書籍・雑誌

日記:2013年度パピルス賞:植木雅俊訳註『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』岩波書店。

「制度としてのアカデミズムの外で達成された学問的業績」や「科学ジャーナリストによる業績」を顕彰する「パピルス賞」に、植木雅俊訳註『梵漢和対照・現代語訳 維摩経』(岩波書店)が選ばれたとのこと。昨日十日は中村元博士のご命日。中村先生の最晩年の…

覚え書:「書評:パリ大全 エリック・アザン著 杉村昌昭訳」、『東京新聞』2013年08月25日(日)付。

- パリ大全 エリック・アザン著 杉村昌昭訳2013年8月25日 ◆積み重なる時と人を透視 [評者]雑賀恵子=評論家 整備中の新橋−虎ノ門を通る環状2号線(新虎通り)が「シャンゼリゼ通り」になるという。いや、それを手本に、歩道の幅を最大級に広げ、街路樹や…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:沖縄と東北をつなぐ=大城立裕・選」、『毎日新聞』2013年08月25日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:沖縄と東北をつなぐ=大城立裕・選毎日新聞 2013年08月25日 東京朝刊 <1>福島に生きる(玄侑宗久著/双葉新書/840円) <2>「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか(開沼博著/青土社/2310円) <3>東日本大震…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『魯山人の世界』=白崎秀雄・著」。『毎日新聞』2013年08月25日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『魯山人の世界』=白崎秀雄・著毎日新聞 2013年08月25日 東京朝刊 (ちくま文庫・1050円) 生前は「この上なく嫌い」だったが、死後に「地下の魯山人(ろさんじん)が仕掛けて来る蠱惑(こわく)にしたたかまどわされ、酩酊(めいて…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『吉本隆明と「二つの敗戦」=とよだもとゆき・著』」、『毎日新聞』2013年08月25日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『吉本隆明と「二つの敗戦」=とよだもとゆき・著』毎日新聞 2013年08月25日 東京朝刊 (脈発行所・1575円) 吉本隆明が3・11後も反(脱)原発を批判したことに関し、違和感を覚えた人も多いだろう。さまざまな吉本論でそのことに…

覚え書:「今週の本棚:小島ゆかり・評 『スバらしきバス』=平田俊子・著」、『毎日新聞』2013年08月25日(日)付。

- 今週の本棚:小島ゆかり・評 『スバらしきバス』=平田俊子・著毎日新聞 2013年08月25日 東京朝刊 (幻戯書房・2310円) ◇不思議な時空を追体験する乗り物エッセイ 鉄道をこよなく愛する人々がいるように、バスをこよなく愛する人もいるのである。その…

覚え書:「今週の本棚:中村達也・評 『幸福の経済学−人々を豊かにするものは何か』『「幸せ」の経済学』」、『毎日新聞』2013年08月25日 東京朝刊(日)付。

- 今週の本棚:中村達也・評 『幸福の経済学−人々を豊かにするものは何か』『「幸せ」の経済学』毎日新聞 2013年08月25日 東京朝刊 ◆『幸福の経済学−人々を豊かにするものは何か』=C・グラハム著、多田洋介訳(日本経済新聞出版社・2100円) ◆『「幸せ…

書評:小林清美『アウトバーンとナチズム 景観エコロジーの誕生』ミネルヴァ書房2013年。

小林清美『アウトバーンとナチズム 景観エコロジーの誕生』ミネルヴァ書房、読了。緑の党の活躍や脱原発へいち早く舵を切ったことで名高い環境先進国・ドイツ。そのエコロジー的認識が高まったことのは戦後ではなくナチス体制期。アウトバーンと景観建設を切…

覚え書:「幸福の文法―幸福論の系譜、わからないものの思想史 [著]合田正人 [評者]鷲田清一」、『朝日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 幸福の文法―幸福論の系譜、わからないものの思想史 [著]合田正人 [評者]鷲田清一(大谷大学教授・哲学) [掲載]2013年07月28日 [ジャンル]人文 ■「問い」を問い直すラジカルな人間論 「幸福だった」というふうに、幸福は失ってはじめてわかる。あるとき幸福…

