文化評論

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『暮らしのイギリス史−王侯から庶民まで』=ルーシー・ワースリー著」、 『毎日新聞』2013年06月16日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『暮らしのイギリス史−王侯から庶民まで』=ルーシー・ワースリー著 毎日新聞 2013年06月16日 東京朝刊 拡大写真 (NTT出版・3780円) ◇ネタ満載の学術書で味わう、散歩的な楽しみ 本を読むというのは一体何のためなのだ…

覚え書:「書評:東京放浪記 別役実著」、『東京新聞』2013年06月09日(日)付。

- 東京放浪記 別役 実 著 2013年6月9日 ◆人生模様を生む風景 [評者]佐藤洋二郎=作家 著者は進学のために長野から東京に出てきたが、そのまま五十余年東京で暮らしている。文化が混沌(こんとん)とした都市から生まれるとすれば、劇作家の著者が東京に留…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『建築 21世紀はこれからだ』=馬場璋造ほか著」、『毎日新聞』2013年06月09日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『建築 21世紀はこれからだ』=馬場璋造ほか著 毎日新聞 2013年06月09日 東京朝刊 (相模書房・1890円) これからの建築はいかにあるべきなのか。建築雑誌『新建築』の元編集者やカメラマンがそれぞれの視点から提言を行った。建築…

覚え書:「今週の本棚:渡辺保・評 『京舞井上流の誕生』=岡田万里子・著」、『毎日新聞』2013年06月09日(日)付。

- 今週の本棚:渡辺保・評 『京舞井上流の誕生』=岡田万里子・著 毎日新聞 2013年06月09日 東京朝刊 (思文閣出版・9450円) ◇「都をどり」に息づく文化・風俗の歴史を活写する 「都をどりは、よいやさァ」 大勢のかけ声で両花道へ揃(そろ)いの衣裳(…

覚え書:「書評:旅立つ理由 [著]旦敬介 [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年06月02日(日)付。

- 旅立つ理由 [著]旦敬介 [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年06月02日 [ジャンル]文芸 ■旅の醍醐味、粋に描いた短編集 旅をテーマにした本を手に取るには、特別な気力を振り絞らねばならない。 旅というものは、本来実にわがままな娯楽…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『漂うモダニズム』 著者・槇文彦さん」、『毎日新聞』2013年06月02日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『漂うモダニズム』 著者・槇文彦さん 毎日新聞 2013年06月02日 東京朝刊 (左右社・6825円) ◇大海原で泳ぐ建築家たち−−槇文彦(まき・ふみひこ)さん 世界的な建築家による20年ぶりのエッセー集。1950年代の米国修業時代の…

覚え書:「書評:そのとき、本が生まれた [著]アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年05月26日(日)付。

- そのとき、本が生まれた [著]アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年05月26日 [ジャンル]歴史 国際 ■出版史から見たヴェネツィア 1987年ヴェネツィアの小さな教会図書館で、コーランが発見された…

書評:ポール=ジェラール・パソル『ルイ・ヴィトン 華麗なる歴史』河出書房新社、2012年。

ポール=ジェラール・パソル『ルイ・ヴィトン 華麗なる歴史』河出書房新社、読了。本書は150年を超えるルイ・ヴィトンの歴史を、完全収録した大型ビジュアルブック。700点超の図版・証言・記録で558頁、その歩みを立体的に紹介する。重量4キロ、価…

覚え書:「書評:ミッキーの書式 戦後まんがの戦時下起源 大塚英志著」、『東京新聞』2013年5月26日(日)付。

- ミッキーの書式 戦後まんがの戦時下起源 大塚 英志 著 2013年5月26日 [評者]阿部嘉昭=北海道大准教授 ◆円と黒の造型が躍動 『鳥獣戯画』などの鳥羽絵の伝統とポストモダンが化合して、世界に冠たるクールジャパン・コンテンツが成立したという日本中心…

