格差・不平等
角田由紀子『性と法律』岩波新書、読了。法律における女性差別の是正は筆者らの永年の努力で「1ミリ1ミリ」変わってきたが、問題は山積している。何が「変わったこと、変えたいこと」(副題)なのか。本書はその歴史と最前線を丁寧に概観する。 男女平等を…
- くらしの明日 私の社会保障論 アメリカ家族の日本化? 山田昌弘 中央大教授日本社会でよくみられる現象が米国でも起きているーーという内容の本が最近、相次いで2冊翻訳され、話題になっている。 1冊は「親元暮らしという戦略」(キャサリン・S ・ニュー…
- 女川の獅子舞 人類は共同体を維持するために、文化、芸術活動を、どうしても必要としてきた。それはなぜか? たとえば、今回の震災においても、宮城県女川町から以下のような報告があった。 女川は、入り江が入り組んでいることもあり、最大四十三メートル…
- かつては、県庁所在地レベルの地方都市なら、変わった並びの書籍や古本屋が何軒もあったはずだ。商店街の店舗の多くは家賃を払わなくていい環境にあるから、日銭さえ入って来れば、どうにか商売は続けられる。街の本屋は雑誌を売って生計を立て、あとは好…
- くらしの明日 私の社会保障論 家族のあり方 政治が左右 配偶者控除見直しの行方注視を 湯浅誠 社会活動家 先日、若者の低投票率に関するニュースをテレビで見た。「自分の幸せと政治が結びつかない」という意見が多かったという。若者に限らず、こうした声…
- くらしの明日 私の社会保障論 キューバからもらう勇気 医療と教育を無償化する国 本田宏 埼玉県済生会栗橋病院院長補佐 10年有余、人口当たりの医師数が最低の埼玉から、日本の低医療費と医師養成抑制の問題を訴えてきた。しかし税と社会保障の一体改革…
- くらしの明日 私の社会保障論 「暮らしの安心」近づくか 「経済活性化」への違和感 湯浅誠 社会活動家 寒くなってきた。ストーブを出して、灯油を買った。18リットル1950円だった。高い。聞けば、昨年より80円上がったとのこと。10年前の2倍に…
- 若者の成長にとって試練は重要だ、といわれることは昔からしばしばある、だがこれらを見れば、若者の成長にとって必要なのは試練一般ではなく、それがきちんと成長や自信の獲得に結びつく、そういう試練である。近年の状況を見ると、一部の大人たちの言説…
- みんなの広場 ビッグイシューは知識の宝庫 無職 82(横浜市西区) 9月29日本紙の「ビッグイシュー10周年」の記事を興味深く読みました。私は、数年前から、ビッグイシューの愛読者です。最初、「何の本だろう」と、興味半分に求めた雑誌が、独自の編集…
- みんなの広場 保護費 どう使ったか説明して 障害者 73(福岡県久留米市) 9月16日の本欄「生活保護減額、どう暮らせば」に同感です。年金、介護保険、今度は保護費を引かれ厳しい生活が現実になります。ぜいたくな生活はしていません。食料品もほとんど…
- くらしの明日 私の社会保障論 社会活動家 湯浅誠「中断」か「転換」か リーマンショック5年 2008年9月のリーマン・ショックから5年がたった。現段階で振り返れば、あれは「転換」ではなく「中断」だった、ということになるだろう。 リーマン・ショ…
- みんなの広場 生活保護減額、どう暮らせば パート 50(福島市) この8月から生活保護基準額が引き下げられました。病気がちで週2〜3日のパートをして暮らしている私にとって、憲法25条の健康で文化的な最低限度の生活を営むことすらも厳しい状況になっ…
小林美希『ルポ 産ませない社会』河出書房新社、読了。「産めない」のではなく、社会が「産ませない」(帯)。本書はジャーナリストとして結婚、出産、雇用に取り組んだ著者による痛切な報告。子育てすることで孤立していかざる得ない現代。「孤育」てしなが…
- 人口減少社会という希望 コミュニティ経済の生成と地球倫理 [著]広井良典 [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年06月30日 [ジャンル]経済 ■比重増すローカルで内的な生 成長至上主義者は本書を読んで、どう反論するだろうか。これまで幾度と…
少しtwに連投した殴り言で、かつ、内容が錯綜はしているのですが、記録として残しておきます。そのうち、議論を整理して幾つかに分けて掲載し直そうとは思いますが(汗 さて……。帰宅った。今季最大の猛暑にてかなりへろへろ。看護助手は屋内業務なのに仕事…
- ひと ブラック企業の淘汰を目指す 中嶌聡さん(30) あるタイ焼き店の20代の店長は、多い月で200時間も残業していた。1日の売り上げが悪いと、午後10時ごろから翌日の対策会議が始まる。帰ったら倒れるように寝た。給料は19万円余り。「再就職先…
