2011-11-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚・新刊:『石巻赤十字病院の100日間』」、『毎日新聞』2011年11月13日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『石巻赤十字病院の100日間』 ◇石巻赤十字病院+由井りょう子著 (小学館・1575円) 東日本大震災発生の4分後に災害対策本部を立ち上げ、1時間後に救急患者の受け入れ態勢を完了させた石巻赤十字病院。当初、思ったほど救急搬…

覚え書:今週の本棚:白石隆・評 『幻想の平和』=クリストファー・レイン著」、『毎日新聞』2011年11月13日(日)付。

- 今週の本棚:白石隆・評 『幻想の平和』=クリストファー・レイン著 五月書房・3990円 ◇アメリカ、覇権追求の論理を検証する アメリカは、第二次大戦後、西半球を超えて、西欧、東アジア、ペルシャ湾地域で覇権(ヘゲモニー)を確立、維持することを大…

未来への希望に基づいて科学を方向づけていくことである。未来が見えなくなった地球の将来に対して、未来への道筋をつけて、人々に希望を与えること

- いま政府は温暖化対策として、二〇一〇年までに後二〇基の原発を! などと、未だに言い続けている。原発の大増設は、現実には不可能だし、温暖化対策としても本来有効でないことは、政府官僚も各種審議会の委員も分かっているのに。そういう場で「右肩上が…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 尊厳損なう『雑居特養』 大熊由紀子」、『毎日新聞』2011年11月11日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 尊厳損なう『雑居特養』 大熊由紀子 国際医療福祉大大学院教授地方分権でサービス低下 「地方分権とは、国のナショナルミニマム(国民生活の最低基準)を上回る『シビルミニマム』(市民生活水準)を自治体が実現することにあ…

自分の身の行く末のみ考えて、如何したらば立身が出来るだろうか……というようなことばかりに心を引かれて、齷齪勉強するということでは、決して真の勉強は出来ないだろうと思う

- 兎に角に当時緒方の書生は、十中の七、八、目的なしに苦学した者であるが、その目的のなかったのが却って仕合で、江戸の書生よりも能く勉強が出来たのであろう。ソレカラ考えてみると、今日の書生にしても余り学問を勉強すると同時に終始我身の行く先ばか…

覚え書:「記者の目:「アジア一体化」掲げる釜山映画祭=勝田友巳」、『毎日新聞』2011年11月11日(金)付。

- 記者の目:「アジア一体化」掲げる釜山映画祭=勝田友巳 韓国・釜山国際映画祭を、10月に取材した。05年に初めて訪ねてから4回目だ。「アジアのハブ(拠点)」を自任する釜山は、「映画によるアジア一体化」という大構想を掲げている。大言壮語と思っ…

「エンジンのことをよく知っている者が、それだからといって、或る人の境遇をよりよく理解するのに向いていることにはならないだろう」って話しなんだが……

- 異なったもの−−学問 或る下士官が、配下の不器用なことでは折紙つきの徴兵猶予学生を前にして、その驚きを次のように表現した、「これほど知性があって、しかもこれほど間抜けな奴がいるものかね」と。この言葉は実践的知性と理論的知性との混同、ならびに…

覚え書:「語る:加藤陽子さん 『昭和天皇と戦争の世紀』を刊行」、『毎日新聞』2011年11月10日(木)付。

- 語る:加藤陽子さん 『昭和天皇と戦争の世紀』を刊行 ◇不本意だった開戦…心情探る 昭和天皇をテーマにした書籍が、相次いで刊行されている。戦後生まれ、気鋭の研究者による力作ぞろいだ。『昭和天皇と戦争の世紀』(講談社)を著し、謎の多いその人物像に…

「他人の目で[私たちの感情と信念を]観察する、あるいは他人からそれを眺めるであろう方法を心がける」必要

- 孤立した社会のなかでは、完全に「正常」で「良識ある」ものだと思われている習慣でも、幅広い根拠にもとづいて、あまり制約を受けないかたちで検証されると、生き残らないかもしれません。本能による偏狭な反応がひとたび批判的な精査に代わり、世界各地…

