2013-10-01から1ヶ月間の記事一覧

日記:ほんと、「おれのことば」なんてないですよ。

慶應義塾大学出版会より『井筒俊彦全集』刊行が始まったので、すこしだけ書いておきます。慶應義塾大学出版会 | 神秘哲学 一九四九年 ― 一九五一年 | 井筒俊彦 木下雄介「『神秘哲学』初版と人文書院版、著作集版の間の重要な校異を収録」。井筒さんの神秘と…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『ケアとは何だろうか 領域の壁を越えて』=広井良典・編著」、『毎日新聞』2013年10月20日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『ケアとは何だろうか 領域の壁を越えて』=広井良典・編著 毎日新聞 2013年10月20日 東京朝刊 (ミネルヴァ書房・3675円) 「講座ケア 新たな人間−社会像に向けて」と題する4巻シリーズの第1巻。ケアは今や日本語として定着した言…

覚え書:「RePUBLIC 公共空間のリノベーション  [著]馬場正尊+OpenA」、『朝日新聞』2013年10月13日(日)付。

- RePUBLIC 公共空間のリノベーション [著]馬場正尊+OpenA [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]社会 街中の公園でアートイベントをしようとしても制約だらけ。建築家の著者は、公共空間を管理する側ではなく、使う側の論理で運営することを訴え、…

書評:中見真理『柳宗悦 「複合の美」の思想』岩波新書、2013年。

中見真理『柳宗悦 「複合の美」の思想』岩波新書、読了。民藝運動の先駆者は、アイヌや沖縄といった帝国の辺境になぜ目を向けるのか−−。その謎を解くカギが「複合の美」。相互尊敬に基づく「複合の美」とは文化的多元性の尊重する態度である。柳の場合、それ…

覚え書:「女たちのサバイバル作戦 [著]上野千鶴子」、『朝日新聞』2013年10月13日(日)付。

- 女たちのサバイバル作戦 [著]上野千鶴子 [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]社会 ネオリベ(新自由主義)とナショナリズムは仲良しだが、意外なことに「男女共同参画」政策とも親和性が高い。なぜなら女性にも労働市場に参入してほしいから。ただし働くなら…

覚え書:「アメリカはアートをどのように支援してきたか [著]タイラー・コーエン [評者]渡辺靖」、『朝日新聞』2013年10月13日(日)付。

- アメリカはアートをどのように支援してきたか [著]タイラー・コーエン [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■間接助成で芸術活動支える 芸術支援のために庶民の税金は投じられるべきか。右…

覚え書:「みんなの広場 ヘイトスピーチへの判決 支持」、『毎日新聞』2013年10月16日(水)付。

- みんなの広場 ヘイトスピーチへの判決 支持 大学生 23(埼玉県草加市)京都の朝鮮学校近くでヘイトスピーチを繰り返した団体に対し、京都地裁が街頭宣伝などを人種差別と認定し、約1200万円の損害賠償などを命じた判決を強く支持する。ヘイトスピーチ…

覚え書:「太平洋戦争下 その時ラジオは [著]竹山昭子/大本営発表のマイク [著]近藤富枝 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年10月13日(日)付。

- 太平洋戦争下 その時ラジオは [著]竹山昭子/大本営発表のマイク [著]近藤富枝 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]歴史■「報道」から「報導」への傾斜 東京放送局(JOAK)が、テスト放送を開始したのは、1925…

覚え書:「翻訳がつくる日本語―ヒロインは「女ことば」を話し続ける [著]中村桃子 [評者]三浦しをん」、『朝日新聞』2013年10月13日 (日)付。

- 翻訳がつくる日本語―ヒロインは「女ことば」を話し続ける [著]中村桃子 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]文芸 ■なぜ性別が強調されるのか 現代日本で暮らしていて、「私は賛成ですわ」「俺はかまわないぜ」といった言葉づかいをす…

書評:新海均『カッパ・ブックスの時代』河出ブックス、2013年、+α

新海均『カッパ・ブックスの時代』河出ブックス、読了。本書は高度経済成長期、数々のベストセラーを送り出したカッパシリーズの歩みとその内実を、シリーズ終焉に立ち会った元編集者が振り返る。新書のはしりは岩波。アンチ教養主義を掲げ大衆実学主義が受…

