2013-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「人間を内面から変えていくという、そういう人間変革の問題」としての「社会変革」

- −−ある意味でキリスト教を捨てて文学をやったというか、そういう人の中にほんとうのキリスト教的なものがあったのでしょうか? そこが内村などには非常に問題になったところでしょうが、例の芸術的価値の追求や政治的価値の追求と宗教的価値の追求の間にみ…

覚え書:「【著者来店】『武士道とキリスト教』 笹森建美さん」、『読売新聞』2013年02月24日(日)付。

- 『武士道とキリスト教』 笹森建美さん根幹にある共通点 十字架が掲げられた礼拝堂で、刀を構える剣道着姿の男性。ここ東京・世田谷の駒場エデン教会の牧師にして、小野派一刀流第十七代宗家が、武士道とキリスト教をもっと広めたいと、一冊の本をまとめた…

覚え書:「書評:『戦後食糧行政の起源』 小田義幸著 評・開沼 博」、『読売新聞』2013年02月24日(日)付。

- 『戦後食糧行政の起源』 小田義幸著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) 政府主導の管理体制 日本の食料自給率(カロリーベース)は約4割。だが、食の半分以上を海外に頼る日本で「明日、食糧危機が訪れないか」と懸念する人が多いわけでもない。…

覚え書:「書評:『ドアの向こうのカルト』 佐藤典雅著 評・星野博美」、『読売新聞』2013年02月24日(日)付。

- 『ドアの向こうのカルト』 佐藤典雅著評・星野博美(ノンフィクション作家・写真家) 教団脱会の経緯を告白 東京ガールズコレクションやキットソンというアパレルブランドをブレイクさせたカリスマプロデューサーが、25年間過ごした「エホバの証人」。教…

書評:リンダ・ポルマン(大平剛訳)『クライシス・キャラバン 紛争地における人道援助の真実』東洋経済新報社、2012年。

リンダ・ポルマン『クライシス・キャラバン 紛争地における人道援助の真実』東洋経済新報社、読了。人道援助の現場の混乱と真実をレポートする「衝撃」の一冊。飢えた子供への憐憫が集めた資金や物資は巨大な利権だ。それを援助団体、武装組織、地元の政府と…

忘却を強いられるとき、われわれが抵抗する唯一の道は記憶することだ

- ミラン・クンデラという作家がいます。チェコで苦しい経験をして、亡命して、いまなおパリに住んでいる人ですが、かれが、権力を持っている強い連中のやり方は、忘れさせることだ、ひどいめにあったことは忘れさせて、もう一度同じことをやらせようという…

覚え書:「書評:皮膚感覚と人間のこころ [著]傳田光洋 [評者]横尾忠則」、『朝日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 皮膚感覚と人間のこころ [著]傳田光洋 [評者]横尾忠則(美術家) [掲載]2013年03月03日■触れるとなぜ気持ちいいのか 皮膚感覚という語は日常によく耳にするが、概念に対する身体感覚という意味で認識されているように思う。私たちは普段、皮膚に類する語を比…

覚え書:「書評:東北発の震災論―周辺から広域システムを考える [著]山下祐介 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 東北発の震災論―周辺から広域システムを考える [著]山下祐介 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年03月03日 ■脱原発ではなく脱システムを 本書を最後まで読むと恐ろしくなってくる。「震災論」とあるが、じつは「広域システム」論だ。…

覚え書:「そこが聞きたい:公共善に貢献する志を マイケル・サンデル教授」、『毎日新聞』2013年03月04日(月)付。

- そこが聞きたい:公共善に貢献する志を マイケル・サンデル教授 毎日新聞 2013年03月04日 東京朝刊 東日本大震災から11日で2年になる。「共同体主義」を唱える米ハーバード大のマイケル・サンデル教授が来日し、被災地を初めて訪れた。被災地では防災集…

覚え書:「書評:色川大吉歴史論集 近代の光と闇 [著]色川大吉 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 色川大吉歴史論集 近代の光と闇 [著]色川大吉 [評者]上丸洋一(本社編集委員) [掲載]2013年03月03日著者:色川大吉 出版社:日本経済評論社■「歴史の辛さ」ともにかみしめ 天皇制の是非について2人の歴史学者が対談した。 A「これは憲法にあきらかなよう…

