日本宗教史

覚え書:「特集ワイド:道徳的でない『道徳教科化』 小中学校で検定教科書、成績評価導入」、『毎日新聞』2014年11月12日(水)付夕刊。

- 特集ワイド:道徳的でない「道徳教科化」 小中学校で検定教科書、成績評価導入 毎日新聞 2014年11月12日 東京夕刊 (写真キャプション)教育再生実行会議であいさつする安倍晋三首相(左から3人目)と(左から)下村博文文科相、鎌田薫座長ら=首相官邸で…

日記:「キリスト者である前に日本人である」云々式の精神論の問題

日本的精神風土に対峙してきたのが、(実際のところ、メインストリームではない・涙)「自律」したキリスト者たちの血涙の系譜になるから、その超越的な警世批判には、いつも憧憬する。それは、内村鑑三しかり、南原繁しかり、矢内原忠雄しかり、柏木義円し…

覚え書:「『昭和天皇実録』を読み解く 専門家の目:下 欧州外遊、キリスト教に興味」、『朝日新聞』2014年10月28日(火)付。

―――-「昭和天皇実録」を読み解く 専門家の目:下 欧州外遊、キリスト教に興味 2014年10月28日 ■始祖は天照大神、自ら宮中祭祀 伊勢神宮の祭神でもある天照大神(あまてらすおおみかみ)を始祖とし、自らも宮中祭祀(さいし)を行ってきた天皇。その天皇が神…

書評:三谷太一郎『人は時代といかに向き合うか』東京大学出版会、2014年。

三谷太一郎『人は時代といかに向き合うか』東京大学出版会、読了。本書は、政治史の大家が「時代と向き合い歴史を学ぼうとするすべての人々に」贈る歴史論集。近代日本の軌跡を辿り、現代と対話する本論集は、考えるヒントの玉手箱といってよい。 人は時代と…

日記:世界遺産がジェノサイドを肯定する21世紀

「奈良県の世界遺産である吉水神社の宮司が神社のブログ上で、アメリカのテレビ番組で放送された「中国人を皆殺しにしよう」との発言を支持する主張をしていたことがわかった。番組はアメリカ国内で問題視されていた。世界遺産がジェノサイドを肯定するのは…

拙文:「読書 宗教とグローバル市民社会 ロバート・N・ベラー、島薗進、奥村隆編・岩波書店」、『聖教新聞』2014年09月27日(土)付。

- 読書 宗教とグローバル市民社会 ロバート・N・ベラー、島薗進、奥村隆編偏狭な国家主義への憂慮 一昨年秋、宗教社会学の巨人ロバート・ベラーは85歳の恒例にもかかわらず来日し、立教大学などで精力的に講演した。本書は、その講演・シンポジウムの内容…

覚え書:「千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ=大木英夫さん」『毎日新聞』2014年09月23日(火)付。

- 千の証言:軍国エリート少年、キリスト教の道究める 手のぬくもり、しみた 賀川豊彦に見いだされ 毎日新聞 2014年09月23日 東京朝刊(写真キャプション)キリスト教に出会った日々を振り返る大木さん=東京都北区の自宅で、山田大輔撮影 東京陸軍幼年学校の…

催しのご案内:企画展「吉野作造と賀川豊彦―貧しき者、弱き者のために」(吉野作造記念館)

企画展「吉野作造と賀川豊彦―貧しき者、弱き者のために」ともにキリスト教者だった吉野作造と賀川豊彦は、当時の未熟な資本主義社会の中で 困窮する人々を助けるため、様々な社会事業に取り組みました。日本のセツルメント 活動の草分け的存在となった2人の…

覚え書:「書評:仏教学者 中村元 植木雅俊著=若松英輔・評」、『読売新聞』2014年09月07日(日)付。

- 仏教学者 中村元 植木雅俊著 角川選書 1800円 評・若松英輔(批評家)知の土壌を耕す 中村元は、二十世紀の東洋思想研究を牽引した碩学である。その研究範囲は著しく広く、残された業績もじつに大きい。彼の著作集は四十巻に及ぶ。古代インド哲学から…

日記:中村元先生の「ドイツ語」を介して

- 中村が、一高でペツォルトと出会ったのは、一九三〇年のことだから、ペツォルトが仏教の個人授業を受け始めて十三年経ったころである。ペツォルトの授業は、小学校の教科書をドイツ語に翻訳するという内容だった。その授業の中で、ペツォルトはよく仏教に…