覚え書:「沖縄の自立と日本―「復帰」40年の問いかけ [著]大田昌秀、新川明、稲嶺惠一、新崎盛暉/夕凪の島―八重山歴史文化誌 [著]大田静男 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年10月13日(日)付。

- 沖縄の自立と日本―「復帰」40年の問いかけ [著]大田昌秀、新川明、稲嶺惠一、新崎盛暉/夕凪の島―八重山歴史文化誌 [著]大田静男 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]歴史 ■沖縄の側から日本を語る 『沖縄の自…

覚え書:「サリンジャー―生涯91年の真実 [著]ケネス・スラウェンスキー [評者]いとうせいこう」、『朝日新聞』2013年10月13日(日)付。

- サリンジャー―生涯91年の真実 [著]ケネス・スラウェンスキー [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター) [掲載]2013年10月13日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■禁欲的な隠遁者、執筆と祈りの日々 J・D・サリンジャー。『キャッチャー・イン・ザ・…

覚え書:「みんなの広場 ビッグイシューは知識の宝庫」、『毎日新聞』2013年10月14日(月)付。

- みんなの広場 ビッグイシューは知識の宝庫 無職 82(横浜市西区) 9月29日本紙の「ビッグイシュー10周年」の記事を興味深く読みました。私は、数年前から、ビッグイシューの愛読者です。最初、「何の本だろう」と、興味半分に求めた雑誌が、独自の編集…

覚え書:「書評:かくて老兵は消えてゆく 佐藤 愛子 著」、『東京新聞』2013年10月13日(日)付。

- かくて老兵は消えてゆく 佐藤 愛子 著 2013年10月13日 ◆冷徹に退き際見つめ [評者]岸本葉子=エッセイスト エッセイはリズムである。かったるい調子だと、読み通してもらえない。本書は小気味よいテンポでもって、一編一編最後まで読者を引っ張っていく…

覚え書:「書評:パウル・ツェラン 飯吉 光夫 著」、『東京新聞』2013年10月13日(日)付。

- パウル・ツェラン 飯吉 光夫 著 2013年10月13日 ◆ユダヤ詩人の魂読む [評者]守中高明=詩人・早稲田大教授 戦後ドイツ語圏における至高の詩人パウル・ツェラン−その作品を半世紀にわたって傑出した翻訳を通して紹介し続けてきた第一人者による全論考をま…

日記:ナショナリズムに勝てるのは反ナショナリズムではなくて、べつのかたちのナショナリズムだが、これにも当然、限界がある訳でして・・・

横浜旅行への渦中、ちょうど、藤井聡『新幹線とナショナリズム』(朝日新書)を読んだのだけど、ていよく裏切られた。世界に冠たる日本復活のために新幹線はナショナリズムで作られたけれども、その心象と政治思想史を腑分けするのかと思いきや、豊かさと絆…

覚え書:「書評:どっこい大田の工匠たち 町工場の最前線 小関 智弘 著」、『東京新聞』2013年10月13日(日)付。

- どっこい大田の工匠たち 町工場の最前線 小関 智弘 著 2013年10月13日 ◆重い口が語る職人の技術 [評者]平川克美=文筆家 ものづくりの盛んな東京都大田区で、従業員三人以下の現場に光をあてる表彰制度がある。「大田の工匠100人」がそれだ。その審査…

覚え書:「書評:岩波茂雄 低く暮らし、高く想ふ 十重田 裕一 著」、『東京新聞』2013年10月13日(日)付。

- 岩波茂雄 低く暮らし、高く想ふ 十重田 裕一 著 2013年10月13日 ◆価値ある仕事のつくり方 [評者]森彰英=ジャーナリスト この本の目次の後に、旧東京市中心部の関係地図が挿入されているが、眺めていて岩波茂雄が一八九九(明治三十二)年に長野県から上…

日記:横浜ぶらり

義父母と横浜観光……といっても、はとバスのツアーですがw……しましたので、その記録を残しておきます。コースは、新宿・東京駅発〜1)港の見える公園 2)中華街 3)マリンタワー〜山下公園 4)水上バスにて赤煉瓦倉庫街 〜東京駅わりと強行軍でした。1…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『天皇制国家と「精神主義」』=近藤俊太郎・著」、『毎日新聞』2013年10月13日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『天皇制国家と「精神主義」』=近藤俊太郎・著 毎日新聞 2013年10月13日 東京朝刊 (法藏館・2940円) 1980年生まれの俊英による初の単著。浄土真宗で教学の近代化を達成した「精神主義」グループによる天皇制国家や侵略の肯定…

