2013-09-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「安部公房とわたし [著]山口果林 [評者]福岡伸一」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 安部公房とわたし [著]山口果林 [評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■覚悟感じる切実な自己回復の書 まず驚かされるのは、カバーの4枚の写真の著者の表情だ。やさしく柔らかでさりげない。…

覚え書:「血盟団事件 [著]中島岳志 [評者]角幡唯介」、『朝日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 血盟団事件 [著]中島岳志 [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) [掲載]2013年09月15日 [ジャンル]歴史 ■独善に傾いた正義、内部から覗き見る 冒頭から一気に引き込まれた。話は五・一五事件で元陸軍軍人の西田税を狙撃した血盟団員・川崎長光への…

書評:西村佳哲『いま、地方で生きるということ』ミシマ社、2011年。

- しかし思い返してみると、奈良のフォーラムで広瀬さんから聞いていた自然学校は、それともまた少し違うものだった。 彼は多くの人が「田舎には仕事がない」と言うけどそんなことをないんだ、と話していた。それは勤め先がない、つまりいわゆる会社のような…

覚え書:「書評:日本のナイチンゲール 従軍看護婦の近代史 澤村 修治 著」、『東京新聞』2013年09月15日(日)付。

- 日本のナイチンゲール 従軍看護婦の近代史 澤村 修治 著 2013年9月15日◆証言、逸話で立体的に [評者]森清=労働研究家 大河ドラマ「八重の桜」の主人公新島八重は日清、日露の戦争で軍の予備病院において「篤志看護婦」として活動した。明治二十三年、夫…

覚え書:「書評:『山月記』はなぜ 国民教材となったのか 佐野 幹 著」、『東京新聞』2013年09月15日(日)付。

- 【書評】「山月記」はなぜ 国民教材となったのか 佐野 幹 著 2013年9月15日 写真 ◆正解主義の問題抉る [評者]伊藤氏貴=文芸評論家 国語教科書における特定教材の定番化に対する批判は以前からあった。教師たちは、自分が学生の時に学んだ教材で同じこと…

覚え書:「みんなの広場 満蒙開拓義勇軍と夫の思い出」、『毎日新聞』2013年09月16日(月)付。

- みんなの広場 満蒙開拓義勇軍と夫の思い出 無職 90(広島県福山市) 満蒙開拓に特化した記念館が、全国最多の開拓団員を送り出した長野県の阿智村に開設されていることを新聞記事で知りました。 今年95歳で他界した夫は教職を40年務めました。戦時中、満蒙…

覚え書:「書評:明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか 大島 幹雄 著」、『東京新聞』2013年09月15日(日)付。

- 明治のサーカス芸人はなぜロシアに消えたのか 大島 幹雄 著 2013年9月15日◆革命を越え交錯する運命 [評者]春名徹=歴史研究者 著者は最近『サーカスは私の<大学>だった』で評判になったが、評者の読書歴では二十三年前の最初の本『サーカスと革命』と…

覚え書:「今週の本棚:白石隆・評 『国家はなぜ衰退するのか 上・下』=D・アセモグルほか著」、『毎日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 今週の本棚:白石隆・評 『国家はなぜ衰退するのか 上・下』=D・アセモグルほか著 毎日新聞 2013年09月15日 東京朝刊 (早川書房・各2520円) ◇国家形成と経済発展の因果関係に迫る 本書の原題は「国はなぜ失敗するのか」。日本、米国、英国、ドイツ…

書評:NHK取材班・北博昭『戦場の軍法会議 日本兵はなぜ処刑されたのか』NHK出版、2013年。

海軍法務官から資料や日記を託された北博昭氏の協力で本書は、これまで殆ど明らかにされなかった戦場の軍法会議の実像を明らかにする。戦争末期、士気の低下と食糧不足は相次ぐ逃亡を招くが、いずれも極刑をもって見せしめとされた。例えば……。飢餓での戦線…

覚え書:「今週の本棚:池澤夏樹・評 『書き出し「世界文学全集」』=柴田元幸・編訳」、『毎日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『書き出し「世界文学全集」』=柴田元幸・編訳 毎日新聞 2013年09月15日 東京朝刊 (河出書房新社・1575円) ◇翻訳の演奏で「文体」を聞き分ける愉悦 なにごとも始めが肝心。 だから作家は小説の書き出しに心を砕く。登場人…

