全体主義・ファシズム・総動員

覚え書:「みんなの広場 大震災を改憲の口実にするな」、『毎日新聞』2013年03月25日(日)付。

- みんなの広場 大震災を改憲の口実にするな 無職 75(奈良県香芝市) 東日本大震災からまる2年の前日である10日、自民党の石破茂幹事長は党宮城県連退会での講演で、大震災に関連して「国民の生命・愛三や国家そのものが危急存亡の危機にひんしたとき、…

覚え書:「今週の本棚:加藤陽子・評 『記念碑に刻まれたドイツ』=松本彰・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:加藤陽子・評 『記念碑に刻まれたドイツ』=松本彰・著毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (東京大学出版会・6720円) ◇民族の存亡をかけた歴史の変転を問い直す 葉かげから少しだけ陽(ひ)のさしている森をゆっくりと歩く人−−。本書を読…

書評:イレーヌ・ネミロフスキー(野崎歓、平岡敦訳)『フランス組曲』白水社、2012年。

イレーヌ・ネミロフスキー『フランス組曲』白水社、読了。著者はロシアから亡命したユダヤ人資産家の才女。作家デビューして十年、第二次世界大戦が始まった。「国が私を拒絶するなら、こちらは国を平然と観察し、その名誉と生命が失われていくのを眺めてい…

覚え書:「書評:『想起のかたち』 香川檀著 評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授)」、『読売新聞』2013年02月03日(日)付。

- 『想起のかたち』 香川檀著評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授) ホロコーストと芸術家 過去の記憶をいかにして保全し想起するか、それは、言葉とイメージを操る人間にとって永遠のテーマであると同時に、きわめて現代的な課題でもある。 とりわけ2…

覚え書:「戦時下のベルリン―空襲と窮乏の生活1939−45 [著]ロジャー・ムーアハウス [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 戦時下のベルリン―空襲と窮乏の生活1939−45 [著]ロジャー・ムーアハウス [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年02月03日 著者:ロジャー・ムーアハウス、高儀進 出版社:白水社 価格:¥ 4,200 ■史料と証言で描く首都の恐怖 第2次世界…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『ツヴァイク日記 1912−1940』=クヌート・ベック編」。『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『ツヴァイク日記 1912−1940』=クヌート・ベック編 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (東洋出版・4200円) ◇亡命作家“その人”を赤裸々にのぞかせた記録 作家シュテファン・ツヴァイク(一八八…

書評:藤原辰史『稲の大東亜共栄圏 帝国日本の〈緑の革命〉』吉川弘文館、2012年。

藤原辰史『稲の大東亜共栄圏 帝国日本の〈緑の革命〉』吉川弘文館、読了。本書は帝国日本の「コメの品種改良の歴史にひそむ、『科学的征服』の野望」を明らかにする一冊。品種改良に取り組んだ農学者の軌跡は、「生態学的帝国主義」の歴史である。緑の革命は…

覚え書:「【書評】はだしのゲン わたしの遺書 中沢啓治 著」、『東京新聞』2013年01月27日(日)付 + α

- 【書評】はだしのゲン わたしの遺書 中沢啓治 著◆最期まで被爆を伝え [評者]岸本 葉子 エッセイスト。著書に『「そこそこ」でいきましょう』など。 『はだしのゲン』は、広島で被爆した少年が主人公の漫画だ。貧困や偏見を乗り越え生き抜く姿を、作者の…

覚え書:「アホウドリと「帝国」日本の拡大 南洋の島々への進出から侵略へ [著]平岡昭利 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年01月27日(日)付。

- アホウドリと「帝国」日本の拡大 南洋の島々への進出から侵略へ [著]平岡昭利 [評者]上丸洋一(本社編集委員) [掲載]2013年01月27日■南方進出の出発点を検証 「アホウドリ」で思い出すのは、史実に材をとった吉村昭の小説「漂流」だ。江戸時代後期、しけに…

覚え書:「フランクル『夜と霧』への旅 [著]河原理子 [評者]後藤正治」、『朝日新聞』2013年01月27日(日)付。

- フランクル『夜と霧』への旅 [著]河原理子 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家) [掲載]2013年01月27日■豊かな時代にも「人生の意味」求め いわゆる“この一冊″に、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』(原題は「一心理学者の強制収容所体験」)をあ…