覚え書:「今週の本棚 仏教学者中村元 植木雅俊著」、『毎日新聞』2014年08月31日(日)付。

- 今週の本棚 仏教学者 中村元 植木雅俊著 角川選書・1944円 高名な仏教学者・インド哲学者の一生を、晩年の門弟という視点から描いたものである。 中村元(はじめ)は博覧強記を絵に描いたような大学者で、サンスクリット語をはじめ、パーリ語、チベッ…

覚え書:「書評:植木雅俊『仏教学者 中村元 求道とことばの思想』(角川学芸出版) 多角的な思想の全軌跡=前田耕作」、『週刊読書人』2014年08月22日(金)付。

- 書評 植木雅俊・著 仏教学者 中村元 求道のことばと思想前田耕作多角的な思想の全軌跡活動的な生涯とその開かれた視線をあますところなく活写 1979年12月末、ブレジネフはソ連軍のアフガニスタン侵攻を許可する書類に署名した。『広辞苑』(第3版・…

覚え書:「吉野作造の直筆展示 原敬暗殺を運不運で語る世相批判・宮城」、『毎日新聞』2014年7月10日(木)付。

- 吉野作造の直筆展示 原敬暗殺を運不運で語る世相批判 大崎・記念館「人の値打ちは人格と事跡で評価」(写真キャプション)原敬の暗殺について吉野作造が記した直筆原稿=大崎市古川で 「平民宰相」と呼ばれた原敬(1856〜1921年)の暗殺について記…

日記:南原繁と吉野作造 その信仰における屹立さと中庸

月末に南原繁のキリスト教信仰の独自性(修養倫理のキリスト教受容とは違う)の発表をしなきゃならんので、夕方から少し、南原の著作を読み直しておりました。南原繁自身が「ちなみに申しますと、私はある人びとのように、宗教を表に出さない。その点はカン…

覚え書:「書評:仏教学者 中村元 植木雅俊・著 学究の生涯と業績描く評伝」、『中外日報』2014年08月08日(金)付。

- 書評 学究の生涯と業績描く評伝 仏教学者 中村元 求道のことばと思想 植木雅俊・著 本書は、人間ブッダに光を当て、ひろく仏教の魅力を伝えた中村元の生涯と業績をたどりながら、その思想の「輪郭」と「核心」を明らかにした評伝だ。 若き日の中村は、哲学…

日記:灯ともる昼の廊下を行きつけて、吉野作造先生この部屋にいましき

- それでは、吉野先生の本質はどこにあるか。ここに「先生とキリスト教」という問題が出て来る。この点は『世界』(一九五五年四月号、一〇〇頁)の座談会の中でもふれられていますが、たしかに、先生は内村鑑三先生とは無関係だった。ただ、吉野先生は本郷…

書評:南原繁研究会編『南原繁と国際政治 永久平和を求めて』エディテックス、2014年。

南原繁研究会編『南原繁と国際政治 永久平和を求めて』エディテックス、読了。昨年11月同研究会第10回シンポジウムの記録。講演を三谷太一郎先生「南原繁と国際政治 学問的立場と現実的立場」、パネル・ディスカッション「南原繁と国際問題をめぐって」…

拙文:「書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社」、『第三文明』9月、第三文明社、2014年、98頁。

- 書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社 定価1900円+税「思想としてのアジア主義」の可能性 アジア主義とは国家を超えたアジアの連帯を模索する戦前日本の思想的営みと実践のことだが、日本思想史においては、これほど罵倒にみまれ…

書評:河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、2014年。

河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、読了。唐物とはもと中国からの舶来品を指す言葉で、転じて広く異国からもたらされた品を指す。本書は、古代から現代まで、唐物というモノを通して日本文化の変遷を問う一冊。日本人はなぜ舶来品が好き…

書評:小坂国継編『大西祝選集III 倫理学篇』岩波文庫、2014年。

小坂国継編『大西祝選集III 倫理学篇』岩波書店、読了。理想主義的進化説を正面から取り上げた東京専門学校講義録『倫理学』および3つの倫理学講演(1,古代ギリシア道徳哲学とキリスト教道徳の対比、2,ギリシア人の道徳観からキリスト教への道徳観への…

