2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

議会でも、どこでも、昂憤ばかりする人であるようだ

- 昭和十八年 十月五日(火) 問題がなくなると「統制強化」をやるのが日本人の特徴だ。今朝の新聞は「防衛行政一元化、急速要望さる」「交易指導一元化」(『読売』)、「宣伝機関の一元化の必要性」「発注の徹底的一元化」(『毎日』)といった具合に一元…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『新古今和歌集全注釈 四』=久保田淳・著」、『毎日新聞』2012年2月12日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『新古今和歌集全注釈 四』=久保田淳・著 (角川学芸出版・1万5750円) ◇「読人しらず」に「恋の部」の妙を味わう 古典の和歌集を読んで楽しむには、『万葉集』『古今集』と並んで『新古今集』があげられるが、『新古今集…

語りをつうじて顔が私とのあいだに関係をとりむすぶとしても、顔はそのことで〈同〉のうちに組みいれられるわけではない

- 語りをつうじて顔が私とのあいだに関係をとりむすぶとしても、顔はそのことで〈同〉のうちに組みいれられるわけではない。顔は関係のなかにありながら、絶対的なものでありつづける。〈同〉のうちに囚われていることを意識が疑いつづける、独我論の弁証法…

覚え書:「今週の本棚:江國香織・評 『あの川のほとりで 上・下』=ジョン・アーヴィング著」、『毎日新聞』2012年2月12日(日)付。

- 今週の本棚:江國香織・評 『あの川のほとりで 上・下』=ジョン・アーヴィング著 (新潮社・各2415円) ◇歴史のように「個」を越えて生きていく物語 何て深く耕された物語だろう。驚愕(きょうがく)する。言葉を失う。というより、言葉でいっぱいに…

「最近の子供は駄目だ」「若い連中は危ない」「昔はよかった今はダメ」といった御高説への疑義

twitter連投のまとめで恐縮ですが、大事だから残しておきます。 未成年の凶悪犯罪は多くなったという「風潮」が強いので、「犯罪白書」と「警察白書」で少年刑法犯(未成年)の検挙件数を確認していたら、人口比の問題もあるのですが、やっぱり「風潮」かも…

覚え書:「脱原発:中沢さん、内田さんら提言の意見広告」、『毎日新聞』2012年2月11日(土)付。

- 脱原発:中沢さん、内田さんら提言の意見広告 思想家の中沢新一さん、内田樹さん、作家のいとうせいこうさんが呼びかけ人となった「意見広告を出す市民の会」が、11日付毎日新聞朝刊に「私たちは原発のない日本をめざします」と脱原発を宣言する意見広告…

私たちは「まあ、大丈夫だろう」……そう思うのは自由ですが、その保証はどこにもない。

- 「私たちが闘争の中で経験させられたことですが、教会に対する国家の圧迫は、時を経るに従って激しくなってゆきましたし、教会はだんだんと隅っこの方へ追いやられて押しこめられてしまい、告白教会の中での一致は、国家の圧力によって危機に瀕しました。…

吉野作造:思想取締を非とする積極的理由

- 思想取締を非とする積極的理由 思想取締に根拠のないことは前述の通りだ。根拠がないといふ丈けならまだ我慢も出来る。併し官憲の取締には更に之を非とすべき積極的理由もあるのである。今日の政治家がこの事に気の附かぬのは、私共の常に大に遺憾とする所…

松屋「牛めし」、並盛で240円の件

久しぶりに、ジャパニーズファストフード・松屋で「牛めし」を頂戴したのですが、期間限定の値下げ中での販売でしたので、並盛で240円!という驚きの価格!夕方少し前に入店していただきましたが、驚き価格のおかげでしょうか、2−3人いらしたお客様たちも…

覚え書:「みんなの広場 戦争反対と核廃絶を後世に」、『毎日新聞』2012年2月8日(水)付。

- みんなの広場 戦争反対と核廃絶を後世に 無職 83(大阪府羽曳野市) 新しい年を迎えると、気持ちは一新し、展望に胸を膨らませます。ところが、東日本大震災に関する新聞やテレビを見ると、今なお不安がよぎり、涙が流れます。その一方で、被災地の方々が…

