2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「仏大統領選 私はこう見る 英・政策研究センター オラム・クラム所長」、『毎日新聞』2012年5月12日(土)付。

- 仏大統領選 私はこう見る 英・政策研究センター オラム・クラム所長成長戦略、長期的視野で 選挙では「上げ潮路線」を掲げる社会党のオランド前第1書記と、財政規律強化を訴えるサルコジ大統領の経済政策をめぐる対立が焦点となった。だが、年金支給年齢…

魂の場合は、無理に強いられた学習というものは、何ひとつ魂のなかに残りはしないからね

- 「ほかでもない」とぼくは言った、「自由な人間たるべき者は、およそいかなる学科を選ぶにあたっても、奴隷状態において学ぶというようなことは、あってはならないからだ。じじつ、これが身体の苦労なら、たとえ無理に強いられた苦労であっても、なんら身…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 検討始まった生活支援戦略 湯浅誠」、『毎日新聞』2012年5月11日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 検討始まった生活支援戦略 湯浅誠 半貧困ネットワーク事務局長困窮者の暮らし丸ごと支える 4月9日の国家戦略会議に、厚生労働省は、「『生活支援戦略(仮称)』の推進について」と題するペーパーを提出した。?生活困窮・孤…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『風化する光と影 “メディアから消えつつある震災”の中間報告』=太田伸幸ほか編」、『毎日新聞』2012年05月06日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『風化する光と影 “メディアから消えつつある震災”の中間報告』=太田伸幸ほか編 毎日新聞 2012年05月06日 東京朝刊 (マイウェイ出版・1000円) 震災報道から「見たくないもの」が減ったいま、「被災地モノは売れない」と知りながら…

言語活動は立法権であり、言語はそれに由来する法典である。われわれは、言語のうちにある権力に気づかない。

- 私が権力的言説と呼ぶのは、言説を受け取る側の人間に誤ちがあるとし、したがって、罪があるとするような言説のすべてである。ある人々は、われわれ知識人があらゆる機会に「国家権力」に反対して行動することを期待している。しかし、われわれの真の戦い…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『なのはな 萩尾望都作品集』=萩尾望都・著」、『毎日新聞』2012年05月06日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『なのはな 萩尾望都作品集』=萩尾望都・著 (小学館・1200円) サブカルチャーの筆頭といえるマンガは、時にどのメディアよりも早く、鋭く社会を活写する。福島第1原発事故の後、少女マンガの第一人者がそれを実証してみせたかの…

書評:原武史『「鉄学」概論 車窓から眺める日本近現代史』新潮文庫、平成二十三年。

- 鉄道はダイヤや車両だけにあらず、駅舎やホーム、路線、駅名、車窓風景、そして鉄道を利用する人々といった、複雑で様々な要素が絡み合うことで成り立っている。 一八七二(明治五)年の新橋−横浜間の開業以来、すでに百四十年近くにおよぶ鉄道の歴史は、…

覚え書:「今週の本棚:沼野充義・評 『人生と運命 全3巻』=ワシーリー・グロスマン著」、『毎日新聞』2012年05月06日(日)付。

- 今週の本棚:沼野充義・評 『人生と運命 全3巻』=ワシーリー・グロスマン著 (みすず書房・1巻=4515円、2・3巻=4725円) ◇「人間の自由」を現代に刻む一大叙事長篇 心底驚くべき翻訳の出現である。二〇世紀のロシア文学の中で、最高の傑作と…

書評:アジット・K・ダースグプタ(石井一也ほか訳)『ガンディーの経済学−−倫理の復権を目指して』作品社、2010年。

経済学と倫理を交差させた柔軟かつ実践的なガンディーの思想を辿るアジット・K・ダースグプタ(石井一也ほか訳)『ガンディーの経済学−−倫理の復権を目指して』作品社、2010年。「非暴力」「不服従」を唱えた「インド独立運動の父」“裸の聖者”として有名な…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:原発=村田喜代子・選」、『毎日新聞』2012年05月06日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:原発=村田喜代子・選 <1>虹のカマクーラ(平石貴樹著/柿谷浩一編『日本原発小説集』所収/水声社/1890円) <2>チェルノブイリ原発事故 ある一日の報告(クリスタ・ヴォルフ著、保坂一夫訳/『クリスタ・ヴォルフ選集2…

書評:山本武利『朝日新聞の中国侵略』文藝春秋、2011年。

軍部による報道の検閲や嘘の報道? 実は自ら進んでその旗を振ることで成立した翼賛ジャーナリズム山本武利『朝日新聞の中国侵略』文藝春秋、2011年。8.15を境にしたメディアの変貌はひどいものがある。その日まで「鬼畜米英」と煽りに煽り、その日から「…

否定はしなかったことと全面肯定とは別なのだ

- ところで、営利や自己保存を他の一切に優先させる雑誌と異なり、人間としての読者(国民)の尊重を第一義とする雑誌は、軽率な変身による読者の切り捨てや、みずからの都合のみによってその主張や方針を転換することはない。むろん、規制の強化によって次…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『私たちは“99%”だ ドキュメント ウォール街を占拠せよ』=『オキュパイ!ガゼット』編集部・編」、『毎日新聞』2012年05月06日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『私たちは“99%”だ ドキュメント ウォール街を占拠せよ』=『オキュパイ!ガゼット』編集部・編 (岩波書店・2100円) 恐らくは「アラブの春」の影響もあったかもしれない。昨年の九月一七日、ウォール街近くのズコッティ・パーク…

