覚え書:「社説 憲法70年 筋道立たない首相発言」、『朝日新聞』2017年12月21日(木)付。

- 社説 憲法70年 筋道立たない首相発言 2017年12月21日 自民党の憲法改正推進本部が、衆院選で公約に掲げた改憲4項目に関する「論点取りまとめ」を公表した。 焦点の9条については、1項と2項を維持して自衛隊を明記する安倍首相の案と、戦力不保持をう…

覚え書:「耕論 明治維新150年 三谷博さん、色川大吉さん」、『朝日新聞』2017年12月20日(水)付。

- 耕論 明治維新150年 三谷博さん、色川大吉さん 2017年12月20日 写真・図版 イラスト・田中和 来年は明治元年から数えて150年。政府は施策を数々用意し、「明治の精神に学び、更に飛躍する国へ」とうたう。NHK大河ドラマの主役は西郷隆盛だ。だが…

書評:ジーン・シャープ(瀧口範子訳)『独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書』(ちくま学芸文庫)。

ジーン・シャープ(瀧口範子訳)『独裁体制から民主主義へ 権力に対抗するための教科書』(ちくま学芸文庫)紐解く。なぜ非暴力不服従が有効なのか? 答えは簡単だ。独裁者は統治する民衆の支えを必要とするからだ。歴史的変革を事例に198の方法を提案す…

覚え書:「折々のことば:969 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月22日(金)付。

- 折々のことば:969 鷲田清一 2017年12月22日 内と外との区別は、自と他との区別が入りこんでくるところでのみ可能になる (ガブリエル・マルセル) ◇ 白い球面に○を書く。円周のいずれの側を内とし外とするかは、それだけでは決定不能である。円周のい…

覚え書:「安保考 日米同盟の現在地 奥谷禮子さん、杉本正彦さん、佐藤丙午さん」、『朝日新聞』2017年12月19日(火)付。

- 安保考 日米同盟の現在地 奥谷禮子さん、杉本正彦さん、佐藤丙午さん 2017年12月19日写真・図版 イラスト・大屋信徹 北朝鮮危機が高まった今年、日本の安全保障のあり方が何度も問われた。トランプ氏は、米国の武器を大量購入すればよい、とあからさまにい…

覚え書:「記者有論 戦争と人間 リアリズム、歴史から学べ 三浦俊章」、『朝日新聞』2017年12月19日(火)付。

- 記者有論 戦争と人間 リアリズム、歴史から学べ 三浦俊章 2017年12月19日 都内の大学で、20世紀の戦争とジャーナリズムについての講義を始めて3年になる。第1次世界大戦から、今世紀初頭のイラク戦争までを扱う。なぜ戦争が起きたのか、メディアはどう…

日記:ムーミンの作者トーベ・ヤンソンの初期短編集『旅のスケッチ』(筑摩書房)

- カプリとアナカプリから半々の地点で、ふたりは出逢った。彼女はしばしば呆然と辻馬車に坐っていたが、つぎの瞬間、走りでて、彼の腕に飛びこみ、幸福にうち震えながら声をあげて泣いた。説明も質問も必要なかった。 ただ、グレンロス氏は「どう?」といっ…

覚え書:「折々のことば:967 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月20日(水)付。

- 折々のことば:967 鷲田清一 2017年12月20日 人生は、手遅れのくり返しです。 (ある僧侶) ◇ あの時はわからなかったけど今だったらわかるということが、人生にはよくある。自分のしたことが、他人に思いも寄らぬ仕方で受けとめられ戸惑う。他人の人生…

覚え書:「世界発2017 沖縄、特攻、伝え続ける 沈没の米艦エモンズ、戦友会」、『朝日新聞』2017年12月18日(月)付。

- 世界発2017 沖縄、特攻、伝え続ける 沈没の米艦エモンズ、戦友会 2017年12月18日 写真・図版 戦友会に参加したエモンズの4人の元乗組員たち=バファロー、宮地ゆう撮影 太平洋戦争で日本の特攻機の攻撃を受けた後、沖縄の海に沈んだ米海軍の掃海艇エ…