「なんの……いまとなっては、おもしろかったわえ」

- 苦笑と共に、信之が、 「われらに面倒が見きれぬことよ」 「御苦労を、おかけいたしまいた」 しみじみと、右近がいった。 「なんの……いまとなっては、おもしろかったわえ」 事もなげに、一当斎信之が、 「大名のつとめと申すは、領民と家来の幸せを願うこ…

覚え書:「哲学カフェ:震災語る 『ふるさと』『復興』とは/議論通し『気づき』の場に」、『毎日新聞』2012年2月7日(火)付。

- 哲学カフェ:震災語る 「ふるさと」「復興」とは/議論通し「気づき」の場に コーヒーや紅茶を飲みながら、市民たちが身近なテーマについて対話する「哲学カフェ」。東日本大震災後は、震災をテーマに各地で活発に開かれている。どんな議論が繰り広げられ…

覚え書:「記者の目:連載『リアル30‘S』を取材して=水戸健一」、『毎日新聞』2012年2月7日(火)付。

- 記者の目:連載「リアル30‘S」を取材して=水戸健一 くらしナビ面で元日から掲載した連載「リアル30’s 働いてる?」の取材をした。バブル崩壊以降の「失われた20年」に青春期を過ごし、就職時に氷河期だった30代たち。その彼らを30歳の私=私…

愛も手で触ることはできません。だけど、愛が注がれる時のやさしさを感じることはできます。愛があるから、喜びが沸いてくるし、遊びたい気持ちも起きるのよ。

- はじめて「愛」の意味について訊(き)いた朝のことを覚えている。まだ、語彙が少ない時だった。庭で早咲きのスミレを数本摘み、サリバン先生のところへ持っていった。先生は私に感謝のキスをしようとした。しかし、当時は母以外の人からキスされるのは嫌…

覚え書:「風知草:枝野と鈴木貫太郎=山田孝男」、『毎日新聞』2012年2月6日(月)付。

- 風知草:枝野と鈴木貫太郎=山田孝男 枝野幸男経済産業相(47)が最も高く評価している首相は鈴木貫太郎だそうだ。最近出た雑誌「g2」(講談社)のインタビューで自ら語っている。口達者な弁護士閣僚と、寡黙で仙人めいた軍人老宰相。この取り合わせは…

覚え書:「今週の本棚:持田叙子・評 『南方熊楠大事典』=松居竜五、田村義也・編」、『毎日新聞』2012年2月5日(日)付。

- 今週の本棚:持田叙子・評 『南方熊楠大事典』=松居竜五、田村義也・編 ◇持田叙子(のぶこ)・評 『南方熊楠(みなかたくまぐす)大事典』 (勉誠出版・1万290円) ◇科学と神秘を結ぶ思想世界をひらく 南方熊楠(一八六七〜一九四一年)は、底しれぬ…

ナショナリズムとはまずは情念の問題なのだとすれば……

- ナショナリズムは近代国家を構成する欠かせない「イズム」だが、その内実はじつはあまりない。第六章でも名前を挙げた大澤真幸が指摘するように、ナショナリズムには、自由主義や社会主義や共産主義のような哲学的な基礎が欠けている。にもかかわらず、そ…

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『トクヴィルの憂鬱』=高山裕二・著」、『毎日新聞』2012年2月5日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『トクヴィルの憂鬱』=高山裕二・著 (白水社・2730円) ◇民主主義の功罪を予見した「若者」 冷戦以前、トクヴィルは民主政治の必然を認めながら社会主義を敵視した保守的歴史家として扱われていたが、冷戦以後、一転して、唯…

日本で最も頻繁に使われる「しかたがない」という政治的な言葉を、あなたの辞書から追放すること

- ……個人はすべて、少しだけなら自分の環境を変えることができる−−この点は、誰もが認めると思う。みなさんにも、そのような経験が少なくとも数回はあるはずだ。そこからもう一歩進んで認識すべきなのは、とても小さな努力の積み重ねが突如として大きな結果…

「統治することのもっとも少ない政府こそ最良の政府」というモットーを、私はこころから受け入れるものである

- 「統治することのもっとも少ない政府こそ最良の政府」というモットーを、私はこころから受け入れるものである。また、それがよりすみやかに、組織的に実施されるところをぜひみたいと思っている。それは実行に移されるならば、とどのつまりは「またく統治…