覚え書:「今週の本棚:持田叙子・評 『柳田国男を読む』=赤坂憲雄・著」、『毎日新聞』2013年09月15日(日)付。

- 今週の本棚:持田叙子・評 『柳田国男を読む』=赤坂憲雄・著 毎日新聞 2013年09月15日 東京朝刊 ◇持田叙子(のぶこ)評 (ちくま学芸文庫・1365円) ◇多様ないのちの種子をはらむ「古典」の底力 柳田国男については、日本民俗学の偉大な父というレッテ…

覚え書:「みんなの広場 生活保護減額、どう暮らせば」、『毎日新聞』2013年09月16日(月)付。

- みんなの広場 生活保護減額、どう暮らせば パート 50(福島市) この8月から生活保護基準額が引き下げられました。病気がちで週2〜3日のパートをして暮らしている私にとって、憲法25条の健康で文化的な最低限度の生活を営むことすらも厳しい状況になっ…

覚え書:「海辺の恋と日本人―ひと夏の物語と近代 [著]瀬崎圭二」、『朝日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 海辺の恋と日本人―ひと夏の物語と近代 [著]瀬崎圭二 [掲載]2013年09月08日 今でこそリア充が集う場となっている海水浴場だが、明治時代、日本でこの習慣が始まった当初は、湯治のような医療行為の一つと受け止められていた。それが恋の場所となっていく。…

覚え書:「福島と原発―誘致から大震災への五十年 [著]福島民報社編集局 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 福島と原発―誘致から大震災への五十年 [著]福島民報社編集局 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年09月08日■地方からの目線にこだわる 東京電力福島第一原発の事故は、中央集権型国家の宿痾(しゅくあ)だ、というのが本書の率直な読後感で…

書評:小林美希『ルポ 産ませない社会』河出書房新社、2013年。

小林美希『ルポ 産ませない社会』河出書房新社、読了。「産めない」のではなく、社会が「産ませない」(帯)。本書はジャーナリストとして結婚、出産、雇用に取り組んだ著者による痛切な報告。子育てすることで孤立していかざる得ない現代。「孤育」てしなが…

覚え書:「醤油と薔薇の日々 [著]小倉千加子 [評者]水野和夫」、『朝日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 醤油と薔薇の日々 [著]小倉千加子 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年09月08日■女性を暗くする「成長」の強要 著者は前著『結婚の条件』(2003年)で「少子化とは『結婚の条件』の問題」だと看破した。結婚の条件は女性の学歴に応じて…

覚え書:「ライス回顧録―ホワイトハウス 激動の2920日 [著]コンドリーザ・ライス [評者]渡辺靖」、『朝日新聞』2013年09月08日(日)付。

- ライス回顧録―ホワイトハウス 激動の2920日 [著]コンドリーザ・ライス [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年09月08日 [ジャンル]国際 ■臨場感あふれる外交の舞台裏 人種差別の激しかった米南部アラバマ州に育った著者は国際政治学者と…

覚え書:「記者の目:田中正造没後100年=足立旬子(科学環境部)」、『毎日新聞』2013年09月12日(木)付。

- 記者の目:田中正造没後100年=足立旬子(科学環境部) 毎日新聞 2013年09月12日 00時20分 「公害の原点」と呼ばれる栃木県・足尾銅山の鉱毒事件で、被害者救済に半生をささげた政治家、田中正造(1841−1913年)が亡くなって今年でちょうど10…

覚え書:「首里城への坂道―鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 [著]与那原恵 [評者]鷲田清一」、『朝日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 首里城への坂道―鎌倉芳太郎と近代沖縄の群像 [著]与那原恵 [評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学) [掲載]2013年09月08日■調査・史料に残った戦前の文化 明治12(1879)年の「琉球処分」と首里城明け渡しによって王国が崩壊したあと、琉球文化が衰亡の…

覚え書:「HHhH―プラハ、1942年 [著]ローラン・ビネ [評者]佐々木敦」、『朝日新聞』2013年09月08日(日)付。

- HHhH―プラハ、1942年 [著]ローラン・ビネ [評者]佐々木敦(批評家・早稲田大学教授) [掲載]2013年09月08日 [ジャンル]文芸 ■迷いや不安と共に、歴史を物語ること 歴史小説と呼ばれるジャンルは、我が国の出版界においても、一大マーケットを築いて…

