2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「……だからあいつらは〜なんだ」という図式で全てを判断する噴飯さについて

- 平田 ただ当然そうは言っても是々非々の関係です。例えば、僕の考える外交政策と前原(誠司)さんのものは、まったく違います。でも、前原さんはプロの政治家であり、僕は演劇人なので、その部分で違うから嫌だと言ってもあまり意味がない。一方、文化政策…

覚え書:「今週の本棚:山崎正和・評 『中国は東アジアをどう変えるか』=白石隆、ハウ・カロライン著」、『毎日新聞』2012年11月11日(日)付。

- 今週の本棚:山崎正和・評 『中国は東アジアをどう変えるか』=白石隆、ハウ・カロライン著 (中公新書・882円) ◇言語的変化が「新民族」を生み出す 現代の中国は世界最多の人口と最強の経済成長力を擁し、一党独裁のもとで軍事的な拡張をめざす帝国で…

覚え書:「今週の本棚:藤森照信・評 『歴史をどう見るか』=粕谷一希・著」、『毎日新聞』2012年11月11日(日)付。

- 今週の本棚:藤森照信・評 『歴史をどう見るか』=粕谷一希・著 (藤原書店・2100円) ◇さめた眼と言葉の力で過去を捉える 近代前を宗教の時代とするなら、近代以後はイデオロギーの時代と言っていい。人の心を左右のイデオロギーが動かし、その結果、…

誤った文明と正しい文明というまことしやかなナンセンス:どんな文化も、文明も、単独では存在しない

- ここで品格や尊厳(ディグニティー)について話したい。言うまでもなくこの観念は、歴史学でも、人類学でも、社会学でも、人文科学でも、およそすべての文化に特別な位置を与えられている。まっさきに指摘しておきたいのは、アラブ人でも、ヨーロッパ人や…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『コルヴォーを探して』=A・J・A・シモンズ著」、『毎日新聞』2012年11月11日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『コルヴォーを探して』=A・J・A・シモンズ著 (早川書房・2205円) ◇丸谷才一の愛した“詐称と異形の英作家”を追う 『書かれざる本の書評集』−−もしこんなタイトルの本が、何処(どこ)にあるのか誰も知らない出版社か…

覚え書:「みんなの広場 過激な政治家の発言が怖い」、『毎日新聞』2012年11月13日(火)付。

- みんなの広場過激な政治家の発言が怖い 無職 66(大阪府) 何とも“過激”な人たちがそろって政治の表舞台に出てきたものだ。しかも、この人たち、日本の明日を決めることになるかもしれないというものだから、怖いような気もする。 “右寄り”の言動で知られ…

覚え書:「今週の本棚:中村桂子・評 『動物に魂はあるのか』=金森修・著」、『毎日新聞』2012年11月11日(日)付。

- 今週の本棚:中村桂子・評 『動物に魂はあるのか』=金森修・著 (中公新書・924円) ◇「機械論」から「現代の霊魂論」への科学思想 「恐らく、多くの読者は<動物機械論>についてならどこかで聞いたことがあっても、本書の主題<動物霊魂論>などは、…

省察をおこなうには、まず隣人のところへ行って、隣人が生活するために、また生き延びるために、どのような仕方を採用しているかを見にいかねばならない

- 省察をおこなうには、そして自分について省察をおこなうには、まず隣人のところへ行って、隣人が生活するために、また生き延びるために、どのような仕方を採用しているかを見にいかねばならない。選ぶべき隣人はどんな隣人でもかまわない。というのも人文…

覚え書:「今週の本棚:リアル30’s “生きづらさ”を理解するために=『リアル』30’取材班」、『毎日新聞』2012年11月11日(日)付。

- 今週の本棚:リアル30’s “生きづらさ”を理解するために=『リアル』30’取材班 (毎日新聞社・1365円)「失われた20年」に青春期を過ごし、就職氷河期を経験した30歳世代。彼らの多くが感じる「生きづらさ」とは一体何かを、同世代の記者たちがて…

「やつらは気に入らない、だから『より悪いほうが、よりまし』という理屈」

- 私や他の少なからぬ人がそう考えるように、国家が不当な制度であるということに全然異論はありません。しかし、そのことをもって国家を支持すべきではないということにはなりません。不当な制度を支持しないにしても、ときには、それに取って代わる、もっ…

