2011-01-01から1年間の記事一覧

人生の息づかい、人生の魂と丁寧に向き合うこと

- 人生の改造ですって! そんなことを平気で論議できるのはですね、なるほど経験だけはいろいろと積んできたかもしれないが、一度として人生のなんたるかを知ったことのない連中、人生の息づかい、人生の魂を感じたことのない連中だけですよ。そういう連中は…

覚え書:「記者の目:大震災「支援される気持ち」=前田洋平」、『毎日新聞』2011年12月2日(金)付。

- 記者の目:大震災「支援される気持ち」=前田洋平 ◇負い目感じる心情に配慮を 東日本大震災の発生直後、3カ月、半年と宮城県に出張して避難所や仮設住宅で被災者に取材し、「支援される側の気持ち」という問題に気づかされた。私が書いた記事を読んだ方た…

【ご案内】12/3−4:地方スクーリング,L1期 東京 『倫理学』

【ご案内】12/3−4:地方スクーリング,L1期 東京 『倫理学』 - 諸君は、形而上学に逃避してはならない。生成する文化に対して活動的に献身しべきである! それ故、私は、夢想的観念論に対しては厳しいのである。 −−ニーチェ(渡辺二郎訳)「哲学者の書」、…

覚え書:「大震災後の12・8 成田龍一」、『毎日新聞』2011年11月30日(水)付。

- 大震災後の12・8 成田龍一 いま「切れ目」の検証を 東日本大震災があった今年、70年目の12・8を迎える。70年前のこの日、いったい何があり、歴史的にどのような意味をもつのか。このことは、これまで繰り返し考えられてきた。「戦後」という時間は、この…

「喰わぬば餓死する恐あるから」食べるというのと、「物を喰うにさえ美味を楽むという望を以て」するの違い……

- 人間の行為の動機は二あり いったい自由というは決して自分勝手な事をする意味ではない。即ち放肆とは違う。ルソーの説はともすれば人間と動物との区別を忘れ勝ちであったと思われる。彼は動物社会には何の制限もなく、喰いたい時に喰い、眠くなれば寝る、…

覚え書:「太平洋戦争:日米開戦から70年 運命の12・8 作家らはどう記したか」、『毎日新聞』2011年11月30日(水)付。

- 太平洋戦争:日米開戦から70年 運命の12・8 作家らはどう記したか 70年前の1941年12月8日、日本海軍がハワイの真珠湾を攻撃し、太平洋戦争の火ぶたが切られた。その後の日本のありようを大きく変え、今日までさまざまな形で影響を与えている…

人が死んで喜ぶような人であってはならない。たとえ、それが人殺しであっても同じだと思う。

- みんなの広場 カダフィ大佐の死、喜ぶべきか 中学生 13 (東京都) 私は、テレビでリビアのカダフィ大佐が死んだことを知った。リビア国民の手によって殺されたそうだ。その時見た映像は彼がリビア国民に殴られ蹴られ、血だらけになった姿だった。私は彼の…

覚え書:「2011 東京フィルメックス (5)『無人地帯』藤原敏史監督インタビュー(齋藤敦子)、河北新報社 2011/11/29」

- 覚え書:「2011 東京フィルメックス (5)『無人地帯』藤原敏史監督インタビュー(齋藤敦子)、河北新報社 2011/11/29」―『無人地帯』は、単なる震災やフクシマの問題を越えた、人間とは何か、世界のあり方とは何かというところまで見通した映画でした。…

国家は生物の個体に比すべきもので、個々人は細胞のようなものだ、と考えている人もいるに違いない。しかし、これは明らかに間違いである。

- 国家は道具である、などと主張すると怒る人がいるかもしれない。日本が滅んだら、日本人の大部分は困るのだから、個々の日本人よりも、やっぱり日本という国家の方が大事だろう、と思っているのかもしれない。そう思っている人がいることは否定しない。こ…

買いかぶりおよび見くびりの感情は常に悪である

- 定理四八 買いかぶりおよび見くびりの感情は常に悪である。 証明 なぜならこれらの感情は(感情の定義二一および二二により)理性に矛盾する。したがって(この部の定理二六および二七により)それは悪である。Q・E・D・定理四九 買いかぶりは買いかぶ…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『「写真週報」に見る戦時下の日本』=保阪正康・監修、太平洋戦争研究会・著」、『毎日新聞』2011年11月27日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『「写真週報」に見る戦時下の日本』=保阪正康・監修、太平洋戦争研究会・著 世界文化社・2625円 ◇国民を誘導したプロパガンダの記録 昭和十三年(一九三八)二月、一つの雑誌が創刊された。大判で本文二四ページ、そのうちの…

「富の生産、流通、あるいは蓄積に参加できないということ」は果たして「怠惰」なのか?

