2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「再生への提言:東日本大震災 自発的変革の気概を=ジュネーブ大教授・日本学科長、ピエール・スイリ氏」、『毎日新聞』2012年3月14日(水)付。

- 再生への提言:東日本大震災 自発的変革の気概を=ジュネーブ大教授・日本学科長、ピエール・スイリ氏 昨年、私は本紙で「日本では天災が世直しの契機でもあった」と指摘した。あれから1年。私は失望している。日本の内側から、大きな復興を契機に、長期…

種類を問わずあらゆる言論にたいして制限も留保もなく与えられる全面的かつ無限定な表現の自由は、知性にとっての絶対的な欲求である

- 言論の自由 言論の自由と結社の自由はたいてい一括して言及される。それは誤りである。自然な集まりはべつであるが、結社は魂の欲求ではなく実務生活の便法にすぎない。 これとは逆に、種類を問わずあらゆる言論にたいして制限も留保もなく与えられる全面…

覚え書:「今週の本棚:池澤夏樹・評 『ツナミの小形而上学』=ジャン=ピエール・デュピュイ著」、『毎日新聞』2012年3月11日(日)付。

- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『ツナミの小形而上学』=ジャン=ピエール・デュピュイ著 (岩波書店・1995円) ◇「思い描けない」という原理的な困難 一年前に起こった大きな破壊についてたくさんの本が書かれた。恐怖の体験の報告があり、社会的なシステ…

「宗教アレルギーから脱していくためのまじめな学習」の必要性

- もしかしたら、日本人には、宗教が非近代的だ、という観念があるのかもしれない。だからそれを知ることは、自分が古くさい考え方に左右されることになるまいかという恐れがあるのかもしれない。たしかにヨーロッパの民衆は、キリスト教会のなかでも布教に…

覚え書:「今週の本棚:中村桂子・評 『鴨長明 方丈記』=浅見和彦、校訂・訳」、『毎日新聞』2012年3月11日(日)付。

- 今週の本棚:中村桂子・評 『鴨長明 方丈記』=浅見和彦、校訂・訳 (ちくま学芸文庫・1050円) ◇災害を見据えた古典が示唆するもの 「ゆく河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつむすびて、久…

「東洋か、西洋か」「どっちが偉いのか」などという発想しかできないようでは「近代の超克」を繰り返す

※twitter連投のまとめで恐縮ですが一応のこしておきます。 「ゆく河のながれは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつむすびて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人と栖(すみか)と、またかくのごとし…

覚え書:「みんなの広場 原発再稼働を求める地元住民へ 主婦 75(福島県郡山市)」、『毎日新聞』2012年3月9日(金)付。

- みんなの広場 原発再稼働を求める地元住民へ 主婦 75(福島県郡山市) 国内で稼働中の原発はわずかです。運転停止中の原発立地住民の中には一日も早く稼働させてほしいとの声が強くあるようです。しかし、冷静な判断が必要です。原発が運転再開されれば地…

問いただされているのは、民主主義、議会制、独裁体制、宗教政治といった個々の教条ではない。人間の人間性そのものが問いただされている

- 伝播し普及していく観念は、本質的にその出発点から離れていく。観念の創造者が観念にいかに独特な調子を伝えたとしても、観念は共通遺産の一部と化す。そもそも観念は匿名のものなのだ。観念を受け容れる者も、観念を提唱した者と同様、観念の主人である…

覚え書:「個人識別番号利用法案:不明確な『公益』 監視社会化懸念」、『毎日新聞』2012年3月10日(土)付。

- 個人識別番号利用法案:不明確な「公益」 監視社会化懸念 外国人を含め住民票を有する全員に割り当てた個人番号を使って、行政機関や企業が保有する個人情報を利用するための個人識別番号利用法案(マイナンバー法案)が国会に提出された。15年1月の導…

どんなにきびしく暑い日でも かならず夕暮れが慰めてくれる そして愛情をこめ おだやかに そっと 母のような夜がその日を抱きしめてくれる

- それを忘れるなどんなにきびしく暑い日でも かならず夕暮れが慰めてくれる そして愛情をこめ おだやかに そっと 母のような夜がその日を抱きしめてくれる私の心よ おまえも おまえ自身を慰めるがよい おまえのあこがれがどんなに激しくおまえを悩まそうと …

