歴史学

覚え書:「今週の本棚:加藤陽子・評 『情報覇権と帝国日本1 海底ケーブルと通信社の誕生』=有山輝雄・著」、『毎日新聞』2013年07月21日(日)付。

- 今週の本棚:加藤陽子・評 『情報覇権と帝国日本1 海底ケーブルと通信社の誕生』=有山輝雄・著 毎日新聞 2013年07月21日 東京朝刊 (吉川弘文館・4935円) ◇国際情報戦の実態に迫る本格的通史 戦争が始められる直前、あるいは直後になされる敵への動…

覚え書:「黒船来航―日本語が動く [著]清水康行」、『朝日新聞』2013年07月14日(日)付。

- 黒船来航―日本語が動く [著]清水康行 [掲載]2013年07月14日 [ジャンル]歴史 幕末、諸外国との外交交渉に臨んだ日本。近代西洋の論理に直面し、条約文をまとめる際には新たな単語や構文法を開発しなければならない場面もあった。「日米和親条約」などの文章…

覚え書:「性欲の研究―エロティック・アジア [編]井上章一」、『朝日新聞』2013年06月30日(日)付。

- 性欲の研究―エロティック・アジア [編]井上章一 [掲載]2013年06月30日 [ジャンル]社会 編者と鹿島茂による巻頭対談で、オタクの元祖として名挙げされたプルースト。『失われた時を求めて』に登場する、眠る少女を思うさま観察するイメージは川端康成の中で…

覚え書:「歴史哲学への招待―生命パラダイムから考える [著]小林道憲 [評者]田中優子」、『朝日新聞』2013年06月23日(日)付。

- 歴史哲学への招待―生命パラダイムから考える [著]小林道憲 [評者]田中優子(法政大学教授・近世比較文化) [掲載]2013年06月23日 [ジャンル]科学・生物 ■科学との共通性が見えてくる 「歴史的事実」という言葉がある。歴史教科書に記述されていることは、あ…

覚え書:「今週の本棚:本村凌二・評 『西洋古典叢書 ヘシオドス 全作品』=中務哲郎・訳」、『毎日新聞』2013年06月16日(日)付。

- 今週の本棚:本村凌二・評 『西洋古典叢書 ヘシオドス 全作品』=中務哲郎・訳 毎日新聞 2013年06月16日 東京朝刊 (京都大学学術出版会・4830円) ◇偉業の百冊目に刻む「人類の精神の黎明」 あたり前すぎて気づきもしないが、アルファベットは人類最大…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『暮らしのイギリス史−王侯から庶民まで』=ルーシー・ワースリー著」、 『毎日新聞』2013年06月16日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『暮らしのイギリス史−王侯から庶民まで』=ルーシー・ワースリー著 毎日新聞 2013年06月16日 東京朝刊 拡大写真 (NTT出版・3780円) ◇ネタ満載の学術書で味わう、散歩的な楽しみ 本を読むというのは一体何のためなのだ…

歴史を学ぶとは、私たちがもっている認識を改めていくことなのではないか

- 『新しい歴史教科書を作る会(作る会)』がレイシスト集団『在日特権を許さない市民の会(在特会)』と一緒に 「捏造!従軍慰安婦」展なるパネル展の協賛団体に名を連ねている……。http://myosaka.blog.fc2.com/blog-entry-592.html - というニュースを拝見…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『犬の伊勢参り』=仁科邦男・著」、『毎日新聞』2013年06月09日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『犬の伊勢参り』=仁科邦男・著 毎日新聞 2013年06月09日 東京朝刊 (平凡社新書・840円) 江戸の頃、庶民のあいだでは「お伊勢参り」が盛んだったことはよく知られている。伊勢神宮まで詣でたのは、善男善女だけではなかった。犬ま…

覚え書:「みんなの広場 『過ち繰り返さぬ』歴史の大切さ」、『毎日新聞』2013年06月01日(土)付。

- みんなの広場 「過ち繰り返さぬ」歴史の大切さ 中学生 14(西東京市) 今年は、歴史を教わる先生が去年と代わりました。去年はずっと「どうして歴史を覚えなくちゃいけないの?」と思っており、過去のことを細々と教えられても将来なんの役にもたたないと…

覚え書:「今週の本棚・新刊:『続 日曜日の歴史学』=山本博文・著」、『毎日新聞』2013年05月26日(日)付。

- 今週の本棚・新刊:『続 日曜日の歴史学』=山本博文・著 毎日新聞 2013年05月26日 東京朝刊 (東京堂出版・1680円) 歴史学にとって最も信頼できる一次史料である古文書。博物館の歴史展示でも中核を占めている。しかし、日本語化した漢文だったりして…

