2013-01-01から1ヶ月間の記事一覧

に惑わされたによって、哲学は解雇される

- の哲学に属する思想の運動はその起源と影響とにおいてさまざまであるけれども、哲学の終焉を告げる点で一致している。その運動は、いかなる顔も命じることのない従属を称揚するものであるからである。前ソクラテス期の哲学者たちに対して啓示されたと言わ…

覚え書:「書評:伊藤野枝と代準介 [著]矢野寛治 [評者]出久根達郎(作家)」、『朝日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 伊藤野枝と代準介 [著]矢野寛治 [評者]出久根達郎(作家) [掲載]2013年01月06日■「奔放な恋の女」の真実に迫る こんなにも知的な美人、とは意外だった。 伊藤野枝、である。評者の知る野枝は、大正期の婦人運動家で、結婚を破棄して上野高等女学校の英語教…

覚え書:「今週の本棚:〈3・11〉忘却に抗して 識者53人の言葉=毎日新聞夕刊編集部・著」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:〈3・11〉忘却に抗して 識者53人の言葉 毎日新聞夕刊編集部・著 (現代書館・1785円) 1923年の関東大震災直後、総合雑誌『改造』は、同年10月号の表紙に「大震災号」と刷り込んだ。山本有三、武者小路実篤ら時代を代表する作家が…

私は……自国内では、潜在的にあるいは実際に暴力的になりかねない多数派の一員です。

- 私はバラモンで、バラモンとして生まれ、すなわち上層カーストとして生まれ、先に述べた通り、潜在的に暴力的な−−すべてのヒンドゥー教徒が暴力的なのではありませんが−−それでも自国内では、潜在的にあるいは実際に暴力的になりかねない多数派の一員です…

覚え書:「今週の本棚:創文社『神學大全』が完結」、『毎日新聞』2012年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:創文社『神學大全』が完結 創文社が1960年から刊行を続けてきた13世紀イタリアの神学者・哲学者、トマス・アクィナスの大著『神學大全』の邦訳版(全45巻、39冊・3990〜7980円)がこのほど「39・40巻」(合本=5040円)の刊行…

覚え書:「今週の本棚:白石詩集」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:白石詩集 青柳優子訳 (岩波書店・2205円) 一九一二年、平安北道定州(現・北朝鮮)に生まれ、日本の青山学院を卒業、戦前の朝鮮詩界で活躍した詩人、白石の主要作を収める。白石の詩集刊行は日本では初めて。 詩集『鹿』(一九三六)に…

書評:加藤節『南原繁 −−近代日本と知識人』岩波新書、1997年。

すぐれた評伝が新書に収録されると初学者にその輪郭を理解するうえで好都合なことはいうまでもない。近代日本を代表する政治学者にして、戦後民主主義の枠組みづくりに大いに貢献した南原繁の足跡をスケッチしたのが本書である。類書が少ないなかで恰好の一…

覚え書:「今週の本棚:空想読解 なるほど、村上春樹=小山鉄郎・著」、『毎日新聞』2012年01月06(日)付。

- 今週の本棚:空想読解 なるほど、村上春樹=小山鉄郎・著 (共同通信社・1470円) 本格的な村上春樹論をもつ著者がちょっと変わった角度から春樹作品を読み解いていった。題名に「空想読解」とあるが、これは「ナゾ解き」というのがふさわしいようだ。…

覚え書:「今週の本棚:川本三郎・評 『瓦礫の下から唄が聴こえる』=佐々木幹郎・著」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:川本三郎・評 『瓦礫の下から唄が聴こえる』=佐々木幹郎・著 ◇『瓦礫(がれき)の下から唄が聴こえる』(みすず書房・2730円) ◇旅する詩人、開かれた山小屋の日々 詩人というと孤独な書斎の人の感が強いが、この詩人は実によく旅をしてい…

世の東西の解釈(1)

- 究極の解釈ということは、自己矛盾であるように思われる。解釈は常に途上にある。したがって、解釈という語が人間存在の有限性と知の有限性とを指し示すのだとすると、解釈の経験は、以前の自己了解のうちに存在していなかったものや、解釈学として特殊な…

覚え書:「【文化】田中正造没後100年 真の文明は人を殺さず=小松裕」、『聖教新聞』2013年01月08日(火)付。

- 田中正造没後100年 真の文明は人を殺さず小松裕3・11最大の教訓 2011年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の事故から2回目の新年を迎えました。いまなお、32万人もの人々が避難生活を続けています。仮設住宅にいつまでも住めるわけで…

覚え書:「今週の本棚:養老孟司・評 『ひとの目、驚異の進化』=マーク・チャンギージー著」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:養老孟司・評 『ひとの目、驚異の進化』=マーク・チャンギージー著 (インターシフト・1995円) ◇「見ること」の常識を変えて「自ら」を知る ソクラテスは「汝(なんじ)、自らを知れ」といったという。科学の世界はものを考える人たちの…

書評:内田樹『呪いの時代』新潮社、2011年。

相互の違いを踏まえた上で合意形成を目指す気などさらさらない…これが現在の言語空間の支配的体質ではないだろうか。相手を屈服させる為だけに捻出される無数の言葉はまるで「呪詛」のようである。本書は雑誌連載のエッセイを纏めた一冊だが、「呪い」を切り…