覚え書:「母と子の戦場:3・10東京大空襲/上・下」、『毎日新聞』。

- 母と子の戦場:3・10東京大空襲/上 息子抱き、火の粉走る川へ ◇燃える街、逃げ惑った末に いかだに泳ぎ着き、助けられた 「戦争加担した」しょく罪に体験語る 「炎が吹き付けられる中、1歳3カ月の息子を背負って逃げました。突然、背中の子がギャー…

国民が主権者であり、政治の主体者であるという近代民主主義の基本原理を無視した「お上の政治」論がいまだにまかり通っているかのような風土には驚くほかないが……

- 西洋近代に誕生した国民国家モデルは、いくつかの下位モデルを生み出しつつ今日までの国際社会の単位として機能してきた。しかし、そうした「近代的」な国民国家の限界と弊害が今日ほど明らかになってきた時代はない。何よりもまず、世俗的な近代国家を目…

覚え書:「異論反論 埼玉で親子の餓死遺体が発見されました 成人した子がいても…… 寄稿=雨宮処凛」、『毎日新聞』2012年3月7日(水)付。

- 異論反論 埼玉で親子の餓死遺体が発見されました 成人した子がいても…… 寄稿 雨宮処凛 先月28日、さいたま市長への「申し入れ」に同行した。 その8日前、さいたまで親子3人の遺体がアパートから発見されたことを巡ってだ。 60代の夫婦と30代の男性の死因…

新しい人間とは人間が生における至高の価値とみなされるような暁になってのみ出現しうる

- 共産主義は新しい社会のみならず新しい人間をも創造したと主張する。ソヴィエト・ロシアでは新しい人間について、新しい精神構造について、盛んに語られ、ソヴィエト・ロシアを訪れた外国人も同じくそれについて語ることを好む。けれども新しい人間とは人…

覚え書:「再生への提言:東日本大震災 指導者は強い姿勢を=東京都知事・石原慎太郎氏」、『毎日新聞』2012年3月7日(水)付。

- 再生への提言:東日本大震災 指導者は強い姿勢を=東京都知事・石原慎太郎氏 ◇石原慎太郎(いしはら・しんたろう)氏 この1年間の行政の動きは全く評価できない。あまりにも動きが遅い。力を使い切れていない。緊急事態であり一種の戦争なのだから、それ…

「見よ、神ハ谷中ニあり」

- 一九一三(大正二)年二月一二日付、島田熊吉・宗三宛書簡 見よ、神ハ谷中ニあり。聖書ハ谷中人民の身ニあり。苦痛中に得たる智徳、谷中残留人の身の価ハ聖書の価と同じ意味で、聖書の文章上の研究よりハ見るべし。学ぶべきハ、実物研究として先ヅ残留人と…

覚え書:「橋下スタイル」『毎日新聞』連載まとめ

- 橋下スタイル:/上 船中八策、メールで即決 側近「出してみたら、お化けに」 わずか10枚の紙が国政を揺さぶっている。橋下徹・大阪市長が率いる「大阪維新の会」が次期衆院選に向け、作成した政権公約「船中八策」の原案だ。「日本再生のグレートリセッ…

覚え書:「みんなの広場 批判ばかりの政治家にうんざり」、『毎日新聞』2012年3月5日(月)付+ちょっとコメント。

- みんなの広場 批判ばかりの政治家にうんざり 中学生(15) 千葉県流山市通常国会での谷垣禎一自民党総裁の発言を聞いていると、少し前の民主党に似ているなと思います。日本人は批判するのが得意であり、好きだということを痛感するからです。思えば、国会…

覚え書:「今週の本棚:五百旗頭真・評 『とめられなかった戦争 さかのぼり日本史(2)昭和』=加藤陽子・著」、『毎日新聞』2012年3月4日(日)付。

- 今週の本棚:五百旗頭真・評 『とめられなかった戦争 さかのぼり日本史(2)昭和』=加藤陽子・著 ◇五百旗頭真・評 (NHK出版・998円) ◇あの戦争の転機を史眼と人間性でとらえる 『さかのぼり日本史』シリーズの「戦後 経済大国の“漂流”」を扱う第…