覚え書:「書評:沈黙の町で [著]奥田英朗 [評者]逢坂剛(作家)」、『朝日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 沈黙の町で [著]奥田英朗 [評者]逢坂剛(作家) [掲載]2013年03月03日著者:奥田英朗 出版社:朝日新聞出版■緊迫感に満ちた、いじめ真相解明 奥田英朗は、もともと引き出しの多い作家で、どれを読んでもおもしろく、失望することがない。 この作品は、一昨年…

研究ノート:朝鮮人が来るなら来てみろ(和辻哲郎)、関東大震災下での知識人たちの反応から見えてくる人種主義の原像

- 酒井 …… 今回、『思想』の関東大震災の特集号を読んで、学ぶところが実に多かった。人文科学系の人は、ほとんど朝鮮人襲撃の話をしています。ということは、ほとんどの人がその風評を聞いて憂慮していたということだと思います。朝鮮人の襲撃は東京の火災…

覚え書:「書評:視線とテクスト 多木浩二遺稿集」、『東京新聞』2013年3月3日(日)付。

- 視線とテクスト 多木浩二遺稿集 2013年3月3日 ◆「もの」に探る人間の意味 [評者] 高島 直之 美術評論家・武蔵野美大教授。著書『中井正一とその時代』など。 一昨年に八十二歳で亡くなった著者の、いまでは眼に触れにくい七〇年代の初期評論を中心に集め…

覚え書:「書評:写真家 井上青龍の時代 太田順一著」、『東京新聞』2013年3月3日(日)付。

- 書評:写真家 井上青龍の時代 太田 順一 著 2013年3月3日 ◆体を張って撮る貧困の底 [評者] 吉田 司 ノンフィクション作家。著書に『王道楽土の戦争』など。 東日本大震災の復旧事業で暴力団が労働者を違法派遣し儲(もう)けているとか、最近の非正規雇…

覚え書:「災害と文明 エネルギー転換への視点 原発ゼロ社会を目指す=大島堅一」、『聖教新聞』2013年02月27日(水)付。

- 災害と文明 エネルギー転換への視点 原発ゼロ社会を目指す大島堅一 立命館大学教授イデオロギーの問題でなく安全・安心の問題 根拠のない“安価神話” 費用の多くは国民が負担◇ 日本の進むべき道 今、日本が目指すべき社会とは、「原発ゼロの社会」です。そ…

覚え書:「『原発のごみ問題 未来への投棄だ』 脚本家・倉本聰さんインタビュー」、『毎日新聞』2013年03月04日(月)付。

- 「原発のごみ問題 未来への投棄だ」 脚本家・倉本聰さんインタビューテレビドラマ「北の国から」などの作品で知られる脚本家、倉本聰さん(78)が作・演出した舞台「明日、悲別(かなしべつ)で」が、全国各地で巡演されている。閉山した架空の炭坑町「…

覚え書:「時代の風:宗教と民主主義=仏経済学者・思想家、ジャック・アタリ」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 時代の風:宗教と民主主義=仏経済学者・思想家、ジャック・アタリ 毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 ◇過激主義を恐れるな 西アフリカのマリで、イスラム過激派勢力の拡大に対しフランス軍などが軍事介入した。マリで起きていることは私たちが直面する多く…

覚え書:「今週の本棚:差別の境界をゆく 生活世界のエスノグラフィー=岸衛・桜井厚・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:差別の境界をゆく 生活世界のエスノグラフィー 岸衛・桜井厚・著 (せりか書房・2415円) ライフストーリーの研究者2人が滋賀県の被差別部落を中心に1990年から約20年にわたり、丹念に聞き取りした内容をまとめた。年齢も立場もさ…

覚え書:「今週の本棚:中村達也・評 『現代日本の労働経済−分析・理論・政策』=石水喜夫・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:中村達也・評 『現代日本の労働経済−分析・理論・政策』=石水喜夫・著毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (岩波書店・2940円) ◇人口減少の現実を見極める「政治経済学」 熱い想(おも)いの込められた書である。著者は、六年間にわたって…

書評:小林道彦『政党内閣の崩壊と満州事変』ミネルヴァ書房、2010年。

戦前日本の政党政治と国際協調体制と国際金本位制といった政治経済、国際システムはなぜ崩壊したのか−−。本書は第一次大戦後から満州事変に至るまでの政軍関係を分析した一冊。著者は実証的政治過程分析によって鮮やかにその系譜を浮かび上がらせる。陸軍は…

