2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

書評:山下正寿『核の海の証言 ビキニ事件は終わらない』新日本出版社、2012年。

山下正寿『核の海の証言 ビキニ事件は終わらない』新日本出版社、読了。「一九五四年には第五福竜丸がアメリカの水爆実験による被害をうけた」と学校教科書にはある(実教出版)。しかしビキニで被災したのは第五福竜丸だけではなかった。この矮小化には核問…

覚え書:「3.11後のサイエンス 原発大国からの苦言=青野由利」、『毎日新聞』2013年01月15日(火)付。

- 3.11後のサイエンス 原発大国からの苦言 青野由利政権交代で「原発ゼロ」政策は、あっさりくつがえされる運命にあるようだ。安倍晋三首相は昨年末、民法のインタビューで次のように述べている。「新たに造っていく原発は、40年前の古いもの、事故を…

覚え書:「アベノミクス:安倍首相の経済政策「完全に正しい」 ノーベル賞経済学者・クルーグマン氏『評価』」、『毎日新聞』2013年01月15日(火)付。

- アベノミクス:安倍首相の経済政策「完全に正しい」 ノーベル賞経済学者・クルーグマン氏「評価」 毎日新聞 2013年01月15日 東京朝刊 ◇財政悪化「深く考えているわけではないだろうが」 【ロンドン坂井隆之】大胆な金融緩和や財政出動で景気底上げを図る安…

覚え書:「異論反論 北方領土を巡る重要証言がなされました=佐藤優」、『毎日新聞』2013年01月16日(水)付。

- 異論・反論 北方領土を巡る重要証言がなされました 寄稿 佐藤優歴史の歪曲を防ぐ英断 日露関係の専門家を震撼させる重要証言を東郷和彦・元外務省欧亜局長(京都産業大客員教授)が行った。1992年3月、東京で行われた日露外相会談において、当時のコ…

ボールペンで残された思索の軌跡

そういえば、大人になってから、ほとんど鉛筆やシャープペンシルをつかっていないことに気がついた。思い返せば、たぶん、高校時代ぐらいから鉛筆やシャープペンシルよりも、ボールペン(水性・油性を問わず)を使う比率が高くなったように思う。もちろん、…

覚え書:「トクヴィルが見たアメリカ−現代デモクラシーの誕生 [著]レオ・ダムロッシュ [評者]渡辺靖」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- トクヴィルが見たアメリカ―現代デモクラシーの誕生 [著]レオ・ダムロッシュ [評者]渡辺靖(慶応大学教授・文化人類学)■旅と思索の軌跡、リアルに追体験 1831年春、仏貴族出身の判事修習生トクヴィルは友人ボモンと共に9カ月間の米国旅行に出発した。弱…

覚え書:「韓国詩人・尹東柱の足跡解明へ 代表作舞台は高田馬場?」、『東京新聞』2013年01月15日(火)付、夕刊。

- 韓国詩人・尹東柱の足跡解明へ 代表作舞台は高田馬場?戦時下・朝鮮語で詩作、逮捕 韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ 一九一七〜四五年)が、戦時下の日本で詩作した東京都内の下宿場所は、新宿区高田馬場とみられることが、民間研究者の調査で分…

書評:小林ソーデルマン淳子・吉田右子・和気尚美『読書を支えるスウェーデンの公共図書館 文化・情報へのアクセスを保障する空間』新評論、2012年。

- あらゆる方法で図書館の魅力を子どもたちに示すことができるのは、小学校から中学校までの九年間にかぎられている。というのも、フィンスカテバリには高校がないため、高校に進学した子どもたちはべつのコミューンまで通学するようになるからである。 九年…

覚え書:「世界正義論 [著]井上達夫 [評者]保阪正康」、『朝日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 世界正義論 [著]井上達夫 [評者]保阪正康(ノンフィクション作家) [掲載]2013年01月13日■「国境を越える正義」を探究 第1章第1節の冒頭の「世界正義論とは、国境を越えて妥当する正義の探究である」という一言が、この書のすべてを語っている。法哲学の研…

覚え書:「今週の本棚:中村桂子・評 『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』=ガイ・ドイッチャー著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 今週の本棚:中村桂子・評 『言語が違えば、世界も違って見えるわけ』=ガイ・ドイッチャー著 (インターシフト・2520円) ◇言語と思考の関係を科学の目で解き明かす 言語は思考に影響を与えるのだろうか。さまざまな言語に接することが多くなった昨今…

