2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧
- プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年05月05日 ■困難多かった「開国」への道 オイレンブルク伯爵が率いるドイツ初の日本訪問使節団は、自然から民俗習慣におよぶ幕末日本の貴重な調査資料を残した。ただし、…
- 協力がつくる社会 ペンギンとリヴァイアサン [著]ヨハイ・ベンクラー [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年05月05日■共感や協調を引き出す工夫 人を動かす常套(じょうとう)手段といえばアメと鞭(むち)。どちらも人間が私利私欲に満ち…
- みんなの広場 安倍首相の歴史観おかしい 無職 66(埼玉県鴻巣市) 内閣支持率の上昇と株高、景況感の回復に自信を深めたのか、安倍政権が「安全運転」をやめてタカ派色・国家主義を全面に出してきた。国防軍だの憲法改正だのと勇ましい言葉が自民党に飛び…
- それでも彼女は生きていく― 3・11をきっかけにAV女優となった7人の女の子 [著]山川徹 [評者]赤坂真理(作家) [掲載]2013年05月05日 [ジャンル]ノンフィクション・評伝 ■〈家族〉と〈企業〉が壊れた世界で 東日本大震災から4カ月ほどのある日、ルポラ…
- 黄禍論と日本人 飯倉章 著 2013年5月5日 [評者] 成田龍一 日本女子大教授。著書『近現代日本史と歴史学』など。 ◆風刺画を丹念に解読 「黄禍論」とは、白人たちが「黄色人種」の脅威を説くもので、ドイツ皇帝ヴィルヘルム二世−カイザーが十九世紀末に唱…
- 『では、これがどのような技術であり、どのような知識であるかということは、あらためてまた考察することになるだろう。しかし私とプロタゴラスとが諸君の質問に関連して行わなければならない証明のためには、それがとにかくひとつの知識であることだけわ…
- ドクトル・ジヴァゴ ボリース・パステルナーク 著 2013年5月5日 [評者] 辺見庸 作家。著書『たんば色の覚書』『水の透視画法』など。 ◆目くるめく風景、人の運命 すぐれた物語は「永遠の貌」をもたず、読まれる時によって、面貌がおどろくほど変幻する。…
- 自然災害と民俗 野本寛一 著 2013年5月5日 [評者] 金田久璋 民俗学者・詩人。著書『森の神々と民俗』など。 ◆入念な聞き書き基に考察 たとえば、著者はその重厚な論考の中で、聞き書きした相手の実名と生年を必ず書き記す。それが野本民俗学の調査研究の…
- 歴史の教訓 以上の戦前政党政治の歴史から何を学ぶべきか、三点にまとめ直してみる。 第一に、二大政党制よりも連立政権の重要性である。戦前の日本政治は、二大政党制の限界を克服するために、新しい政党間提携を模索した。同様に今の日本政治も、二大政…
- 今週の本棚:池内紀・評 『夏の嘘』=ベルンハルト・シュリンク著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 ◇池内紀(おさむ)・評 (新潮社・2100円) ◇小さな嘘からもつれゆく練達の物語集 『朗読者』が世界的なベストセラーになったドイツの作家の短篇集。…
- 今週の本棚:鹿島茂・評 『昨日までの世界 上・下』=ジャレド・ダイアモンド著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (日本経済新聞出版社・各1995円) ◇自由を求めた文明社会は何を失ったのか 授業で「ALWAYS 三丁目の夕日」が話題にのぼったので…
- 村上春樹さん:京大で公開インタビュー 「物語」とは人の魂の奥底にあるもの ジョーク交え、小説論語る 毎日新聞 2013年05月07日 東京夕刊 6日、京都大学百周年記念ホール(京都市左京区)で公開インタビューに臨んだ村上春樹さん(64)は、チェックの半…
- 今週の本棚・本と人:『検証 官邸のイラク戦争』 著者・柳澤協二さん 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (岩波書店・2520円) ◇日米安保戦略の矛盾問う−−柳澤協二(やなぎさわ・きょうじ)さん 「テロとの戦い」を錦の御旗(みはた)に米国が始めたイ…
- 今週の本棚:井波律子・評 『ヘタウマ文化論』=山藤章二・著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (岩波新書・756円) ◇創造的破壊が編み出す無類のオモシロさ 対象となる人物の特徴を意表をつく鮮やかさで描出する、似顔絵作家・イラストレーターとして…
柳澤協二『検証 官邸のイラク戦争』岩波書店、読了。イラク戦争から十年。自衛隊派遣時、内閣官房副長官補を務めた著者が自衛隊を派遣した政府の判断を検証する。安全保障と国際協調に関して、アメリカ一辺倒という歪さが浮かび上がる。本書は70年に入省し…
