組織論

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『最後の転落』=エマニュエル・トッド著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『最後の転落』=エマニュエル・トッド著 毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊 (藤原書店・3360円) ◇ソ連崩壊「予言の書」から現代を解読する 本書はアメリカの金融破綻を「予言」したことで日本でも一躍有名になったフランスの…

老人に用なし死ねといふかこの冬

- 老人に用なし死ねといふかこの冬 堀内竹嶺(『愛吟』一九四〇年四月号) 老人は足手まといになるだけでなんの役にも立たないというのが戦争である。同時に、子どもは邪魔扱いされるはずだが、百年戦争であるかぎり、やがて兵士になる彼らは大切な「人的資…

覚え書:「今週の本棚:『橋下徹現象と部落差別』=宮崎学・小林健治・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:橋下徹現象と部落差別 宮崎学・小林健治著 (にんげん出版モナド新書) 橋下徹・大阪市長の出自を取り上げて論じた『週刊朝日』の緊急連載は、橋下氏の抗議などを受けて中止に追い込まれた。そうした報道の問題点について、作家の宮崎学氏と部…

覚え書:「時流底流 『ミゼラブル』な番号=小笠原みどり」、『毎日新聞』2013年02月23日(日)付。

- 時流底流 「ミゼラブル」な番号 小笠原みどり ジャーナリスト ミュージカル映画「レ・ミゼラブル」が日本で洋画久々の大ヒットとなっている。人が困難な人生を生きるのに必要なのはなによりも愛と信頼であること、理想のために闘い倒れても精神を受け継ぐ…

覚え書:「みんなの広場 五輪招致より選手の人権尊重」、『毎日新聞』2013年02月07日(木)付。

- みんなの広場 五輪招致より選手の人権尊重 無職 74(長崎市) 柔道全日本女子の園田隆二前監督のロンドン五輪代表選手らに対する暴力や暴言は誠に残念である。日本は20年夏季五輪の東京招致を目指しているが、今は柔道女子だけでなく全競技で選手の人権…

覚え書:「司法よ! おまえにも罪がある [著]新藤宗幸 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 司法よ! おまえにも罪がある [著]新藤宗幸 [評者]上丸洋一(本社編集委員)■人事交流が投げかける影 原発の安全性をめぐっては1973年に始まった伊方原発(愛媛県)訴訟以来、建設中止などを求める住民らによって、数々の裁判が提起されてきた。しかし、…

「旅客来りて嘆いて曰く」だよ

ちょっといくつかのニュースを紹介します。(ニュース1) - 【政治】厚労相「全体で引き下げ」と明言 生活保護の支給水準 2013年1月16日 19時35分 田村憲久厚生労働相は16日午後、生活保護の支給水準(基準額)について「全体として引き下げることになる…

覚え書:「書評:社会運動の戸惑い [著]山口智美・斉藤正美・荻上チキ [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2012年12月16日(日)付。

- 社会運動の戸惑い [著]山口智美・斉藤正美・荻上チキ [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史)■フェミニズムと保守との対話 1990年代半ばに登場した「ジェンダーフリー」という言葉は、フェミニストによって政治化され、99…

歴史的・政治的現実に規定されているから、つまり、現実に政治が優位してるから、政治が優位すべきであるというんじゃなくて、政治が優位してるからこそ

- 人間の価値とは本来的に政治的人間ではない。(中略)〔それゆえ、政治にかかわる決断にさいしての〕価値基準は芸術とか学問とか、つまり政治的以外の価値基準の上に立って政治的選択をして行くという、パラドクシカルなものです。その意味で、政治の優位…

「人々に差別されつつ、人々を差別し返すという性格を刻印された小社会」の複合汚染

- 近代の知識人はみな「官」を志した。「官」になるべきだと世間にも考えられていた。「官」たりえないものは政客をめざし、または学者になろうとした。それが普通の道だと信じられていたなか、明治二十年頃「官」たるの道を余儀なく、また意図してはずれ、…

書評:デイヴィッド・ライアン(田島泰彦、小笠原みどり訳)『監視スタディーズ――「見ること」「見られること」の社会理論』岩波書店、2011年。

「監視」へ自ら「参加」していく現代の監視社会デイヴィッド・ライアン(田島泰彦、小笠原みどり訳)『監視スタディーズ――「見ること」「見られること」の社会理論』岩波書店、2011年。地下鉄サリン事件の容疑者の逮捕に監視カメラの映像が一躍かったことを…

書評:イバン・イリイチ、デイヴィッド・ケイリー編(臼井隆一郎訳)『生きる希望―イバン・イリイチの遺言』藤原書店、2006年。

「人間のために」と整備されたシステムとサービスが、人間の自律を喪失させていく錯綜と経緯を執拗に追求したイリイチ思想の集大成イバン・イリイチ、デイヴィッド・ケイリー編(臼井隆一郎訳)『生きる希望―イバン・イリイチの遺言』藤原書店、2006年。 本…

機械は人間を生かすために機能するのではない。機械に奉仕させるためにやむなく人間を養うにすぎない

- 科学者が科学の力をたのむのは、思考のさらなる明晰さに達するためではなく、既成の科学に附加されうる成果を発見したいと希っているからだ。機械は人間を生かすために機能するのではない。機械に奉仕させるためにやむなく人間を養うにすぎない。金銭が生…

立法者と−−法律を施行する者、訓練の教師と−−訓練をうけて冷酷に厳正になった者たち。

- 七一八(658ー59) 君たちはみな、人を殺し、ないしはたんに鞭打つだけすらの、ないしは云々するだけすらの気力をもちあわせてはいない−−、しかるに国家という巨大な機械は個々人を圧倒し、そのため個々人をは、おのれのなすことに対して責任を負うのを拒…

なんら責任を負う気のない奴隷たちは上司たちに服従するわけだが……

- なんら責任を負う気のない奴隷たちは上司たちに服従するわけだが、当の上司たち自身も監督すべき事物の量に圧倒されているだけでなく、奴隷たち以上にいっそう広範囲において無責任を決めこんでいるので、労働の遂行じたいにおいても無数の不手際や落度が…

個々人が(銘々別々に)本質的に情熱をもって一つのイデーに関係し、それから一致団結してその同じように一つのイデーに本質的に関係する、ということ

- 個々人が(銘々別々に)本質的に情熱をもって一つのイデーに関係し、それから一致団結してその同じように一つのイデーに本質的に関係する場合、その関係は完全であり正常である。その関係は、個人個人で別々である(各人は自分の自己をそれぞれ独立にもっ…

「近代社会は、あらゆる側面において、基本的に文書化されることで組織されている」

- 僕は東大の駒場キャンパスで一九九六年から足かけ三年間、「立花ゼミ」というのを開講しまして、そのゼミのタイトルは最初の二年は「調べて、書く」、三年目は「調べて、書く、発信する」としました。 タイトルを「調べて、書く」にしたいといったら、東大…

ニーチェの描写した市民社会における隊長と隊員のやりとりから一コマ(苦笑

- 党派の中の勇気。−−あわれな羊たちはその隊長に言う。「とにかく先に立って行ってくれ。そうすればわれわれは君について行く勇気を決して無くさないであろう。」あわれな隊長はしかし心の中で考える。「とにかく私の後をついて来てくれ。そうすれば私は諸…

「完全に自由な社会と、完全に不自由な社会は、実は同等の概念なのだ」!

- 最後は権力である。権力は自由社会と共存できるものなのだろうか。人間解放の非常に古典的な考え方によると、解放と権力は対立概念である。その考え方では、矛盾のない自由社会というものは権力関係が廃止された社会ということになるのだろう。そういう状…