風邪ではじまり風邪おわるゴールデンウィークorz

ゴールデンウィークが終わろうとしておりますが、結局のところ「風邪」で始まり、「風邪」で終わるといういつものパターンという不始末。まあ、寒暖の差の激しい季節ですので致し方ないという話もありますが、今年はなんとか3日と4日を休みにすることがで…

書評:荻野昌弘編『文化・メディアが生み出す排除と解放 差別と排除のいま』明石書店、2011年。

メディアの排除と解放の両方に注目し、新しい排除と差別の多様さをあぶり出す荻野昌弘編『文化・メディアが生み出す排除と解放 差別と排除のいま』明石書店、2011年。「安易に『良い文化』と『悪い文化』に文化を色分けし、良い文化だけを増やせばいいという…

書評:原武史『可視化された帝国[増補版]−−近代日本の行幸啓(始まりの本)』みすず書房、2011年。

鉄道が形成する「可視化された帝国」原武史『可視化された帝国[増補版]−−近代日本の行幸啓(始まりの本)』みすず書房、2011年。ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』(NTT出版)は、近代史や近代文化史を研究する者にとっては、いわば基本中…

和辻倫理学は、近代日本国家の勃興と挫折に運命を共にした思想体系であると評すべきもの

- 和辻倫理学の評価にかえる。彼の近代主義批判は、日本の文化的伝統に即しつつ西洋近代を克服しようとする試みであったが結果的には失敗に終わったといわなくてはならない。ただ彼がおちいった誤りは、現代史における文化的ナショナリズムの問題性を尖鋭な…

書評:村岡健次『イギリスの近代・日本の近代―異文化交流とキリスト教』ミネルヴァ書房、2009年。

宗教に軸足を置きながら、日本の西洋化の過程と問題に鋭く迫るユニークな一冊。村岡健次『イギリスの近代・日本の近代―異文化交流とキリスト教』ミネルヴァ書房、2009年。 同じ島国として対比されるのがイギリスと日本。このふたつの国に関する比較文化論は…

酒をのめ、君、つまらぬことを言わぬがよい。

- 選ぶなら酒場の舞いの男(カランダール)の道がよい。 酒と楽の音と恋人と、そのほかには何もない! 手には酒盃、肩には瓶子ひとすじに 酒をのめ、君、つまらぬことを言わぬがよい。 −−オマル・ハイヤーム(小川亮作訳)『ルバイヤート』岩波文庫、1979年…

書評:鶴見俊輔『言い残しておくこと』作品社、2009年。

鶴見さんのユニークな平和思想・非暴力主義、そして「じぶんで考える」という哲学的スタンスはどのように生成されたのか。鶴見俊輔『言い残しておくこと』作品社、2009年。 個人的なことがらから語るとすれば、鶴見俊輔氏は、ぼくのなかでは綺羅星であること…

「黒白(こくびゃく)」で片づける思考方法を破棄してくれた池波正太郎先生への感謝

- 中年男の梅吉は少年のような矮軀(わいく)であったが、きちんとした堅気の風体で、連れの三十がらみの男と茶店から出て来て、参道を遠ざかって行った。そのとき、 「では、明後日。またここでね、いいかえ」 という梅吉の声が、はっきりとおふじの耳へ入…

「選択の余地のない唯一のアイデンティティという幻想」に抗する

- 実際、世界における多くの紛争や残虐行為は、選択の余地のない唯一のアイデンティティという幻想を通じて継続されている。憎悪をかき立てる「技」は、その他の帰属意識に勝る卓越したアイデンティティと考えられているものの魔力を利用するものとなる。こ…

覚え書:「今週の本棚:中村桂子・評『なぜ地球だけに陸と海があるのか』=巽好幸・著」、『毎日新聞』2012年04月29日(日)付。

- 今週の本棚:中村桂子・評 『なぜ地球だけに陸と海があるのか』=巽好幸・著 (岩波科学ライブラリー・1260円) ◇水ゆえに大きく変動するこの星のしくみ 地球に陸と海があるなんてあたりまえ、多くの方がそう思っているだろう。私の場合、仕事柄海につ…

書評:ムスタファ・シェリフ(小幡谷友二訳)『イスラームと西洋―ジャック・デリダとの出会い、対話』駿河台出版社、2007年。

デリダとイスラーム?……文明の根源は「多元性」の尊重、そして保障する「来るべき民主主義」の普遍主義を語る。書評:ムスタファ・シェリフ(小幡谷友二訳)『イスラームと西洋―ジャック・デリダとの出会い、対話』駿河台出版社、2007年。 「私は多元性が文…

もうすこし信じることをやめて、その分認識するように・もうすこし願望することをやめて、その分活動するように・願望することをやめて、その分愛するように

- 願望することを自分に禁じるのも、絶望を望むのも問題とはなりません。肝心なのは、理論的な領域では、もうすこし信じることをやめて、その分認識するようにすることですし、実践の、つまりは政治や倫理の領域では、もうすこし願望することをやめて、その…