覚え書:「リアル30’s:働いてる? 反響特集 同世代から共感の声 厳しい批判、連帯探る動きも」、『毎日新聞』2012年2月2日(木)付。

- リアル30’s:働いてる? 反響特集 同世代から共感の声 厳しい批判、連帯探る動きも 生きづらい時代を懸命に生きる30代を追った連載「リアル30’s 働いてる?」(1月1〜18日、計12回)に多くの反響が寄せられた。手紙やメールは200通近くに…

拙文「書評 『一般意志2.0』東浩紀著」、『第三文明』2012年3月、第三文明社、92頁。

- 書評 『一般意志2.0』東浩紀著 熟議民主主義を補完する「アップデート」という試み 「民主主義」という言葉を耳にすると、普遍的な理念だとは思うものの、その現状に軽蔑と失笑を禁じ得ないのは評者だけではないだろう。しかし「民主主義オワタ(終わっ…

覚え書:「記者の目:ソーシャルメディアと新聞=小川一」、『毎日新聞』2012年2月2日(木)付。

- 記者の目:ソーシャルメディアと新聞=小川一 ◇「情報民主主義」実現へ協力を ツイッターやミクシィ、フェイスブックなどのソーシャルメディアは、東日本大震災をはさんで日本で大きく進化し、今、その流れはさらに加速している。一方、震災では、マスメデ…

人間社会は、貴族的である限度に応じて社会たりえ、貴族性を失うに従って社会たることを止めてしまうほど、貴族的なもの

- 今日われわれは、残酷な大衆支配のもとに生きている。まさしくその通りである。わたしはこの大衆の支配を二度にわたって「残酷」と呼んだ。ありふれたきまり文句の神さまにはすでに十分に貢物に捧げたので、これからは、手に入れた切符を持って、心楽しく…

覚え書:「異論反論 オウム平田容疑者が出頭しました 今なおよりどころない社会 寄稿=雨宮処凛」、『毎日新聞』2012年2月1日(水)付。

- 異論反論 オウム平田容疑者が出頭しました 今なおよりどころない社会 寄稿 雨宮処凛 オウム真理教による地下鉄サリン事件から、今年で17年になる。そんな年明け、「平田信容疑者出頭」というニュースが日本を駆け抜けた。 17年に及ぶ逃亡生活の果ての大み…

覚え書:「発信箱:政治が消えた世界で=伊藤智永(ジュネーブ支局)」、『毎日新聞』2012年2月1日(水)付。

- 発信箱:政治が消えた世界で=伊藤智永(ジュネーブ支局) ギリシャの映画監督、アンゲロプロス氏が先週、事故で亡くなった。映画狂だった学生時代、一番心揺さぶられたのが同監督の「旅芸人の記録」(1975年)だ。 万事おきて破りの作りである。 カメ…

自分自身のうちに、最も悪質なファシストや犯罪者におけるのと全く同質の悪がひそんでゐること

- 日本の進歩主義者は、進歩主義そのもののうちに、そして自分自身のうちに、最も悪質なファシストや犯罪者におけるのと全く同質の悪がひそんでゐることを自覚してゐない。一口に言へば、人間の本質が二律背反にあることに、彼等は思ひいたらない。したがつ…

覚え書:「地方発 廃校は知と遊の隠れ資産」、『毎日新聞』2012年1月31日(火)付。

- 地方発 廃校は知と遊の隠れ資産 小山内誠 NPO法人「あおもりNPOサポートセンター」副理事長 コミュニティーの形成目指して 「あなたたちがこの廃校を使ってくれて、たくさんの人が来るようになった。ありがとう」。地域の古老からそう言われ、ウルッ…

人間の知性は一旦こうと認めたことには、これを支持しこれと合致するように、他の一切のことを引き寄せるものである

- 人間の知性は(或いは迎えられ信じられているという理由で、或いは気に入ったからという理由で)一旦こうと認めたことには、これを支持しこれと合致するように、他の一切のことを引き寄せるものである。そしてたとい反証として働く事柄の力や数がより大で…