2013-02-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚:ふたつの講演 戦後思想の射程について=加藤典洋・著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 今週の本棚:ふたつの講演 戦後思想の射程について 加藤典洋著(岩波書店・1785円) 書名の通り、著者が昨年3月と5月におこなった二つの講演(ただし、一方は2日にわたるもの)の記録を中心に編まれた本。こういうと軽い本のようだが、内容にはずっ…

覚え書:「今週の本棚:中村桂子・評 『百年の手紙−日本人が遺したことば』=梯久美子・著」、『毎日新聞』2013年02月17日(日)付。

- 今週の本棚:中村桂子・評 『百年の手紙−日本人が遺したことば』=梯久美子・著 毎日新聞 2013年02月17日 東京朝刊 ◇『百年の手紙−日本人が遺(のこ)したことば』 (岩波新書・840円) ◇心を許す人へと宛てた思いが、時代を語る 東日本大震災から二年が…

書評:イレーヌ・ネミロフスキー(野崎歓、平岡敦訳)『フランス組曲』白水社、2012年。

イレーヌ・ネミロフスキー『フランス組曲』白水社、読了。著者はロシアから亡命したユダヤ人資産家の才女。作家デビューして十年、第二次世界大戦が始まった。「国が私を拒絶するなら、こちらは国を平然と観察し、その名誉と生命が失われていくのを眺めてい…

覚え書:「書評:月―人との豊かなかかわりの歴史 [著]ベアント・ブルンナー [評者]横尾忠則」、『朝日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 月―人との豊かなかかわりの歴史 [著]ベアント・ブルンナー [評者]横尾忠則(美術家)■多くの優れた芸術生み出す キース・ヘリングは恋人に呼び掛けるように月に想(おも)いを語り、それをTシャツに書いた。フェデリコ・フェリーニは映画「ボイス・オブ・ム…

覚え書:「書評:一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏」、『朝日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年02月10日■教会も受容した死を超える快楽 イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写本の蒐集(し…

研究ノート:「内村鑑三は、近代の日本文学を否定することによって、近代文学に寄与した」。

- 逆説的な言い方をするならば、内村鑑三は、近代の日本文学を否定することによって、近代文学に寄与したのである。内村に接した文学者たちは、多かれ少かれ、この内村の文学観を知っていた。それが、結果的には、たとえ無意識にせよ、彼らの文学の彫りを深…

覚え書:「書評:『想起のかたち』 香川檀著 評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授)」、『読売新聞』2013年02月03日(日)付。

- 『想起のかたち』 香川檀著評・岡田温司(西洋美術史家・京都大教授) ホロコーストと芸術家 過去の記憶をいかにして保全し想起するか、それは、言葉とイメージを操る人間にとって永遠のテーマであると同時に、きわめて現代的な課題でもある。 とりわけ2…

覚え書:「書評:『ルイ・ヴィトン 華麗なる歴史』 ポール=ジェラール・パソル著」、 評・畠山重篤(カキ養殖業)」、『読売新聞』2013年02月03日(日)付。

- 『ルイ・ヴィトン 華麗なる歴史』 ポール=ジェラール・パソル著評・畠山重篤(カキ養殖業) 「職人技」への矜持と敬意 一昨年5月、東日本大震災による大津波被害の直後、まったく思いがけず、ルイ・ヴィトンから支援の申し出を受けたのである。 カキ養殖…

いまやわれわれの学問は、国家権力の目的に奉仕するためにではなく、真理は真理として自由に研究し、自由に発表することでなければならない

- いまやわれわれの学問は、国家権力の目的に奉仕するためにではなく、真理は真理として自由に研究し、自由に発表することでなければならない。かくあってこそ、大学は真に国家の再建と人類の福祉に貢献し得るのであろう。政治家が、「理論人」である学者の…

覚え書:「書評:『abさんご』 黒田夏子著 評・管啓次郎」、『読売新聞』2013年02月03日(日)付。

- 『abさんご』 黒田夏子著評・管啓次郎(詩人・比較文学者・明治大教授) 成長と感情教育の歴史 文字列の異様な現れ、異形の作品。だが一瞥してそう判断し、この話題作を敬遠してはもったいない。 長い懐胎の期間があったに違いないが、そんな熟成のため…

覚え書:「告発の真相:女子柔道暴力問題 山口香・JOC理事に聞く」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)、02月11日(月)付。

