2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

日記:トマス・アクィナスをよむ意義

月に一度、コロンビア大学コアカリキュラムの教材を取り上げ、雄志で勉強会をしているのですが、5月がアウグスティヌスで、今月がトマス・アクィナス。キリスト教思想史における二大巨人の著作を概観して思うのは、二人とも「紋切り型」のフレーズで、究極…

覚え書:「鄙への想い  [著]田中優子 / 鄙の宿 [著]W・G・ゼーバルト [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 鄙への想い [著]田中優子 / 鄙の宿 [著]W・G・ゼーバルト [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2014年06月08日 [ジャンル]人文 社会 ■自然と結びつけ思念を生む場 「鄙」といういささか意味深い語を用いた両書にふれて、知的な広がりを実感…

覚え書:「神と肉―日本の動物供犠 [著]原田信男 [評者]三浦しをん(作家)」、『朝日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 神と肉―日本の動物供犠 [著]原田信男 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2014年06月08日 [ジャンル]社会 ■米の豊作を願い捧げられた命 肉が好きだ。しかし、日本では明治になるまで、ほぼ肉食はしなかったと聞いたことがあり、「すみません、動物をばくばく…

覚え書:「南方熊楠の見た夢―パサージュに立つ者 [著]唐澤太輔 [評者]赤坂真理(作家)」、『朝日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 南方熊楠の見た夢―パサージュに立つ者 [著]唐澤太輔 [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2014年06月08日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■「境なき男」の柔らかな肖像 熊楠が取り組んだ領域は膨大だ。ゆえに今まで研究書等を読むと、かえってとりとめないこ…

覚え書:「(声)人殺しを命じられる身を考えて=大学名誉教授 石田雄(東京都 91)」、『朝日新聞』2014年06月10日(火)付。

- (声)人殺しを命じられる身を考えて 2014年6月10日 大学名誉教授 石田雄(東京都 91) 積極的平和主義であれ、集団的自衛権の解釈によってであれ、海外での武器使用を認めることになれば、敵とされた人を殺す任務を果たす兵士が必要となります。旧日本…

覚え書:「素顔の孫文―国父になった大ぼら吹き [著]横山宏章 [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家)」、『朝日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 素顔の孫文―国父になった大ぼら吹き [著]横山宏章 [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) [掲載]2014年06月08日 [ジャンル]歴史 政治 ■歴史を動かした革命家の実像 三民主義を掲げ、辛亥革命をリードした近代中国の国父孫文。日本の歴史の教科書…

覚え書:「人類5万年 文明の興亡―なぜ西洋が世界を支配しているのか [著]イアン・モリス [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)」、『朝日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 人類5万年 文明の興亡―なぜ西洋が世界を支配しているのか [著]イアン・モリス [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2014年06月08日 [ジャンル]歴史 ■決め手は、時々の地理的条件 英国の歴史学者ホブズボームは20世紀を「極端な世紀」と名付け…

覚え書:「スノーデンファイル [著]ルーク・ハーディング / 暴露 [著]グレン・グリーンウォルド [評者]島田雅彦(作家・法政大学教授)」、『朝日新聞』2014年06月08日(日)付。

- スノーデンファイル [著]ルーク・ハーディング / 暴露 [著]グレン・グリーンウォルド [評者]島田雅彦(作家・法政大学教授) [掲載]2014年06月08日 [ジャンル]政治 社会 ■自由の国揺るがす、諜報機関の暴走 諜報(ちょうほう)機関員のイメージは中年女…

覚え書:「(安全保障を考える)同盟の歴史に学ぶ 東大名誉教授・三谷太一郎さん」、『朝日新聞』2014年06月10日(火)付。

- (安全保障を考える)同盟の歴史に学ぶ 東大名誉教授・三谷太一郎さん 2014年6月10日「敗戦直後、日本が負けたのは国民の努力が足りなかったからだと言った指導者を、忘れられません」=早坂元興撮影 政治を考えるとき、歴史に学ぶことは欠かせない。近代…

覚え書:「惨劇 繰り返さぬように 『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』 フリーライター 加藤 直樹さん(47)」、『東京新聞』2014年06月08日(日)付。