覚え書:「書評:プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子」、『朝日新聞』2013年05月05日(日)付。

- プロイセン東アジア遠征と幕末外交 [著]福岡万里子 [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年05月05日 ■困難多かった「開国」への道 オイレンブルク伯爵が率いるドイツ初の日本訪問使節団は、自然から民俗習慣におよぶ幕末日本の貴重な調査資料を残した。ただし、…

覚え書:「今週の本棚:鹿島茂・評 『昨日までの世界 上・下』=ジャレド・ダイアモンド著」、『毎日新聞』2013年05月05日(日)付。

- 今週の本棚:鹿島茂・評 『昨日までの世界 上・下』=ジャレド・ダイアモンド著 毎日新聞 2013年05月05日 東京朝刊 (日本経済新聞出版社・各1995円) ◇自由を求めた文明社会は何を失ったのか 授業で「ALWAYS 三丁目の夕日」が話題にのぼったので…

覚え書:「書評:日本人は災害からどう復興したか 渡辺尚志著」、『東京新聞』2013年4月28日(日)付。

- 日本人は災害からどう復興したか 渡辺 尚志 著 2013年4月28日 [評者] 祖田 修 京都大名誉教授、農業経済学。著書『コメを考える』など。 ◆増大する人災要素を注視 二年前の3・11は、私たちに驚天動地の自然の恐ろしさを見せつけた。 この十年ほどの間…

覚え書:「書評:色川大吉歴史論集 近代の光と闇 [著]色川大吉 [評者]上丸洋一」、『朝日新聞』2013年03月03日(日)付。

- 色川大吉歴史論集 近代の光と闇 [著]色川大吉 [評者]上丸洋一(本社編集委員) [掲載]2013年03月03日著者:色川大吉 出版社:日本経済評論社■「歴史の辛さ」ともにかみしめ 天皇制の是非について2人の歴史学者が対談した。 A「これは憲法にあきらかなよう…

覚え書:「書評:『暮らしのイギリス史』 ルーシー・ワースリー著 評・平松洋子」、『読売新聞』2013年2月24日(日)付。

- 『暮らしのイギリス史』 ルーシー・ワースリー著評・平松洋子(エッセイスト) チューダー朝の男性の性的魅力はふくらはぎ(下着)。十七世紀、妊娠するには女性のオーガズムが必要不可欠とされた(セックス)。裕福な患者が貧困者から歯を譲り受け、口か…

覚え書:「今週の本棚:歴史の愉しみ方=磯田道史・著」、『毎日新聞』2013年02月24日(日)付。

- 今週の本棚:歴史の愉しみ方 磯田道史 (中公新書・777円) 人は齢を重ねるとともに古の出来事に関心が出てくるもの。自分自身にも歴史が刻まれて行くのだから、自然の理である。だが、ときには天賦の才に恵まれ、幼児のころから過去の事象に異常なほど…

書評:木村涼子『〈主婦〉の誕生 婦人雑誌と女性たちの近代』吉川弘文館、2010年。

- 近代社会が提示した女性の新しいライフスタイルは、社会的な孤立を女性に強いるものであった。「男は仕事、女は家庭」という性分業によれば、学校卒業後、男性は高等教育機関や軍隊、官庁、工場、会社など、その他の近代的な組織に参入していくのに対し、…

覚え書:「書評:一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏」、『朝日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 一四一七年、その一冊がすべてを変えた [著]スティーヴン・グリーンブラット [評者]荒俣宏(作家) [掲載]2013年02月10日■教会も受容した死を超える快楽 イタリア・ルネサンスの大物が活躍する半世紀ほど前の15世紀初頭、教皇秘書として古典写本の蒐集(し…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『海から見た歴史−東アジア海域に漕ぎだす 1』=羽田正・編、小島毅・監修」、『毎日新聞』2013年02月10日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『海から見た歴史−東アジア海域に漕ぎだす 1』=羽田正・編、小島毅・監修 毎日新聞 2013年02月10日 東京朝刊 (東京大学出版会・2940円) ◇現在へとみちびく三つの「海の時代」の構図 一五九一年、スペイン領フィリッピンで…

むかしの東京も、マドリードに劣らぬほどの緑に包まれていたのだよ

- 緑陰 数年前の晩夏に、スペインの首都マドリードへ行ったとき、同行の若い友人のS君が、石造りの大建築群を圧倒するような濃い緑にびっくりしていたが、私は、こういった。 「むかしの東京も、マドリードに劣らぬほどの緑に包まれていたのだよ」 「ほんと…

