詩・文学・語彙

覚え書:「秘密保護法案 265人反対 憲法の3原則侵害」、『東京新聞』2013年10月29日(火)付。

- 憲法・メディア法と刑事法の研究者が二十八日、それぞれ特定秘密保護法案に反対する声明を発表した。声明に賛成する研究者は憲法・メディア法が百四十人、刑事法が百二十人を超えた。憲法の「知る権利」や「国民主権」を損なう法案の実態が明らかになるに…

覚え書:「発言 海外から 文豪のすべて読んで=フョークラ・トルスタヤ」、『毎日新聞』2013年10月23日(水)付。

- 発言 海外から 文豪のすべて読んで フョークラ・トルスタヤ トルストイ博物館職員でトルストイの玄孫 今年6月からロシアの文豪レフ・トルストイ(1828〜1910年)の全著作90巻を電子ファイル化し、インターネットのサイト(www.tolstoy.ru)で無…

覚え書:「論点 [国のために死ぬこと] 黙する死者と向き合う=若松英輔」、『毎日新聞』2013年10月18日(金)付。

- 論点 [国のために死ぬこと] 靖国神社は昨日から秋の例大祭。安倍晋三首相は言う。 「国のために戦って命を落とした人たちに尊崇の念を表すのは当然。欧米各国でも行われている自然な国家儀礼で、非難されるいわれはない」 耳になじんだこの説明を、歴史…

日記:ほんと、「おれのことば」なんてないですよ。

慶應義塾大学出版会より『井筒俊彦全集』刊行が始まったので、すこしだけ書いておきます。慶應義塾大学出版会 | 神秘哲学 一九四九年 ― 一九五一年 | 井筒俊彦 木下雄介「『神秘哲学』初版と人文書院版、著作集版の間の重要な校異を収録」。井筒さんの神秘と…

書評:新海均『カッパ・ブックスの時代』河出ブックス、2013年、+α

新海均『カッパ・ブックスの時代』河出ブックス、読了。本書は高度経済成長期、数々のベストセラーを送り出したカッパシリーズの歩みとその内実を、シリーズ終焉に立ち会った元編集者が振り返る。新書のはしりは岩波。アンチ教養主義を掲げ大衆実学主義が受…

書評:北川達夫・平田オリザ『ニッポンには対話がない』三省堂、2008年。

- 北川 相手の見解があって自分の見解がある、それが対立する、対立するとお互いが変わってくる。まさに、その変わってくるところを楽しめるか、そこを重視できるかですよね。回避をせずに、対立を恐れないでぶつかって、そのうえでお互いにどう変われるか、…

書評:渡部良三『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』岩波書店、2011年。

渡部良三『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』岩波書店、読了。神は「汝殺す勿れ」と命じ、軍人勅諭は「下級のものは上官の命を承ること、実は直に朕が命を承る義」と命じた。著者は前者を選んだ無教会キリスト者。学徒出陣で中国大陸へ渡った。度胸試し…

覚え書:「もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙 [著]渡辺京二」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙 [著]渡辺京二 [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 『苦海浄土』が作品としてまとまる過程に編集者として立ち合った著者は、当初から「傑作」であることを確信し、1969年からは石牟礼が書く原…

覚え書:「『大菩薩峠』を都新聞で読む [著]伊東祐吏 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 「大菩薩峠」を都新聞で読む [著]伊東祐吏 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]歴史 ■大長編の謎に迫り、問題提起 『大菩薩峠(だいぼさつとうげ)』という長篇(ちょうへん)小説をご存じだろうか。文庫で全二十巻もある。大衆小説の…

覚え書:「四つの小さなパン切れ [著]マグダ・オランデール=ラフォン [評者]赤坂真理」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 四つの小さなパン切れ [著]マグダ・オランデール=ラフォン [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝 ■対岸の傷ではない痛みの記憶 年齢を問われ16歳を18歳と言ったマグダは「ならば右!」。母親と妹は「な…

覚え書:「世界を回せ(上・下) [著]コラム・マッキャン [評者]小野正嗣」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 世界を回せ(上・下) [著]コラム・マッキャン [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学准教授) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝 ■綱渡りへの視線、境遇越えつなぐ 1974年8月7日の早朝、マンハッタンの今はなき世界貿易セン…

