メディア論

覚え書:「メディア時評 『ゲン』の時代は終わっていない=荻上チキ」、『毎日新聞』2013年08月24日(土)付。

- メディア時評 「ゲン」の時代は終わっていない 荻上チキ 評論家 松江市の「はだしのゲン」(以下、ゲン)閉架に関するリアクションは、思ったより大きなものとなった。「ゲン」という作品自体が持つ影響力の範囲を確認させられた格好だ。 同市教育委員会に…

文の人(オーム・ド・レットル)・高崎隆治先生の思い出

金曜にその話を聞いて驚いたのだけど、戦時下ジャーナリズム研究家の高崎隆治先生が先月末に88歳で亡くなったそうです。慎んでご冥福をお祈り申し上げます。年賀状のやりとりしかなく、無沙汰を囲っていたのですが、前日まで執筆されていたとか。戦中を知…

覚え書:「進化するアカデミア―「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来 [著]江渡浩一郎・ニコニコ学会β実行委員会 [評者]川端裕人」、『朝日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 進化するアカデミア―「ユーザー参加型研究」が連れてくる未来 [著]江渡浩一郎・ニコニコ学会β実行委員会 [評者]川端裕人(作家) [掲載]2013年07月21日 [ジャンル]文芸 政治 ■学会ネット中継、視聴者も参加 研究者が集う学会は創造性を加速させる場として古…

ネット選挙解禁雑感:選挙にふさわしい投票スタイル等々……

ネット選挙解禁って、誰もが自身の正義を相互確認するというのではなくして、とにかくそれを押しつけ合い合戦の平行線を追及する騒音にしか聞こえない。(伝統的な哲学の価値論の概念にすら取り込まれない下位概念としての)うさんくさい「正義」なるものを…

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『メディアとしての紙の文化史』=ローター・ミュラー著」、『毎日新聞』2013年07月14日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『メディアとしての紙の文化史』=ローター・ミュラー著 毎日新聞 2013年07月14日 東京朝刊 (東洋書林・4725円) ◇魔術的な「文明のインフラ」の過去と未来 人類最大の発明が文字だとすると、印刷術の発明がそれに次ぐ。しかし…

書評:佐々木俊尚『レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる』NHK出版新書、2013年。

- 金融市場、宗教団体、民族組織、テロリスト、ボランティア活動、自然保護運動、展覧会、国際イベント、ファッション、アートなどさまざまな分野でさまざな人たちや団体がそれぞれにレイヤーをつくり、そこで活動していくでしょう。 そしてそれらのレイヤー…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『ウェブ文明論』=池田純一・著」、『毎日新聞』2013年07月07日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『ウェブ文明論』=池田純一・著 毎日新聞 2013年07月07日 東京朝刊 (新潮選書・1575円) ◇生きて変化するアメリカ現代社会のスケッチ これはウェブを創りだし、さらにそれを最大限に利用することで、いまも変化しつつある米…

書評:フランク・ローズ(島内哲朗訳)『のめりこませる技術 誰が物語を操るのか』フィルムアート社、2012年。

フランク・ローズ『のめりこませる技術 誰が物語を操るのか』フィルムアート社、読了。本書は現代メディアを横断する「のめりこませる技術」を腑分けする現代メディア論。著者は元ワイアード誌編集長。膨大な事例を検証し、メディアの「物語性」に問題を提起…

覚え書:「書評:メディアとしての紙の文化史 ローター・ミュラー 著」、『東京新聞』2013年6月30日(日)付。

- 【書評】メディアとしての紙の文化史 ローター・ミュラー 著 2013年6月30日 写真 ◆心血注がれた手紙 [評者]小倉孝誠=慶応大教授 Eメールが一般化した現在、手紙を便箋に書くことは稀(まれ)になってきた。また電子書籍が広く普及すれば、紙媒体の本の…

覚え書:「書評:図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情 宮田昇 著」、『東京新聞』2013年6月30日(日)付。

- 図書館に通う 当世「公立無料貸本屋」事情 宮田昇 著 2013年6月30日 写真 ◆借りて読む楽しみに誘う [評者]小田光雄=文芸評論家 宮田昇は戦後出版史における重要な証人であり、『翻訳権の戦後史』や出版太郎名義の出版時評『朱筆』をはじめとして、多く…

