人種・民族

覚え書:「書評:民俗と民藝 [著]前田英樹 [評者]鷲田清一」、『朝日新聞』2013年05月26日(日)付。

- 民俗と民藝 [著]前田英樹 [評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学) [掲載]2013年05月26日 [ジャンル]歴史 社会 ■「暮らしの真実」透視した2人 学術用語の初期の翻訳例に、今は「真理」「真実」と訳されるtruthの訳語として「本真(ホンマ)」というのが…

誹謗は漠然とした人間嫌いから出た想定である

- 誹謗 CALOMNIE 誹謗は漠然とした人間嫌いから出た想定である。想像上の行為を対象とした誹謗は、嘘である。しかし、動機を対象とした誹謗は、人間嫌いそのものとちょうど同じ程度にほんとうらしい。誹謗は決して止まらない。それ自身で落ちて行く。そして…

覚え書:「記者の目:アイヌ遺骨返還問題」、『毎日新聞』2013年05月21日(火)付。

- 記者の目:アイヌ遺骨返還問題北海道報道部 千々部一好研究者のモラル確立を 北海道大や東京大、京都大など全国11大学が、「人類学の研究」と称して明治時代から戦後までの期間に墓地から集めたアイヌの遺骨が1633体に上ることが4月、文部科学省の…

書評:飯倉章『黄禍論と日本人 欧米は何を嘲笑し、恐れたのか』中公新書、2013年。

- 他に西洋列強諸国が勝利の要因として注目したのは、日本の愛国主義である。そのお様子を如実に示しているのが『パンチ』に載った「愛国心のレッスン」〔図6−19〕だ。日本の軍事的成功に、ジョンブルが「あなたの軍制度はみごとに機能しているように思われ…

覚え書:「書評:黄禍論と日本人 飯倉章著」、『東京新聞』2013年5月5日(日)付。

- 黄禍論と日本人 飯倉章 著 2013年5月5日 [評者] 成田龍一 日本女子大教授。著書『近現代日本史と歴史学』など。 ◆風刺画を丹念に解読 「黄禍論」とは、白人たちが「黄色人種」の脅威を説くもので、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世−カイザーが十九世紀末に唱…

覚え書:「書評:謎の独立国家ソマリランド [著]高野秀行 [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 謎の独立国家ソマリランド [著]高野秀行 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 著者:高野秀行 出版社:本の雑誌社 価格:¥ 2,310Amazon.co.jp楽天ブックス紀伊國屋書店BookWebTSUTAYA onlin…

覚え書:「発言 朝鮮学校差別 再考が必要」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 発言 朝鮮学校差別 再考が必要 田中宏 一橋大名誉教授(日本社会論) 2020年のオリンピック・パラリンピック開催地が9月に決まるため、東京都の猪瀬直樹知事は招致活動を本格化させている。そうした時に、都及び日本政府は朝鮮学校差別を続けていてい…

覚え書:「悼む 病と闘いながら歌い続け=熊谷たみ子さん アイヌ民族のジャズ歌手」、『毎日新聞』2013年02月23日(土)付。

- 悼む 病と闘いながら歌い続け 熊谷たみ子さん アイヌ民族のジャズ歌手 大腸がんのため 1月2日死去・60歳1枚のCDが手元にある。東日本大震災後、被災者支援を目的に有志で自主制作した。タイトルは「大地よ」。 同じくアイヌ民族の宇梶静江さん(79…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『ツヴァイク日記 1912−1940』=クヌート・ベック編」。『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『ツヴァイク日記 1912−1940』=クヌート・ベック編 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (東洋出版・4200円) ◇亡命作家“その人”を赤裸々にのぞかせた記録 作家シュテファン・ツヴァイク(一八八…

書評:水島治郎『反転する福祉社会 オランダモデルの光と影』岩波書店、2012年。

水島治郎『反転する福祉社会 オランダモデルの光と影』岩波書店、読了。働き方と社会福祉に関するオランダの取り組みは、社会的「包摂」の理想とされるが、同時に「移民排除」と「移民統合(同化)」を強固に推進している。本書は対極に見える現象の背景に目…