- 女子柔道暴力問題:山口香・JOC理事に聞く/上 特定の選手、見せしめ 2013年02月10日 ◇対応鈍い全柔連…もともと彼らの中では軽い問題 柔道全日本女子の15人が告発した暴力、パワーハラスメント問題。選手から相談を受け、告発を後押しした柔道日本女子…

私たちが「自明である」とか「それが自然なんだ」と考える規範というのは、太古から連綿するのではなく創造されたもの

twのまとめですいませんが・・・山極寿一『家族進化論』東京大学出版会、読了。霊長類研究の第一人者が霊長類の社会における「家族」の萌芽について様々な側面から論じた一冊。人類が「家族」を創造するきっかけになったのは多産。そして共感能力(歌と身振…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『海から見た歴史−東アジア海域に漕ぎだす 1』=羽田正・編、小島毅・監修」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『海から見た歴史−東アジア海域に漕ぎだす 1』=羽田正・編、小島毅・監修 毎日新聞 2013年02月10日 東京朝刊 (東京大学出版会・2940円) ◇現在へとみちびく三つの「海の時代」の構図 一五九一年、スペイン領フィリッピンで…

覚え書:「今週の本棚:鴻巣友季子・評 『abさんご』=黒田夏子・著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:鴻巣友季子・評 『abさんご』=黒田夏子・著 毎日新聞 2013年02月10日 東京朝刊 (文藝春秋・1260円) ◇翻訳文法を思わせる日本語“侵犯”文学 芥川賞受賞の表題作は、ひらがなを多用した横書きである点などで話題になっている。 横書き文…

覚え書:「異論反論 戦争を子供たちに伝えるのは困難です=城戸久枝」、『毎日新聞』2013年02月13日(水)付。

- 異論反論 戦争を子供たちに伝えるのは困難です 寄稿 城戸久枝当事者の声を聞かせたい この数年間、「戦争や中国残留孤児のことを伝えるために私に何ができるのか」をテーマに据えて活動してきた。講演などで家族の歴史を知るようにすすめると、「家族と向…

覚え書:「今週の本棚:気になる科学 元村有希子・著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:気になる科学 元村有希子著 (毎日新聞社・1575円) 毎日新聞社科学環境部といえば、思い出すのは日本の科学と科学者の現実を生々しく追って私たち科学者にはちょっと切なくもあった、『理系白書』である。その著者たる毎日新聞科学環境部…

覚え書:「今週の本棚:沼野充義・評 『冷血 上・下』=高村薫・著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:沼野充義・評 『冷血 上・下』=高村薫・著 毎日新聞 2013年02月10日 東京朝刊 (毎日新聞社・各1680円) ◇生と死の深みに突き刺さる超リアリズム 『冷血』と言えば、アメリカの作家、トルーマン・カポーティの代表作として知られる「ノン…

覚え書:「みんなの広場 食事をするということは」、『毎日新聞』2013年02月07日(木)付。

- みんなの広場 食事をするということは 中学生 13(東京都目黒区) 先日、1年生で「お肉の情報館」という所を見学しにいった。そこでぼくは、命の大切さについて考えさせられた。はじめに牛や豚が殺されて食肉になる所の映像を見た。最初は、気持ち悪く感じ…

覚え書:「今週の本棚:張競・評 『名作うしろ読み』=斎藤美奈子・著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:張競・評 『名作うしろ読み』=斎藤美奈子・著 毎日新聞 2013年02月10日 東京朝刊 (中央公論新社・1575円) ◇最後の一文から「権威」を笑い飛ばす 日本の小説は国内だけでなく、海外でも人気を博している。だが、創作が健闘しているのに比…

覚え書:「今週の本棚:アウンサンスーチー 愛と使命=ピーター・ポパム・著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:アウンサンスーチー 愛と使命 ピーター・ポパム著(明石書店・3990円) スーチーさんは今年六月十九日に六八歳になる。生涯の三分の一近くの自宅軟禁などで自由を奪われながら、ビルマ民主化の象徴的リーダーとしてようやく国際舞台にも登…

むかしの東京も、マドリードに劣らぬほどの緑に包まれていたのだよ

- 緑陰 数年前の晩夏に、スペインの首都マドリードへ行ったとき、同行の若い友人のS君が、石造りの大建築群を圧倒するような濃い緑にびっくりしていたが、私は、こういった。 「むかしの東京も、マドリードに劣らぬほどの緑に包まれていたのだよ」 「ほんと…