- 一七世紀の半ばに、急激な変化が起こる。狂気の世界が排除の世界に一変するのである。 ヨーロッパ全土で大規模な収容施設が作られる。この施設は狂者を収容するだけでなく、少なくともわれわれからみて非常に多様な人間を収容するためのものであった−−貧し…

覚え書:「記者の目:北杜夫さんを育てた旧制高校=澤圭一郎(東京社会部)」、『毎日新聞』2011年11月25日(金)付。

- 記者の目:北杜夫さんを育てた旧制高校=澤圭一郎(東京社会部) ◇今こそ「教養教育」が必要だ 「学校の勉強以外で教師や友人と深く触れ合ったのが、旧制高校でしたね。私は松本高校(長野県松本市、現信州大)に入ったことが人生の転機になり財産になった…

覚え書:「論点 原発輸出」、『毎日新聞』2011年11月25日(金)付。

- 論点 原発輸出 10月の日本・ベトナム首脳会談でベトナムの原子力発電所建設を日本が受注することで合意しました。国内では脱原発依存を唱えながら輸出は認められるか。政府の原発輸出を論じます。十市勉 日本エネルギー経済研究所顧問 ◇アジアの発展取り込…

平等であるということは単なる比喩であって、人間の意思や人格を有効に測量し、計算しうるということを意味するものではない

- 平等であるということは単なる比喩であって、人間の意思や人格を有効に測量し、計算しうるということを意味するものではない。 −−ケルゼン(西島芳二訳)『デモクラシーの本質と価値』岩波文庫、1966年、39頁。 - 差別に対峙し、平等を保障していかなけれ…

覚え書:「ロールズ 政治哲学史講義1・2 [著]ジョン・ロールズ」、『朝日新聞』2011年11月20日(日)付。

- ロールズ 政治哲学史講義1・2 [著]ジョン・ロールズ [評者]姜尚中(東京大学教授) ■率直、簡潔に「正義」を読み解く 本書はロールズによるハーバード大学での講義録であるが、現代の古典(カノン)として名高い『正義論』の読解に不可欠なテキストであ…

覚え書:「ザ・特集:ギリシャ人、何思う 怠惰、浪費、脱税…欧州危機で非難の的」、『毎日新聞』2011年11月24日(木)付。

- ザ・特集:ギリシャ人、何思う 怠惰、浪費、脱税…欧州危機で非難の的 ♪ソ、ソ、ソクラテス−−じゃないけれど、悩めるギリシャが気にかかる。債務危機が続く欧州で、世界経済を危機のふちに追いやった張本人のように後ろ指をさされる昨今。西洋文明発祥の地…

「必要が人間に都市を造らせ、その連合体である社会を造らせ」た筈なんだけど( ;´Д`)

- 必要が人間に都市を造らせ、その連合体である社会を造らせました。こうして、団結の力によってお互いに野獣や群盗の被害を防ぐことができるようにしたのです。人間界では、一人の人間だけで事が足りるというものは何もありません。たとえば、人類は、もし…

覚え書:「私が愛した東京電力―福島第一原発の保守管理者として 著・蓮池透」、『朝日新聞』2011年11月20日(日)付。

- 私が愛した東京電力―福島第一原発の保守管理者として [著]蓮池透 [評者]上丸洋一(本社編集委員)■原発の「自滅」を在職中に確信 東日本大震災の発生以降、「東京電力」の名を見聞きしない日は一日もない。新聞もテレビもこの会社を主語とするニュースを連…

「ヒキガエルの目に映ずる通りに自然を書き出す技術」に過ぎませんが……紅葉。

- 写実主義 (realism n.) ヒキガエルの目に映ずる通りに自然を書き出す技術。モグラが描く風景ないし尺取虫の筆になる物語にみなぎる魅力。 ビアス(西川正身編訳)『悪魔の辞典』岩波文庫、1997年、181頁。 - ちょいと箸休め。月曜に大学へ出講した際、紅…