覚え書:「書評:反・自由貿易論 中野剛志 著」、『東京新聞』2013年07月28日(日)付。

- 反・自由貿易論 中野剛志 著 2013年7月28日 ◆国、文化の多様性が犠牲に [評者]祖田修=農業経済学者 本書は「米豪FTA(自由貿易協定)は、オーストラリアを殺した」という衝撃的な言葉で始まる。オーストラリアの期待に反し、FTAのメリットはなか…

書評:月村太郎『民族紛争』岩波新書、2013年。

- ここに、フランスの思想家、エルネスト・ルナンの有名な文章がある。 「国民とは、したがって、人々が過去においてなし、今後もなおなす用意のある犠牲の感情によって構成された大いなる連帯心なのです。それは過去を前提はします。だがそれは、一つの確か…

覚え書:「書評:笑いの日本文化 樋口和憲 著」、『東京新聞』2013年07月28日(日)付。

- 笑いの日本文化 樋口和憲 著 2013年7月28日 ◆平安をもたらす役割 [評者]飯島吉晴=天理大学教授、民俗学 現在、テレビにはお笑い番組が氾濫(はんらん)しており、この浅薄で孤独な「笑い」の商品が大量に制作され消費されているが、一方で日常生活から…

覚え書:「広島原爆:7年後のヒロシマ 岩波書店、未公開写真集を刊行」、『毎日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 広島原爆:7年後のヒロシマ 岩波書店、未公開写真集を刊行 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 原爆投下の7年後に爆心地から約2キロ圏内の広島の街を撮影した未発表の写真を、岩波書店が「立ち上がるヒロシマ1952」にまとめ刊行した。復興する広島の…

覚え書:「今週の本棚:若島正・評 『粋人粋筆探訪』=坂崎重盛・著」、『毎日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 今週の本棚:若島正・評 『粋人粋筆探訪』=坂崎重盛・著 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 (芸術新聞社・2520円) ◇忘れさられた“遊び心の時代”を逍遥する 古本屋巡りをするおもしろさの一つは、気の向くままに雑本を買っていると、いつしかそれが何…

覚え書:「今週の本棚:湯川豊・評 『真珠湾収容所の捕虜たち』=オーテス・ケーリ著」、『毎日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 今週の本棚:湯川豊・評 『真珠湾収容所の捕虜たち』=オーテス・ケーリ著 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 (ちくま学芸文庫・1470円) ◇米情報将校が捉えた“捕虜である友人”の群像 一九四二年に米海軍日本語学校に入学、一年後、海軍少尉としてハワ…

書評:上山隆大ほか『大学とコスト 誰がどう支えるのか』岩波書店、2013年。

上山隆大ほか『大学とコスト 誰がどう支えるのか』岩波書店、読了。教育費は本人(とその家族)が支払うべきという風潮が根強い。しかし個人負担の考え方はどうやら世界標準とは考えにくい。本書は、日本の「大学とコスト」を巡る現状について、その歴史と政…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『東京国立博物館の名品でたどる 書の美』 著者・島谷弘幸さん」、『毎日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『東京国立博物館の名品でたどる 書の美』 著者・島谷弘幸さん 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 (毎日新聞社・2415円) ◇書は読めなくても楽しめる−−著者・島谷弘幸(しまたに・ひろゆき)さん 毎日新聞日曜版の連載「書の美」…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇』=大田俊寛・著」、『毎日新聞』2013年07月28日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『現代オカルトの根源 霊性進化論の光と闇』=大田俊寛・著 毎日新聞 2013年07月28日 東京朝刊 (ちくま新書・840円) 憎悪発言(ヘイトスピーチ)デモから一部の脱原発運動、政治家の「慰安婦」発言まで、「自分たちが純粋な被害者/…

書評:ラッセル・スタナード(新田英雄訳)『相対性理論 常識への挑戦』丸善出版、2013年。

ラッセル・スタナード『相対性理論 常識への挑戦』丸善出版、読了。本書はオックスフォード大学出版局より刊行のVery Short Introductionシリーズの一冊。特殊相対性理論と一般相対性論を中学生でもわかるように分かり易く解説することに挑戦した一冊(新書…

覚え書:「もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙 [著]渡辺京二」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- もうひとつのこの世―石牟礼道子の宇宙 [著]渡辺京二 [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 『苦海浄土』が作品としてまとまる過程に編集者として立ち合った著者は、当初から「傑作」であることを確信し、1969年からは石牟礼が書く原…