「旅客来りて嘆いて曰く」だよ

ちょっといくつかのニュースを紹介します。(ニュース1) - 【政治】厚労相「全体で引き下げ」と明言 生活保護の支給水準 2013年1月16日 19時35分 田村憲久厚生労働相は16日午後、生活保護の支給水準(基準額)について「全体として引き下げることになる…

覚え書:「今週の本棚;イタリアの島から日本へ、そして世界へ=ヨゼフ・ピウタ著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 今週の本棚;イタリアの島から日本へ、そして世界へ ヨゼフ・ピウタ著(上智大学出版・1260円) カトリックの本山バチカン(ローマ教皇庁)で、前教皇ヨハネ・パウロ2世の右腕として庁立グレゴリアン大学長や教育省次官の重責を担ったヨゼフ・ピウタ大…

覚え書:「今週の本棚:池澤夏樹・評 『最後の人 詩人 高群逸枝』=石牟礼道子・著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 今週の本棚:池澤夏樹・評 『最後の人 詩人 高群逸枝』=石牟礼道子・著 (藤原書店・3780円) ◇名作の萌芽を支え、促した出会いの記録 世界経済フォーラム(WEF)二〇一二年の「世界男女格差報告」によれば日本は百三十五か国のうちの百一位である…

「文字ではなく私の精神(ガイスト)を聞いて欲しい」……ってほど大げさではありませんが

- 私は1949年度の東大法学部の授業で、当時、総長をしておられた南原先生の政治学史(=ヨーロッパ政治理論史)を受講しました。幸いなことに、それは、先生にとって最終講義の年に当たっていたのでした。それまで、いっこうに法学部の勉強になじみを覚…

覚え書:「今週の本棚:松原隆一郎・評 『ケインズとケンブリッジに対抗して』=F・A・ハイエク著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 今週の本棚:松原隆一郎・評 『ケインズとケンブリッジに対抗して』=F・A・ハイエク著 (春秋社・3675円) ◇俗説を打破する経済政策論争の真実 「ケインズかハイエクか」という対比を、しばしばマスコミで目にするようになった。もっぱら「大きな政…

覚え書:「書評:『みんなで決めた「安心」のかたち』 五十嵐泰正+「安全・安心の柏産柏消」円卓会議著」、『読売新聞』2013年01月06日(日)付。

- 『みんなで決めた「安心」のかたち』 五十嵐泰正+「安全・安心の柏産柏消」円卓会議著評・開沼 博(社会学者・福島大特任研究員) 「安心」の再獲得目指し 「行政は検査しているって言うけど、やっぱ危ないよ」「いつまでも気にしてたって仕方ないだろう…

覚え書:「そこが聞きたい 低成長20年の反動=ジョゼフ・ナイ」、『毎日新聞』2013年01月14日(月)付。

- そこが聞きたい ジョセフ・ナイ(75)低成長20年間の反動 尖閣諸島や竹島の領有権問題を引き金に日本のナショナリズムが勢いづく。海外でも日本の右傾化論争が盛んだ。米ハーバード大のジョセフ・ナイ教授は日本のナショナリズムを「弱さの表れ」と指摘…

覚え書:「書評:『ヴィジュアル版 国家と国民の歴史』 ピーター・ファタードー編」、『読売新聞』2013年01月06日(日)付。

- 『ヴィジュアル版 国家と国民の歴史』 ピーター・ファタードー編評・杉山正明(ユーラシア史家・京都大教授) 視覚で訴える多様性 本書は、いわゆる世界史の教科書とはほど遠い。似て非なるものである。 一見するとコンパクトなかたちで、ところが実は世界…

覚え書:「今週の本棚:湯川豊・評 『祖母の手帖』=ミレーナ・アグス著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 今週の本棚:湯川豊・評 『祖母の手帖』=ミレーナ・アグス著 (新潮社・1680円) ◇生涯一度の恋に秘められた物語 不思議な語り口で語られる、小さな中篇小説である。たどたどしい語り方にじれったくなったりするが、しだいに意外に深い奥行をもつ物語…

書評:ダン・ストーン(武井彩佳訳)『ホロコースト・スタディーズ 最新研究への手引き』白水社、2012年。

- ……ジャック・デリダ、エミール・ファッケンハイム、テオドール・W・アドルノ、エマニュエル・レヴィナスらの哲学は、ホロコーストなしでは理解不能である。同じように、イムレ・ケルテース、ピョードル・ラヴィッチ、レイモンド・フェダマン、ホルヘ・セ…

