他者論

覚え書:「千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ=大木英夫さん」『毎日新聞』2014年09月23日(火)付。

- 千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ 毎日新聞 2014年09月23日 東京朝刊(写真キャプション)キリスト教に出会った日々を振り返る大木さん=東京都北区の自宅で、山田大輔撮影 東京陸軍幼年学校の…

覚え書:「物語、『他者に成る』力与えてくれる アンデルセン賞・上橋さん、式典で語る」、『朝日新聞』2014年09月12日(金)付。

- 物語、「他者に成る」力与えてくれる アンデルセン賞・上橋さん、式典で語る (写真キャプション)授賞式であいさつする作家の上橋菜穂子さん=メキシコ市 「児童文学のノーベル賞」と言われる国際アンデルセン賞の授賞式が10日、メキシコ市であり、同賞…

拙文:「書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社」、『第三文明』9月、第三文明社、2014年、98頁。

- 書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社 定価1900円+税「思想としてのアジア主義」の可能性 アジア主義とは国家を超えたアジアの連帯を模索する戦前日本の思想的営みと実践のことだが、日本思想史においては、これほど罵倒にみまれ…

覚え書:「(インタビュー)民俗学からみる介護 介護施設で「聞き書き」する職員・六車由実さん」、『朝日新聞』2014年07月24日(木)付。

- (インタビュー)民俗学からみる介護 介護施設で「聞き書き」する職員・六車由実さん 2014年7月24日(写真キャプション)「みんないつかは体が弱って介護が必要になる。自分もだ、と認識することが介護を考える第一歩です」=郭允撮影 気鋭の民俗学者が大…

書評:ボリス・シリュルニク(林昌宏訳)『憎むのでもなく、許すのでもなく ユダヤ人一斉検挙の夜』吉田書店、2014年。

ボリス・シリュルニク(林昌宏訳)『憎むのでもなく、許すのでもなく ユダヤ人一斉検挙の夜』吉田書店、読了。6歳の時、占領下のフランスでナチに逮捕されたが、逃亡し、後に苦労して精神科医となった著者が自らの人生から導き出した教訓が本書の邦題だ。こ…

日記:なぜ国家は、生の意味づけをしたがるか

- なぜ国家は、生の意味づけをしたがるか この章では、民主主義で追求すべき最も重要な価値や理念について、考えてみたい。 政治で追求、確保すべき最大の価値は生命である。東日本大震災で多くの人命が失われたとき、生命こそ何にもまさる価値であることを…

日記:「こういう大学に通う僕が戦場に駆り出される可能性はないと思う」という脇の甘さと歪な選民意識に関して

ちょと記事を読んで唖然とした……。「慶応大湘南藤沢キャンパス 総合政策学部生に話を聞いた。行使容認にも解釈改憲にも賛成。「こういう大学に通う僕が戦場に駆り出される可能性はないと思う。…戦闘員が足りないなら移民を。そのために相当のカネを投入し…」…

覚え書:「引用句辞典 トレンド編 匿名性の原理が阻む “きずな”の構築」、『毎日新聞』2014年06月22日(日)付。

- 引用句辞典 トレンド編 匿名性の原則が阻む “きずな”の構築 鹿島茂[ぼっち席] 「君はまだぼくには、ほかの十万人の子どもとまるで違いがない子どもさ。だから、ぼくは君がいてもいなくても気にしない。君のほうでも、君はぼくがいてもいなくても気にしな…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 外国人労働者に感謝を=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年05月21日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 外国人労働者に感謝を 必要ならばモノ扱いやめよう湯浅誠 社会活動家 リーマン・ショックのとき、製造業などで働いていた大量の外国人労働者が解雇の憂き目にあった。多くは、親や祖父母が日本人の日系人だった。 再雇用のメ…

覚え書:「『ナショナリズムとの連動懸念』 集団的自衛権でナイ氏」、「(集団的自衛権 行方を問う)日本が進むべき道は 賛否や論点を聞く」、『朝日新聞』2014年03月16日(日)付。

- 「ナショナリズムとの連動懸念」 集団的自衛権でナイ氏 ワシントン=大島隆2014年3月16日03時12分 ジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授 オバマ米政権に近い米国の知日派の代表格として知られる米国のジョセフ・ナイ・ハーバード大学教授(元米国防次官補)…