覚え書:「今週の本棚:堀江敏幸・評 『ぼくは覚えている』=ジョー・ブレイナード著」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:堀江敏幸・評 『ぼくは覚えている』=ジョー・ブレイナード著 毎日新聞 2013年02月10日 東京朝刊 (白水社・2520円) ◇些末な情景の反復が生む「半生のコラージュ」 拘束が逆にかぎりない自由を生み出す。たとえば一文のはじまりを同じ文言…

覚え書:「悼む ベアテ・シロタ・ゴードンさん 元GHQ民政局員 憲法起草の議論知る『最後の語り部』」、『毎日新聞』2013年02月09日(土)付。

- 悼む ベアテ・シロタ・ゴードンさん 元GHQ民政局員 憲法起草の議論知る「最後の語り部」 膵臓がんのため 2012年12月30日死去・89歳「私の人生で最も悲しい日の一つになったわ」。受話器の向こうから伝わる寂しげな言葉に、ベアテさんの思いが詰まってい…

2.10新大久保デモを拝見して。「『フツー』としか形容する以外にない」「あなたの隣人」が「死ね」とか連呼する日常世界

- 在特会に「思想」は存在しないし、その活動は「レイシズム」以外の何ものでもない。言葉の暴力をためらいもなく浴びせるが、しかし、彼らは特異な人々ではない。「『フツー』としか形容する以外にない」「あなたの隣人」なのだ。著者の指摘に留意しつつ、…

覚え書:「戦時下のベルリン―空襲と窮乏の生活1939−45 [著]ロジャー・ムーアハウス [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年02月03日(日)付。

- 戦時下のベルリン―空襲と窮乏の生活1939−45 [著]ロジャー・ムーアハウス [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年02月03日 著者:ロジャー・ムーアハウス、高儀進 出版社:白水社 価格:¥ 4,200 ■史料と証言で描く首都の恐怖 第2次世界…

覚え書:「吉野作造:仙台出身の甘粕大尉が命狙う? うかがわせる歌、雑誌に掲載 /宮城」、『毎日新聞』2013年02月08日(金)付、地方版(宮城県)・電子版。

- 吉野作造:仙台出身の甘粕大尉が命狙う? うかがわせる歌、雑誌に掲載 /宮城 毎日新聞 2013年02月08日 地方版 1923(大正12)年9月、関東大震災後の混乱に乗じて無政府主義者の大杉栄ら3人を殺害した陸軍憲兵大尉・甘粕正彦(仙台市出身)が民本主…

ひたすら対立する現実という幻想は、人間を極端に矮小化させ、主役として考える自由を奪ってきたのである

- カデル・ミアはムスリムの犠牲者として死亡したが、彼はまた困難な時代に家族が生き延びるために、わずかな仕事と少しばかりのお金を必死に求める働き口のない貧しい労働者として死んだとも言える。どんな共同体でも、最下層の人びとがこのような暴動でい…

覚え書:「【書評】それでもわが家から逝きたい 沖藤典子著」、『東京新聞』2013年02月03日(日)付。

- 【書評】それでもわが家から逝きたい 沖藤典子著◆介護する家族見守る [評者]森 清 労働問題研究家。著書『働くって何だ』『大拙と幾多郎』など。 人はどこでどう逝くか、実際には本人も近親者も分からない。「わが家で自然に」が大方の願望。七十九歳、…

覚え書:「【書評】私の日本古代史(上)(下) 上田正昭著」、『東京新聞』2013年02月03日(日)付。

- 【書評】私の日本古代史(上)(下) 上田正昭著◆<中華>目指した施策を解明 [評者] 岡部 隆志 共立女子短大教授、古代文学。著書『古代文学の表象と論理』。 本書は、日本の古代を縄文時代から律令(りつりょう)国家成立まで通して論じた歴史書である…

覚え書:「みんなの広場 五輪招致より選手の人権尊重」、『毎日新聞』2013年02月07日(木)付。

- みんなの広場 五輪招致より選手の人権尊重 無職 74(長崎市) 柔道全日本女子の園田隆二前監督のロンドン五輪代表選手らに対する暴力や暴言は誠に残念である。日本は20年夏季五輪の東京招致を目指しているが、今は柔道女子だけでなく全競技で選手の人権…