覚え書:「メディア時評 議論が深まらぬ『不格好な議題』=荻上チキ」、『毎日新聞』2013年06月01日(土)付。

- メディア時評 議論が深まらぬ「不格好な議題」 荻上チキ 評論家 メディアは「議題の形」を広く共有する機能を持つ。「議題の形」が不格好であれば、おかしな結論が導かれやすくなる。だからこそ人々は、メディアが取り上げる「議題の形」をも、注意深く監…

覚え書:「書評:そのとき、本が生まれた [著]アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ [評者]内澤旬子」、『朝日新聞』2013年05月26日(日)付。

- そのとき、本が生まれた [著]アレッサンドロ・マルツォ・マーニョ [評者]内澤旬子(文筆家・イラストレーター) [掲載]2013年05月26日 [ジャンル]歴史 国際 ■出版史から見たヴェネツィア 1987年ヴェネツィアの小さな教会図書館で、コーランが発見された…

覚え書:「書評:日本における新聞連載子ども漫画の戦前史 [著]徐園 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年05月12日(日)付。

- 日本における新聞連載子ども漫画の戦前史 [著]徐園 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年05月12日 [ジャンル]歴史 アート・ファッション・芸能 ■ヒトコマから読む社会の動態 著者(中国人研究者)は本書の狙いをこの表題を歴史に「刻む」こ…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著」、『毎日新聞』2013年04月28日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『表現の自由とメディア』=田島泰彦・編著 毎日新聞 2013年04月28日 東京朝刊 (日本評論社・4515円) 「表現の自由」の観点から考えると、新聞、放送、ネットメディアにはさまざまな制約がある。人権・プライバシー侵害に対する権…

書評:西垣通『集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ』中公新書、2013年。

西垣通『集合知とは何か ネット時代の「知」のゆくえ』中公新書、読了。ここ10数年のコンピュータの変化とは、人間に代わっての高速な処理から相互通信性にシフトしつつあることだ。本書は「〜2.0」のフレーズに代表されるインターネットを初めとする「…

覚え書:「メディア時評 見通しを検証する誠実さを=釈徹宗」、『毎日新聞』2013年04月13日(土)付。

- メディア時評 見通しを検証する誠実さを 釈徹宗 相愛大教授(宗教思想・人間学) 新聞で、「仮説演繹法」を活用した報道ができないものだろうか。仮説−予測−検証というプロセスを繰り返す科学研究の一手法である。まず現在の情報やデータに基づき、将来に…

覚え書:「3・11とメディア―徹底検証 新聞・テレビ・WEBは何をどう伝えたか [著]山田健太 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年03月24日(日)付。

- 3・11とメディア―徹底検証 新聞・テレビ・WEBは何をどう伝えたか [著]山田健太 [評者]上丸洋一(本社編集委員) [掲載]2013年03月24日 [ジャンル]社会 ■報道姿勢に反省はあるのか 東京電力福島第一原発の1号機が水素爆発を起こした直後、在京のあるテ…

覚え書:「今週の本棚:マス・イメージ論=吉本隆明・著」、『毎日新聞』2013年03月24日(日)付。

- 今週の本棚:マス・イメージ論 吉本隆明・著 (講談社文芸文庫・1680円) 長らく絶版となっていた1980年代の代表作が、著者・吉本隆明の没後1年を機に再刊された。 鹿島茂の卓抜な解説によれば、著者は20世紀から21世紀へと向かう新しい時代…

書評:佐伯順子『明治〈美人〉論 メディアは女性をどう変えたのか』NHK出版、2012年。

佐伯順子『明治〈美人〉論 メディアは女性をどう変えたのか』NHK出版、読了。本書は近代化という時代の転換期の中で、新しいメディア(新聞・雑誌・写真)が女性をどのように表象したのかを明らかにする一冊。当時の美人とは芸者を意義する言葉。日本で最初…