広井良典『人口減少社会という希望 コミュニティ経済の生成と地球倫理』朝日新聞出版、読了。私たちの直面する人口減少社会は「絶望」なのか。著者より豊かな社会へのステップアップ(希望)と捉え、幾つかの処方箋を提示する。フィールドワークに基づく身の…
上林陽治『非正規公務員という問題 問われる公共サービスのあり方』岩波ブックレット、読了。その陣容が無駄の象徴と指摘されるものの安定した職種というイメージの地方公務員。しかしその内実は3人に1人が非正規の職員だという。本書は、市民の日常を支え…
- 記者の目:生活保護法改正案=遠藤拓(東京社会部) 毎日新聞 2013年06月19日 10時39分 ◇現場の不安に向き合え 新しい「最後のセーフティーネット」は、各地で相次ぐ餓死や孤立死といった悲劇を未然に防げるのだろうか。 1950年の施行以来初となる生活…
- 女子プロレスラーの身体とジェンダー 規範的「女らしさ」を超えて [著]合場敬子 [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2013年06月09日 [ジャンル]社会 ■「強さ」をめぐる問題提起 女らしさや美の規範。これらは、今なお多くの女性を拘束する見えない鎖…
- しかし、当面人口減少は止まらないからといって、少子化対策を諦めてよいのだろうか。仮に出生率が永遠に回復しなければ、この国は、当初どころか、永遠に人口減少をし続けてしまう。 以上にあげた点をみると、筆者としては、「少子化論」の側に少なからぬ…
- 女性ホームレスとして生きる 貧困と排除の社会学 [著]丸山里美 [掲載]2013年06月09日 [ジャンル]人文 著者:丸山里美 出版社:世界思想社 価格:¥ 2,940Amazon.co.jp楽天ブックス紀伊國屋書店BookWebTSUTAYA online 野宿者全体のうち、女性は3%という。…
- みんなの広場 生活保護法改正は憲法に逆行 高校教師 55(静岡県掛川市) 今月4日、衆院本会議で生活保護法改正案が可決、参院へ送られた。同案では、生活保護申請書の提出義務付け、扶養義務者に対する調査権限の強化、義務を果たしていない場合に扶養義…
- 少子化論―なぜまだ結婚、出産しやすい国にならないのか [著]松田茂樹 [評者]水無田気流(詩人・社会学者) [掲載]2013年06月02日 [ジャンル]政治 社会 ■従来の対策の根本的な転換を 少子化は、日本社会の抱える問題の集積点である。しかしながら経済・社会・…
- 記者の目:アイヌ遺骨返還問題北海道報道部 千々部一好研究者のモラル確立を 北海道大や東京大、京都大など全国11大学が、「人類学の研究」と称して明治時代から戦後までの期間に墓地から集めたアイヌの遺骨が1633体に上ることが4月、文部科学省の…
- みんなの広場 橋下氏の慰安婦発言がっかり 主婦 63(東京都板橋区) 「縦断が飛び交う中で命をかけて走っていく時、精神的に高ぶっている集団に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰でもわかる」。これは、日本維新の会の共同代表…
- 幸福の経済学 人々を豊かにするものは何か [著]キャロル・グラハム [評者]水野和夫(日本大学教授・経済学) [掲載]2013年04月21日 [ジャンル]経済 ■幸せな農民、不満な成功者の謎 幸福は経済学者や心理学者がそれを考察対象とする以前から哲学的な思想のテ…
- 階級「断絶」社会アメリカ 新上流と新下流の出現 [著]チャールズ・マレー [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学) [掲載]2013年03月24日 ■「真のエリートとは」を問う 実に挑発的な米国論だ。 貧困や格差に関する本なら山ほどある。しかし、過去50年間…
- 今週の本棚・新刊:『社会運動の戸惑い』=山口智美、斉藤正美、荻上チキ・著 毎日新聞 2013年03月24日 東京朝刊 (剄草書房・2940円) 反発、反動を意味する「バックラッシュ」。フェミニズムや社会学に関心のある人なら、2000年ごろから各地で起…
- 今週の本棚:さらさらさん 大野更紗・著 (ポプラ社・1470円) ビルマ(ミャンマー)の奥地で難民支援の使命感に燃える大学院生から一転、原因も治療法も不明な難病を患い、「助けられる」当事者になってしまった著者。痛みと苦しみに満ちた病気との闘…