言語

書評:今野真二『日本語の考古学』岩波新書、2014年。

今野真二『日本語の考古学』岩波新書、読了。印刷書物や電子データになじむと、「源氏物語の作者は?」と問われれば「紫式部」という常識に拘束される。しかし、写し手や時代が変わればがわりと変わるから、考古学的にアプローチする他ない。僅かな痕跡から…

書評:小森陽一『レイシズム』岩波書店、2006年。

小森陽一『レイシズム』岩波書店、読了。21世紀に入ってより強化されているレイシズム(人種差別主義)。本書は現代におけるレイシズムを自他の「差異」「優劣」をねつ造するメカニズムと捉え、差別意識の発生に言語システムが深く関わっていることを明ら…

覚え書:「書評:池田晶子 不滅の哲学 若松英輔著」、『聖教新聞』2014年01月08日(水)付。

- 池田晶子 不滅の哲学 若松英輔著「言葉」は自身を絶望から救う 「苦難や危機に際して人が本当に必要とするものは、必ず言葉であって、金や物ではあり得ない」(池田晶子)。著者は、池田晶子が残した言葉を手掛かりに「言葉」と哲学とを考えていく。 「言…

覚え書:「みんなの広場 『核発電』と呼び変えよう」、『毎日新聞』2013年04月13日(日)付。

- みんなの広場 「核発電」と呼び変えよう 中学校教員 59(大阪府茨木市) 物の名前は、その性質や本性が明確になるものがいい。「原子力発電」という名称も、その性質がより分かる「核発電」とすべきではないだろうか。 原発も核兵器も核物質、核分裂を利…

覚え書:「手話からみた言語の起源 [著]高田英一 [評者]いとうせいこう」、『朝日新聞』2013年03月24日(日)付。

- 手話からみた言語の起源 [著]高田英一 [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター) [掲載]2013年03月24日 [ジャンル]医学・福祉■言語は身振りから始まった? 手話を使う人が身振りと一緒に音声でしゃべることがある。二つの言語の同時使用を「シムコム」と…

覚え書:「書評:『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』 ガイ・ドイッチャー著」、『読売新聞』2012年12月16日(日)付。

- 書評:『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』 ガイ・ドイッチャー著評・池谷裕二(脳研究者・東京大准教授) 心を表す言語の妙味 良質な本だ。言語学者である著者が、新旧数多の文献を引用しながら、私たちの母語がどう「心」に輪郭を彫り込むかを解説…

夫婦間であれ親子間であれ、「無駄話」や「お喋り」をかわしあえる関係こそが、最も深く安定する

- 僕がギャル語に注目するのは、まさにこうした機能に特化して進化してきた言語であるという点だ。それは「会話のための会話」、いわば「純粋言語」の作法として、特異な発展を遂げつつある。ちなみに僕は、こうした会話を「毛づくろい的会話」と呼んでいる…

覚え書:「今週の本棚:堀江敏幸・評 『色へのことばをのこしたい』=伊原昭・著」、『毎日新聞』2012年07月01日(日)付。

- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『色へのことばをのこしたい』=伊原昭・著 (笠間書院・2310円) ◇古典文学をときほぐす「色」への尽きぬ想い 先日、三十六年ぶりにトキが野生で孵化(ふか)し、無事に巣立った。これは絶滅危惧種を救うと同時に、朱鷺(と…

文は文字ではない、思想である。そうして思想は血である、生命である

- 純潔なる思想は書を読んだのみで得られるものではない。心に多くの辛い実験を経て、すべての乞食根性を去って、多く祈って、多く戦って、しかる後に神より与えられるものである。これを天才の出産物と見做すのは大なる誤謬である。天才は名文を作る、しか…

愛も手で触ることはできません。だけど、愛が注がれる時のやさしさを感じることはできます。愛があるから、喜びが沸いてくるし、遊びたい気持ちも起きるのよ。

- はじめて「愛」の意味について訊(き)いた朝のことを覚えている。まだ、語彙が少ない時だった。庭で早咲きのスミレを数本摘み、サリバン先生のところへ持っていった。先生は私に感謝のキスをしようとした。しかし、当時は母以外の人からキスされるのは嫌…