日記:差別を温存する官僚主義とことなかれ主義

浦和レッズのサポーターによる「Japanese Only」の掲示問題。すったもんだの末、ようやく結末を迎えた。そもそも、指摘のあった時点で、厳格に対応すれば「済む」話な訳だったにもかかわらず、「差別と“うけとられる”恐れがあるかも」的なあいまいな対応を積…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 交際隠す文化の不幸=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年03月05日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 交際隠す文化の不幸 ペアが苦手な日本人 山田昌弘 中央大教授 ソチ五輪が終わり、ようやく寝不足から解放された人も多いに違いない。フィギュアスケートでは日本勢が大活躍。羽生結弦選手が金メダル、女子もメダルは逃したも…

書評:柳博雄『私もパーキンソン病患者です。』三五館、2013年。

柳博雄『私もパーキンソン病患者です。』三五館、2013年、読了。著者は新聞記者を定年後、病に倒れた。闘病生活は5年目を迎える。本書は自身の闘病の中で「高齢障害者医療や介護保険制度の行く末」(副題)を綴った一冊だ。矛盾と問題の指摘は実に精確であ…

書評:平田オリザ『新しい広場をつくる 市民芸術概論綱要』岩波書店、2013年。

- 大阪市における文楽問題は、アートマネジメントの世界に大きな波紋を呼んだ。 権力者が恣意的に、自分が見て「つまらない」「わからない」と感じたという理由だけで(あるいは、その発言をたしなめられたことに幼稚に反発して)、ある特定の芸術分野や団体…

覚え書:「『反知性主義』への警鐘 相次ぐ政治的問題発言で議論」、『朝日新聞』2014年02月19日(水)付。

- 「反知性主義」への警鐘 相次ぐ政治的問題発言で議論 2014年2月19日 「反知性主義」という言葉を使った評論が論壇で目につく。「非」知性でも「無」知でもなく「反」知性――。政治的な問題発言が続出する現状を分析・批判しようとする意図が見える。■自分に…

日記:中山成彬大先生と片山さつき大先生の「狂気」扇動

- 「アンネの日記」やその関連図書のページが大量に破られるという被害が昨年から今年にかけ、東京都内の公立図書館で相次いでいる。被害は少なくとも250冊以上になるとみられ、範囲も23区だけでなく市部にも及ぶ。 「アンネの日記」は第二次世界大戦中にオ…

覚え書:「くらしナビ 『介護民俗学』の取り組み」、『毎日新聞』2014年02月20日(木)付。

- くらしナビ 「介護民俗学」の取り組み(写真キャプション)「すまいるほーむ」のリビングで、メモを手にお年寄りの話を聞く六車さん(右から2人目)。家族だんらんのような雰囲気だった=静岡県沼津市で 静岡県沼津市のデイサービス「すまいるほーむ」の…

覚え書:「靖国の英霊が望むことは?」、「靖国参拝、安倍首相の暴走」、「慎重さ欠いた首相の靖国参拝」、「靖国参拝、政治家は反省を」、『毎日新聞』

いわゆる「声」の欄って、基本的には両論併記になることがあります。例えば、特定秘密保護法でも、6対1ぐらいで、6反対、1賛成という具合で。 しかし、靖国参拝に関しては……その根拠は様々なアプローチがありますが……参拝賛成論はいまのところ発見できま…

書評:ロバート・イーグルストン(田尻芳樹、太田晋訳)『ホロコーストとポストモダン 歴史・文学・哲学はどう応答したか』みすず書房、2013年。

ロバート・イーグルストン『ホロコーストとポストモダン 歴史・文学・哲学はどう応答したか』みすず書房、読了。アドルノを引くまでもなくホロコーストは歴史・文学・哲学」を一変させた。その証言やテクストと論争、それをどのように「読む」のか。本書は、…

覚え書:「引用句辞典 トレンド編 ソーシャルメディアが生み出す監視社会=鹿島茂」、『毎日新聞』2013年11月23日(土)付。

- 引用句辞典 トレンド編 ソーシャルメディアが生み出す相互監視社会 鹿島茂[ルサンチマン] 世間は、大部分の人間は自分の内部から私心や利己心の臭気が立昇る事を極度に恐れてゐる。それを他人に嗅ぎ附けられる事を何よりも恐れてゐる。 (中略)彼等は吐…

