吉野作造研究

吉野作造研究:社会経済的な格差の是正のための政治的平等を目指した民本主義

- 「民本主義」の党か「資本家」の党か 一九二〇年に全国的に盛り上がった普通選挙運動が東京、大阪、京都、神戸をはじめとする都市部を中心とするものだった以上(松尾尊禱『普通選挙制度成立史の研究』一五四〜一五五頁)、約三四〇万人の都市中間層の多く…

覚え書:「デモクラシーの本質、追求 松尾尊兌さんを悼む 京都大教授・永井和」、『朝日新聞』2014年12月23日(火)付。

- デモクラシーの本質、追求 松尾尊兌さんを悼む 京都大教授・永井和 2014年12月23日(写真キャプション)14日に85歳で死去した松尾尊兌さん=2004年、京都市 ◇京都大教授(日本近現代史)・永井和 12月14日午前10時30分に松尾尊兌(たかよ…

覚え書:「千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ=大木英夫さん」『毎日新聞』2014年09月23日(火)付。

- 千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ 毎日新聞 2014年09月23日 東京朝刊(写真キャプション)キリスト教に出会った日々を振り返る大木さん=東京都北区の自宅で、山田大輔撮影 東京陸軍幼年学校の…

催しのご案内:企画展「吉野作造と賀川豊彦―貧しき者、弱き者のために」(吉野作造記念館)

企画展「吉野作造と賀川豊彦―貧しき者、弱き者のために」ともにキリスト教者だった吉野作造と賀川豊彦は、当時の未熟な資本主義社会の中で 困窮する人々を助けるため、様々な社会事業に取り組みました。日本のセツルメント 活動の草分け的存在となった2人の…

日記:南原繁研究会第3回研究発表会

8月30日(土)は、南原繁研究会第3回研究発表会(学士会館、13:00〜)に参加し、ひとつ発表してきました。プログラムは次の通り第1部 「国家と宗教」の岩波文庫化をめぐって 加藤節 南原繁と平和思想 戦後和解と戦争罪責に関する一考察 豊川慎 東大キリ…

覚え書:「吉野作造の直筆展示 原敬暗殺を運不運で語る世相批判・宮城」、『毎日新聞』2014年7月10日(木)付。

- 吉野作造の直筆展示 原敬暗殺を運不運で語る世相批判 大崎・記念館「人の値打ちは人格と事跡で評価」(写真キャプション)原敬の暗殺について吉野作造が記した直筆原稿=大崎市古川で 「平民宰相」と呼ばれた原敬(1856〜1921年)の暗殺について記…

日記:南原繁と吉野作造 その信仰における屹立さと中庸

月末に南原繁のキリスト教信仰の独自性(修養倫理のキリスト教受容とは違う)の発表をしなきゃならんので、夕方から少し、南原の著作を読み直しておりました。南原繁自身が「ちなみに申しますと、私はある人びとのように、宗教を表に出さない。その点はカン…

日記:灯ともる昼の廊下を行きつけて、吉野作造先生この部屋にいましき

- それでは、吉野先生の本質はどこにあるか。ここに「先生とキリスト教」という問題が出て来る。この点は『世界』(一九五五年四月号、一〇〇頁)の座談会の中でもふれられていますが、たしかに、先生は内村鑑三先生とは無関係だった。ただ、吉野先生は本郷…

日記:抵抗としてのアジア主義:吉野作造の場合

- 天心にあっては、美(そしてそれとほとんど同義の宗教)が最大の価値であり、文明はこの普遍的価値を実現するための手段である。美は人間の本性に根ざすから、西欧だけが独占すべきではない[竹内 一九九三:三二九] 竹内の見るところ、アジア主義は岡倉…

拙文:「書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社」、『第三文明』9月、第三文明社、2014年、98頁。

- 書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社 定価1900円+税「思想としてのアジア主義」の可能性 アジア主義とは国家を超えたアジアの連帯を模索する戦前日本の思想的営みと実践のことだが、日本思想史においては、これほど罵倒にみまれ…