覚え書:「異論反論 ハシズムで誰が得する? 寄稿 雨宮処凛」、『毎日新聞』2011年11月9日(水)付。

- 異論反論 大阪府知事・市長のダブル選が話題です ハシズムで誰が得する? 寄稿 雨宮処凛 大阪のダブル選挙が世間を騒がしている。注目の的はやはり橋下徹前知事だ。 大阪都構想、教育基本条例、既得権益バッシング。橋下氏の主張は極めて明確だ。「諸悪の…

すべての人であってなんびとでもない抽象的な荒野であり真空帯

- 公衆は、ひとつの国民でも、ひとつの世代でも、ひとつの同時代でも、ひとつの共同体でも、ひとつの社会でも、この特定の人々でもない。これらはすべて、具体的なものであってこそ、その本来の姿で存在するのだからである。まったく、公衆に属する人はだれ…

覚え書:「『梵漢和対照・現代語訳 「維摩経」』岩波書店 植木雅俊訳 評・前田耕作」、『読売新聞』2011年11月6日(日)付。

- 『梵漢和対照・現代語訳 「維摩経」』岩波書店 植木雅俊訳 評・前田耕作(アジア文化史家・和光大名誉教授)「文殊との対論」輝き新た 奈良・法隆寺の美しい五重塔の初層内陣に須弥山を中心として東西南北四つの主題が塑造されていることは、訪れた人なら…

自由の人々のみが相互に最も多く感謝しあう。

- 定理七一 自由の人々のみが相互に最も多く感謝しあう。 証明 自由の人々のみが相互に最も有益であり、かつ最も固い友情の絆をもって相互に結合する(この部の定理三五およびその系一により)。そして同様な愛の欲求をもって相互に親切をそなうと努める(こ…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『仏教、本当の教え』=植木雅俊・著」、『毎日新聞』2011年11月6日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『仏教、本当の教え』=植木雅俊・著 中公新書・840円 ◇原始仏典の精読にもとづく宗教文化論 アメリカで信仰のことを聞かれたら、口が裂けても無宗教とはいえない。道徳心がないと見なされ、人格を疑われてしまうからだ。そんな場…

覚え書:「今週の本棚:村上陽一郎・評 『神と国家の政治哲学』=マーク・リラ著」、『毎日新聞』2011年11月6日(日)付。

- 今週の本棚:村上陽一郎・評 『神と国家の政治哲学』=マーク・リラ著 NTT出版・4410円 ◇「政教分離」への現代的考察に誘う書 二十一世紀日本に生きる私たちにとって、イスラム国家と言われる国々の、対外、対内政治において宗教の占める決定的な役…

イエスが社会の差別システムを否定したということは、それにまつわるユダヤ教の聖別システムとその根源にあるエルサレム神殿体制への批判を内包しているということである

- こうした使信(メッセージ)と熱狂的パトスを伴ったイエスの活動は、極めて大胆な言動を生み、社会観念の枷や桎梏を砕いて人に迫ったために、ガリラヤの民の大部分である貧民・没落階級の広範な支持を得た。それは、ヨハネを支持した人々と類似の社会層に…

覚え書:「近聞遠見:「たばこ発言」のその後=岩見隆夫」、『毎日新聞』2011年11月5日(土)付。

- 近聞遠見:「たばこ発言」のその後=岩見隆夫 たばこと政治家の話である。 最近の統計によると、喫煙人口は下降線をたどっているが、それでも、成人男子の3人に1人、男女合わせると4人に1人が吸っている。ざっと2200万人、小さい数字ではない。 一…

「本質」という虚構に頼って、それによって分節し出された存在者の世界は要するに虚構の世界、妄想に浮ぶ仮象にすぎない

- 「本質」ぬきの文節世界の成立を正当化するためにこそ、仏教は縁起を説くのだ。だが縁起の理論は、理論的にはいかに精緻を極めたものであっても、実践的にはなんとなくもの足りないところがなくはない。この現実の世界でわれわれが実際に交渉する事物には…