書評:木村涼子『〈主婦〉の誕生 婦人雑誌と女性たちの近代』吉川弘文館、2010年。

- 近代社会が提示した女性の新しいライフスタイルは、社会的な孤立を女性に強いるものであった。「男は仕事、女は家庭」という性分業によれば、学校卒業後、男性は高等教育機関や軍隊、官庁、工場、会社など、その他の近代的な組織に参入していくのに対し、…

覚え書:「書評:一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏」、『朝日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年02月10日■教会も受容した死を超える快楽 イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写本の蒐集(し…

覚え書:「書評:『のめりこませる技術 ―誰が物語を操るのか』 フランク・ローズ著 評・開沼博」、『読売新聞』2013年01月20日(日)付。

- 『のめりこませる技術 ―誰が物語を操るのか』 フランク・ローズ著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) インターネット上には、例えば2ちゃんねるなら排外主義的言辞を、ツイッターなら放射線被曝 ひばく の危険性を自主的に四六時中繰り返し書き続…

書評:小林ソーデルマン淳子・吉田右子・和気尚美『読書を支えるスウェーデンの公共図書館 文化・情報へのアクセスを保障する空間』新評論、2012年。

- あらゆる方法で図書館の魅力を子どもたちに示すことができるのは、小学校から中学校までの九年間にかぎられている。というのも、フィンスカテバリには高校がないため、高校に進学した子どもたちはべつのコミューンまで通学するようになるからである。 九年…

書評:内田樹『呪いの時代』新潮社、2011年。

相互の違いを踏まえた上で合意形成を目指す気などさらさらない…これが現在の言語空間の支配的体質ではないだろうか。相手を屈服させる為だけに捻出される無数の言葉はまるで「呪詛」のようである。本書は雑誌連載のエッセイを纏めた一冊だが、「呪い」を切り…

書評:フレデリック・マルテル(林はる芽訳)『メインストリーム 文化とメディアの世界戦争』岩波書店、2012年。

- 第三の要因(引用者注……ヨーロッパ文化の衰退)として考えられるのは、ヨーロッパ的な文化の定義−−文化を過去からの遺産として常に歴史的にとらえ、しばしばエリート主義的で反メインストリームの文化論に直結する−−が、グローバル化とデジタル化の時代に…

覚え書:「【書評】わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か 平田オリザ著」、『東京新聞』2012年11月25日(日)付。

- 【書評】わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か 平田 オリザ 著 ◆演劇使う授業の効用 [評者]土佐 有明 ライター。音楽・演劇・文芸などの分野で論評を執筆。 文科省のコミュニケーション教育推進にもかかわった演出家が、演技論、日本…

覚え書:「今週の本棚:『「橋下維新」は3年で終わる』=川上和久・著」、『毎日新聞』2012年11月18日(日)付。

- 今週の本棚:『「橋下維新」は3年で終わる』=川上和久・著 (宝島新書・780円) 新党「日本維新の会」を率い、来月投開票の総選挙に向けた動向が注目される橋下徹・大阪市長。その名をタイトルに掲げた、示唆に富む政治と世論の分析書である。 著者の…

覚え書:「新宿、わたしの解放区 [著]佐々木美智子 [聞き書き]岩本茂之 [評者]出久根達郎」、『朝日新聞』2012年11月04日(日)付。

- 新宿、わたしの解放区 [著]佐々木美智子 [聞き書き]岩本茂之 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2012年11月04日 ■酒場と映画と、女傑の一代記 「女傑」一代記である。 そう言い切ったら、単純すぎる。一人の女の生き方を通して見た戦後史。おおげさすぎるか。…

書評:中野敏男『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』NHK出版、2012年。

中野敏男『詩歌と戦争 白秋と民衆、総力戦への「道」』NHK出版、読了。白秋を素材に、戦前日本社会の民衆のメンタリティーの変遷を批判的に考察する一書。童謡で人気を獲得した白秋が、なぜ戦争賛美を歌いあげ愛国心を鼓舞するようになったかを検証する。…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『出版と政治の戦後史』=アンドレ・シフリン著」、『毎日新聞』2012年9月30日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『出版と政治の戦後史』=アンドレ・シフリン著 (トランスビュー・2940円) ◇激動を追い求める編集者の目線 「しかし、多くの人にとって、仕事や年金を失うかもしれないこと、とくに中高年になってそうした目にあうという…