覚え書:「書評:『ホロコースト後のユダヤ人』 野村真理著 評・星野博美」、『読売新聞』2013年01月20日(日)付。

- 『ホロコースト後のユダヤ人』 野村真理著評・星野博美(ノンフィクション作家・写真家) 欧州を去った真の理由 ナチによってユダヤ人が虐殺されたホロコーストについて知らない人はほとんどいないだろう。生き残った多くの人が「約束の地」を求めてパレス…

覚え書:「フランス組曲 [著]イレーヌ・ネミロフスキー [評者]小野正嗣」、『朝日新聞』2013年01月20日(日)付。

- フランス組曲 [著]イレーヌ・ネミロフスキー [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学専任講師)■戦時下の人間描く一大絵巻 1940年6月、ナチスドイツはフランスに侵攻する。フランス軍は敗走を重ね、パリをはじめとする北部はドイツ軍に占領される。道から…

覚え書:「書評:『アホウドリと「帝国」日本の拡大』 平岡昭利著」、『読売新聞』2013年01月13日(日)付。

- 書評:『アホウドリと「帝国」日本の拡大』 平岡昭利著 評・星野博美(ノンフィクション作家・写真家) 明石書店 6000円 羽毛目当ての南進 南洋の絶海を優雅に舞う姿から、昔は信天翁、沖の太夫などと呼ばれた巨大な鳥、アホウドリ。 阿呆鳥、馬鹿鳥な…

書評:ダン・ストーン(武井彩佳訳)『ホロコースト・スタディーズ 最新研究への手引き』白水社、2012年。

- ……ジャック・デリダ、エミール・ファッケンハイム、テオドール・W・アドルノ、エマニュエル・レヴィナスらの哲学は、ホロコーストなしでは理解不能である。同じように、イムレ・ケルテース、ピョードル・ラヴィッチ、レイモンド・フェダマン、ホルヘ・セ…

覚え書:「みんなの広場 9条改正『72%が賛成』に衝撃」、『毎日新聞』2013年01月09日(水)付。

- みんなの広場 9条改正「72%が賛成」に衝撃 無職 70(大分県杵築市) 本紙によると、新しい衆院議員の72%が憲法9条改正に、78%が集団的自衛権公使に関する集団的自衛権行使に関する憲法解釈の見直しにそれぞれ賛成だという。衝撃的な数字だ。 私はベト…

覚え書:「書評:戦後沖縄と米軍基地―「受容」と「拒絶」のはざまで [著]平良好利 [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 戦後沖縄と米軍基地―「受容」と「拒絶」のはざまで [著]平良好利 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) ■固定化を進めた奇妙な連携 沖縄の米軍基地問題には、多様な主体が絡まる。立場の異なる住民、沖縄の政治リーダー、日本…

書評:秋尾沙戸子『スウィング・ジャパン 日系米軍兵ジミー・アラキと占領の記憶』新潮社、2012年。

本書は日系アメリカ人ジェームズ・T・アラキの評伝。太平洋戦争で強制収容された一人であり、陸軍情報部日本語学校の教官。惜しまれつつ除隊し、戦後日本にビ・バップを伝えたJAZZ奏者(ジミー荒木)。そして古典学者の顔も持つ。そんな人間が存在する…

国民が自分の方からわれわれに委任したのだ。……つまりは自業自得ということだ

- ……自分は、国民に同情はしない。国民がみずからこの運命を選択したのであれば、なおのことだ。一九三三年、ドイツの国際連盟脱退の是非を問う国民投票が行われた時、国民は自由投票によって隷属の政治を捨て、果敢な挑戦の政治を選ぶ決断をした[この投票で…

真の自由、真の始まりがあるとすれば、それは、つねに運命の頂点にあって永遠に運命をやり直すような真の現在を要請するであろう

- 政治的な意味でのさまざまな自由は、自由な精神の内容を汲み尽くすものではない。ヨーロッパ文明にとっては、自由とは人間の運命に関するひとつの考え方を意味している。人間の運命とは、人間に行動を促す世界ならびにその諸可能性を前にした人間の絶対的…

覚え書:「記者の目:安倍政権と歴史問題=西川恵(外信部)」、『毎日新聞』2012年12月18日(火)付。

- 記者の目:安倍政権と歴史問題=西川恵(外信部) 日本の右傾化が内外で話題となる中、その空気を体現するように党内右派の安倍晋三氏率いる自民党が総選挙で圧勝した。安倍新首相の外交における重要なポイントは、前回と同様、歴史問題をどう管理するかだ…

