2014-01-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「政治の起源―人類以前からフランス革命まで(上・下) [著]フランシス・フクヤマ [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)」、『朝日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 政治の起源―人類以前からフランス革命まで(上・下) [著]フランシス・フクヤマ [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2014年01月19日 [ジャンル]政治 ■巨視的な視点で〈いま〉捉え直す 国内外問わず、時局的な政治解説に日々接していると、ふと…

覚え書:「書評:彗星的思考 平井 玄 著」、『東京新聞』2014年1月19日(日)付。

- 彗星的思考 平井 玄 著 2014年1月19日 写真 ◆嗅覚で読むテキスト [評者]丸川哲史=明治大教授 書名「彗星(すいせい)」について、著者は簡潔に「恒星系を斜めに横切って旅する『宇宙のアノマリー(特異性)』」と述べている。本書のモチーフには否応(…

日記:有機的知識人としての吉野作造

- 知ることから理解することへの移行 知ることから理解すること、感じることへの移行、あるいはその逆に感じることから理解すること、知ることへの移行。民衆的分子は「感じる」ことはあっても、つねに理解し、知るとはかぎらない。また知識人分子は「知る」…

覚え書:「書評:憲法と、生きる 東京新聞社会部 編」、『東京新聞』2014年01月19日(日)付。

- 憲法と、生きる 東京新聞社会部 編 2014年1月19日 ◆一人ひとりの身近に [評者]横尾和博=文芸評論家 「憲法」が身近ではなかった。抽象的で日々の生活からは遠く離れていた。多くの人がそう感じているのではないか。私も同様だ。しかし自民党憲法改正草…

覚え書:「書評:本ってなんだったっけ? 森 彰英+『週刊読書人』取材チーム 著」、『東京新聞』2014年1月19日(日)付。

- 【書評】本ってなんだったっけ? 森 彰英+「週刊読書人」取材チーム 著 2014年1月19日 ◆紙の本が持つ魅力伝える [評者]川井良介=東京経済大教授、日本出版学会会長 本書は「紙の本の将来」を憂慮するフリージャーナリストらによる「紙の本へのエール」…

覚え書:「書評:濱口雄幸伝(上)(下) 今井 清一 著」、『東京新聞』2014年1月19日(日)付。

- 濱口雄幸伝(上)(下) 今井 清一 著 2014年1月19日 ◆強く明るい政治めざして [評者]櫻井良樹=麗澤大教授 一九三○(昭和五)年十一月十四日、濱口雄幸(おさち)首相は東京駅で狙撃された。犯人は、金解禁と緊縮財政が農村の窮乏を招き、ロンドン軍縮…

書評:立木康介『露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析』河出書房新社、2013年。

立木康介『露出せよ、と現代文明は言う 「心の闇」の喪失と精神分析』河出書房新社、読了。全てを晒そうとする欲望と内面の露出が人間を突き動かしている。現代文明の特徴とは「露出」ではないか−−挑発的な現代批評だが肯きながら読んだ。躍起になってベール…

覚え書:「今週の本棚:井波律子・評 『岩波 世界人名大辞典』=岩波書店辞典編集部編」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚:井波律子・評 『岩波 世界人名大辞典』=岩波書店辞典編集部編 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 (岩波書店・2万9400円) ◇世界史に輝きを放つ人々を知る喜び さまざまな情報が氾濫する現代、古今東西、もろもろの人物について、正確な…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『神社の起源と古代朝鮮』=岡谷公二・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『神社の起源と古代朝鮮』=岡谷公二・著 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 (平凡社新書・840円) 神社というと、日本固有の存在と考えやすい。そのせいか、神社のもつ外来的要素を探る研究は異端視されがちだ。著者は神社信仰の成…

覚え書:「今週の本棚:中島岳志・評 『岡倉天心「茶の本」を読む』=若松英輔・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚:中島岳志・評 『岡倉天心「茶の本」を読む』=若松英輔・著 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 (岩波現代文庫・945円) ◇「美の宗教」から捉えるアジアという普遍性 日本とアジアの関係が日増しに重要となる今日、岡倉天心はアクチュアルな…