- 惨劇 繰り返さぬように 『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』 フリーライター 加藤 直樹さん(47) 2014年6月8日 生まれ育った東京・新大久保の街で、男たちが「朝鮮人を殺せ!」と声を張り上げている。「在日特権を許さない…

覚え書:「書評:祈りの大地 石川 梵 著」、『東京新聞』2014年06月08日(日)付。

- 祈りの大地 石川 梵 著 2014年6月8日 ◆人の痛みを撮る覚悟 [評者]桜木奈央子=フォトグラファー 本書は、世界各地の「祈り」を撮影し続ける写真家が、東日本大震災を取材し被災地と向き合った記録である。 約三十年前、アフガニスタンで従軍取材を経験し…

覚え書:「書評:生き生きした過去 大森荘蔵の時間論、その批判的解読 中島 義道 著」、『東京新聞』2014年06月08日(日)付。

- 生き生きした過去 大森荘蔵の時間論、その批判的解読 中島 義道 著 2014年6月8日 ◆師を分析する哲学の姿勢 [評者]南木佳士=作家・医師 これまでに様々な本と出会ってきたが、それは縁があったからとしか言いようがない。うつ病で服薬を続けていた四十代…

覚え書:「書評:宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源 佐藤 優 著」、『東京新聞』2014年06月08日(日)付。

- 宗教改革の物語 近代、民族、国家の起源 佐藤 優 著 2014年6月8日 ◆信仰者を介し、捉える歴史 [評者]富岡幸一郎=文芸評論家 二○○五年、『国家の罠(わな)』を上梓(じょうし)して佐藤優は颯爽(さっそう)と日本のジャーナリズム、ノンフィクション界…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 不十分な審議時間 地域医療・介護確保法案=本田宏」、『毎日新聞』2014年06月11日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論不十分な審議時間 地域医療・介護確保法案本田宏 埼玉県済生会栗橋病院院長補佐 先進国最低レベルに抑制してきた社会保障関連の予算を充実させるため、国は「税と社会保障の一体改革」と称して消費増税を断行した。しかし、現…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『暴露 スノーデンが私に託したファイル』=グレン・グリーンウォルド著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『暴露 スノーデンが私に託したファイル』=グレン・グリーンウォルド著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (新潮社・1836円) 2012年12月、著者宛にある人物から一通のメールが届く。やり取りの前、執拗(しつよう)に暗号化…

覚え書:「今週の本棚:本村凌二・評 『禁欲のヨーロッパ』=佐藤彰一・著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚:本村凌二・評 『禁欲のヨーロッパ』=佐藤彰一・著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (中公新書・950円) ◇古代地中海世界の貴族層の不安背景に 古代ギリシアのデルフォイの神域に「汝(なんじ)自身を知れ」と刻まれていたことはつとに名…

覚え書:「今週の本棚:若島正・評 『TTT−トラのトリオのトラウマトロジー』=ギジェルモ・カブレラ・インファンテ著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚:若島正・評 『TTT−トラのトリオのトラウマトロジー』=ギジェルモ・カブレラ・インファンテ著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (現代企画室・3888円) ◇全篇にあふれる声、喪失の悲しさただよう キューバの作家であり、カストロが政…

日記:橋川文三の吉野作造観:橋川文三『昭和維新試論』講談社学術文庫。

「解説」が鶴見俊輔さんの手によるものだから、橋川文三『昭和維新試論』講談社学術文庫、読み始めたが、のっけから(序)、吉野作造の「深み」示すエピソードに言及があり驚愕(鶴見さんの「解説」でも大きく紙面を割いている。解説部分↓ - 大正一〇年(一…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:ジャズ入門=菊地成孔・選」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:ジャズ入門=菊地成孔・選 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 ◇菊地成孔(なるよし)・選 <1>だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?−−ジャズ・エピソード傑作選(ブリュノ・コストゥマル著、鈴木孝弥訳/うから/…