覚え書:「引用句辞典 トレンド編 [通販番組に学ぶ]=鹿島茂」、『毎日新聞』2013年05月25日(土)付。

- 引用句辞典 トレンド編 鹿島茂 [通販番組に学ぶ]「便利」価値見失う 資本主義の不幸 競争心、すなわちわれわれ自身が優越したいという熱心な欲求は、もともと、他の人びとの卓越にたいするわれわれの感嘆に、基礎を持っている。(中略)われわれはそれら…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『小さき 愛らしきもの』=田島充・著」『毎日新聞』2013年05月26日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『小さき 愛らしきもの』=田島充・著 毎日新聞 2013年05月26日 東京朝刊(生活の友社・1890円) ひと昔前、「大きいことはいいことだ」という流行語があった。ことわざでは「大は小を兼ねる」。美術展においても「大作」が注目され…

覚え書:「書評:黒澤明の十字架 戦争と円谷特撮と徴兵忌避 [著]指田文夫 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年05月19日(日)付。

- 黒澤明の十字架 戦争と円谷特撮と徴兵忌避 [著]指田文夫 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年05月19日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■偉丈夫はなぜ徴兵されなかった 映画監督の黒澤明は壮健な偉丈夫だったが、徴兵体験はない。軍務経験もゼロで…

覚え書:「書評:ソーシャル化する音楽 円堂都司昭 著」、『東京新聞』2013年5月19日(日)付。

- ソーシャル化する音楽 円堂都司昭 著 2013年5月19日 [評者]土佐有明=ライター ◆つながり遊ぶ道具に ソーシャル・ネットワークが発達した二〇〇〇年代以降、ポップ・ミュージックの楽しみ方は大きく変化した。例えば、動画共有サイトには、一般のユーザ…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『建築家、走る』=隈研吾・著」、『毎日新聞』2013年05月19日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『建築家、走る』=隈研吾・著 毎日新聞 2013年05月19日 東京朝刊 (新潮社・1470円) ◇「場所」と「身体」を鍵に、自らの軌跡を語る 今年四月、新歌舞伎座がオープンした。その建築を手がけたのが本書の著者、隈研吾。それな…

覚え書:「書評:江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす [著]安村敏信 [評者]横尾忠則」、『朝日新聞』2013年05月12日(日)付。

- 江戸絵画の非常識―近世絵画の定説をくつがえす [著]安村敏信 [評者]横尾忠則(美術家) [掲載]2013年05月12日 [ジャンル]アート・ファッション・芸能 ■「風神雷神」本当に宗達晩年の作? 一例をあげる。「風神雷神図屏風(びょうぶ)」(建仁寺)の作者とい…

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『昨日までの世界 上・下』=ジャレド・ダイアモンド著」、『毎日新聞』2013年05月05日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『昨日までの世界 上・下』=ジャレド・ダイアモンド著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (日本経済新聞出版社・各1995円) ◇自由を求めた文明社会は何を失ったのか 授業で「ALWAYS 三丁目の夕日」が話題にのぼったので…

覚え書:「書評:諏訪根自子 [著]萩谷由喜子 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年04月21日(日)付。

- 諏訪根自子 [著]萩谷由喜子 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■ナチスから贈られた名器の謎 ショックだったのは、この人の死が半年もたってから報じられたことだった。それも外国の新聞が亡き人として取り上…

[現代批評][書籍・雑誌]覚え書:「書評:なめらかな社会とその敵 [著]鈴木健/ルールに従う [著]ジョセフ・ヒース [評者]山形浩生」、『朝日新聞』2013年03月25日(日)付。

- なめらかな社会とその敵 [著]鈴木健/ルールに従う [著]ジョセフ・ヒース [評者]山形浩生(評論家)■社会を変革する遠大な思考実験 『なめらかな社会とその敵』の想定読者は三百年後の未来人。だが古代人たる評者にも、その意気込みはわかる。まったく新しい…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『なめらかな社会とその敵』=鈴木健・著」、『毎日新聞』2013年03月24日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『なめらかな社会とその敵』=鈴木健・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (勁草書房・3360円) ◇生命とネットから現代の思考様式を問う 久しぶりに野心的な本を読んだ。若い世代がこういう本を書く時代まで生きたのは、年…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『路上の義経』=篠田正浩・著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『路上の義経』=篠田正浩・著 毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (幻戯書房・3045円) ◇伝統芸能の深層へ 往き迷う探究の魅力 篠田正浩は二〇〇三年に映画監督を引退。以後、日本芸能史の考察に没頭し…

