2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「書評:『コモンウェルス』 アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート著 評・宇野重規」、『読売新聞』2013年01月27日(日)付。

- 『コモンウェルス』 アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート著評・宇野重規(政治学者・東京大教授) 高まる〈共〉の重要性 ネグリとハートの著作『帝国』が話題になったのは、2000年のことである。冷戦終焉後のグローバル化の中で、新たな権力形態が生…

覚え書:「書評:『大原孫三郎』 兼田麗子著 評・尾崎真理子」、『読売新聞』2013年01月27日(日)付。

- 『大原孫三郎』 兼田麗子著評・尾崎真理子(本社編集委員) クラボウ、クラレ、中国電力などを築いた岡山の企業家、大原孫三郎(1880〜1943年)は労働環境の改善と文化事業で名を残した。 篤志家の資質は互助精神が根づく倉敷の風土が育んだのか。…

「私が私である」ことは、「私」以外のものによってしか証明されない。

- 先日わたしは、ある高名な画家の手になる詩を何編か読んだが、独創的なもので、ありきたりのものではなかった。たとい主題が何であっても、このような詩句のなかに、魂はいつも何かの戒めを聞きとるものだ。これらの詩句がそそぎこむ情感は、詩句にふくま…

覚え書:「女子柔道暴力問題:『監督だけ』不本意 選手側声明、抜本改革求める」、『毎日新聞』2013年02月05日(火)付。

- 女子柔道暴力問題:「監督だけ」不本意 選手側声明、抜本改革求める 毎日新聞 2013年02月05日 東京朝刊 柔道女子日本代表の園田隆二前監督(39)の暴力行為などを告発した女子選手15人の代理人を務める辻口信良弁護士(大阪弁護士会)らが4日、大阪市…

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『シモーヌ・ヴェイユ−−犠牲の「思想」』=鈴木順子・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『シモーヌ・ヴェイユ−−犠牲の「思想」』=鈴木順子・著 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 (藤原書店・3780円) ◇「永遠の義務」論を説いた根源的思想家 ミュージカル映画『レ・ミゼラブル』が大ヒットし、場内は涙、また涙だ…

覚え書:「今週の本棚:井波律子・評 『日高六郎・95歳のポルトレ』=黒川創・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:井波律子・評 『日高六郎・95歳のポルトレ』=黒川創・著 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 (新宿書房・2310円) ◇戦後という異郷を生きた知識人の軌跡 日高六郎は独自の姿勢によって、戦後日本の社会運動に関わってきた正真正銘の知識…

覚え書:「みんなの広場 現政権は不戦の誓い忘れたか」、『毎日新聞』2013年02月05日(火)付。

- みんなの広場 現政権は不戦の誓い忘れたか 無職 89(和歌山市) 憲法を改正し、集団的自衛権の行使を認め、自衛隊を国防軍に変えようと主張する現政権の考え方は、戦争につながる危険性をはらんでいる。 1941(昭和16)年12月8日の開戦の愚、45…

覚え書:「遊覧・もうひとつの現代史」、『毎日新聞』2013年02月06日(水)付。

- 遊覧・もうひとつの現代史 東京都「中野」周辺 苅部直「学校」と住宅地 消される記憶 残る地名 近代史の研究をしていれば何度も名前に接しているのに、改めて考えると場所を知らない施設がいくつかある。豊多摩監獄(のちの刑務所)もその一つである。大戦…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『ツヴァイク日記 1912−1940』=クヌート・ベック編」。『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『ツヴァイク日記 1912−1940』=クヌート・ベック編 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (東洋出版・4200円) ◇亡命作家“その人”を赤裸々にのぞかせた記録 作家シュテファン・ツヴァイク(一八八…

覚え書:「今週の本棚:ディケンズ朗読短篇選集(II)=小池滋・西條隆雄編」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:ディケンズ朗読短篇選集(II)=小池滋・西條隆雄編 (開文社出版・1890円) 読んで聞かせるといえば、大人や先生が子どもや生徒にということになりそうだ。それこそドストエフスキーやジョイスが読者に読んで聞かせるということは、ちょ…