覚え書:「深海魚ってどんな魚―驚きの形態から生態、利用 [著]尼岡邦夫 [評者]荒俣宏」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 深海魚ってどんな魚―驚きの形態から生態、利用 [著]尼岡邦夫 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]科学・生物 ■大人の世界観、揺さぶる図鑑 ただの子ども向け学習図鑑と思ってはいけない。これは大人も驚かす本である。 これまでの深海魚本…

覚え書:「『大菩薩峠』を都新聞で読む [著]伊東祐吏 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 「大菩薩峠」を都新聞で読む [著]伊東祐吏 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]歴史 ■大長編の謎に迫り、問題提起 『大菩薩峠(だいぼさつとうげ)』という長篇(ちょうへん)小説をご存じだろうか。文庫で全二十巻もある。大衆小説の…

覚え書:「江戸の風評被害 [著]鈴木浩三 [評者]三浦しをん」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 江戸の風評被害 [著]鈴木浩三 [評者]三浦しをん(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]歴史 ■うわさの陰に思惑がうごめく テレビやインターネットがない時代は、情報の伝達速度が遅いし、そのぶん噂(うわさ)も広まりにくかったのではないか、と漠然と思…

覚え書:「私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史 [著]諸富徹 [評者]原真人」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 私たちはなぜ税金を納めるのか―租税の経済思想史 [著]諸富徹 [評者]原真人(本社編集委員) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]政治 ■税制の歴史から国家を考える 日本の税収は経済規模に比べて小さく、先進国最小の政府だ。そして日本は最も増税できない国で…

覚え書:「進化するアカデミア―「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来 [著]江渡浩一郎・ニコニコ学会β実行委員会 [評者]川端裕人」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 進化するアカデミア―「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来 [著]江渡浩一郎・ニコニコ学会β実行委員会 [評者]川端裕人(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]文芸 政治 ■学会ネット中継、視聴者も参加 研究者が集う学会は創造性を加速させる場として古…

覚え書:「四つの小さなパン切れ [著]マグダ・オランデール=ラフォン [評者]赤坂真理」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 四つの小さなパン切れ [著]マグダ・オランデール=ラフォン [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝 ■対岸の傷ではない痛みの記憶 年齢を問われ16歳を18歳と言ったマグダは「ならば右!」。母親と妹は「な…

覚え書:「世界を回せ(上・下) [著]コラム・マッキャン [評者]小野正嗣」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 世界を回せ(上・下) [著]コラム・マッキャン [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学准教授) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]文芸 ノンフィクション・評伝 ■綱渡りへの視線、境遇越えつなぐ 1974年8月7日の早朝、マンハッタンの今はなき世界貿易セン…

覚え書:「書評:2011 危うく夢見た一年 スラヴォイ・ジジェク 著 長原豊 訳」、『東京新聞』2013年07月21日(日)付。

- 2011 危うく夢見た一年 スラヴォイ・ジジェク 著 長原豊 訳 2013年7月21日 ◆抗議し始めた人々 [評者]平井玄=批評家 「最良の者たちがことごとく信念を見失い、最悪の者たちが並々ならぬ情念に満ち溢(あふ)れている」という詩人イェーツの言葉を、…

覚え書:「書評:海を渡った人類の遥かな歴史 ブライアン・フェイガン著 東郷えりか 訳」、『東京新聞』2013年07月21日(日)付。

- 海を渡った人類の遥かな歴史 ブライアン・フェイガン著 東郷えりか 訳 2013年7月21日 ◆太古の航海 その理由探る [評者]関野吉晴=探検家 大航海時代、世界一周の途中で客死したマゼランの航海を描いたツバイクの『マゼラン』は秀逸だった。現代に比べて…

覚え書:「書評:周五郎伝 虚空巡礼 齋藤愼爾 著」、『東京新聞』2013年07月21日(日)付。

- 周五郎伝 虚空巡礼 齋藤愼爾 著 2013年7月21日 写真 ◆愛着と反発が照らす実像 [評者]高橋敏夫=文芸評論家 山本周五郎ファンには、まことに不快な書かもしれない。半可通のファンは近づくな。しかしこの書がつきつける不快さを避ければ、本当のファンに…