覚え書:「今週の本棚・本と人:『赤猫異聞』 著者・浅田次郎さん」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚・本と人:『赤猫異聞』 著者・浅田次郎さん (新潮社・1575円) ◇罪人解き放ちの中にみる「礼」−−浅田次郎(あさだ・じろう)さん 明治元(1868)年暮れに東京の町を襲った火災。この時、伝馬町牢(ろう)屋敷で行われた罪人の解き放ち…

覚え書:「著者来店 『フクシマの正義』=開沼博さん」、『読売新聞』2012年11月04日(日)付。

- 著者来店 「フクシマの正義」=開沼博さん現場を見つめ、考える 東日本大震災前に福島を歩き、地方と中央の関係から原発を考察した『「フクシマ」論 原子力ムラはなぜ生まれたのか』で毎日出版文化賞を受賞した1984年生まれの社会学者である。本作は、…

覚え書:「異論反論 男女格差の大きさが指摘されました=雨宮処凛」、『毎日新聞』2012年11月08日(水)付。

- 異論反論 男女格差の大きさが指摘されました 寄稿 雨宮処凛国のためにも女性活用を 日本は先進国・主要国の中で、もっとも男女格差が開いている国。 10月24日、スイスのシンクタンク「世界経済フォーラム」が発表した「男女格差報告」の評価だ。調査対象…

覚え書:「新宿、わたしの解放区 [著]佐々木美智子 [聞き書き]岩本茂之 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 新宿、わたしの解放区 [著]佐々木美智子 [聞き書き]岩本茂之 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2012年11月04日 ■酒場と映画と、女傑の一代記 「女傑」一代記である。 そう言い切ったら、単純すぎる。一人の女の生き方を通して見た戦後史。おおげさすぎるか。…

覚え書:「書評:東と西 横光利一の旅愁 関川 夏央 著」、『東京新聞』2012年11月4日(日)付。

- 東と西 横光利一の旅愁 関川 夏央 著 ◆狭間で生きる作家の苦闘 [評者]菅野 昭正 文芸評論家。著書に『横光利一』『明日への回想』など。 大正末から昭和初年にかけて、モダニズムへの志向が文学・芸術の世界で、異例な高まりを見せた時代、横光利一はそ…

書評:山崎正勝『日本の核開発:1939〜1955 原爆から原子力へ』績文堂、2012年。

山崎正勝『日本の核開発:1939〜1955』績文堂、読了。戦時下日本の旧陸海軍の原爆開発から1955年の原子力基本法成立へ至る日本の核開発の歴史をたどる一冊。開発から挫折、平和利用で導入へという経緯が詳しく、専門的書物ながら資料としてきわめて価値たか…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『構図がわかれば絵画がわかる』=布施英利・著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『構図がわかれば絵画がわかる』=布施英利・著 (光文社新書・1092円) ◇美術作品への感動から解剖学の根本に迫る 絵がわからない。そういう人はかなりいるのではないか。私はそう疑っている。私自身が絵心がないからである…

覚え書:「今週の本棚:川本三郎・評 『泉鏡花 −百合と宝珠の文学史』=持田叙子・著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚:川本三郎・評 『泉鏡花 −百合と宝珠の文学史』=持田叙子・著 (慶應義塾大学出版会・2940円) ◇知られざる鏡花像をたおやかに 明晰(めいせき)であるだけではない。評論の世界でめったに見られない美しい文芸評論。 泉鏡花への深い愛情に…

試験のための読書だった。人と会話するときの話題のための読書だった。知識のための読書だった。それが、ここでは楽しみのために読書するようになった。

- ベイトマンはどさりと椅子に座り込んだ。 「君が理解できない」 「変化は僅かずつやってきたんだ。ここの生活が次第に気に入ってきた。のんびりとして気楽だ。住民は人がいいし、幸福な微笑をいつも見せている。僕は考えるようになった。以前は考える余裕…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『足利義満 −−公武に君臨した室町将軍』=小川剛生・著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『足利義満 −−公武に君臨した室町将軍』=小川剛生・著 (中公新書・945円) ◇いかにして室町殿は朝廷に入ったのか 室町時代三代将軍の足利義満は、それまで源頼朝によってつくられた鎌倉殿という将軍の型を大きく変えて室町殿…