日記:人生や仕事での主要な関心は、当初のわれわれとは異なる人間になることです。

- −− あなたは、ごく頻繁に「哲学者」、のみならず、「歴史家」、「構造主義者」、「マルクス主義者」と呼ばれています。コレージュ・ド・フランスにおけるあなたの担当講座の肩書は、「思想体系の歴史の教授」です。このことの意味は何でしょう? わたしが…

覚え書:「【自著を語る】『「大東亜戦争」期 出版異聞』 小谷汪之さん(東京都立大名誉教授)」、『東京新聞』2013年09月10日(火)付。

- 【自著を語る】『「大東亜戦争」期 出版異聞』 小谷汪之さん(東京都立大名誉教授) 2013年9月10日◆右傾化日本に迫るあの闇 憲法改定、集団的自衛権、尖閣・竹島と、きなくさい臭いが立ち込めてきた。それだけに、改めて戦前、特にいわゆる「大東亜戦争」…

覚え書:「書評:海に生きる 海人の民族学 秋道 智彌 著」、『東京新聞』2013年09月08日(日)付。

- 海に生きる 海人の民族学 秋道 智彌 著 2013年9月8日◆里海めぐる人知の可能性 [評者]川島秀一=東北大教授 著者は長年、海洋民族学や生態人類学の立場から内外の海の調査研究を続けてきた。本書は東日本大震災後初めての、海とそこに生きる海人(かいじ…

覚え書:「みんなの広場 本当にこのままでいいのか」、『毎日新聞』2013年09月13日(金)付。

- みんなの広場 本当にこのままでいいのか 高校生 18(埼玉県川越市) 東京電力福島第1原発で相次ぐ汚染水漏れ事故の対応として、政府は関係省庁で作る現地対策事務所を設け、担当職員を常駐させることを決めた。 震災後、政治家は名ばかりの組織を乱立させ…

覚え書:「書評:炭素文明論 佐藤 健太郎 著」、『東京新聞』2013年09月08日(日)付。

- 炭素文明論 佐藤 健太郎 著 2013年9月8日◆「驚異の元素」争奪の人類史 [評者]小林照幸=ノンフィクション作家 百以上の元素を整列させた周期表で六番目となる炭素。元素記号Cは炭(Carbon)が由来だ。地表、海中など私たちの目に触れる範囲で炭素…

覚え書:「今週の本棚:村上陽一郎・評 『科学者の卵たちに贈る言葉』=笠井献一・著」、『毎日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 今週の本棚:村上陽一郎・評 『科学者の卵たちに贈る言葉』=笠井献一・著 毎日新聞 2013年09月08日 東京朝刊 (岩波科学ライブラリー・1260円) ◇類稀なる生化学者の破天荒な言行録 手塚治虫の作品に登場する「お茶の水博士」、モデルと言われるのは、…

書評:渡部良三『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』岩波書店、2011年。

渡部良三『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』岩波書店、読了。神は「汝殺す勿れ」と命じ、軍人勅諭は「下級のものは上官の命を承ること、実は直に朕が命を承る義」と命じた。著者は前者を選んだ無教会キリスト者。学徒出陣で中国大陸へ渡った。度胸試し…

覚え書:「今週の本棚:若島正・評 『カッパ・ブックスの時代』=新海均・著」、『毎日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 今週の本棚:若島正・評 『カッパ・ブックスの時代』=新海均・著 毎日新聞 2013年09月08日 東京朝刊 (河出ブックス・1575円) ◇ベストセラーに刻まれた「DNA」 わたしが中学生になった一九六〇年代の中頃は、カッパがラッパを吹いているマークで知…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:小林秀雄=石原千秋・選」、『毎日新聞』2013年09月08日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:小林秀雄=石原千秋・選 毎日新聞 2013年09月08日 東京朝刊 <1>無常という事(『モオツァルト・無常という事』新潮文庫所収/546円) <2>常識について(角川文庫/品切れ) <3>考えるヒント(文春文庫/590円) 没後…

日記:画一化の傾向にたいして本能的に反発し、マジョリティーと違った意見や傾向、学問でも、芸術でも、そういったものを本能的に保護しようとする伝統

- 丸山(眞男) アメリカではそういう傾向が最も極端にあるようですけれどもね、それに抵抗する要素も、さっき言ったようにあるんじゃないか。 高見(順) ありますね。その一例として、ぼくはいつも感心しているのですが、『タイム』のブック・レビュー欄。…