我が宿は 雪降りしきて 道もなし 踏みわけてとふ 人しなければ 

- 我が宿は 雪降りしきて 道もなし 踏みわけてとふ 人しなければ 読人知らず −−三二二、「巻六 冬歌」、『古今和歌集』。 - 2013年初の東京での降雪。記録的に写真で少し残しておこうかと思います。東京都・小平市周辺の様子ですが、15cmぐらいつもって…

覚え書:「今週の本棚:哲学の練習問題=西研・著」、『毎日新聞』2013年01月13日(日)付。

- 今週の本棚:哲学の練習問題=西研・著 (河出文庫・798円) かつて同タイトルで毎日新聞文化面に連載され、1998年に刊行された本を文庫化したものだが、構成を一新。全体の3分の1が新たに書き下ろされた「大増補版」である。 「生まれ変わりは証…

「信教の自由を阻害する戦前的体質の根深さ」と「少数者の信教、思想、良心の自由に対する無神経さ」について

- 9月に開催都市が決まる2020年夏季五輪の東京招致の機運を高めようと、ロンドン五輪のメダリストらが6日、千代田区丸の内でイベントを開催した。 新年にちなみ、ボクシング男子金メダルの村田諒太選手や、重量挙げ女子銀メダルの三宅宏実選手らは晴れ…

覚え書:「田中角栄―戦後日本の悲しき自画像 [著]早野透 [評者]後藤正治」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 田中角栄―戦後日本の悲しき自画像 [著]早野透 [評者]後藤正治(ノンフィクション作家) [掲載]2013年01月06日■「戦後」を映し出した政治家 田中角栄が世を去って20年がたつ。総理番、派閥番、地元の新潟支局勤務などを通してこの政治家に至近距離で接して…

覚え書:「みんなの広場 9条改正『72%が賛成』に衝撃」、『毎日新聞』2013年01月09日(水)付。

- みんなの広場 9条改正「72%が賛成」に衝撃 無職 70(大分県杵築市) 本紙によると、新しい衆院議員の72%が憲法9条改正に、78%が集団的自衛権公使に関する集団的自衛権行使に関する憲法解釈の見直しにそれぞれ賛成だという。衝撃的な数字だ。 私はベト…

書評:柴原三貴子『ムスリムの女たちのインド 増補版』木犀社、2012年。

- 幼いころ両親を亡くし親戚の家で育った夫と結婚したチャビーラおばさんは、舅や姑との関係に苦労しなかった代わりに、夫が親から受け継ぐ農地も住む家もなかった。マクドゥミアを家に建てるだけの小さな土地を買い、ボンベイで働く夫の帰りを待ちながら、…

覚え書:「われらが背きし者  [著]ジョン・ル・カレ [評者]小野正嗣」、『朝日新聞』2013年01月06日(日)付。

- われらが背きし者 [著]ジョン・ル・カレ [評者]小野正嗣(作家・明治学院大学専任講師)■スパイ小説、語りに仕掛け オックスフォードの元教員ペリーは彼の恋人で弁護士のゲイルと訪れたカリブ海のリゾート地で、ロシア人の富豪ディマからテニスの試合を申し…

覚え書:「広島・長崎市長から手紙 ’13冬 新しいリーダーたちへ」、『毎日新聞』2013年01月09日(水)付。

- 広島・長崎市長からの手紙 ’13冬 新しいリーダーたちへ 原発の安全神話が崩れ果てた今、核抑止力の安全神話が問われている。被爆地・広島と長崎の両市長は、核兵器による抑止力を強く懸念し、人類が生存していくには核廃絶しかないとの思いを手紙にした…

覚え書:「書評:戦後沖縄と米軍基地―「受容」と「拒絶」のはざまで [著]平良好利 [評者]中島岳志」、『朝日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 戦後沖縄と米軍基地―「受容」と「拒絶」のはざまで [著]平良好利 [評者]中島岳志(北海道大学准教授・南アジア地域研究、政治思想史) ■固定化を進めた奇妙な連携 沖縄の米軍基地問題には、多様な主体が絡まる。立場の異なる住民、沖縄の政治リーダー、日本…

覚え書:「異論反論 働く母親の立場は厳しいままです=城戸久枝」、『毎日新聞』2013年01月09日(水)付。

- 異論反論 働く母親の立場は厳しいままです 寄稿 城戸久枝共働きしやすい環境整備を 2歳になる息子と散歩をしていたとき、見知らぬ高齢の女性に声をかけられた。「一人っ子はダメよ。もう一人、産んじゃいなさい。亡くなったら悲惨よ」 唐突な話に少々驚い…