覚え書:「フランクル『夜と霧』への旅 [著]河原理子 [評者]後藤正治」、『朝日新聞』2013年01月27日(日)付。

- フランクル『夜と霧』への旅 [著]河原理子 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家) [掲載]2013年01月27日■豊かな時代にも「人生の意味」求め いわゆる“この一冊″に、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』(原題は「一心理学者の強制収容所体験」)をあ…

覚え書:「ナショナリズムを考える B・アンダーソンさんに聞く」、『朝日新聞』2012年11月13日(火)付。

- ナショナリズムを考える B・アンダーソンさんに聞く(ナショナリズム研究の第一人者) 「排外主義や人種差別は、ナショナリズムとは本来、別のものなのです」=米ニューヨーク州イサカ、増池宏子氏撮影ベネディクト・アンダーソンさん米コーネル大名誉教…

多くの日本人は、ヨーロッパやアメリカには人種差別があるけど、自分たちには人種差別の伝統がないと思っているから、非常に無防備にレイシズムが表に出てきてしまう

- 姜 今回の「中国人犯罪者民族的DNA」発言(引用者註……、2001年5月8日付『産経新聞』掲載の石原慎太郎都知事のコラム、「こうした民族的DNAを表示するような犯罪が蔓延することでやがて日本社会全体の資質が変えられていく」と言及)は、「三国人」…

私たちは「まあ、大丈夫だろう」……そう思うのは自由ですが、その保証はどこにもない。

- 「私たちが闘争の中で経験させられたことですが、教会に対する国家の圧迫は、時を経るに従って激しくなってゆきましたし、教会はだんだんと隅っこの方へ追いやられて押しこめられてしまい、告白教会の中での一致は、国家の圧力によって危機に瀕しました。…

覚え書:「台湾:先住民の蜂起描いた映画『セデック・バレ』監督 歴史を語り恨み解きたい」、『毎日新聞』2011年10月20日(木)付。

- 台湾:先住民の蜂起描いた映画「セデック・バレ」監督 歴史を語り恨み解きたい ◇歴史を語り恨み解きたい 日本統治時代(1895〜1945年)の台湾で先住民セデック族約300人が蜂起した「霧社(むしゃ)事件」(1930年10月)。日本人の警官や…

民族が共同体を形成するのではなく共同体が民族を創造する

- 民族はいかにして形成されるか。この問いに対する「出エジプト記」の答に曖昧なところはない。歴史的には国家が民族に先行し、民族なるものは国家の鋳型の中で成長してくる。民族という存在は国家による民衆の強制的な訓練や教育の予期せぬ所産である。民…

顔は殺意に立ち向かう

- 存在者との関係は顔への請願であり、すでにして発語であるということ。この関係は地平との関係であるよりもむしろ深さとの、地平にうがたれた穴との関係であるということ。私の隣人は存在者の最たるものであるということ。光り輝く地平線上に存在する、そ…

ルース・ベネディクト『人種主義 その批判的考察』の価値 人種主義−−現代社会における「主義」(ism) その2

- ベネディクトの研究が生き残った理由は、Race:Science and Politicsのなかでは次のような形で発見できる。つまり噂・ステレオタイプ・偏見をそのまま受け入れず、偏見などのルーツは何で、何を反映しているのか、そしてそれを現実と比較して何がわかるのか…

ルース・ベネディクト『人種主義 その批判的考察』の価値 人種主義−−現代社会における「主義」(ism) その1

- 本書はRuth Benedict,Race:Science and Politics (The Viking Press,New York,1959) の翻訳である。 近年、“人種”概念の再検討が盛んであるが、一方には、J・P・ラシュトンの『人種 進化 行動』(蔵琢也訳、博品社、一九九六年)のように遺伝的人種差を…