2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

覚え書:「今週の本棚:シュトルム名作集 VI=テーオドール・シュトルム・著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:シュトルム名作集 VI テーオドール・シュトルム・著 (三元社・5460円) 「シュトルム名作集」全6巻が完結した。ドイツ国外では初の全集誕生であり、記念碑的な偉業と言っていい。19世紀ドイツの作家・詩人、テーオドール・シュトルム…

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『最後の転落』=エマニュエル・トッド著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『最後の転落』=エマニュエル・トッド著 毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊 (藤原書店・3360円) ◇ソ連崩壊「予言の書」から現代を解読する 本書はアメリカの金融破綻を「予言」したことで日本でも一躍有名になったフランスの…

老人に用なし死ねといふかこの冬

- 老人に用なし死ねといふかこの冬 堀内竹嶺(『愛吟』一九四〇年四月号) 老人は足手まといになるだけでなんの役にも立たないというのが戦争である。同時に、子どもは邪魔扱いされるはずだが、百年戦争であるかぎり、やがて兵士になる彼らは大切な「人的資…

覚え書:「今週の本棚:村上陽一郎・評 『「つながり」の進化生物学』=岡ノ谷一夫・著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:村上陽一郎・評 『「つながり」の進化生物学』=岡ノ谷一夫・著 毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊 (朝日出版社・1575円) ◇生物の行動から導き出す「こころ」の効用仮説 ハダカデバネズミという、かわいそうな名前をつけられた動物を、こ…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『路上の義経』=篠田正浩・著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『路上の義経』=篠田正浩・著 毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (幻戯書房・3045円) ◇伝統芸能の深層へ 往き迷う探究の魅力 篠田正浩は二〇〇三年に映画監督を引退。以後、日本芸能史の考察に没頭し…

夕波千鳥汝が鳴けば心もしのにいにしへ思ほゆ

大君の遠の朝廷みかどとあり通ふ島門しまとを見れば神代し思ほゆ(柿本人麻呂) 個人的には、瀬戸大橋を通る際は、夕暮れか早朝がベストではないかと思うのですが、葬儀で帰省した折り、ちょうど夕刻に通過することができましたので、いくつか写真を撮ってみ…

覚え書:「今週の本棚:インド 姿を消す娘たちを探して=ギーター・アラヴァムダン・著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:インド 姿を消す娘たちを探して ギーター・アラヴァムダン・著 (つげ書房新社・2310円) インドのカーラム元大統領が「まえがき」を書いている。女性は「神からの贈物」であり、本書は「私たちの良心を目覚めさせてくれます」と。この本…

覚え書:「今週の本棚:井波律子・評 『明日の友を数えれば』=常盤新平・著」、『毎日新聞』2013年03月17日(日)付。

- 今週の本棚:井波律子・評 『明日の友を数えれば』=常盤新平・著 毎日新聞 2013年03月17日 東京朝刊 (幻戯書房・2625円) ◇鮮やかな距離感覚に“生の軌跡”が浮かびあがる 今年一月、八十一歳で亡くなった作家・翻訳家、常盤新平の最後のエッセイ集。二…

葬式についての雑感

葬式についての雑感ですが、ブログにまとめて書こうかと思いましたが、気力喪失にて、忘れない内にメモ程度に少しtwに流しておきます。日曜日、妻の祖母が104歳(数え)でなくなり、月曜お通夜、火曜日葬儀となりました。宗派は浄土真宗本願寺派。実父…

覚え書:「書評:『ヒップホップの詩人たち』 都築響一著 評・開沼 博」、『読売新聞』2013年03月03日(日)付。

- 『ヒップホップの詩人たち』 都築響一著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) 持たざるものの武器 本書が追いかけるのは15人の「日本産ヒップホップ・ラッパー」たちの半生とそこで生まれ少なからぬ支持を得る作品の数々だ。 幼い日の親の離婚、学…

覚え書:「書評:『アメリカ、ヘテロトピア 自然法と公共性』 宇野邦一著 評・宇野重規」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 『アメリカ、ヘテロトピア 自然法と公共性』 宇野邦一著評・宇野重規(政治学者・東京大教授) 根底にある混沌と葛藤 私たちは、本当にアメリカのことを知っているのだろうか。 なるほど、アメリカを語る言葉は無数にあり、一つひとつの説明はそれなりにも…