日記:丸山眞男の吉野作造観

- もともと政治学の非力性は今日にはじまった事ではなかった。他の法律学なり経済学なりにおいては、嘗て一定の歴史的段階に適応していた概念構成乃至方法論が今日の激動期に対してそのままで通用しなくなったというところに問題があるのであるが、これに反…

書評:小川原正道『日本の戦争と宗教 1899−1945』講談社、2014年。

小川原正道『日本の戦争と宗教 1899−1945』講談社、読了。本書は戦前日本の宗教政策を踏まえた上で、戦争と宗教の関わりについて俯瞰する一冊。キリスト教が公認された1899年から太平洋戦争の終結まで、宗教横断的に、宗教と政治の関わりを明らかにする。仏…

日記:「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」こそ、空海の精神、そして仏教の精神、そしてもっといえば、宗教とは全く対極の立場

日本仏教の現状に私は懐疑的であるし、大戦下において一部の密教僧侶のルーズベルト呪詛などというソレは確かに噴飯ものだけど、インドで誕生し、中国・朝鮮半島を経て日本へ伝来した三国仏教史としての日本的展開(文化内開花)を考えるならば、その直因は…

覚え書:「文化 マンショ肖像制作の曲折」、『読売新聞』2014年03月20日(木)付。

- 文化 マンショ肖像制作の曲折(写真キャプション)マンショの肖像画(個人蔵、画像はトリブルツィオ財団提供)。裡面の銘文は「D.Mansio Nipote del Re di Figenge Amb( asciator ) e del Re Fra( nces ) co Bvgnocingva a sva San ( tit ) a」※かっこ内は…

書評:宮崎賢太郎『カクレキリシタンの実像 日本人のキリスト教理解と受容』吉川弘文館、2014年。

宮崎賢太郎『カクレキリシタンの実像 日本人のキリスト教理解と受容』吉川弘文館、読了。第一人者の著者は30年近くに渡る聞き取り調査に基づき、「カクレキリシタン」とは隠れたキリスト者ではなく日本化した土着信仰としてその受容を考察する一冊。 「『…

覚え書:「(世界発2014)キリシタンに脚光 バチカンで法王『弾圧耐え信仰守った』」、『朝日新聞』2014年03月26日(水)付。

- (世界発2014)キリシタンに脚光 バチカンで法王「弾圧耐え信仰守った」 2014年3月26日05時00分(写真キャプション)祈りの言葉「オラショ」を披露する生月島のキリシタンたち=いずれも長崎県平戸市の「島の館」、石田博士撮影 カトリックの総本山バ…

書評:山田晶『アウグスティヌス講話』講談社学術文庫、1995年。

山田晶『アウグスティヌス講話』講談社学術文庫、1995年、読了。筆者が北白川教会でアウグスティヌスについて「打解けた気分」で縦横に語った六話をまとめた一冊。1、アウグスティヌスと女性、2、煉獄と地獄、3、ペルソナとペルソナ性、4、創造と悪、5…

日記:学者、思想家のガウンを著けた大親分

- もちろん、思想と生活とは不可分のものであるといふこともいへるだらう。思想だけのものがその実生活に現はれ、又、実生活だけのものが、思想に現はれると、かやうにいふことも出来るだらう。しかし、僕は考へる。先生の場合に於いては、大正五年頃から『…

書評:ヴォルフガング・シュヴェントカー(野口雅弘、鈴木直、細井保、木村裕之訳)『マックス・ウェーバーの日本 受容史の研究1905‐1995』みすず書房、2013年。

W・シュヴェントカー(野口雅弘、鈴木直、細井保、木村裕之訳)『マックス・ウェーバーの日本 受容史の研究1905‐1995』みすず書房、2013年、読了。出版部数の2/3はドイツではなく日本で売れた!大正時代から現代まで−−本書は日本のウェーバー研究とその受容…

日記:中山成彬大先生と片山さつき大先生の「狂気」扇動

- 「アンネの日記」やその関連図書のページが大量に破られるという被害が昨年から今年にかけ、東京都内の公立図書館で相次いでいる。被害は少なくとも250冊以上になるとみられ、範囲も23区だけでなく市部にも及ぶ。 「アンネの日記」は第二次世界大戦中にオ…