覚え書:「書評:周五郎伝 虚空巡礼 齋藤愼爾 著」、『東京新聞』2013年07月21日(日)付。

- 周五郎伝 虚空巡礼 齋藤愼爾 著 2013年7月21日 写真 ◆愛着と反発が照らす実像 [評者]高橋敏夫=文芸評論家 山本周五郎ファンには、まことに不快な書かもしれない。半可通のファンは近づくな。しかしこの書がつきつける不快さを避ければ、本当のファンに…

覚え書:「今週の本棚:沼野充義・評 『神童のための童話集』=S・クルジジャノフスキィ著」、『毎日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 今週の本棚:沼野充義・評 『神童のための童話集』=S・クルジジャノフスキィ著 毎日新聞 2013年07月21日 東京朝刊 (河出書房新社・2940円) ◇20世紀の奇想、不条理を映す「怪作」 ロシアは奥深い文学の国だ、とつくづく思わされることがある。いま…

覚え書:「蘇生した魂をのせて/石牟礼道子―魂の言葉、いのちの海 [著]石牟礼道子 [評者]いとうせいこう」、『朝日新聞』2013年07月14日(日)付。

- 蘇生した魂をのせて/石牟礼道子―魂の言葉、いのちの海 [著]石牟礼道子 [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター) [掲載]2013年07月14日 [ジャンル]人文 ノンフィクション・評伝 ■「公」とは何か、水俣から学ぶ 藤原書店から出ている全集も大詰めを迎えつ…

覚え書:「素顔の新美南吉―避けられない死を前に [著]斎藤卓志 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年07月14日(日)付。

- 素顔の新美南吉―避けられない死を前に [著]斎藤卓志 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年07月14日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■聞き書きで創作の実態明らかに 「里にいでて手袋買ひし子狐(こぎつね)の童話のあはれ雪降るゆふべ」。美智子皇后の…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:沖縄文化に触れる=俵万智・選」、『毎日新聞』2013年07月14日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:沖縄文化に触れる=俵万智・選 毎日新聞 2013年07月14日 東京朝刊 <1>神に追われて(谷川健一著/新潮社/品切れ) <2>ウミンチュの娘(今井恒子著/角川書店/1575円) <3>ああ、沖縄の結婚式!−−抱腹絶倒エピソード(…

覚え書:「シッダールタの旅 [著]ヘッセ [構成・写真]竹田武史 [評者]横尾忠則」、『朝日新聞』2013年07月07日(日)付。

- シッダールタの旅 [著]ヘッセ [構成・写真]竹田武史 [評者]横尾忠則(美術家) [掲載]2013年07月07日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 国際 ■煩悩と解脱、輪廻の天地を活写 三島由紀夫氏の死の3日前の電話で「インドには呼ばれる者とそうでない者がい…

覚え書:「今を生きるための現代詩 渡邊十絲子著」、『東京新聞』2013年07月07日(日)付。

- 今を生きるための現代詩 渡邊十絲子著 2013年7月7日 写真 ◆わからなさを慈しむ [評者]横木徳久=文芸評論家 昔から多くの「詩の入門書」が書かれてきた。それは詩の読解方法が世間一般になかなか定着しない事情とともに、つねにスタンダードを壊して「今…

覚え書:「もうひとつのこの世 石牟礼道子の宇宙 渡辺京二著」、『東京新聞』2013年07月07日(日)付。

- もうひとつのこの世 石牟礼道子の宇宙 渡辺京二著 2013年7月7日 写真 ◆情念が支える知の全体性 [評者]三砂ちづる=津田塾大教授 ほかでもない。渡辺京二による石牟礼道子論である。のちに『苦海浄土』として世に出る「ゆき女聞き書」や「天の魚」を誰よ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『新訳 茶の本』=岡倉覺三・著」、『毎日新聞』2013年07月07日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『新訳 茶の本』=岡倉覺三・著 毎日新聞 2013年07月07日 東京朝刊 (明石書店・1575円) 『茶の本』は、日本のほか東アジアの芸術精神を英文で紹介した岡倉天心の代表作として名高い。いや、こんな説明の仕方こそ、美術史家の訳者が…