覚え書:「発信箱:丸山真男と北条民雄=小国綾子(夕刊編集部)」、『毎日新聞』2014年01月21日(火)付。

- 発信箱:丸山真男と北条民雄=小国綾子(夕刊編集部) 毎日新聞 2014年01月21日 政治思想史家、丸山真男さん(享年82)の記事を書くため著作を読み進め、ふと気になった。1933年、19歳で治安維持法違反容疑で検挙された丸山さん、激しい特高の取り…

覚え書:「ローマ法王:長崎キリシタンは「模範」 潜伏し信仰死守、称賛」、『毎日新聞』2014年01月17日(金)付。

- ローマ法王:長崎キリシタンは「模範」 潜伏し信仰死守、称賛 毎日新聞 2014年01月17日 東京朝刊一般謁見に現れたフランシスコ・ローマ法王=バチカンのサンピエトロ広場で15日、AP 【ローマ福島良典】世界のキリスト教カトリック信徒約12億人の頂点…

覚え書:「今週の本棚:若島正・評 『日本語に生まれて』=中村和恵・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚:若島正・評 『日本語に生まれて』=中村和恵・著 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 (岩波書店・1995円) ◇揺れる日本語と世界の出会い 『日本語に生まれて』−−このインパクトのあるタイトルを見て、おやと疑問に思う人は多いだろう。われ…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『放射能−キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響』/『光の子ども 1』」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『放射能−キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響』/『光の子ども 1』 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 ◆池内紀(おさむ)評 ◆『放射能−キュリー夫妻の愛と業績の予期せぬ影響』=ローレン・レドニス著、徳永旻訳 (国書刊行会・…

書評:細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮社、2013年。

細馬宏通『ミッキーはなぜ口笛を吹くのか アニメーションの表現史』新潮社、読了。世界で初のアニメーションは『愉快な百面相』(1906年)。3分の作品は黒板に描かれたチョーク画だった。黒板の絵が動く。最初期のアニメはヴォードヴィルの「チョーク・…

覚え書:「みんなの広場 リーダとしての分別がない」、『毎日新聞』2014年01月15日(水)付。

- みんなの広場 リーダーとしての分別がない 無職 80(千葉県船橋市) 「靖国神社に祭られる英霊に対して尊崇の念を持ち参拝するのは当然だ」と、安倍晋三首相は言う。それは間違いではない。ただ、置かれている立場を考えないことが、分別が無いと言われ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『山の本をつくる』=中西健夫・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『山の本をつくる』=中西健夫・著 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 (ナカニシヤ出版・2940円) 京都大にほど近いナカニシヤ出版は人文系の専門書で定評ある中堅出版社だが、良質の山岳書をコツコツと出していることでも知られる…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『月日の残像』=山田太一・著」、『毎日新聞』2014年01月19日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『月日の残像』=山田太一・著 毎日新聞 2014年01月19日 東京朝刊 (新潮社・1680円) テレビの人気脚本家というと派手な印象があるが山田太一はむしろ地味。好んで表に出ないようにしているところがある。 大学を卒業してから松竹に…

書評:駒井洋監修、小林真生編『移民・ディアスポラ研究3 レイシズムと外国人嫌悪』明石書店、2013年。

駒井洋監修、小林真生編『移民・ディアスポラ研究3 レイシズムと外国人嫌悪』明石書店、読了。官民あげて高まる拝外主義とヘイトスピーチだが、その台頭に対する日本社会の認識も対応も著しく遅れている。本書は「レイシズムと外国人嫌悪」の実態を露わにし…

覚え書:「みんなの広場 現憲法は変える必要ない」、『毎日新聞』2014年01月16日(木)付。

- みんなの広場 現憲法変える必要ない 無職 58(宮崎市) 法律関係の資格を目指して憲法を学んでいる。憲法は、学べば学ぶほど実によくできていると感じている。「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3本の柱からなり、その目指すところは恒久平…