書評:藤原辰史『稲の大東亜共栄圏 帝国日本の〈緑の革命〉』吉川弘文館、2012年。

藤原辰史『稲の大東亜共栄圏 帝国日本の〈緑の革命〉』吉川弘文館、読了。本書は帝国日本の「コメの品種改良の歴史にひそむ、『科学的征服』の野望」を明らかにする一冊。品種改良に取り組んだ農学者の軌跡は、「生態学的帝国主義」の歴史である。緑の革命は…

覚え書:「今週の本棚:辻原登・評 『アラビアン・ナイトと日本人』=杉田英明・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:辻原登・評 『アラビアン・ナイトと日本人』=杉田英明・著 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 (岩波書店・1万9950円) ◇「千年の伝承物語」をパノラミックに洞察する 『事物の声 絵画の詩−−アラブ・ペルシア文学とイスラム美術』でイス…

覚え書:「今週の本棚:荒川洋治・評 『庶民烈伝』=深沢七郎・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:荒川洋治・評 『庶民烈伝』=深沢七郎・著 毎日新聞 2013年02月03日 東京朝刊 (中公文庫・740円) ◇隠れたものに向きあう文章と心 「楢山節考」で知られる深沢七郎(一九一四−一九八七)が一九六二年から一九六九年にかけて書いた、連作の…

人間は、定点観測をしていないと、つまりその前を知らないと、それがどんなふうに変わったのかということも分からない

- 人間は、定点観測をしていないと、つまりその前を知らないと、それがどんなふうに変わったのかということも分からないわけです。前を知らないと、破壊の後のすさまじい被害の状況を見ることしかできない。僕は、自分の知っている土地が、震災後の歳月の中…

覚え書:「『橋下維新』は3年で終わる 民衆に「消費」される政治家たち』 川上和久著」、『第三文明』2013年3月、第三文明社、96頁。

- 『橋下維新』は3年で終わる 民衆に「消費」される政治家たち』 川上和久著宝島社新書 780円ふわっとした民意の危うさ 著差は明治学院大学教授で「戦略的コミュニケーション論」を専門とする政治心理学者。本書の特色は橋下徹氏を教材として、日本を弱…

[現代批評覚え書:「ニュースの匠:体罰問題で入試中止=鳥越俊太郎」、「大阪・高2自殺:桑田さん『恐怖心では根性育たぬ』 大阪・教職員向けに研修」、『毎日新聞』

- ニュースの匠:体罰問題で入試中止=鳥越俊太郎 毎日新聞 2013年02月02日 東京朝刊 ◇王様の言いなりに 私は直感的に「裸の王様」というアンデルセンの童話を思い起こしました。 大阪・桜宮高校で起きた体罰と生徒の自殺、そしてその後、橋下徹・大阪市長が…

覚え書:「今週の本棚:スウェーデン 高齢者福祉改革の原点=イーヴァル・ロー=ヨハンソン・著」、『毎日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 今週の本棚:スウェーデン 高齢者福祉改革の原点 イーヴァル・ロー=ヨハンソン・著 (新評論・2940円) スウェーデンの老人ホームの現状を批判した、有名なヨハンソンの古典的な本『スウェーデンの高齢者』(一九五二年)がはじめて邦訳され、同じ著…

書評:水島治郎『反転する福祉社会 オランダモデルの光と影』岩波書店、2012年。

水島治郎『反転する福祉社会 オランダモデルの光と影』岩波書店、読了。働き方と社会福祉に関するオランダの取り組みは、社会的「包摂」の理想とされるが、同時に「移民排除」と「移民統合(同化)」を強固に推進している。本書は対極に見える現象の背景に目…