覚え書:「今週の本棚:五味文彦・評 『織田信長』=池上裕子・著」、『毎日新聞』2013年01月06日(日)付。

- 今週の本棚:五味文彦・評 『織田信長』=池上裕子・著 (吉川弘文館・2415円) ◇徹底して突き放した視線で“英雄”をとらえる 日本歴史学会編集の定評ある人物叢書(そうしょ)であるが、意外と著名人の伝記は少なく、古代の天武天皇や中世の源頼朝、戦…

「民衆に平和を取り戻させるには、経済開発にたいして草の根からの民衆の手で制裁を加えることが重要」なことについて

- ……平和をことばに置きかえることのなんとむずかしいかを思わずにはいられない。私には、民衆の平和は民衆の詩と同じように独自のものに思われる。だから平和の意味を考えるのは、詩の解釈と同じくらいに骨の折れる仕事なのである。 時代が異なり、また文化…

覚え書:「ニュースの匠:小選挙区のマジック=鳥越俊太郎」、『毎日新聞』2013年01月05日(土)付。

- ニュースの匠:小選挙区のマジック=鳥越俊太郎 毎日新聞 2013年01月05日 東京朝刊 ◇「民意得ぬ」自民圧勝 今回の衆院選を見ていてどこかいぶかしい思いが残ったのは私だけではないでしょう。民主党が3年3カ月の政権運営で失政を続けたとか評判が悪かった…

覚え書:「みんなの広場 はかない命、精いっぱい生きる」、『毎日新聞』2013年01月05日(土)付。

- みんなの広場 はかない命、精いっぱい生きる 中学生 14(東京都八王子市) 私は今、学校の国語の授業で「命」について学んでいる。命というものは、この世の中にいるすべての人がもっているもので、いつ、どこでなくなってしまうか分からない。今こうして…

覚え書:「出版:生活保護、実態知って 元受給者が経験を本に」、『毎日新聞』2013年01月04日(木)付(東京夕刊)。

- 出版:生活保護、実態知って 元受給者が経験を本に 毎日新聞 2013年01月04日 東京夕刊 「生活保護制度は人間をダメにする制度ではありません」−−。生活保護への風当たりが強まる中、元受給者が自身の経験をありのままにつづった「生活保護とあたし」(あけ…

覚え書:「訃報:ベアテ・ゴードンさん 89歳=日本国憲法の「男女平等」起草」、『毎日新聞』2013年01月03日(木)付。

- 訃報:ベアテ・ゴードンさん 89歳=日本国憲法の「男女平等」起草 毎日新聞 2013年01月03日 東京朝刊 【ニューヨーク草野和彦】第二次世界大戦後、連合国軍総司令部(GHQ)民政局員として日本国憲法の男女平等などの条項を起草した米国人女性、ベアテ…

文化による単純な一般化は、人びとの考えを固定化するうえできわめて効果を発揮する

- 世界の人びとは−−おそらく必要以上に断固として−−文化は重要だという結論に達している。世界の人びとは明らかに正しい。文化はたしかに重要だ。しかし、本当に問われるべき問題は、「文化はどのように重要なのか?」なのである。前の二つの章で論じたよう…

虚言をなすことなかれ。知りながら詐りをしないようにせよ。

- 虚言をなすことなかれ。知りながら詐りをしないようにせよ。また生活に関しても、知識に関しても、戒律や道徳に関しても、自分が他人よりもすぐれていると思ってはならない。(八つの詩句の章・九三一) −−中村元訳『ブッダのことば スッタニパータ』岩波…

書評:高橋哲哉『記憶のエチカ −戦争・哲学・アウシュヴィッツ』岩波書店、2012年。

読了というか1995年刊行同書の「岩波人文書セレクション」再録のため再読。アーレントやレヴィナスの言葉に耳を傾け「物語」に回収されない証言と向かい合う思考のあり方を問う一冊。歴史修正主義や戦後責任を考える上では必携。「出来事から出発し、出来事…

覚え書:「ひと 大作「3・11鎮魂と復活」に願いを込めた前衛書家 千葉蒼玄さん」、『毎日新聞』2013年01月01日(日)付。

- ひと 大作「3・11鎮魂と復活」に願いを込めた前衛書家 千葉蒼玄さん(57) びっしりと書き込まれた文字が迫ってくる。高さ3メートル60センチ×幅9メートル。東日本大震災からの再生への願いを込めた。昨年10月に完成した。 3・11は仕事で東京にいた。や…

研究ノート:日蓮のもつバイタリティ 中村元×鶴見俊輔対談より

- これからの仏教 鶴見 少し話がずれるんですが、そういうふうに世界を見渡して考えると仏教はどういう方向へといくんですか。 中村 やはり若干の特徴が現れています。まず一つは、超宗派性です。古い昔からの宗派というのがその区別の意味をもたなくなりま…

書評:「植木雅俊『思想としての法華経』(岩波書店)、『第三文明』2013年2月、95頁。

- 法華経の神髄をえぐりだし、研究史を画する一書 著者は、サンスクリット原典から『法華経』、『維摩経』の画期的な訳業を世に送り、その明晰(めきせき)な訳文と創意に富む訳注は仏教学に新たな息吹(いぶき)を吹き込んだことで知られる。 本書は、これ…