覚え書:「文化の扉 ジャポニスムの魅惑 「素朴で謎めいた国」ゴッホら刺激」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 文化の扉 ジャポニスムの魅惑 「素朴で謎めいた国」ゴッホら刺激 2017年12月17日 写真・図版 JAPONISME(ジャポニスム)<グラフィック・高山裕也>写真・図版 日本のアニメやマンガは海外で人気だ。だが昔を振り返ると、19世紀半ば〜20世紀…

日記:文明の歴史は犠牲の内面化の歴史である

- 人間が自分自身を自然としてもはや意識しなくなる瞬間に、人間がそのために生きて行くすべての目的、社会の進歩、あらゆる物質的・精神的力の向上、さらには意識そのものさえ、すべては価値を失ってしまう。そして、手段を目的化して王座に即(つ)かせる…

覚え書:「折々のことば:966 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月19日(火)付。

- 折々のことば:966 鷲田清一 2017年12月19日 人間は動物に戸籍をもちながら、できるだけ動物から逃走し、動物性を拒否し、動物であろうとしない、奇妙な逆説的動物だった (山内昶〈ひさし〉) ◇ ヒトは、食物を摂取し、排泄(はいせつ)するという代謝…

覚え書:「日曜に想う トンネルを抜けたその先には 編集委員・曽我豪」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 日曜に想う トンネルを抜けたその先には 編集委員・曽我豪 2017年12月17日 写真・図版 「ヒツジカゲ 羊影」 絵・皆川明 1989年1月8日午前0時。平成になった瞬間、関門海峡の下を通る列車内にいた。正確には通路を走っていた。 まだ20代で、北九州…

覚え書:「ザ・コラム 核戦争になる前に 被爆校舎で首脳会談を 駒野剛」、『朝日新聞』2017年12月14日(木)付。

- ザ・コラム 核戦争になる前に 被爆校舎で首脳会談を 駒野剛 2017年12月14日 極東は朝鮮戦争以来の危機にある。 北朝鮮が核実験を繰り返し、11月29日にも核兵器を運搬する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射テストを行った。 米国は原子力空母3隻を…

日記:浮くものが好き=谷川俊太郎

- ふんわり浮くもの谷川 ラジオは、だいぶあとですね。戦争ですったもんだで……。なんだろうねえ。やっぱり、小学生のころは、模型飛行機でしょうね(引用者注…好奇心の対象について)。 工藤 その話、ちゃんと聞いたことがない。なぜ好きになったのですか? …

覚え書:「折々のことば:965 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月18日(月)付。

- 折々のことば:965 鷲田清一 2017年12月18日 昭和十年代の軍事指導者らは自分に都合の悪いことが生じたとき、箝口令(かんこうれい)と戦死の二大命令を兵士たちに強要するのが特徴であった。 (保阪正康) ◇ 事件が起こるや直ちに箝口令を敷き、関係す…

覚え書:「社説 南京事件80年 冷徹な直視の姿勢こそ」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 社説 南京事件80年 冷徹な直視の姿勢こそ 2017年12月17日 南京事件は、日中戦争の初期におきた。1937年12月13日に南京を陥落させた日本軍が、捕虜や一般市民を数多く殺害した。 それから80年。この事件は今も日中間の火だねとなる歴史認識問題…

覚え書:「社説 政治と女性 目標値を検討する時だ」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 社説 政治と女性 目標値を検討する時だ 2017年12月17日 もはや「自然増」を漫然と待つべき状況ではない。政治の世界に女性が少なすぎる。 10月の衆院選で、女性候補者は全体の17・7%だった。それでも過去最高だったというが、5人に1人にも満たない…

日記:ロックのフィルマー批判

ジョン・ロック(加藤節訳)『完訳 統治二論』(岩波文庫)。膨大な第一部はフィルマーの王権神授説批判。「いかなる人間も自由に生まれついていない」というフィルマーの神学は、人間の自由や幸福の追求を保証する神への冒涜に他ならない。近代民主主義基礎…

覚え書:「折々のことば:964 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月17日(日)付。

- 折々のことば:964 鷲田清一 2017年12月17日 大学って、早く出たいけどずっといたい不思議なところですね。 (谷口キヨコ) ◇ 哲学を学ぼうと大学院に入学した関西の人気ラジオパーソナリティーは、4年かけて修士論文を書き上げた後、私にこう言った。…

