芸術
河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、読了。唐物とはもと中国からの舶来品を指す言葉で、転じて広く異国からもたらされた品を指す。本書は、古代から現代まで、唐物というモノを通して日本文化の変遷を問う一冊。日本人はなぜ舶来品が好き…
- 今週の本棚・本と人:『東京国立博物館の名品でたどる 書の美』 著者・島谷弘幸さん 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 (毎日新聞社・2415円) ◇書は読めなくても楽しめる−−著者・島谷弘幸(しまたに・ひろゆき)さん 毎日新聞日曜版の連載「書の美」…
- 欲望の美術史 [著]宮下規久朗 [評者]横尾忠則(美術家) [掲載]2013年07月14日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 新書 ■「食欲」から「死」までの美の小径 画家が主題の選択に迷い、その拠(よ)りどころを一体どこに求めるべきかと心を煩悶(はんもん…
- 今週の本棚:渡辺保・評 『京舞井上流の誕生』=岡田万里子・著 毎日新聞 2013年06月09日 東京朝刊 (思文閣出版・9450円) ◇「都をどり」に息づく文化・風俗の歴史を活写する 「都をどりは、よいやさァ」 大勢のかけ声で両花道へ揃(そろ)いの衣裳(…
- 今週の本棚・新刊:『小さき 愛らしきもの』=田島充・著 毎日新聞 2013年05月26日 東京朝刊(生活の友社・1890円) ひと昔前、「大きいことはいいことだ」という流行語があった。ことわざでは「大は小を兼ねる」。美術展においても「大作」が注目され…
- 今週の本棚:五味文彦・評 『江戸絵画の非常識』=安村敏信・著 毎日新聞 2013年04月07日 東京朝刊 (敬文舎・2940円) ◇十三の「常識」を越えて生み出された入門編 常識は難しい。常識を知らねば、知識不足が指摘されよう。しかし常識に囚(とら)われ…
- 『ジャン=ジャック・ルソーと音楽』 海老澤敏著評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授) 「ルソーはまず音楽家だった」、モーツァルト研究の第一人者でもある著者の年来の揺るぎない確信である。18世紀フランスを代表する大思想家で、『エミール』や…
- 『ヒップホップの詩人たち』 都築響一著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) 持たざるものの武器 本書が追いかけるのは15人の「日本産ヒップホップ・ラッパー」たちの半生とそこで生まれ少なからぬ支持を得る作品の数々だ。 幼い日の親の離婚、学…
- 20世紀の椅子たち 椅子をめぐる近代デザイン史 [著]山内陸平 [掲載]2013年02月24日 近代デザイン史上特筆すべき99脚の椅子を、写真とエッセーで紹介する。座り方のわからないアート性偏重のものはなく、どこかで見かけたようなものばかり。建築家フラ…
- 今週の本棚:松原隆一郎・評 『残すべき建築』=松隈洋・著 毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊 (誠文堂新光社・1890円) ◇モダニズムの“初心”から解体の無頓着に抗する 日常の生活で出会う、ちょっとした風景に愛着を覚えることは、誰もが経験している…
- 今週の本棚:持田叙子・評 『冥府の建築家−ジルベール・クラヴェル伝』=田中純・著 毎日新聞 2013年02月24日 東京朝刊 ◇持田叙子(のぶこ)評 (みすず書房・5250円) ◇「骸」をひきずり「不死」の建築をのこした男の生涯 これは、生れつき重い宿痾(…
- 悼む 病と闘いながら歌い続け 熊谷たみ子さん アイヌ民族のジャズ歌手 大腸がんのため 1月2日死去・60歳1枚のCDが手元にある。東日本大震災後、被災者支援を目的に有志で自主制作した。タイトルは「大地よ」。 同じくアイヌ民族の宇梶静江さん(79…
- 『想起のかたち』 香川檀著評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授) ホロコーストと芸術家 過去の記憶をいかにして保全し想起するか、それは、言葉とイメージを操る人間にとって永遠のテーマであると同時に、きわめて現代的な課題でもある。 とりわけ2…
- 柳之御所遺跡:擬人化カエル、平泉にも 毎日新聞 2013年01月27日岩手県平泉町の柳之御所遺跡で発見されたカエルが描かれた木片=共同 奥州藤原氏の政務の拠点があった岩手県平泉町の国指定史跡「柳之御所遺跡」から、擬人化されたカエルが墨で描かれた木片…
- 今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著 (平凡社・2100円) 「作品をどう解釈するかは、読者次第。作者の手を離れているのだから」などと文学の世界ではよく言う。絵画も、さまざまな決まりのもとに描かれていたとしても、基本的には自…
- ひと 大作「3・11鎮魂と復活」に願いを込めた前衛書家 千葉蒼玄さん(57) びっしりと書き込まれた文字が迫ってくる。高さ3メートル60センチ×幅9メートル。東日本大震災からの再生への願いを込めた。昨年10月に完成した。 3・11は仕事で東京にいた。や…
- 今週の本棚:張競・評 『名画に隠された「二重の謎」』=三浦篤・著 (小学館101ビジュアル新書・1155円) ◇推理小説風の仕掛けで奥深い世界を旅する 一冊の本が絵の見方をこれほど変えてくれたのは初めての経験だ。近代絵画の奥深さはいうにおよば…
- 今週の本棚:養老孟司・評 『構図がわかれば絵画がわかる』=布施英利・著 (光文社新書・1092円) ◇美術作品への感動から解剖学の根本に迫る 絵がわからない。そういう人はかなりいるのではないか。私はそう疑っている。私自身が絵心がないからである…
中野敏男『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』NHK出版、読了。白秋を素材に、戦前日本社会の民衆のメンタリティーの変遷を批判的に考察する一書。童謡で人気を獲得した白秋が、なぜ戦争賛美を歌いあげ愛国心を鼓舞するようになったかを検証する。…
- 今週の本棚:山崎正和・評 『ヴァーチャル・ウィンドウ−−アルベルティからマイクロソフトまで』=アン・フリードバーグ著 (産業図書・3990円) ◇視覚と知性の近代史 一貫性の再確認 人の心は外へ開かれた窓であり、その窓枠が現象を切り取り、窓の外側…
- 今週の本棚:丸谷才一・評 『チチェローネ 建築篇・絵画篇』=ヤーコプ・ブルクハルト著 (中央公論美術出版・3万9900円、3万4650円) ◇暮しを立てる為の旅行案内が不朽の名著に 小林秀雄がはじめて奈良へ行ったのは、和辻哲郎の『古寺巡礼』(一…
田中辰明『ブルーノ・タウト 日本美を再発見した建築家』中公新書、2012年。 ナチの迫害を避けて来日し、日本の美を「再発見」し、その後、トルコへ渡る−−政治に翻弄されつつも常に前進する「色彩の建築家」ブルーノ・タウトの初の本格的評伝が本書である。…
- そこが聞きたい ダヴィンチ展の意義 カルロ・ペドレッティ氏万能の人の原点に触れて 「レオナルド・ダ・ヴィンチ美の理想」展が東京・渋谷で開かれている。500年前の巨匠が、なぜ今も世界中で注目され続けているのか。カリフォルニア大学ロサンゼルス校…