2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「そうあるべきであるのに」というこの要望のみが、現状のままというあの他の要望を呼び起こした

- 三三二(671) あるべき人間、これは「あるべき樹木」ということと同じく、私たちの耳にはいとわしく響く。 三三三(865) 倫理学、すなわち「願望の哲学」。−−「異なったものであるべきであるのに」、「異なったものとなるべきであるのに」、それゆえ不満…

トインビー『交遊録』(オックスフォード大学出版局、1968年) 人間であるということをどのように学ぶのか

- 私の経験では、伝統的な偏見を徐々になくしてゆくのは、個人的なつきあいであった。どんな宗教、国籍、あるいは人種の人とでも、その人と個人的に付き合えば、かならずその人が自分と同じ人間であることがわかる。 −−トインビー(長谷川松治訳)『交遊録』…

トインビー「一歴史家の宗教観」 宗教間対話基礎論 

- 今日われわれをとりまいている世界においては、異なった現存宗教の帰依者は相手の宗教的遺産を容認し、尊重し、敬意を表するだけの用意を、従来にもましてもたねばならない。 −−トインビー(深瀬基寛訳)「一歴史家の宗教観」、『トインビー著作集4』社会…

現代神学(アメリカ)の関係図式 その1

(大島かおり訳)『世俗都市の宗教 −−ポストモダン神学へ向かって』(新教出版社、1986)の著者としてして知られるハーバードの神学者ハービー・コックス(Harvey Gallagher Cox, Jr. ,1929−)の学問の師匠がつぎのふたり。ジェームズ・L・アダムズ(James …

「完全に自由な社会と、完全に不自由な社会は、実は同等の概念なのだ」!

- 最後は権力である。権力は自由社会と共存できるものなのだろうか。人間解放の非常に古典的な考え方によると、解放と権力は対立概念である。その考え方では、矛盾のない自由社会というものは権力関係が廃止された社会ということになるのだろう。そういう状…

ルース・ベネディクト『人種主義 その批判的考察』の価値 人種主義−−現代社会における「主義」(ism) その2

- ベネディクトの研究が生き残った理由は、Race:Science and Politicsのなかでは次のような形で発見できる。つまり噂・ステレオタイプ・偏見をそのまま受け入れず、偏見などのルーツは何で、何を反映しているのか、そしてそれを現実と比較して何がわかるのか…

ルース・ベネディクト『人種主義 その批判的考察』の価値 人種主義−−現代社会における「主義」(ism) その1

- 本書はRuth Benedict,Race:Science and Politics (The Viking Press,New York,1959) の翻訳である。 近年、“人種”概念の再検討が盛んであるが、一方には、J・P・ラシュトンの『人種 進化 行動』(蔵琢也訳、博品社、一九九六年)のように遺伝的人種差を…

「ルサンチマンによって明晰な意識からしめ出された憎悪が、ルサンチマンを抱く人を麻痺させる」のは嫌ですから・・・

- 復讐心・憎悪・妬みなどは、それがうまく発散されなかったり表現されなかったりする場合にのみ、またそれらが無力感という抑制力に直面する場合にのみ、またそれらが無力感という抑制力に直面する場合にのみ、ルサンチマンを生み出す。このルサンチマンに…

「宗教社会学は、どの分野の社会学でもそうであるように、科学であろうとしている」 B・ウィルソン 宗教社会学 

- 宗教社会学は、どの分野の社会学でもそうであるように、科学であろうとしている。この点に関して、宗教社会学はいったい何を探求しようとしているのか、そして宗教社会学で探求可能なことがらの背後には何があるのか、ということを認識することが重要にな…

【覚え書】【研究ノート】アマルティア・セン 国籍と市民権 アイデンティティ

- 現代における国籍と市民権の重要性を否定することはできないが、われわれは次のようにも問うてみなければならない。国境を越えたひとびとのあいだの関係をどのように理解すればいいのだろうか、と。こうした人々のアイデンティティにはとりわけ民族や政治…

【覚え書】【研究ノート】ジジェク『ルソー、ジャン=ジャックを裁く−−対話』 情念 幸福 自己愛 利己愛

- 素朴な情念はすべて直接にわれわれの幸福をめざしているので、それに関係のある目標しかわれわれをかかわらせず、自己愛のみを原理としているので、本質的にまったく優しく穏やかなものなのです。しかし障害によって目標からそらされると素朴な情念は到達…