覚え書:「社説 BPO意見書 放送の倫理が問われた」、『朝日新聞』2017年12月16日(土)付。

- 社説 BPO意見書 放送の倫理が問われた 2017年12月16日 何でもあり、の情報たれ流しがまかり通ってはならない。一テレビ局の問題にとどめず、放送界全体が改めて足元を見つめ直す機会とするべきだ。 東京メトロポリタンテレビジョン(MXテレビ)が1月…

覚え書:「社説 生活保護費 引き下げ方針、再考を」、『朝日新聞』2017年12月16日(土)付。

- 社説 生活保護費 引き下げ方針、再考を 2017年12月16日 厚生労働省が生活保護費の引き下げを検討している。一般の低所得世帯の生活費と比べて、都市部などで保護世帯の受給額の方が多いという検証結果が出たためだ。子どものいる世帯や高齢者世帯が影響を…

日記:物事をより多面的・長期的に理解するための弁証法

- 少し大げさな言い方になりますが、西欧では古代ギリシア以来、二つの対立する立場に分かれて問答しながら、お互いに相手の議論の曖昧なところ、捻れているところを指摘し、批判し合うことで、双方がそれぞれの考えを修正し、単なる思い込み(doxa:ドクサ…

覚え書:「折々のことば:961 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月14日(木)付。

- 折々のことば:961 鷲田清一 2017年12月14日 大人者、不失其赤子之心者也 (孟子) ◇ 「大人(たいじん)とは、その赤子(せきし)の心を失わざる者(ひと)なり」。意味の枠組みにとらわれないで、ものをまっすぐ見つめる。変化の兆しに敏感でいる。余…

覚え書:「社説 巡航ミサイル 専守防衛の枠を超える」、『朝日新聞』2017年12月13日(水)付。

- 社説 巡航ミサイル 専守防衛の枠を超える 2017年12月13日 防衛省が長距離巡航ミサイルの導入を決めた。来年度当初予算案に関連経費約22億円を追加要求する。 日本はこれまで専守防衛のもと、自衛隊のミサイルの長射程化を控えてきた。財政的な制約や、不…

覚え書:「ニッポンの宿題 なり手不足の地方議会 中村健さん、戸田靖子さん」、『朝日新聞』2017年12月13日(水)付。

- ニッポンの宿題 なり手不足の地方議会 中村健さん、戸田靖子さん 2017年12月13日写真・図版 町村議会の現状<グラフィック・前川明子> 地方自治体では議員のなり手不足が問題になっています。議論が低調で執行部に対するチェック機能も十分に果たせない議…

日記:目先の権力闘争に明け暮れ将来に禍根を残すな

ハーバー・ビジネス・オンライン編(上西充子、田中信一郎解説)『枝野幸男、魂の3時間大演説 「安倍政権が不信任に足る7つの理由」』(扶桑社)到着。「枝野幸男の演説は…あるべき民主主義とは何か、あるべき国会審議とは何かを、教えてくれる」=上西充…

覚え書:「折々のことば:960 鷲田清一」、『朝日新聞』2017年12月13日(水)付。

- 折々のことば:960 鷲田清一 2017年12月13日 食べ物をいくら残しても叱られない時代はきたが、それは同時に胃袋でない形の新しい飢えの始まりでもあった。 (たかとう匡子〈まさこ〉) ◇ ひもじさには二つの形がある。一つは窮乏の生活からくる空腹であ…

覚え書:「耕論 若者の恋愛ばなれ? 牛窪恵さん、トミヤマユキコさん、山田舜也さん」、『朝日新聞』2017年12月12日(火)付。

- 耕論 若者の恋愛ばなれ? 牛窪恵さん、トミヤマユキコさん、山田舜也さん 2017年12月12日写真・図版 20、30代の恋人がいない未婚者への内閣府調査<グラフィック・荻野史杜>写真・図版 写真・図版 写真・図版 街角にクリスマスソングが流れる季節。か…

覚え書:「「すぐれた物語」気づいた夜 カズオ・イシグロさん、ノーベル賞記念講演」、『朝日新聞』2017年12月12日(火)付。

- 「すぐれた物語」気づいた夜 カズオ・イシグロさん、ノーベル賞記念講演 2017年12月12日写真・図版 スウェーデン・アカデミーで7日、記念講演するカズオ・イシグロさん=ロイター 10日にノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロさんは、式典に先立ち…