吾々は総ての人類を神の子として総ての人間に一個の神性を認め、固く基督に結んで居る。之れ程確実な人格主義の信念がまたと世にあらうか。

- (4)最後に−−人格主義の高調 同志社の日野真澄は「民本主義と基督教」のなかで、「基督教は民本主義の思想や政治の行はるゝ処に最も発達すべき性質を帯びて居る」と両者の深い関係を指摘して、民本主義の特徴とする次の三点は基督教の精神であると述べて…

覚え書:「吉田神道の四百年 神と葵の近世史 [著]井上智勝 [評者]荒俣宏(作家)」、『朝日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 吉田神道の四百年 神と葵の近世史 [著]井上智勝 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年03月10日 ■神使いの「仁義なき戦い」 まさに吉田神道を主軸に据えた神道各派の「仁義なき戦い」である。 きっかけは、応仁の乱にともなう社会の混乱を利して、日本中の神を…

覚え書:「妖怪学の祖 井上圓了 [著]菊地章太 [評者]柄谷行人(評論家)」、『朝日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 妖怪学の祖 井上圓了 [著]菊地章太 [評者]柄谷行人(評論家) [掲載]2013年03月10日 ■妖怪で哲学を説いた啓蒙主義者 近年、井上圓了といえば、妖怪の研究者で、漫画家水木しげるの大先輩のような人だと考えられている。が、彼は明治初期、井上哲次郎と並ぶ哲…

近代天皇制国家のもつ、疑似宗教性への反撥のふたつの道

- この事件には仏教徒のかかわりが目立つ。死刑となった内山愚童は、曹洞宗の住職であったし、無期懲役となった高木顕明は、真宗大谷派の住職であった。また、同じく無期懲役の峯尾節堂と佐々木道元は、峯尾が臨済宗の僧侶、佐々木が浄土真宗本願寺派末寺の…

覚え書:「書評:飛雄馬、インドの星になれ! [著]古賀義章 [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 飛雄馬、インドの星になれ! [著]古賀義章 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) [掲載]2013年03月10日 ■ちゃぶ台返しにNG、交渉奮闘記 昨年12月、インドの3大人気チャンネルの一つで、アニメ番組が始まった。番組名は「…

覚え書:「書評:漂流老人ホームレス社会 [著]森川すいめい [評者]松永美穂」、『朝日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 漂流老人ホームレス社会 [著]森川すいめい [評者]松永美穂(早稲田大学教授・ドイツ文学) [掲載]2013年03月10日 [ジャンル]社会 ■表向きの平等が孤立に追いやる 新宿西口にずらりと並ぶ段ボールハウスが話題になった時期があった。都内の大きな公園に、ブル…

研究ノート:「ハイゼンベルクの不確定性原理」についてのひとつのまとめかた

- ハイゼンベルクの不確定性原理 不確定性原理とは、一言でいえば、「この世で人間にわかることには限界がある」というものです。主体が客体を正確に観測できるという、近代科学の大前提が成り立たないことを唱えた、一種の思考実験でした。 科学において、…

覚え書:「今週の本棚:荒川洋治・評 『店員』=バーナード・マラマッド著」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚:荒川洋治・評 『店員』=バーナード・マラマッド著 毎日新聞 2013年03月10日 東京朝刊 (文遊社・2940円) ◇心の変化と発展を克明につづる名作 アメリカ文学の新しい扉を開いたユダヤ系作家バーナード・マラマッド(一九一四−一九八六)の…

覚え書:「今週の本棚:愛と憎しみの豚=中村安希・著」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚:愛と憎しみの豚 中村安希・著 (集英社・1680円) 関西で肉まんを「豚まん」と呼ぶのは、それだけ牛肉の方が身近だから、と大阪出身の知人に聞いたことがある。松阪牛、伊賀牛の産地を抱える三重県で育った著者にとっても肉といえば牛だっ…