- − 今週の本棚・新刊:『被爆アオギリと生きる 語り部・沼田鈴子の伝言』=広岩近広・著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (岩波ジュニア新書・903円) 被爆者の沼田鈴子さんは「アオギリの語り部」として知られた。2011年7月に87歳で亡くなるま…
- 今週の本棚:本村凌二・評 『経済史の構造と変化』=D・C・ノース著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (日経BPクラシックス・2520円) ◇社会経済の浮沈の鍵を時間軸から解き明かす もし古代ギリシャ人が一七五〇年のイギリスに連れて来られたとし…
- 時代の風:作り手による「物語」=京都大教授・山極寿一 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 ◇多様な視点から解釈を−−山極寿一(やまぎわ・じゅいち) 芥川龍之介の作品に「桃太郎」という短編がある。桃太郎がサル、イヌ、キジを連れて鬼ケ島に征伐に行く有…
- ろくでなしのロシア―プーチンとロシア正教 [著]中村逸郎 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年04月28日 [ジャンル]国際 ■結託して神聖さを醸成する 著者は、ロシア現代政治を専門とする研究者だが、しばしばモスクワに滞在して、この国の現…
- 昨日までの世界(上・下)―文明の源流と人類の未来 [著]ジャレド・ダイアモンド [訳]倉骨彰 [評者]福岡伸一(青山学院大学教授・生物学) [掲載]2013年04月28日 [ジャンル]人文 ■風土と環境因重視、叡智をたどり直す 朝日新聞が、識者アンケートによるゼロ年…
川田稔『戦前日本の安全保障』講談社現代新書、読了。戦前日本の歩みとは、日露戦争での辛勝を例証するまでもなく、国際社会における安全保障と切っても切り離せない。本書は、山県有朋、原敬、浜口雄幸、永田鉄山を取り上げ、主として戦間期における安全保…
- 日本の動物観 [著]石田おさむ・濱野佐代子・花園誠・瀬戸口明久 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年04月28日 [ジャンル]人文 ■江戸時代も続いていた内臓食 日本の動物観というと仏教の殺生禁忌やら徳川綱吉の「生類憐みの令」を思い浮かべるが、どうもほんと…
- 自然災害と民俗 [著]野本寛一 [評者]角幡唯介(ノンフィクション作家・探検家) [掲載]2013年04月28日 [ジャンル]人文 ■伝承からみえてくる自然観 私が探検をする理由を簡単に説明すると、自然を旅して死を身近に感じることで逆に研ぎ澄まされた生の瞬間を味…
- みんなの広場 平和主義は米の押し付けか 会社員 23(神奈川県小田原市) 私の職場では毎年憲法記念日にさまざまなテーマで憲法について考えてきた。これをきっかけに、私は社会人になってから初めて憲法を学び、多くの意見を読んで、「私たちの日本国憲法…
- 政治をあきらめない理由 [著]ジェリー・ストーカー [訳]山口二郎 [掲載]2013年04月28日 [ジャンル]政治 民主主義は世界中に広がってきたのに、人々が政治に幻滅しているのはなぜか。英国の政治学者が、再生への道を探った。 政治家に対する懐疑的な見方や…
- 【自著を語る】『思想としての「医学概論」 いま「いのち」とどう向き合うか』 高草木光一さん(慶応義塾大学経済学部教授)2013年4月23日 ◆先端技術に陥穽ないか 私は、経済学部専門課程で「社会思想」を担当している。「医学概論」をそんな門外漢がつく…
- さて、「今朝、何、話したの?」と聞くと、子どもたちは、ほぼ決まって「えぇ、今朝、何話したっけ?」と呟く。私はこれだけでも、この授業(国語授業内での演劇教室のこと……引用者註)の意味があると考えている。話し言葉の教育とは、まずもって、自分の…
- 日本人は災害からどう復興したか 渡辺 尚志 著 2013年4月28日 [評者] 祖田 修 京都大名誉教授、農業経済学。著書『コメを考える』など。 ◆増大する人災要素を注視 二年前の3・11は、私たちに驚天動地の自然の恐ろしさを見せつけた。 この十年ほどの間…
- 山靴の画文ヤ 辻まことのこと 駒村 吉重 著 2013年4月28日 ◆余白多い自由求めて [評者] 正津 勉 詩人。著書『行き暮れて、山。』『小説尾形亀之助』など。 辻まこと。今年、生誕百年、没後三十八年。いまもこの人の著書やイラストの原画、ことに肉筆原稿…
- だが、この稿のはじめに書いたように、挿画を書いて発表したいという、子供のころの夢は六十を超えてかなったことになるわけだから、いよいよもって、いうことはないのだ。 本道へもどっても、おそらく私は、もう絵を捨てきれないだろう。神さまは老後のた…