覚え書:「書評:飛雄馬、インドの星になれ! [著]古賀義章 [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 飛雄馬、インドの星になれ! [著]古賀義章 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) [掲載]2013年03月10日 ■ちゃぶ台返しにNG、交渉奮闘記 昨年12月、インドの3大人気チャンネルの一つで、アニメ番組が始まった。番組名は「…

覚え書:「書評:『暮らしのイギリス史』 ルーシー・ワースリー著 評・平松洋子」、『読売新聞』2013年2月24日(日)付。

- 『暮らしのイギリス史』 ルーシー・ワースリー著評・平松洋子(エッセイスト) チューダー朝の男性の性的魅力はふくらはぎ(下着)。十七世紀、妊娠するには女性のオーガズムが必要不可欠とされた(セックス)。裕福な患者が貧困者から歯を譲り受け、口か…

覚え書:「書評:20世紀の椅子たち 椅子をめぐる近代デザイン史 [著]山内陸平」、『朝日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 20世紀の椅子たち 椅子をめぐる近代デザイン史 [著]山内陸平 [掲載]2013年02月24日 近代デザイン史上特筆すべき99脚の椅子を、写真とエッセーで紹介する。座り方のわからないアート性偏重のものはなく、どこかで見かけたようなものばかり。建築家フラ…

覚え書:「書評:月―人との豊かなかかわりの歴史 [著]ベアント・ブルンナー [評者]横尾忠則」、『朝日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 月―人との豊かなかかわりの歴史 [著]ベアント・ブルンナー [評者]横尾忠則(美術家)■多くの優れた芸術生み出す キース・ヘリングは恋人に呼び掛けるように月に想(おも)いを語り、それをTシャツに書いた。フェデリコ・フェリーニは映画「ボイス・オブ・ム…

覚え書:「書評:一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏」、『朝日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年02月10日■教会も受容した死を超える快楽 イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写本の蒐集(し…

覚え書:「今週の本棚:辻原登・評 『アラビアン・ナイトと日本人』=杉田英明・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:辻原登・評 『アラビアン・ナイトと日本人』=杉田英明・著 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 (岩波書店・1万9950円) ◇「千年の伝承物語」をパノラミックに洞察する 『事物の声 絵画の詩−−アラブ・ペルシア文学とイスラム美術』でイス…

覚え書:「今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著」、『毎日新聞』2013年01月20日(日)付。

- 今週の本棚:偏愛ムラタ美術館 発掘篇=村田喜代子・著 (平凡社・2100円) 「作品をどう解釈するかは、読者次第。作者の手を離れているのだから」などと文学の世界ではよく言う。絵画も、さまざまな決まりのもとに描かれていたとしても、基本的には自…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『性愛空間の文化史』 著者・金益見さん」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『性愛空間の文化史』 著者・金益見さん (ミネルヴァ書房・2100円)◇欲望と羞恥心が育てた場所 珍しいテーマと、女性研究者であることが話題になった2008年の『ラブホテル進化論』(文春新書)に続き、その空間の成り立ちにつ…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『名画に隠された「二重の謎」』=三浦篤・著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『名画に隠された「二重の謎」』=三浦篤・著 (小学館101ビジュアル新書・1155円) ◇推理小説風の仕掛けで奥深い世界を旅する 一冊の本が絵の見方をこれほど変えてくれたのは初めての経験だ。近代絵画の奥深さはいうにおよば…

書評:サルヴァトーレ・セッティス(石井朗訳)『“古典的なるもの”の未来―明日の世界の形を描くために』ありな書房、2012年。

サルヴァトーレ・セッティス(石井朗訳)『“古典的なるもの”の未来―明日の世界の形を描くために』ありな書房、2012年。古代から現代へ至るヨーロッパ精神史を“classical”を切り口にしながら、その本質といってよい「ヨーロッパとは何か」を浮き彫りにする好…