存在しないものも存在するかのように思い込みがち

- 人に差別があるかのように世間で言われているのは、人間が勝手に言葉で規定しただけであると、釈尊は『スッタニパータ』で次のように言っている。 身体を有する〔異なる生き〕ものの間ではそれぞれ区別があるが、人間〔同士〕の間ではこれ(区別)は存在し…

覚え書:「社説:読書週間 大震災後に思う本の力」、『毎日新聞』2011年11月4日(金)付。

- 社説:読書週間 大震災後に思う本の力 本の大切さを改めて考えるきっかけにしたい読書週間(11月9日まで)だが、大震災後の今年はいつも以上にその思いが強い。書物の力を求める人が多いのではないだろうか。 現在の読書週間は1947年にスタートした…

覚え書:「境界を生きる:性分化疾患・決断のとき 〜当事者、読者の声〜 男、女である前に人間」、『毎日新聞』2011年11月3日(木)付。

- 境界を生きる:性分化疾患・決断のとき 〜当事者、読者の声〜 男、女である前に人間 ◇理解得て結婚、自由に生きる 告白「死ぬまでしない」 染色体やホルモンの異常が原因で男女の区別が難しい病を取り上げた連載「境界を生きる〜性分化疾患・決断のとき」…

真の世界を除去することが、決定的に重要である。

- 真の世界を除去することが、決定的に重要である。真の世界があればこそ、私たち自身がそれである世界が大いに疑問視され、その価値を減ぜられる。すなわち、真の世界はこれまで私たちにとって生の最も危険な謀殺であったのである。 真の世界が虚構された基…

因果と目的のカテゴリーから人間を解き放す「文化の日」

- 日常の経験において、我々は、現象を因果または目的のカテゴリーによって結びつけている。事物の、理論的な理由に関心をもつか実際的な結果に関心をもつかによって、我々はそれらを原因と考えまたは手段と考える。こうして我々はもはや、面と向かって、そ…

覚え書:「これが言いたい:自治体の復興事業に民間のノウハウを生かせ=大西健丞」、『毎日新聞』2011年11月3日(木)付。

- これが言いたい:自治体の復興事業に民間のノウハウを生かせ=大西健丞 ◇「知の協業」へのシフト必要−−公益社団法人Civic Force代表理事・大西健丞 第3次補正予算案が臨時国会に提出され、大震災から8カ月近くを経てやっと復興に向けた動きが…

覚え書:「trend:中東 日本アニメ人気拡大」、『毎日新聞』2011年10月31日(月)付。

- trend:中東 日本アニメ人気拡大 <トレンド> 民主化騒乱に揺れる「アラブ最貧国」イエメンの首都サヌア。その一角で日本アニメのCDを販売する「アラブ・アニメーションズ」が営業している。オサマ・ハティーブ店長(31)によると、「ワンピース…

理想性、世界性、独創性が不足し、文学者にも職業倫理の欠如があったこと

- 「何故に大文学は出ざる乎」において、内村は、とくに近代の日本にその生じない理由として四つのことをあげている。その第一は、「文学とは高尚なる理想の産」であるのに日本に「大文学」の「プリンシプル」となるような理想のないことである。第二は、せ…

覚え書:「採用活動:『学生の質』巡り認識に隔たり 企業の4割超『低下』実感、大学側は反論」、『毎日新聞』2011年10月31日(月)付。

- 採用活動:「学生の質」巡り認識に隔たり 企業の4割超「低下」実感、大学側は反論 ◇会話能力の不足認める/トップクラスは「優秀」 4割を超える企業が「学生の質の低下」を実感−−。就職情報会社の調査で、こんなデータが公表された。より優秀な学生がほ…

出家することは、本来、世俗の名誉、名声、利益など一切をかなぐり捨てて、社会の最底辺に置かれた人たちと同じ立場に立つことであった……

- また、『サンユッタ・ニカーヤ』(内容別に分類された教えの集成)でも、次のように述べている。 多くの呪文をつぶやいても、生まれによってバラモンとなるのではない。〔バラモンといわれる人であっても、心の〕中は、汚物で汚染され欺瞞にとらわれている…