覚え書:「みんなの広場 石原代表の核兵器発言を危惧」、『毎日新聞』2012年12月18日(火)付。

- みんなの広場 石原代表の核兵器発言を危惧 無職 75(京都府精華町) 衆院選で3番目の議席数を獲得した、結成して間もない日本維新の会。その代表である石原慎太郎氏が公示前に日本外国特派員協会で講演した際の発言に危惧を抱いています。 「日本は核兵器…

覚え書:「みんなの広場 開戦の日に平和を強く望む」、『毎日新聞』2012年12月16日(日)付。

- みんなの広場 開戦の日に平和を強く望む 無職 80(鹿児島県出水市) 12月8日は太平洋戦争が始まった日である。あれから71年が過ぎた。戦争の記憶が風化するのが怖い。 1941(昭和16)年のこの日、午前6時の大本営発表を告げるラジオで開戦を知った。…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『フランス組曲』=イレーヌ・ネミロフスキー著」、『毎日新聞』2012年12月16日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『フランス組曲』=イレーヌ・ネミロフスキー著 ◇池内紀(おさむ)・評 (白水社・3780円) ◇誇り高く優雅な「占領下の観察」 連作にあたる小説二編と作者ノートなどがついて計五六五ページ。強力な磁石にすいよせられるように…

覚え書:「太平洋戦争:庶民の日記が伝える戦争観 緊張した中にも開戦日の高揚感」、『毎日新聞』2012年12月08日(土)付。

- 太平洋戦争:庶民の日記が伝える戦争観 緊張した中にも開戦日の高揚感 毎日新聞 2012年12月08日 東京朝刊 1941年に日本と米英が開戦してから72回目の「12月8日」を迎えた。当時の国民は、多くの犠牲を払った太平洋戦争の始まりをどう受け止めたの…

書評:ノーマン・M・ネイマーク(根岸隆夫訳)『スターリンのジェノサイド』みすず書房、2012年。

- スターリンは大量殺人者として生まれたのでもなければ、そうなるように育てられたのでもなかった。コーカサス地方とグルジアで受けた教育では、かれのソヴィエト制度への君臨を特徴づけた極端な暴力を説明できない。スターリンは時間をへてジェノサイド実…

書評:田野大輔『愛と欲望のナチズム』講談社、2012年。

田野大輔『愛と欲望のナチズム』講談社、読了。ナチズムは性愛の乱れに厳しく、大戦後の道徳の復興を掲げたというイメージが強いし、それを証左する研究には類挙の暇がない。しかし、実際のところ、ナチスの「性」政策は多様である。本書は一枚岩ではないそ…

覚え書:「異論反論 沖縄で米兵による性暴力事件が起きました=佐藤優」、『毎日新聞』2012年10月31日(水)付。+α

- 異論反論沖縄で米兵による性暴力事件が起きました 寄稿 佐藤優「事故」とする政府の不誠実 16日、沖縄で発生した米兵2人よる集団強姦致傷事件によって、日本の国家統合が揺らぎ始めている。事件自体の悪質性だけでなく、それに対する中央政府の対応が不誠…

覚え書:「書評:東京満蒙開拓団 [著]東京の満蒙開拓団を知る会 [評者]出久根達郎(作家)」、『朝日新聞』2012年10月28日(日)付。

- 東京満蒙開拓団 [著]東京の満蒙開拓団を知る会 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2012年10月28日■大陸へ移住した江戸っ子たち 「目からウロコ」とは、このことだろう。 満蒙開拓団とは旧満州農業移民であるから、長野県や山梨県など農村部の人たちで組織され…

覚え書:「書評:官僚制としての日本陸軍 [著]北岡伸一 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2012年10月21日(日)付。

- 官僚制としての日本陸軍 [著]北岡伸一 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)■明治の政軍関係、解体の過程描く 著者は冒頭で、本書が「近代日本における政軍関係の特質を、さまざまな角度から明らかにしようとするもの」と語る。日本陸軍の誤謬(ごびゅう…

書評:中野敏男『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』NHK出版、2012年。

中野敏男『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』NHK出版、読了。白秋を素材に、戦前日本社会の民衆のメンタリティーの変遷を批判的に考察する一書。童謡で人気を獲得した白秋が、なぜ戦争賛美を歌いあげ愛国心を鼓舞するようになったかを検証する。…