連帯・協同・共同

書評:柳博雄『私もパーキンソン病患者です。』三五館、2013年。

柳博雄『私もパーキンソン病患者です。』三五館、2013年、読了。著者は新聞記者を定年後、病に倒れた。闘病生活は5年目を迎える。本書は自身の闘病の中で「高齢障害者医療や介護保険制度の行く末」(副題)を綴った一冊だ。矛盾と問題の指摘は実に精確であ…

書評:駒井洋監修、小林真生編『移民・ディアスポラ研究3 レイシズムと外国人嫌悪』明石書店、2013年。

駒井洋監修、小林真生編『移民・ディアスポラ研究3 レイシズムと外国人嫌悪』明石書店、読了。官民あげて高まる拝外主義とヘイトスピーチだが、その台頭に対する日本社会の認識も対応も著しく遅れている。本書は「レイシズムと外国人嫌悪」の実態を露わにし…

書評:J・スコット(佐藤仁監修、ほか翻訳)『ゾミア 脱国家の世界史』みすず書房、2013年。

J・スコット『ゾミア 脱国家の世界史』みすず書房、読了。ゾミア(大陸部東南アジア山岳地帯)の歩みとは文明から切り離された未開社会なのか。国家主義的ナラティブは山地民を野蛮と断ずるが、著者はNo。ゾミアこそ「脱国家」の共同体である。 山地民の…

覚え書:「私の社会保障論 キューバからもらう勇気=本田宏」、『毎日新聞』2013年12月11日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 キューバからもらう勇気 医療と教育を無償化する国 本田宏 埼玉県済生会栗橋病院院長補佐 10年有余、人口当たりの医師数が最低の埼玉から、日本の低医療費と医師養成抑制の問題を訴えてきた。しかし税と社会保障の一体改革…

書評:山崎亮『コミュニティデザイン 人がつながるしくみをつくる』学芸出版社、2011年。

- 人口減少、少子高齢化、中心市街地の衰退、限界集落、森林問題、無縁社会など、社会的な課題を美と共感の力で解決する。そのために重要なのは、課題に直面している本人たちが力を合わせること。そのきっかけをつくりだすのがコミュニティデザインの仕事だ…

病院日記(5) 世間様に無言に「荷担」し、無言で「遠慮」すること

少しtwに連投した殴り言で、かつ、内容が錯綜はしているのですが、記録として残しておきます。そのうち、議論を整理して幾つかに分けて掲載し直そうとは思いますが(汗 さて……。帰宅った。今季最大の猛暑にてかなりへろへろ。看護助手は屋内業務なのに仕事…

覚え書:「発言 住民参加拒む行政の暴走=國分功一郎」、『毎日新聞』2013年06月13日(木)付。

- 発言 住民参加拒む行政の暴走 國分功一郎 高崎経済大学准教授 5月26日に東京都小平市で行われた住民投票は、都内初の直接請求による住民投票として注目を集めた。特に投票1週間前からは新聞各紙が連日報道し、代表的なテレビニュース番組が大きく取り…

覚え書:「書評:『労働組合運動とはなにか』 熊沢誠著 評・開沼博」、『読売新聞』2013年03月31日(日)付。

- 『労働組合運動とはなにか』 熊沢誠著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) 自立を求める営み 私たち「おじさん」は、ウザイと煙たがられても、労働組合の必要性を説き続けなければなりません――。 そんな若者・女性への思いを「主題の前置き」としつ…

書評:ピョートル・クロポトキン(大窪一志訳)『相互扶助再論 支え合う生命・助け合う社会』同時代社、2012年。

- 近頃では、理想などというと嘲笑われるだけだ、とよくいわれる。そして、なぜそうなのかは、たやすくわかる。理想ということばが、純情な人たちをだますのに使われてばかりきたからだ。だから、こういった反撥が起こるのは当然だし、健全だとさえいえる。…

「人間を内面から変えていくという、そういう人間変革の問題」としての「社会変革」

- −−ある意味でキリスト教を捨てて文学をやったというか、そういう人の中にほんとうのキリスト教的なものがあったのでしょうか? そこが内村などには非常に問題になったところでしょうが、例の芸術的価値の追求や政治的価値の追求と宗教的価値の追求の間にみ…

書評:リンダ・ポルマン(大平剛訳)『クライシス・キャラバン 紛争地における人道援助の真実』東洋経済新報社、2012年。

リンダ・ポルマン『クライシス・キャラバン 紛争地における人道援助の真実』東洋経済新報社、読了。人道援助の現場の混乱と真実をレポートする「衝撃」の一冊。飢えた子供への憐憫が集めた資金や物資は巨大な利権だ。それを援助団体、武装組織、地元の政府と…

覚え書:「書評:東北発の震災論―周辺から広域システムを考える [著]山下祐介 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 東北発の震災論―周辺から広域システムを考える [著]山下祐介 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年03月03日 ■脱原発ではなく脱システムを 本書を最後まで読むと恐ろしくなってくる。「震災論」とあるが、じつは「広域システム」論だ。…

覚え書:「書評:『コモンウェルス』 アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート著 評・宇野重規」、『読売新聞』2013年01月27日(日)付。

- 『コモンウェルス』 アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート著評・宇野重規(政治学者・東京大教授) 高まる〈共〉の重要性 ネグリとハートの著作『帝国』が話題になったのは、2000年のことである。冷戦終焉後のグローバル化の中で、新たな権力形態が生…