覚え書:「今週の本棚:井波律子・評 『唐代伝奇小説論−悲しみと憧れと』=小南一郎・著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚:井波律子・評 『唐代伝奇小説論−悲しみと憧れと』=小南一郎・著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (岩波書店・7344円) ◇最高峰の恋愛小説、自己完結できず挫折 「唐代伝奇(とうだいでんき)」と総称される一群の短篇小説は、八世紀中…

覚え書:「今週の本棚:池澤夏樹・評 『日本語とハングル』=野間秀樹・著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『日本語とハングル』=野間秀樹・著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (文春新書・832円) ◇言葉使い生き生き、得心いく言語論 言葉はまず個人に属する。 そして始まりは<話されたことば>である。 <書かれたことば>はそ…

書評:今野真二『日本語の考古学』岩波新書、2014年。

今野真二『日本語の考古学』岩波新書、読了。印刷書物や電子データになじむと、「源氏物語の作者は?」と問われれば「紫式部」という常識に拘束される。しかし、写し手や時代が変わればがわりと変わるから、考古学的にアプローチする他ない。僅かな痕跡から…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『現代日本人の中国像』=馬場公彦・著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『現代日本人の中国像』=馬場公彦・著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (新曜社・4536円) ◇転換期の中国認識に独自の解析モデル 日中関係は悪化の一途をたどっている。意地の張り合いは目的よりも行為のみに情熱が注がれ、小…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『教誨師』 著者・堀川惠子さん」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『教誨師』 著者・堀川惠子さん 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (講談社・1836円) ◇死刑執行の現場生々しく−−堀川惠子(ほりかわ・けいこ)さん およそ半世紀、死刑囚たちと対話を重ね、執行の現場にも立ち会った教誨師(きょ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『国家緊急権』=橋爪大三郎・著」、『毎日新聞』2014年06月08日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『国家緊急権』=橋爪大三郎・著 毎日新聞 2014年06月08日 東京朝刊 (NHKブックス・1296円) 緊急時に政府権限を軍に集中させる「戒厳令」の仕組みを持たない日本では、緊急事態に超法規的措置を行う「国家緊急権」が政府機関に…

書評:半田滋『日本は戦争をするのか 集団的自衛権と自衛隊』岩波新書、2014年。

半田滋『日本は戦争をするのか 集団的自衛権と自衛隊』岩波新書、読了。安倍首相が悲願と掲げる集団的自衛権。武器輸出が解禁されNSC設置、秘密保護法制定など、その勢いは留まることを知らない。本書はその虚偽を一つ一つ丁寧に論駁する待望の一冊。人命…

覚え書:「金を払うから素手で殴らせてくれないか? [著]木下古栗」、『朝日新聞』2014年06月01日(日)付。

- 金を払うから素手で殴らせてくれないか? [著]木下古栗 [掲載]2014年06月01日 [ジャンル]人文 どんどん脇にそれていく本筋とあまりに飛躍した物語の着地点に、読者はあぜんとするに違いない。無責任で不条理。だが同時に、小説の自由と型破りな刺激に満…

覚え書:「家永三郎生誕100年−−憲法・歴史学・教科書裁判 [編]家永三郎生誕100年記念実行委員会」、『朝日新聞』2014年06月01日(日)付。

- 家永三郎生誕100年−−憲法・歴史学・教科書裁判 [編]家永三郎生誕100年記念実行委員会 [掲載]2014年06月01日 [ジャンル]歴史 日本史や思想史の分野で多大な業績を残し、教科書裁判を32年間闘った歴史家・家永三郎(1913−2002)。その学問…

覚え書:「日本人は、どんな肉を喰ってきたのか? [著]田中康弘 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター)」、『朝日新聞』2014年06月01日(日)付。

- 日本人は、どんな肉を喰ってきたのか? [著]田中康弘 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2014年06月01日 [ジャンル]社会 ■多様な狩猟、共に食べて考える 長年秋田県のマタギの取材をしてきた写真家が、南は西表島から北は礼文島まで、各地…

書評:河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、2014年。

河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、読了。唐物とはもと中国からの舶来品を指す言葉で、転じて広く異国からもたらされた品を指す。本書は、古代から現代まで、唐物というモノを通して日本文化の変遷を問う一冊。日本人はなぜ舶来品が好き…