覚え書:「脊梁山脈 [著]須藤靖 乙川優三郎 [評者]角幡唯介」、『朝日新聞』2013年06月30日(日)付。

- 脊梁山脈 [著]須藤靖 乙川優三郎 [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) [掲載]2013年06月30日 [ジャンル]歴史 文芸 ■国や民族揺さぶる木地師の系譜 日本の山中にはかつて木地師という集団がいた。轆轤(ろくろ)を回して木でお椀(わん)やこけし…

覚え書:「神は死んだ [著]ロン・カリー・ジュニア [評者]佐々木敦」、『朝日新聞』2013年06月30日(日)付。

- 神は死んだ [著]ロン・カリー・ジュニア [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2013年06月30日 [ジャンル]文芸 ■絶望の極点で希望は紡げるか ショッキングな題名だが、内容そのままなのだ。表題作で、本当に「神」は死ぬ。スーダンのダルフール地…

覚え書:「書評:図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情 宮田昇 著」、『東京新聞』2013年6月30日(日)付。

- 図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情 宮田昇 著 2013年6月30日 写真 ◆借りて読む楽しみに誘う [評者]小田光雄=文芸評論家 宮田昇は戦後出版史における重要な証人であり、『翻訳権の戦後史』や出版太郎名義の出版時評『朱筆』をはじめとして、多く…

覚え書:「書評:ヤマネコ・ドーム 津島佑子 著」、『東京新聞』2013年6月30日(日)付。

- 【書評】ヤマネコ・ドーム 津島佑子 著 2013年6月30日 写真 ◆血や国を超越する関係性 [評者]与那覇恵子=東洋英和女学院大教授、現代日本文学 本書は、気を緩めてしまうと一瞬、どの時代のどこに居るのか分からなくなってしまうほど、三人称の多声が響き…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『波打ち際に生きる』=松浦寿輝・著」、『毎日新聞』2013年06月30日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『波打ち際に生きる』=松浦寿輝・著 毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊 (羽鳥書店・2310円) 詩人であり小説家であり批評家である著者は昨年3月、定年まで7年を残して東京大学の教壇を去った。その際におこなった「退官記念講演…

覚え書:「今週の本棚:川本三郎・評 『周五郎伝−虚空巡礼』=齋藤愼爾・著」、『毎日新聞』2013年06月30日(日)付。

- 今週の本棚:川本三郎・評 『周五郎伝−虚空巡礼』=齋藤愼爾・著 毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊 (白水社・3570円) ◇「苦労人の文学」が秘める豊かな慰藉の力 純文学と大衆文学が画然とわかれていた時代があった。その時代は、文壇では川端康成、…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『追悼の文学史』=講談社文芸文庫・編」、『毎日新聞』2013年06月30日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『追悼の文学史』=講談社文芸文庫・編 毎日新聞 2013年06月30日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (講談社文芸文庫・1575円) ◇時の遠近に整序され、交錯する生と死の風景 ナルホド、こういう本づくりもあったのかと、おもわず…

わが身を忘れて、心を浄めたときに、はじめて他人の心をも浄めることができた

- この時、洗礼の子は、あのとき百姓女が手拭いをきれいに洗った時に、はじめて、テーブルがきれいにふけたことを思いだした。つまり、彼がわが身を忘れて、心を浄めたときに、はじめて他人の心をも浄めることができたのであった。 なお、追剥ぎは言った−− …

覚え書:「南無ロックンロール二十一部経 [著]古川日出男 [評者]佐々木敦」、『朝日新聞』2013年06月16日(日)付。

- 南無ロックンロール二十一部経 [著]古川日出男 [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2013年06月16日 [ジャンル]文芸 ■時の断層をつなぐ、巨大で真摯な物語 あの「二〇一一年三月十一日」によって、福島出身の古川日出男は、小説家としての根本的…

覚え書:「書評:素顔の新美南吉 斎藤卓志 著」、『東京新聞』2013年06月16日(日)付。

- 素顔の新美南吉 斎藤卓志 著 2013年6月16日 ◆壮絶、哀切な晩年活写 [評者]宮川健郎=武蔵野大教授 新美南吉は一九一三年、現在の愛知県半田市に生まれた。旧制中学のころから文学に関心をもち、雑誌に投稿する。児童雑誌『赤い鳥』には、童謡が二十三編…