覚え書:「海外で建築を仕事にする―世界はチャンスで満たされている [編著]前田茂樹 [評者]隈研吾」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- 海外で建築を仕事にする―世界はチャンスで満たされている [編著]前田茂樹 [評者]隈研吾(建築家・東京大学教授) [掲載]2013年10月06日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 国際 ■ジリ貧日本から飛び出す若者 これは現在の「出稼ぎ物語」である。 かつて…

覚え書:「みんなの広場 理屈いらない、戦争はごめんだ」、『毎日新聞』2013年10月07日(月)付。

- みんなの広場 理屈いらない、戦争はごめんだ 主婦 89(福岡県築上町) なぜ戦争はなくならないのか。それは人間の限りない欲望のせいか、それとも人間の生き方、文化のらん熟のせいだろうか。戦争は勝っても負けても大きな損失である。たとえ勝っても次ぎ…

覚え書:「クロスロード・オキナワ [著]鎌倉英也、宮本康宏」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- クロスロード・オキナワ [著]鎌倉英也、宮本康宏 [掲載]2013年10月06日 [ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 NHKディレクターが取材をもとに、日本と世界の十字路としての沖縄を描いた。 日本が世界史の荒波にもまれる時、その交点にある沖縄は、本…

覚え書:「ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護 [著]池上正樹」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- ダメダメな人生を変えたいM君と生活保護 [著]池上正樹 [掲載]2013年10月06日 [ジャンル]人文 新書 フリーライターの著者とMさんとの出会いは3年前。著者が「ひきこもりの高年齢化」について本を書いたことを新聞で知り、Mさんが「自立のためのアドバイ…

覚え書:「みんなの広場 若い人よ、歴史をよく学んで」、『毎日新聞』2013年10月07日(月)付。

- みんなの広場 若い人よ、歴史をよく学んで 無職 82(兵庫県尼崎市) 本欄で以前、太平洋戦争の戦時ポスターを授業で見た高校生の感想が掲載され、私も当時を振り返りました。 一億一心、ぜいたくは敵だ、欲しがりません勝つまでは−−。授業はほとんどなく運…

覚え書:「日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む [編著]鈴木琢磨 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- 日本国憲法の初心 山本有三の「竹」を読む [編著]鈴木琢磨 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年10月06日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■今こそ思い起こせと誘う 本書一読後の結論は、今こそ私たちは、「山本有三」を思い起こせとの誘…

覚え書:「ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」―宗教対立の潮目を変えた大航海 [著]ナイジェル・クリフ [評者]水野和夫」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- ヴァスコ・ダ・ガマの「聖戦」―宗教対立の潮目を変えた大航海 [著]ナイジェル・クリフ [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年10月06日 [ジャンル]歴史 ■今とつながる15世紀末の大変化 一般的には、文字を通してよりも映像のほうが迫力ある…

書評:姜尚中『愛国の作法』朝日新書、2006年。

姜尚中『愛国の作法』朝日新書、読了。愛国心とは字の如く“国を愛する心”のこと。しかし私たちは「愛する」こととは何か? 「国」とは何か? 本当に理解しているのだろうか。本書はフロムから丸山眞男、橋川文三に至るまで−−を取りあげ、しばしば自明に思え…

覚え書:「猿まわし 被差別の民俗学 [著]筒井功 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- 猿まわし 被差別の民俗学 [著]筒井功 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年10月06日■あがめられ差別された祈る人々 人と猿の関係を解く書物は今までにもあった。猿とは何かを民俗学的に解説する書物も存在する。むろん、芸能民として…

覚え書:「「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい―正義という共同幻想がもたらす本当の危機 [著]森達也 [評者]佐々木敦」、『朝日新聞』2013年10月06日(日)付。

- 「自分の子どもが殺されても同じことが言えるのか」と叫ぶ人に訊きたい―正義という共同幻想がもたらす本当の危機 [著]森達也 [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2013年10月06日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■当事者の代弁に隠れている欺…