覚え書:「豊国祭礼図を読む [著]黒田日出男」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- 豊国祭礼図を読む [著]黒田日出男 [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 豊臣秀吉の死後、京都の武家や町衆が行った祭礼を描いた17世紀初頭のびょうぶ絵が豊国祭礼図だ。狩野内膳作の豊国神社本と、描法が個性的な岩佐又兵衛…

覚え書:「歌舞伎座五代―木挽町風雲録 [著]石山俊彦 [評者]隈研吾(建築家・東京大学教授)」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- 歌舞伎座五代―木挽町風雲録 [著]石山俊彦 [評者]隈研吾(建築家・東京大学教授) [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 ■国家背負った大劇場の歴史 まず江戸時代以来、「歌舞伎座」という名の大劇場が、脈々と伝統を継承してきた…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 医療現場にも忍び寄る影=本田宏」、『毎日新聞』2014年01月15日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 医療現場にも忍び寄る影 秘密保護法とインフォームドコンセント 本田宏 埼玉県済生会栗橋病院院長補佐 今年は私にとって還暦に当たる年だが、今回ほど沈鬱な気分で正月を迎えたのは初めてだ。昨年12月に国内各層からの幅広…

覚え書:「『ユダ福音書』の謎を解く [著]エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング [評者]赤坂真理(作家)」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- 『ユダ福音書』の謎を解く [著]エレーヌ・ペイゲルス、カレン・L・キング [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 ■イエスの死に異説、新たなユダ像 子供の頃、キリスト教は魅惑的で、少し恐怖だった。その素…

覚え書:「復興文化論―日本的創造の系譜 [著]福嶋亮大 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化)」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- 復興文化論―日本的創造の系譜 [著]福嶋亮大 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]歴史 ノンフィクション・評伝 ■柿本人麻呂から宮崎駿まで 柿本人麻呂から『平家物語』『太平記』『椿説弓張月』、三島由紀夫、太宰…

覚え書:「ブラック企業ビジネス [著]今野晴貴 [評者]水無田気流(詩人・社会学者)」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- ブラック企業ビジネス [著]今野晴貴 [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]社会 ノンフィクション・評伝 ■信頼を食い潰すビジネスの論理 昨今頻繁に目にする「ブラック企業」という言葉。だがその実態や社会背景は、今なお正…

日記:コロンビア大学コアカリキュラム研究会

- 「ところで、そのうちまず優秀者支配制に対応するそれと相似た人間については、われわれはすでにこれを詳しく論じたが、このような人間を善くかつ正しい人間であると、われわれは正当に主張するのだ」 「ええ、すでに論じました」 「そうすると、つぎにわ…

覚え書:「いま読むペロー「昔話」 [訳・解説]工藤庸子 [評者]柄谷行人(哲学者)」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- いま読むペロー「昔話」 [訳・解説]工藤庸子 [評者]柄谷行人(哲学者) [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝■グリムと異なり大人に向けて グリムの童話「赤頭巾」では、少女がお婆(ばあ)さんに化けた狼(おおかみ)に食われたあと、猟…

覚え書:「遠い鏡―災厄の14世紀ヨーロッパ [著]バーバラ・W・タックマン [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学)」、『朝日新聞』2014年01月12日(日)付。

- 遠い鏡―災厄の14世紀ヨーロッパ [著]バーバラ・W・タックマン [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2014年01月12日 [ジャンル]歴史 社会 ■怒りと不安の中、準備された未来 「遠い鏡」こそが現在を映し出す。本書を読むと、いま起きている問題は…

覚え書:「書評:花森安治伝 日本の暮しをかえた男 津野 海太郎 著」、『東京新聞』2014年01月12日(日)付。

- 花森安治伝 日本の暮しをかえた男 津野 海太郎 著 2014年1月12日 ◆雑誌通じ生き方問う [評者]鷲尾賢也=評論家 雑誌・書籍、文芸・学芸といったジャンルをこえ、時代を画した伝説的な存在を大編集者という。文芸春秋の池島信平、新潮社の斎藤十一、みす…