宗派は或る団体の専有物ではない。之に値する何人にも恵まるべきものである。丁度神様はすべての人類の神様である様に。

- 元来宗教は動(やや)もすると「一種の党派」になり、「いくら自分では公平なつもりでも識らず/\に自分の宗旨に肩をもち」たがるものである(大庭氏訳一六七頁)。併し少しく聡明を開いて考へて見れば、斉しく是れ一人の神の光の反映ではないか。修道院…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『人類の宗教の歴史』=F・ルノワール著」、『毎日新聞』2012年3月4日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『人類の宗教の歴史』=F・ルノワール著 (トランスビュー・3360円) ◇「新しい宗教家」が俯瞰する9大潮流の普遍 表題に「人類の宗教」と書かれていることの意味は、べつにサルやネコの宗教があるからというわけではない。…

自分自身へ眼をむけない限り、「善いことをやっている」つもりで官僚的に「極悪」業務をやってしまう

- 全体主義的支配の本質、またおそらくすべての官僚制の性格は、人間を官吏に、行政装置の中の単なる歯車に変え、そのようにして非人間化することであるということは、政治学および社会学にとっては勿論重要な問題である。 −−ハンナ・アーレント(大久保和郎…

覚え書:「VIEWPOINT 橋下市長は職員調査命令撤回を=ローレンス・レペタ」、『毎日新聞』2012年3月3日(土)付。

- VIEWPOINT 橋下市長は職員調査命令撤回を ローレンス・レペタ 明治大学法学部特任教授 大阪市の橋下市長は2月、市職員へのアンケート調査で、労働組合活動や支持する政治家などに関する個人情報を強制的に答えるように命じた。命令が許されるのならば、日…

王地に生れたれば身をば随えられたてまつるやうなりとも心をば随えられたてまつるべからず

中学校のときの同級生にクリスチャンがひとりいた。 修学旅行は、京都・奈良の史跡・社寺仏閣が中心のコースだったと思う。 その時、その同級生は、お賽銭を投げるだとか、鳥居をくぐるだとか、手を合わせるだとか、そうした「慣習」をきっぱりと拒否した。…

覚え書:「木語:「30万人説」広めただけ=金子秀敏」、『毎日新聞』2012年3月1日(木)付。

- 木語:「30万人説」広めただけ=金子秀敏 <moku−go> 名古屋市の河村たかし市長が物議をかもした。1937年の南京事件の被害者について「30万人とされるような大虐殺はなかったのではないか」と発言した。 「30万ではない」説は日本国内で…

旨いもの・酒巡礼記:東京都・新宿区編「ビア&カフェ BERG」

- 大治郎は、また老人に出会った。 山谷堀の南に、真土山(まつちやま)の聖天宮(しょうてんぐう)がある。 この日も、大治郎は田沼屋敷からの帰りで、いつもよりは時刻も早かったものだから、聖天宮へ参拝してから、門前の〔月むら〕という蕎麦屋へ入り、 …

覚え書:「東日本大震災:暮らしどうなる? 避難所、仮設での暴力防げ」、『毎日新聞』2012年3月1日(木)付。

- 東日本大震災:暮らしどうなる? 避難所、仮設での暴力防げ女性、子どもに被害多く 支援団体、対策作りへ実態調査 東日本大震災に関連して起きた女性や子どもたちへの暴力や性暴力が、相談支援を続けてきた団体によって少しずつ明らかになっている。支援団…

習慣としきたりの訓練を受けなくてはなりません。一回限りではなく、持続的に、永遠に

- 資本を社会的なものに向けるためには、有権者は民主主義の習慣としきたりの訓練を受けなくてはなりません。一回限りではなく、持続的に、永遠に。(学校は閉鎖しません。いずれの世代も、教育を受けにやって来ます。それゆえ、私は「導き続ける」と言った…

覚え書:「異論反論 橋下大阪市長に注目が集まっています 危うくとも潰してならぬ=佐藤優」、『毎日新聞』2012年2月29日(水)付。

- 異論反論 橋下大阪市長に注目が集まっています 危うくとも潰してならぬ 寄稿 佐藤優日本の政治が機能不全を起こしている。この閉塞状況を打破してくれるのではないかと橋下徹大阪市長に対する期待感が高まっている。同時に、橋下氏の手法が、ファシズムに…

国民のどの部分も「自己の反省」が無い。凡そ自己に対して反対の運動の起つた時、これを根本的に解決するの第一歩は、自己の反省でなければならない。

- 朝鮮の暴動(三・一独立運動のこと……引用者註)は、言うまでもなく昭代の大不祥事である。これが真因いかん、又根本的解決の方策いかんに就ては、別に多少の意見はある。ただこれらの点を明かにするの前提として、予輩のここに絶叫せざるを得ざる点は、国…