の先に ICAN国際運営委員・川崎哲さん 2017年12月8日 写真・図版 「核廃絶が世界の法的義務という状況を作るため、ノーベル賞を生かす作戦を考えたい」=飯塚晋一撮影写真・図版 ノーベル平和賞に選ばれた国際NGO「核兵…

覚え書:「社説 服務宣誓発言 政治家として心得違い」、『朝日新聞』2017年12月10日(日)付。

- 社説 服務宣誓発言 政治家として心得違い 2017年12月10日 政治家の役割について、改めて考えさせられる出来事だ。 自衛隊出身の佐藤正久外務副大臣(自民党)が5日の参院外交防衛委員会で、副大臣の就任にあたって決意を表明した。 「事に臨んでは危険を…

日記:自己の課題に深い信念をもつ者は、容易に戦わず、しかし戦うときには断乎として、たとえ一人でも戦うのである。

- 自己の課題に深い信念をもつ者は、容易に戦わず、しかし戦うときには断乎として、たとえ一人でも戦うのである。そこには謙虚さと、静かな力がある。バルトの文章の美しさというものがあるとすれば、おそらくそれは文体の美しさといったものではなく、人間…

覚え書:「折々のことば:956 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月08日(金)付。

- 折々のことば:956 鷲田清一 2017年12月8日 知る、理解する、というサイエンスの別の機能との関係から切り離された技術は、厄災の源になる。 (千葉聡) ◇ 「害虫」のカタツムリを駆除するために、カタツムリを食べるカタツムリを「自然にやさしい生物…

覚え書:「耕論 「いいね」のために はあちゅうさん、宮台真司さん、高橋暁子さん」、『朝日新聞』2017年12月07日(木)付。

- 耕論 「いいね」のために はあちゅうさん、宮台真司さん、高橋暁子さん 2017年12月7日写真・図版 グラフィック・宮嶋章文 今年の「新語・流行語」の年間大賞に「インスタ映え」が選ばれた。多少ウソでも、中身を盛っても「いいね」が欲しい――。この空気は…