書評:前田朗『増補新版 ヘイト・クライム 憎悪犯罪が日本を壊す』三一書房、2013年。

- 歴史を振り返れば、スターリンの大粛正、日本軍の三光政策・無人区政策、東京大空襲、ヒロシマ・ナガサキ、朝鮮戦争における国連軍の犯罪、ベトナム戦争・北爆。枯葉剤作戦、カンボジアのポルポト派による大虐殺、旧ユーゴスラヴィアの「民族浄化」、ルワ…

覚え書:「みんなの広場 歴史知ってほしい」、『毎日新聞』2013年11月23日(土)付。

- みんなの広場 歴史知ってほしい 大学生 21(東京都豊島区) 「特別永住って何ですか?」。その日、友人とのお酒の席を終え、帰路に就いた。駅を出た所に立つ巡査2人に身分証の提示を求められた。童顔の私が未成年に見えたのだろう。 「出身は?」「韓国で…

書評:有田芳生『ヘイトスピーチとたたかう! 日本版排外主義批判』岩波書店、2013年。

- 税金を納めないとか、医療や水道が無料とか、いちいち反論する必要もないでしょう。彼らの言う「特権」など、現実には存在しません。ありもしないものを「ある」と言い張る人と、ネットでその言い分を読んだ途端、なんの検証もせずに「真実を知った」と鵜…

書評:渡部良三『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』岩波書店、2011年。

渡部良三『歌集 小さな抵抗 殺戮を拒んだ日本兵』岩波書店、読了。神は「汝殺す勿れ」と命じ、軍人勅諭は「下級のものは上官の命を承ること、実は直に朕が命を承る義」と命じた。著者は前者を選んだ無教会キリスト者。学徒出陣で中国大陸へ渡った。度胸試し…

書評:瀧口夕美『民族衣装を着なかったアイヌ』編集グループSURE、2013年。

瀧口夕美『民族衣装を着なかったアイヌ』編集グループSURE、読了。本書は、1971年生まれのアイヌの女性が、戸惑いながらも、母親をはじめアイヌの人たちに過去を尋ねて歩く記録だ。「今はもう日本人なんでしょう?」から始まる旅は、(善意はあって…

覚え書:「ヘイトスピーチ問題:6割以上知らず…大学生ら意識調査」、『毎日新聞』2013年08月09日(金)付。

- ヘイトスピーチ問題:6割以上知らず…大学生ら意識調査 毎日新聞 2013年08月09日 東京や大阪などで在日コリアン排斥などを掲げる「ヘイトスピーチ(憎悪表現)」デモなどを巡り、大都市圏の大学生ら約1000人に意識調査をしたところ、6割以上がヘイトス…

書評:ヴィジャイ・プラシャド(粟飯原文子訳)『褐色の世界史 第三世界とはなにか』水声社、2013年。

ヴィジャイ・プラシャド『褐色の世界史 第三世界とはなにか』水声社。第三世界とは地理的・歴史的に限定された場所ではない。帝国主義と植民地主義に規定される現代を超克する思想運動という著者は位置づける。トータルな支配とその暴力に対峙する運動だから…

覚え書:「みんなの広場 ヘイトスピーチ撲滅の法を」、『毎日新聞』2013年07月08日(月)付。

- みんなの広場 ヘイトスピーチ撲滅の法を 農業 62(京都府木津川市) 本紙の報道で、ヘイトスピーチなるものを知った。特定の民族、集団の名を挙げて「殺せ」などと憎悪をかきたてる発言をする。ここでユネスコ憲章を考えてみたい。全文に、こうある。「戦…

書評:奥井智之『プライドの社会学 自己をデザインする夢』筑摩書房、2013年。

奥井智之『プライドの社会学 自己をデザインする夢』筑摩書房、読了。プライドとは、個人の資質に属しつつも社会的文脈で価値が評価されなければ機能しない。二重に拘束される評価体系を著者はプライド・システムと呼び、従来、心理学の研究対象とされたプラ…

書評:南川高志『新・ローマ帝国衰亡史』岩波新書、2013年。

- では、この課題に挑戦した結果、ローマ帝国の衰亡とは何であったといえるだろうか。 それは、「ローマ人である」という、帝国を成り立たせていた担い手のアイデンティティが変化し、国家の本質が失われてゆく過程であった。それが私の描いた「ローマ帝国衰…