覚え書:「(あのとき・それから)大正7年 米騒動 漁村からデモクラシーのうねり」、『朝日新聞』2014年05月31日(土)付(夕刊)。

- (あのとき・それから)大正7年 米騒動 漁村からデモクラシーのうねり 2014年5月31日(写真・図版)1988年の「米騒動発祥の地」標柱の除幕式の様子。中央の男性は騒動の目撃者、板沢金治郎さん=中田尚さん提供 子どもらにひもじい思いをさせまいと、…

日記:橋川文三の吉野作造観:橋川文三『昭和維新試論』講談社学術文庫。

「解説」が鶴見俊輔さんの手によるものだから、橋川文三『昭和維新試論』講談社学術文庫、読み始めたが、のっけから(序)、吉野作造の「深み」示すエピソードに言及があり驚愕(鶴見さんの「解説」でも大きく紙面を割いている。解説部分↓ - 大正一〇年(一…

日記:吉野作造や南原繁を学ぶアクチュアリティについて一言

先日、宮城県大崎市の吉野作造記念館で講演した折り、聴講してくださった「『吉野作造通信』を発行する会」の永澤さんから、最新の『吉野作造通信』(15号)を頂き、ようやく眼を通しました。遅くなりましたがありがとうございました。デモクラシーの旗手…

覚え書:「吉野作造とキリスト教 企画展始まりオープニング講演会」、『大崎タイムス』2014年05月28日(水)付。

- 吉野作造とキリスト教 企画展始まりオープニング講演会大崎市古川吉野作造記念館 8月3日まで企画展民本主義の根底にあった教え 「全ての人は神の子」大切に 講師の氏家氏が「関わり」語る 大崎市古川の吉野作造記念館の20周年記念企画展「吉野作造とキ…

日記:丸山眞男の吉野作造観

- もともと政治学の非力性は今日にはじまった事ではなかった。他の法律学なり経済学なりにおいては、嘗て一定の歴史的段階に適応していた概念構成乃至方法論が今日の激動期に対してそのままで通用しなくなったというところに問題があるのであるが、これに反…

日記:両極端を避けて生きるということ:吉野作造の中庸

吉野作造記念館にて講演して、特別展示「吉野作造とキリスト教」をざざっと鑑賞しての雑感を忘れないうちに一通り。基本的に吉野のふるさと・古川では作造よりも弟の信次(戦前に商工大臣を務め戦後は運輸大臣)の方が有名というのをどこかで読んだけど、研…

覚え書:「吉野作造:『吉野作造とキリスト教』 大正デモクラシーとの関係探る 未公開写真や日記で紹介 大崎できょうから /宮城」、『毎日新聞』2014年05月25日(日)付。

- 吉野作造:「吉野作造とキリスト教」 大正デモクラシーとの関係探る 未公開写真や日記で紹介 大崎できょうから /宮城 毎日新聞 2014年05月25日 地方版 大崎市古川の吉野作造記念館で25日から企画展「吉野作造とキリスト教」が始まる。吉野がキリスト教(…

日記:吉野作造とキリスト教:「人間は神の子にして皆同胞であるとの思想」を生きるということ

- 予は時に自分の生徒の先入主なき直覚的な頭に感ずる思想に、世界的の脈拍が影響して居ることを発見して愕然として密かに自らが一個の型にはまらんとしつゝあるかを驚くことがある。此世界的脈拍の根本義は何であるか、夫れは「人を信ずる」と云ふ点である…

覚え書:「吉野作造:『フリーメーソンリーの話』直筆原稿を入手 先入観ない吉野の視点 大崎の記念館、25日から展示 /宮城」、『毎日新聞』2014年05月23日(金)付。

- 吉野作造:「フリーメーソンリーの話」直筆原稿を入手 先入観ない吉野の視点 大崎の記念館、25日から展示 /宮城 毎日新聞 2014年05月23日 地方版(写真キャプション)吉野作造が著したフリーメーソン擁護の直筆原稿=大崎市古川の吉野記念館で 大正デモ…