なぜ建国記念日に反対するか

- なぜ建国記念日に反対するか本誌 かつて宮様は建国記念日の問題が出ましたさい反対の意思表示をされたと記憶するのですが……。三笠宮 私の反対したのは、「二月十一日」という日にちの問題がいちばん大きかったんです。この日を建国記念日にするということ…

覚え書:「今週の本棚:海部宣男・評 『シロアリ』『サボり上手な動物たち』」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚:海部宣男・評 『シロアリ』『サボり上手な動物たち』 毎日新聞 2013年03月10日 東京朝刊 拡大写真 ◇『シロアリ』=松浦健二・著 (岩波科学ライブラリー・1575円) ◇『サボり上手な動物たち』=佐藤克文・森阪匡通、著 (岩波科学ライブラ…

覚え書:「今週の本棚・この3冊:3.11=松岡正剛・選」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚・この3冊:3.11=松岡正剛・選 毎日新聞 2013年03月10日 東京朝刊 <1>ツナミの小形而上学(ジャン=ピエール・デュピュイ著、嶋崎正樹訳/岩波書店/1995円) <2>鯨と原子炉(ラングドン・ウィナー著、吉岡斉・若松征男訳/紀伊…

覚え書:「だいあろ〜ぐ:東京彩人記 被災地の障害者題材に記録映画製作・西尾直子さん /東京」、『毎日新聞』2013年03月13日(水)付。

だいあろ〜ぐ:東京彩人記 被災地の障害者題材に記録映画製作・西尾直子さん /東京 毎日新聞 2013年03月13日 地方版 ◇介助者不足が浮き彫り−−西尾直子さん(37) 東日本大震災発生から2年。あの日、障害がある人たちに何が起きたのか。待ち受けていた状況…

覚え書:「今週の本棚:池澤夏樹・評 『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』=文・池上正樹、文・写真・加藤順子」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』=文・池上正樹、文・写真・加藤順子 毎日新聞 2013年03月10日 東京朝刊 (青志社・1575円) ◇悲劇は人間的な意味を持ち得たか 宮城県の大川小学校。 二年前、津波で百八名の生徒の…

覚え書:「今週の本棚:本村凌二・評 『マックス・ウェーバーの日本−受容史の研究 1905−1995』=W・シュヴェントカー著」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚:本村凌二・評 『マックス・ウェーバーの日本−受容史の研究 1905−1995』=W・シュヴェントカー著 毎日新聞 2013年03月10日 東京朝刊 (みすず書房・7875円) ◇分厚い「近代の主導者」研究の源をたどる この国で半世紀以上も生きて…

覚え書:「みんなの広場 憲法9条は非戦の最後のとりで」、『毎日新聞』2013年03月08日(金)付。

- みんなの広場 憲法9条は非戦の最後のとりで 予備校講師 33(大阪府寝屋川市) 政権に復帰した自民党による憲法改正の下準備が徐々に進められていますが、果たして改憲によって、私たち国民の生活は向上するのでしょうか。安全、自由、福祉が今より充実…

覚え書:「みんなの広場 改憲許さない多数派づくりを」、『毎日新聞』2013年03月07日(木)付。

- みんなの広場 改憲許さない多数派づくりを 無職 77(京都市右京区) 本紙の報道によると、安倍晋三首相は先月の憲法改正推進本部の会合に出席し、改憲の意欲を重ねて示し、自衛隊の国防軍への見直しを改めて主張したと報じられた。 私は戦争中の国民学校…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『東北発の震災論』 著者・山下祐介さん」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『東北発の震災論』 著者・山下祐介さん 毎日新聞 2013年03月10日 東京朝刊 山下祐介・首都大学東京准教授=東京都八王子市で2013年2月21日、手塚さや香撮影 (ちくま新書・924円) ◇震災を「自分の問題」にするために−−山下…

覚え書:「今週の本棚:孤独死 被災地で考える人間の復興=額田勲・著」、『毎日新聞』2013年03月10日(日)付。

- 今週の本棚:孤独死 被災地で考える人間の復興 額田勲・著 (岩波現代文庫・1218円) 東日本代審査から2年を経た今もなお、仮設住宅に単身で住む多くの被災高齢者が、「孤独死」の不安にさらされながら暮らしている。震災で表面化した問題の底流には…