覚え書:「日本の若者は何を考えるのか 20代の若者は現在の生活に満足」、『毎日新聞』2011年11月21日(月)付。

- 日本の若者は何を考えるのか 20代の若者は現在の生活に満足 ◇格差や貧困に当事者意識ない ◇古市憲寿(ふるいち・のりとし=東京大学大学院総合文化研究科博士課程) 長らく日本の若者の政治離れが叫ばれてきた。「政治に興味がない」「投票に行かない」…

真直ぐな、開かれた、信頼に満ちた眼差し

- ところで、さらに明らかにしなくてはならないことは、彼らは果たしてどのような仕方で「形式的意味における世界観」に、すなわち世界を観入するその仕方に影響を及ぼしているのかということである。まずフッサールについて言わなくてはならないことは、彼…

覚え書:「オウム裁判:きょう終結 妻亡くなり事件は終わった−−松本サリン被害者の河野さん」、『毎日新聞』2011年11月21日(月)付。

- オウム裁判:きょう終結 妻亡くなり事件は終わった−−松本サリン被害者の河野さん オウム真理教による一連の事件は21日、教団元幹部の遠藤誠一被告(51)=1、2審死刑=に最高裁判決が言い渡され、上告が棄却されれば全公判は終結する。以前に遠藤被…

知性の一面的な訓練は、しばしば分業的な技術に導くこと、またかえりみられなかった非合理的な心の衝動にとつぜん反作用をおこさせるおそれがある

- 第三帝国に先立つ時代のこの観察者は、次のように語った。大学でりっぱな専門教育をうけてきた技術家、技師等々は、十年ないし十五年間は自己の職業にまったく献身的に専念し、脇目もふらずにひたすら有能な専門家になろうとする場合が、現在非常に多い。…

覚え書:「著者に会いたい 人権という幻 対話と尊厳の憲法学 遠藤比呂通さん」、『朝日新聞』2011年11月13日(日)付。

- 著者に会いたい 人権という幻 対話と尊厳の憲法学 遠藤比呂通さん 憲法を実践、釜ケ崎で生きる [文]樋口大二 1996年、36歳で東北大学法学部の助教授を辞め、その2年後に大阪・西成の労働者街「あいりん地区」(釜ケ崎)で弁護士事務所を開業した。 …

近代の文化と文明に浴している人間にとっての重大な問題は、精神生活における合理的なちからと非合理的な力のあいだの健全な、自然な、そして調和的な関係である

- 近代の文化と文明に浴している人間にとっての重大な問題は、精神生活における合理的なちからと非合理的な力のあいだの健全な、自然な、そして調和的な関係である。なぜなら、まさにこの近代の文化と文明こそ、それのもつ特性によって、この均衡を脅かして…

覚え書:「時代を駆ける:谷口ジロー」、『毎日新聞』1〜9

- 時代を駆ける:谷口ジロー/1 欧州へ日本の日常漫画 ◇JIRO TANIGUCHI 普通の日本人の日常を描く、一見目立たない日本人漫画家が、その精密な絵とストーリーの独創性から欧州で人気を集めている。谷口ジローさん。64歳。古里鳥取を舞台に家…

人間を見よ、そうすれば諸君は、世界についてどう考えるべきであるかを、知るであろう

- 世界がどれほどの価値あるものなのかということを、世界の最小の小部分でさえも、顕示してくれるに違いない、−−人間を見よ、そうすれば諸君は、世界についてどう考えるべきであるかを、知るであろう。 −−ニーチェ(渡辺二郎訳)「哲学者の書」、『ニーチェ…

覚え書:「木語:神風の「もしも」=金子秀敏」、『毎日新聞』2011年11月17日(木)付。

- 木語:神風の「もしも」=金子秀敏 <moku−go> 元寇(げんこう)の沈没船が長崎県松浦市の鷹島(たかしま)付近で見つかった。泥に埋まった竜骨(キール)の長さは確認されただけで12メートルあった。全長20メートルを超える大型船らしい。「神…

あたりの黄ばんだ葉を濡らしながら、地面と植物が発散させるあの十一月の香りを強めながら

- わたしたちが帰路につくためにふたたび俥の中に腰を下ろすころには、もう地平線の上には黄ばんだ太陽の最後の一端が残っているばかり。 黄昏の中を、わたしたちは今朝と同じ道を反対の方向にとって返す。小さな谷々の同じ迷路の中の、わたしたちの視野を仕…