日記:吉野作造記念館開館20周年記念特別展「吉野作造とキリスト教」

宮城県大崎市の吉野作造記念館開館20周年記念特別展「吉野作造とキリスト教」が5月25日(日)より開催されます。25日のオープニング講演会を私が担当します。戦前日本のキリスト教史において吉野作造の信仰は希有な足跡を残しました。そのアクチュアリティ…

研究ノート:普通選挙に反対した山川均

- 一九一八年九月、原は政権の座に就く。原は第一次世界大戦をはさむ前後で欧州の没落とアメリカの台頭を予測した。この国際情勢認識の的確さが政友会の地位の向上をもたらす。その結果が原内閣の成立だった。 政友会の対欧米協調路線を対米協調に引きつけて…

日記:学者、思想家のガウンを著けた大親分

- もちろん、思想と生活とは不可分のものであるといふこともいへるだらう。思想だけのものがその実生活に現はれ、又、実生活だけのものが、思想に現はれると、かやうにいふことも出来るだらう。しかし、僕は考へる。先生の場合に於いては、大正五年頃から『…

日記:民本主義のアクチュアリティ

- すなわち、大逆事件以来、「我国でアナーキズムと云へば直ちに飛んでもない大それた事を計画する反逆人のやうに思ひ做さるるを常とする」が、そういう「破壊の為に破壊を事とする」ような「消極的アナーキズム」以来に「積極的アナーキズム」といえるもの…

日記:有機的知識人としての吉野作造

- 知ることから理解することへの移行 知ることから理解すること、感じることへの移行、あるいはその逆に感じることから理解すること、知ることへの移行。民衆的分子は「感じる」ことはあっても、つねに理解し、知るとはかぎらない。また知識人分子は「知る」…

書評:三谷太一郎『学問は現実にいかに関わるか』東京大学出版会、2013年。

- 政治学教育は単なる専門性、または単なる一般性をもつものではない。専門性を媒介とする一般性、または一般性を媒介とする専門性をもつのであって、それが政治学教育の総合性でえある。したがって大学院における政治教育はスペシャリストというよりも、む…

日記:南原繁研究会(第112回) 研究発表会

- もし日本にキリスト教が来なかったとしたら、どんな日本になったであろうか。 本書をご覧になればわかるように、キリスト教は日本に渡来以来、何度も事件を引き起こしている。いわば「お騒がせ宗教」である。その「お騒がせ宗教」がなかったとしたら、日本…

日記:吉野作造と南原繁における「新生の経験」

吉野作造と南原繁を対比していくといくつか共通点を見出すことができるのですが、その一つは、ふたりとも、共同体から嘱望された将来を、キリスト教入信期の青年期に否定していること。

覚え書:公共哲学としての南原繁

- 東京大学総長を務めた南原の場合、内村鑑三(一八六一−一九三〇)の流れをくむ無教会派キリスト教の影響とともに、カントの永遠平和思想とフィヒテの抵抗のナショナリズムの双方から強い影響を受けていました。前章でみたように、双方の公共哲学は相違いま…

覚え書:「日中文化交流シンポ:来月2、3日開催−−大崎・吉野作造記念館 /宮城」、『毎日新聞』2013年07月27日(土)付、地方版。

- 日中文化交流シンポ:来月2、3日開催−−大崎・吉野作造記念館 /宮城 毎日新聞 2013年07月27日 地方版 大崎市古川の「吉野作造記念館」は8月2、3日、同館で日中文化交流シンポジウム「吉野作造と近代中国」を開く。北京外国語大の郭連友教授ら中国の4…

覚え書:「企画展:『明治文化研究の奇人変人たち』 吉野作造ら作品展示 幻の草稿「圧迫と虐殺」公開−−きょうから大崎で /宮城」、『毎日新聞』2013年05月26日(日)付、地方版。

- 企画展:「明治文化研究の奇人変人たち」 吉野作造ら作品展示 幻の草稿「圧迫と虐殺」公開−−きょうから大崎で /宮城 毎日新聞 2013年05月26日 地方版 大崎市古川の吉野作造記念館は26日からの企画展「明治文化研究の奇人変人たち−−吉野作造・尾佐竹猛・…