覚え書:「みんなの広場 石原氏の都知事辞職は非常識」、『毎日新聞』2012年11月05日(月)付。

- みんなの広場 石原氏の都知事辞職は無責任 税理士 81(大阪府吹田市)石原慎太郎氏が東京都知事を辞職した。近く新党を結成し、党首として次期衆院選の比例代表に立候補する意向を表明している。 彼は私より1歳下の80歳。体力面を考えると、衆院議員の激…

覚え書:「今週の本棚:鴻巣友季子・評 『2666』=ロベルト・ボラーニョ著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚:鴻巣友季子・評 『2666』=ロベルト・ボラーニョ著 (白水社・6930円) ◇涯てしない「極上の悪夢」、恐るべき物語 気が早いが、今年の翻訳小説では断トツのベスト1だ。ドストエフスキー、プルースト、ジョイス、ガルシア=マルケス………

個人がなし得ることは小さい。世界全部を変革することを個人は要求されているのではない

- 個人がなし得ることは小さい。世界全部を変革することを個人は要求されているのではない。世界全部を変革するのでなければ思想でないという考え方は、有効性をテコにとって簡単に自分が転向してしまうか、あるいは非常に残虐な思想に向かわせます。 残虐行…

覚え書:「今週の本棚:『SF挿絵画家の時代』=大橋博之著」、『毎日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 今週の本棚:『SF挿絵画家の時代』=大橋博之著 (本の雑誌社・1890円) 小松崎茂から加藤直之まで、総勢71名の日本の挿絵画家を追った「SFアート史」にして「SFイラストレーターガイド」が刊行された。 できるかぎり本人に会うことを基本原則と…

覚え書:「ひと 『戦争柄の着物』を収集し、研究する=乾淑子さん」、『毎日新聞』2012年11月03日(土)付。

- ひと 「戦争柄の着物」を収集し、研究する 乾淑子さん(60) 軍艦旗や大砲の間を縫って「占領」の文字が躍る絣(かすり)、満州建国を伝える新聞記事を染めた羽織の裏地−−。戦争をモチーフにした柄の着物を収集・研究して12年。コレクションは500枚を…

書評:アルンダティ・ロイ(本橋哲也訳)『民主主義のあとに生き残るものは』岩波書店、2012年。

本書は、大企業(市場主義)ヒンドゥー原理主義(ナショナリズム)が民主主義の名のもとに人々を抑圧するインドの苛烈な現状を告発するインド人作家の政治エッセイ集。そしてこの現実はインドだけでなく世界各地で現在進行形のことであると著者は指摘する。…

覚え書:「ヒトはなぜ神を信じるのか 信仰する本能 [著]ジェシー・ベリング [評者]保阪正康(ノンフィクション作家)」、『朝日新聞』2012年10月28日(日)付。

- ヒトはなぜ神を信じるのか 信仰する本能 [著]ジェシー・ベリング [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2012年10月28日■神を論じる新世代の知性 宗教書ではない。「神」を求める心理(進化心理学という語が用いられている)を解きほぐそうというの…

覚え書:「大阪の神さん仏さん [著]釈徹宗・高島幸次 [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2012年10月28日(日)付。

- 大阪の神さん仏さん [著]釈徹宗・高島幸次 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) [掲載]2012年10月28日 住吉大社、四天王寺、大阪天満宮、石山本願寺……。大阪という都市の形成には、思いのほか、社寺が深く関わっている。本書…

覚え書:「みんなの広場:日中韓学生会議で感じたこと」、『毎日新聞』2012年11月2日(金)付。

- みんなの広場 日中韓学生会議で感じたこと 大学生 20(横浜市青葉区) 尖閣諸島や竹島をめぐり、日中韓の3国の関係が険悪化するが、お互いの国に同じ価値観を共有できる個人がいることを忘れてはならない。 9月、韓国で開かれた日中韓の学生会議に参加し…

覚え書:「踊ってはいけない国、日本 風営法問題と過剰規制される社会 [編著]磯部涼 [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター)」、『朝日新聞』2012年10月28日(日)付。

- 踊ってはいけない国、日本 風営法問題と過剰規制される社会 [編著]磯部涼 [評者]いとうせいこう(作家・クリエーター) [掲載]2012年10月28日■人類的行為を抑圧する不均衡 一般に風営法と呼ばれる法律によって、特にここ数年、大阪を中心としてクラブが摘発…