人間の自由

日記:「なぜ人を殺してはいけないんですか?」と「なぜあなたを殺してはいけないんですか?」という地平の違いから見えてくるもの

- 力をもらうということ たこもまたそういう盛りに、「めいわくかけて ありがとう。」という言葉を残したのだった。「めいわくかけて すみません。」ではなく「ありがとう」。これはそうした寂しい光景のなかでこそ、ぼそりつぶやかれる言葉なのだろう。 め…

覚え書:「村上春樹さん、時代と歴史と物語を語る みんな一生懸命生きている」、『毎日新聞』2015年04月19日(日)付。

- 村上春樹さん、時代と歴史と物語を語るみんな一生懸命生きている(写真キャプション)村上春樹さん=ロンドンで昨年夏、村上春樹事務所提供 −−読者の質問にメールで直接答えるサイトが、大変な質問数とか。 村上 多くて1万ぐらいかと予想していたら、4倍…

日記:関東大震災時の朝鮮人虐殺のトリガーとなった要因

- 関東大震災時の虐殺 二三(大正一二)年九月一日、関東地方を襲った大地震とそれによる大火災の中で、数多くの朝鮮人が日本の軍隊・警察、さらには日本人自警団などによって虐殺される事態が生じた。「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」「爆弾を持って襲撃し…

日記:単に同情心とか感受性の鋭敏さとかに帰して片づけきれない、人間性の本然の成り立ちに根ざした深い平衡感覚(シモーヌ・ヴェイユ)

- シモーヌ・ヴェイユの伝記については、現在では日本語で書き下ろされたものも何冊かあり(巻末文献表参照)、リースやダヴィなど外国の研究書の翻訳も出版されて、この国の人々にもだいぶ知られるようになったが、それらのどの本にも好んで引用されている…

日記:生き方としての民主主義

- 生き方としての民主主義 現在の政治状況に対して多くの人が感じる無力感は、民主主義というものを、国会とか選挙といった制度的な側面から捉えていることによって生じているのではないだろうか。デューイにとって民主主義とは、もっと豊かな意味を持つもの…

覚え書:「あの人に迫る:六車由実 介護民俗学者 人生の豊かさを聞き書きで知る」、『東京新聞』2015年03月22日(日)付。

- あの人に迫る 介護民俗学者 六車由実さん 人生の豊かさを聞き書きで知る[あなたに伝えたい]その人の人生を知ることで、絶対にケアの仕方が変わります。互いに互いを認め合えるようになります。 民俗学者であり、デイサービス「すまいるほーむ」(静岡県…

覚え書:「野坂昭如の『七転び八起き』 第200回『思考停止』70年 命の危機 敗戦から学べ」、『毎日新聞』2015年03月24日(火)付。

- 野坂昭如の「七転び八起き」 第200回「思考停止」70年 命の危機 敗戦から学べ(写真キャプション)「戦争は気づいた時にははじまっている」 たとえ無責任、出まかせといわれようが、物書きの端くれとなって以後、お上のあやかしに取り込まれてはいけ…

拙文:「読書 大賀祐樹『希望の思想 プラグマティズム入門』筑摩選書 連帯と共生への可能性を開く」、『聖教新聞』2015年03月28日(土)付。

- 読書 希望の思想 プラグマティズム入門 大賀祐樹 著連帯と共生への可能性を開く 現代思想の諸潮流の中でプラグマティズムほど不当な扱いを受けたものはない。実用主義の訳語は早計すぎて“浅い”という印象をあたえる。著者はパース、ジェイムズ、デューイと…

日記:日蓮仏教系は八紘一宇国会発言に関して真摯に批判すべき

八紘一宇に関しては、日蓮仏教の人間は真摯に批判すべきだと思います。ご存じの通り八紘一宇の造語は田中智学に由来します。侵略戦争のスローガンとして実際に機能し、問題のある用語です。三原じゅん子代議士は、その経緯は「知っている」としながらも、も…

覚え書:「野坂昭如の『七転び八起き』 第199回 大震災から4年 危機感を取り戻せ」、『毎日新聞』2015年03月10日(火)付。

- 野坂昭如の「七転び八起き」 第199回 大震災から4年 危機感を取り戻せ 東日本大震災から4年。福島原発事故から4年。上辺の復興がいわれながら、すべてがうやむやのまま5年目を迎えようとしている。今の上っ調子なお上、これに対し違和感を覚えてい…

日記:「紹介したい大切な価値観、八紘一宇」(三原じゅん子代議士)、ええと……「日本の理想を生かすために、一先ず此の国を葬って下さい」(矢内原忠雄)

参議院予算委員会にて三原じゅん子議員、皆様にご紹介したい言葉として「八紘一宇」だそうな。おいおい。— 氏家法雄 (@ujikenorio) 2015, 3月 16租税回避を防ぐ理念が八紘一宇ってお前なあ(´・_・`)— 氏家法雄 (@ujikenorio) 2015, 3月 16国会議員の劣化幼稚化…

覚え書:「特集ワイド:菅原文太さんの『遺言』 失われたら、命は取り戻せない 有機農業、反戦、脱原発 根っこは同じ」、『毎日新聞』2014年12月17日(水)付夕刊。