覚え書:「今週の本棚:三浦雅士・評 『集合知とは何か』=西垣通・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:三浦雅士・評 『集合知とは何か』=西垣通・著毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (中公新書・861円) ◇ネット社会を考える貴重な一冊 ここ十数年のメディア環境の変貌ははなはだしい。フェイスブックやツイッターなどといったソーシャルメ…

覚え書:「今週の本棚:加藤陽子・評 『記念碑に刻まれたドイツ』=松本彰・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:加藤陽子・評 『記念碑に刻まれたドイツ』=松本彰・著毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (東京大学出版会・6720円) ◇民族の存亡をかけた歴史の変転を問い直す 葉かげから少しだけ陽(ひ)のさしている森をゆっくりと歩く人−−。本書を読…

ちがっているということと反対であるということがたえず混同される

- 日本ではちがっているということと反対であるということがたえず混同されるでしょう。たとえばノン・コミュニストという範疇がなくて、同伴者か然らずんば反共というふうに区別する。これが組織論に現われると丸抱え主義になり、既存のものとちがった組織…

覚え書:「みんなの広場 原発に隕石、果たして杞憂?」、『毎日新聞』2013年02月28日(木)付。

- みんなの広場 原発に隕石、果たして杞憂? 無職 65(山口県周南市) 取り越し苦労を意味する「杞憂(きゆう)」は、中国の古代王朝・周にあった杞の国の人が天地が崩れるなどとありもしないことを憂えた故事からきている。隕石の落下もこれまでは、多くの…

覚え書:「今週の本棚:若島正・評 『アサイラム・ピース』=アンナ・カヴァン著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:若島正・評 『アサイラム・ピース』=アンナ・カヴァン著 毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (国書刊行会・2310円) ◇囚われの心象を封じた忘れがたい短篇群 アンナ・カヴァンと言えば、すぐに連想するのは、今はなきサンリオSF文庫であ…

覚え書:「今週の本棚:渡辺保・評 『完本 浄瑠璃物語』=信多純一・著」、『毎日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 今週の本棚:渡辺保・評 『完本 浄瑠璃物語』=信多純一・著 毎日新聞 2013年03月03日 東京朝刊 (和泉書院・3150円) ◇日本文化の源をなす「死と再生の神話」を知る 日本の三味線音楽には大きく分けて二つの流れがある。一つは浄瑠璃、一つは唄。二つ…

覚え書:「引用句辞典 不朽版 『真の人生』の逆説=鹿島茂」、『毎日新聞』2013年02月27日(水)付。

- 引用句辞典 不朽版 「真の人生の逆説」 鹿島茂幼年時代を全肯定し一億総シュルレアリスト シュルレアリスムにのめりこむ精神は、自分の幼年時代の最良の部分を、昂揚とともにふたたび生きる。(中略)幼年時代やその他あれこれの思い出からは、どこか買い…

覚え書:「書評:『暮らしのイギリス史』 ルーシー・ワースリー著 評・平松洋子」、『読売新聞』2013年2月24日(日)付。

- 『暮らしのイギリス史』 ルーシー・ワースリー著評・平松洋子(エッセイスト) チューダー朝の男性の性的魅力はふくらはぎ(下着)。十七世紀、妊娠するには女性のオーガズムが必要不可欠とされた(セックス)。裕福な患者が貧困者から歯を譲り受け、口か…

覚え書:「書評:『古代豪族と武士の誕生』 森公章著 評・上野 誠」、『読売新聞』2013年02月24日(日)付。

- 『古代豪族と武士の誕生』 森公章著評・上野 誠(万葉学者・奈良大教授) 昔も役人はつらいよ 某県に出向しているキャリア官僚から、こんな嘆きを聞いたことがある。「上野さん、一月ってもう大変なんです。新年会の梯子はしごで、一日五つや十はざら。た…

「この世の中のすべてが嘘であつても、私は人を信じて生きて行きたい」(里村欣三)

- 里村欣三は正直でありすぎたしまっとうでありすぎた。私が無念に思うのは、ありていに言って里村は、もう少し要領よく、もう少し俗人であればという感慨である。しかしそれは里村欣三にとって無理な注文であり、もし里村が生きていれば、私は彼から叱責さ…