覚え書:「擬人化カエル、平泉にも 『鳥獣人物戯画』そっくり 同時期の作か」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 柳之御所遺跡:擬人化カエル、平泉にも 毎日新聞 2013年01月27日岩手県平泉町の柳之御所遺跡で発見されたカエルが描かれた木片=共同 奥州藤原氏の政務の拠点があった岩手県平泉町の国指定史跡「柳之御所遺跡」から、擬人化されたカエルが墨で描かれた木片…

覚え書:「【書評】はだしのゲン わたしの遺書 中沢啓治 著」、『東京新聞』2013年01月27日(日)付 + α

- 【書評】はだしのゲン わたしの遺書 中沢啓治 著◆最期まで被爆を伝え [評者]岸本 葉子 エッセイスト。著書に『「そこそこ」でいきましょう』など。 『はだしのゲン』は、広島で被爆した少年が主人公の漫画だ。貧困や偏見を乗り越え生き抜く姿を、作者の…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 就活に見る親の経済格差」、『毎日新聞』2013年02月01日(金)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 就活に見る親の経済格差 山田昌弘 中央大教授階級社会が到来するかも 大学3年生の就職活動がスタートした。そんな中、大手書店で「親の就活コーナー」を見つけた。親のための就活の心得といった内容の本が大量に置かれている…

覚え書:「アホウドリと「帝国」日本の拡大 南洋の島々への進出から侵略へ [著]平岡昭利 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年01月27日(日)付。

- アホウドリと「帝国」日本の拡大 南洋の島々への進出から侵略へ [著]平岡昭利 [評者]上丸洋一(本社編集委員) [掲載]2013年01月27日■南方進出の出発点を検証 「アホウドリ」で思い出すのは、史実に材をとった吉村昭の小説「漂流」だ。江戸時代後期、しけに…

覚え書:「フランクル『夜と霧』への旅 [著]河原理子 [評者]後藤正治」、『朝日新聞』2013年01月27日(日)付。

- フランクル『夜と霧』への旅 [著]河原理子 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家) [掲載]2013年01月27日■豊かな時代にも「人生の意味」求め いわゆる“この一冊″に、ヴィクトール・E・フランクルの『夜と霧』(原題は「一心理学者の強制収容所体験」)をあ…

「東京都青少年の健全な育成に関する条例」に基づく「不健全図書類のお知らせ」

- ……人類の意見がほぼ一致していて、たったひとり異論を唱える人がいる場合、そのひとりを沈黙させるのは、意見の違うひとりが権力を握っていて圧倒的多数の意見を沈黙させるのと変わらないほど不当な行為である。意見というものがそもそも本人以外にとって…

覚え書:「書評:『ケインズかハイエクか』 ニコラス・ワプショット著 評・中島隆信」、『読売新聞』2013年1月20日(日)付。

- 『ケインズかハイエクか』 ニコラス・ワプショット著評・中島隆信(経済学者・慶応大教授) ノーガードの応酬 経済が不況に陥ったとき、政府が積極的に市場介入すべきか、それとも市場の自然治癒力に委ねるべきか。本書は、この論争の生みの親ともいうべき…

覚え書:「今週の本棚:村上陽一郎・評 『ヨレハ記』=小川国夫・著」、『毎日新聞』2013年01月27日(日)付。

- 今週の本棚:村上陽一郎・評 『ヨレハ記』=小川国夫・著 毎日新聞 2013年01月27日 東京朝刊 (ぷねうま舎・5880円) ◇「旧約」の精神を帯びた“戒律と赦し”の物語 難しい仕事を引き受けてしまったという思いである。小川国夫の、成り立ちにも色々といき…

書評:「山口周三『南原繁の生涯 信仰・思想・業績』(教文館)、『第三文明』2013年3月、96頁。

- 「現実的理想主義者」の実像を生き生きと伝える 近代日本の思想的系譜において、良心と良識を担うチャンピオンは内村鑑三と新渡戸稲造である。この二人の師から直接の薫陶を受けたのが本書の主人公・南原繁である。戦後初の東大総長として教育改革を指揮し…