2011-03-01から1ヶ月間の記事一覧

理想主義と現実主義という二つの思考軸の交差する空間に定位し展開するということ

- まず吉野の思想は、理想主義と現実主義という二つの思考軸の交差する空間に定位し展開していたと考えることができるかと思う。前者、理想主義の思考軸によって位置づけられるものとしては、何よりも彼が情熱をこめて説いた人間性についての信頼、たとえば…

現実から遊離するな、生と一体化せよ、生に責任を感ぜよ

- 不運なことに、このヨーロッパの民主主義思想はドイツにおいてはあまり強い政治的力を持つにいたらず、権力は決してこれと結びつこうとはしませんでした。むしろ、他の諸国の場合とは異なって、この理念は歴史的にはドイツの無力とほとんど同義になってい…

創造と伝統を水と油のような相反する概念と捉えてしまうことが問題なのだ。

- 歴史は二重の創造であるということ、初め作られたものが更に作られるところに歴史があるということは、歴史の本来の主体が個人でなくて社会であるということを意味している。個人もまた社会から歴史的に作られたものである。歴史は社会が自己形成的に形を…

僕は池波正太郎のファンですと自己紹介して、私に名刺をくれた。ファンというより池波キョウかなと

- 行きつけの酒場でひとりで飲んでいたら、となりの客が話しかけてきた。もちろん、酒場ではこういうことはべつに珍しくない。はじめて会った客同士が意気投合し、肩を組まんばかりにして、つぎの酒場へと出かけてゆく光景もときどき見かける。逆に先刻まで…

餓死目前の人々に、あなたは実は仏そのものだと説くことが、果たしてどれほど意味のあることなのだろうか……。

- 天台宗をはじめとする伝統仏教の色濃い影響を残しながらも、日蓮が『立正安国論』において独自の世界を切り開くことができた原因はどこにあったのだろうか。 『立正安国論』執筆に先立つこと七年の一二五三年(建長五年)、日蓮はいわゆる「立教開宗」を行…

「日本人はどの国民より何ごとでも道理に従おうとします」ってか???

- ザビエルは日本人が合理的な話を喜ぶことについて語っている。 日本人はどの国民より何ごとでも道理に従おうとします。日本人はいつも相手の話に聞き耳を立て、しつこいほど質問するので、私たちと論じ合うときも、仲間同士で語り合うときも、話は全く切り…

俗衆や、思索せぬ人々は、人間の幸福を、動物的個我の幸福の中で理解している

- 生命は幸福に対する志向である。幸福への志向が生命である。あらゆる人が生命をこう理解してきたし、現に理解しており、常にこう理解しつづけるだろう。それゆえ、人間の生命は人間的な幸福への志向であり、人間的な幸福への志向が人間の生命なのである。…

「アテナイ人諸君よ、私は諸君を尊重しかつ親愛する者であるが、しかし諸君に従うよりも」……

- 「アテナイ人諸君よ、私は諸君を尊重しかつ親愛する者であるが、しかし諸君に従うよりもむしろいっそう多くの神に従うであろう。そして私の息と力の続く限り、智慧を愛求したり、諸君に忠告したり、諸君の中のいかなる人に逢っても常に次の如く指摘しつつ…

それがどれだけ、「健全と思われるある教義」であったとしても、それを「押しつけようとする」のはまずうござんす。

- もちろん、健全と思われるある教義を国民に押しつけようとする欲求は新しいものではなく、また現代に特有なものでもない。けれども、多くの現代の知識人がこのような企てを正当化しようとする議論は新しい。そのいうところは次のようである。およそわれわ…

自然の意味を考えると、われわれは自然がひとつの訓育だという新しい事実にたちどころに到達する

- 自然の意味を考えると、われわれは自然がひとつの訓育だという新しい事実にたちどころに到達する。世界のこの効用には、それ自身の部分として、これまでに述べたさまざまな効用がふくまれている。 空間、時間、社会、労働、寄稿、食物、運動、動物、機械力…

だいたい「忠誠」や「服従」を強要することはろくなことを招きはしない。

- http://www.asahi.com/politics/update/0302/TKY201103020333.html 自民党は2日、国旗損壊罪を新設する刑法改正案を今国会に提出する方針を決めた。日本を侮辱する目的で日章旗を焼いたり破いたりしたら2年以下の懲役か20万円以下の罰金を科す内容。民…

独創性や創造性といったものは、鎖国的な根性から生まれてくることはない。かならず世界との交流からうまれてくる……。

- 斯くて慶長頃の人としてロドリゲース、幕末頃の人としてはホフマン博士、之が日本語学界に於る二大偉人と称する事が出来ます日本人としての日本語学界の大先覚者大槻文彦を初代の校長として有する我が一中は、先生と共にまた西洋の二偉人を記憶するも強ち…

高貴の反対は「卑小」「狭量」「小市民的」とか、あるいは、生活の小さな目標だけしか念頭になく、それも自分自身か、自分の身近な周囲だけしか考えないことである

- 高貴の反対は「不良」とか「悪性」とかではない、もちろん、これらは決して高貴なものではないが。高貴の反対は「卑小」「狭量」「小市民的」とか、あるいは、生活の小さな目標だけしか念頭になく、それも自分自身か、自分の身近な周囲だけしか考えないこ…

「陛下の赤子に対して個人が勝手に制裁を加えることが是認せられるならば、これこそかえって乱臣賊子ではないか。国体を破壊するものは、浪人会一派の諸君ではないか」という件。

- “南明倶楽部の凱歌” −−吉野、浪人会を論破 吉野作造はもっぱら文筆の人として時代の啓発につとめ、名声をかちえたが、その吉野が、大衆の前に姿を現して気迫烈々たる論戦を展開する機会が訪れた。右翼団体浪人会との間に行われた立会演説会がそれである。 …

【研究ノート】人間の自己完成、そうした努力における究極の自己目的化の陥穽

- 儒教徒のばあい、富は、始祖の残した言葉が明らかに教えているように、有徳な、すなわち品位ある生活をおくり、かつ自己の完成に没頭する、そうしたことができるためのもっとも重要な手段だとされた。したがって、人間を向上させるための手段は何かと問わ…

深謝 「幸福な人生について論ずる」とき

- 幸福な人生について論ずるときは、元老院の採択ででもあるかのように、「こちらの党のほうが多数と思う」などと、私に伝えるべきではない。多数であれば、かえって善くないからである。人生に関する事柄は、多数の者に人気のあるほうが善いというふうには…