覚え書:「【書評】私の日本古代史(上)(下) 上田正昭著」、『東京新聞』2013年02月03日(日)付。

- 【書評】私の日本古代史(上)(下) 上田正昭著◆<中華>目指した施策を解明 [評者] 岡部 隆志 共立女子短大教授、古代文学。著書『古代文学の表象と論理』。 本書は、日本の古代を縄文時代から律令(りつりょう)国家成立まで通して論じた歴史書である…

書評:ニーアル・ファーガソン(仙名紀訳)『文明 西洋が覇権をとれた6つの真因』勁草書房、2012年。

- 「いったいどのようにして……ヨーロッパはこれほど強大になり得たのだろうか。ヨーロッパ人は交易や征服のためにアジアやアフリカをたやすく訪れることができるのに、アジア人やアフリカ人がなぜヨーロッパの沿岸や港湾を侵略して植民地を築けないのだろう…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『織田信長』=池上裕子・著」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『織田信長』=池上裕子・著 (吉川弘文館・2415円) ◇徹底して突き放した視線で“英雄”をとらえる 日本歴史学会編集の定評ある人物叢書(そうしょ)であるが、意外と著名人の伝記は少なく、古代の天武天皇や中世の源頼朝、戦…

覚え書:「今週の本棚:富山太佳夫・評 『完訳 日本奥地紀行 1〜3』=イザベラ・バード著」、『毎日新聞』2012年12月23日(日)付。

- 今週の本棚:富山太佳夫・評 『完訳 日本奥地紀行 1〜3』=イザベラ・バード著 (平凡社東洋文庫・3150?3360円) ◇英国女性が見た明治の地方文化史 年末から年の初めにかけての温泉旅行というのも悪くはないにしても、さしあたり今年は無理。その…

覚え書:「日中歴史から考える 満州事変81年 (中) 成田龍一氏」、『毎日新聞』2012年9月16日(日)付。

- 日中歴史から考える 満州事変81年 (中) 日本女子大教授(近現代日本史)成田龍一氏政党政治、閉塞感に策無く 満州事変(1931年)は、「大日本帝国」にとっての決定的な分かれ道だった。1920年代後半、普通選挙が実施されるにいたり、政党は人々…

書評:吉田敏浩『赤紙と徴兵―105歳、最後の兵事係の証言から』彩流社、2011年。

一兵事係が密かに残した記録から実体を精査する一冊。村役人の兵事係は赤紙配達だけでなく、対象の資質・技能も平時から調査し、死後は戦死報告も。末端の苦悩から浮かび上がる恐るべき生−権力。決して過去の話ではない。著者が取り上げる兵事係の西邑さん(…

覚え書:「今週の本棚:池内紀・評 『私はホロコーストを見た 上・下』=ヤン・カルスキ著」、『毎日新聞』2012年09月09日(日)付。

- 今週の本棚:池内紀・評 『私はホロコーストを見た 上・下』=ヤン・カルスキ著 (白水社・各2940円) ◇世界に届かなかった「虐殺」真実の証言 ヤン・カルスキは本名ヤン・コジェレフスキ。一九一四年、ポーランド中部の工業都市ウッチの生まれ。大学で…

覚え書:「今週の本棚:丸谷才一・評 『チチェローネ 建築篇・絵画篇』=ヤーコプ・ブルクハルト著」、『毎日新聞』2012年09月02日(日)付。

- 今週の本棚:丸谷才一・評 『チチェローネ 建築篇・絵画篇』=ヤーコプ・ブルクハルト著 (中央公論美術出版・3万9900円、3万4650円) ◇暮しを立てる為の旅行案内が不朽の名著に 小林秀雄がはじめて奈良へ行ったのは、和辻哲郎の『古寺巡礼』(一…

覚え書:「今週の本棚:荒川洋治・評 『若い読者のための世界史 上・下』=E・ゴンブリッチ著」、『毎日新聞』2012年08月05日(日)付。

- 今週の本棚:荒川洋治・評 『若い読者のための世界史 上・下』=E・ゴンブリッチ著 (中公文庫・上巻800円、下巻700円) ◇やわらかく簡潔に、歴史を表現する ウィーン生まれの高名な美術史家ゴンブリッチ(一九〇九−二〇〇一)が、原始から現代(第…

覚え書:「今週の本棚:湯川豊・評 『古代ローマとの対話』=本村凌二・著」、『毎日新聞』2012年07月15日(日)付。

- 今週の本棚:湯川豊・評 『古代ローマとの対話』=本村凌二・著 (岩波現代文庫・1008円) ◇「歴史感」の発想が飛翔するとき 「歴史感」という言葉が提示される。観、ではなく、感、である。この本の副題ともなっているこの言葉は、序章でその意味がお…