- 特集ワイド:菅原文太さんの「遺言」 失われたら、命は取り戻せない 有機農業、反戦、脱原発 根っこは同じ 毎日新聞 2014年12月17日 東京夕刊 (写真キャプション)沖縄県知事選での応援演説が、菅原さんが公式な場に姿を現した最後となった=11月1日、…

日記:自らの言説を飾り立てるために死者を都合良く利用する有象無象たち

選挙期間中に、中山なりあき氏(次世代の党・落選)が次のようなツイートを投下していてぶったまげた。曰わく遊説中、高倉健さんの出身地中間市を通った。菅原文太さんも亡くなった。どちらも男臭さを売り物にしていたが、考え方は全く違った。健さんは文化…

病院日記:「生活の時間が止まる」ということ

ほんと、思うのは、言葉を大切にしない人間は人間をも大切にしないのだなあ、と。

覚え書:「マララさんのノーベル平和賞受賞演説<要旨>」、『朝日新聞』2014年12月11日(木)付。

- マララさんのノーベル平和賞受賞演説<要旨> 2014年12月11日 (写真キャプション)ノルウェー・オスロで10日、ノーベル平和賞のメダルを掲げるマララ・ユスフザイさん=AP 今年のノーベル平和賞に選ばれたパキスタンのマララ・ユスフザイさん(17)…

覚え書:「わたしの争点:2014衆院選/9止 『在日』ありのままに誇り 日韓修復、互いを認めて」、『毎日新聞』2014年12月12日(金)付。

- わたしの争点:2014衆院選/9止 「在日」ありのままに誇り 日韓修復、互いを認めて 毎日新聞 2014年12月12日 東京朝刊「在日の視点は大切」と語る作家の深沢潮さん=東京都渋谷区で、内藤絵美撮影 主要政党の公約で東アジア各国との関係にどう言及? …

覚え書:「論壇時評:孤独な本 記憶の主人になるために 作家・高橋源一郎」、『朝日新聞』2014年11月27日(木)付。

- 論壇時評:孤独な本 記憶の主人になるために 作家・高橋源一郎 2014年11月27日 (写真キャプション)高橋源一郎さん=小玉重隆撮影 去年、韓国で出版され、「元慰安婦の方たちの名誉を毀損(きそん)した」として、提訴・告訴された、朴裕河(パクユハ)の…

覚え書:「耕論:何のための英語入試改革 多田幸雄さん、益川敏英さん」、『朝日新聞』2014年11月26日(水)付。

- 耕論:何のための英語入試改革 多田幸雄さん、益川敏英さん 2014年11月26日 大学入試の英語が大きく変わりそうだ。文部科学省は「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能を測る方式にかじを切ろうとしている。この改革はいったい何のためなのか。そもそも…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 『全額社会保障に』のウソ=本田宏」、『毎日新聞』2014年11月26日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 「全額社会保障に」のウソ 公約無視の消費増税は許されない 本田宏 埼玉県済生会栗橋病院院長補佐 消費税が今年4月から3%引き上げられ8%になったが、経済政策「アベノミクス」は功を奏さず、契機は低迷している。ついに…

書評:ジョン・デューイ(阿部齊訳)『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』ちくま学芸文庫、2014年。

ジョン・デューイ(阿部齊訳)『公衆とその諸問題 現代政治の基礎』ちくま学芸文庫、読了。飛躍的に複雑化した機械化と画一化を特徴とする現代社会において、人間の息吹汲み取る民主主義は果たして可能なのか。本書はリップマンが『世論』『幻の公衆』で提起…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 男性の働き方見直しが先=山田昌弘」、『毎日新聞』2014年11月19日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 男性の働き方見直しが先 女性の活躍推進 山田昌弘 中央大教授 女性の活躍推進が成長戦略の一つの柱になっている。日本は諸外国に比べ、政治や経済分野での進出が大変遅れている。女性の国会議員比率や管理職比率は、世界最低…

日記:言葉を軽んじたり翫ぶ人間は人間そのものをも軽んじたり翫んだりしますよ。

「サンデー毎日」今週号は、スクープ「ヘイトスピーチ神社の過激暴言」を掲載しました。国際社会からも注視される日本のヘイトスピーチ(憎悪表現)問題。本誌は、世界遺産に登録されている神社の宮司さんが、ブログでたびたび過激発言をしていたことをキャ…

覚え書:「特集ワイド:道徳的でない『道徳教科化』 小中学校で検定教科書、成績評価導入」、『毎日新聞』2014年11月12日(水)付夕刊。

- 特集ワイド:道徳的でない「道徳教科化」 小中学校で検定教科書、成績評価導入 毎日新聞 2014年11月12日 東京夕刊 (写真キャプション)教育再生実行会議であいさつする安倍晋三首相(左から3人目)と(左から)下村博文文科相、鎌田薫座長ら=首相官邸で…

書評:石井光太『浮浪児1945− 戦争が生んだ子供たち』新潮社、2014年。

石井光太『浮浪児1945− 戦争が生んだ子供たち』新潮社、読了。起点の東京大空襲から平成までーー。先の戦争で家族を失い浮浪児となった子供たち。その実像を、記録資料やすでに高齢者となったかつての浮浪児百人以上の聞き取りから迫っていく力作 「終戦から…

日記:「未来はよくなる」し「未来をよくしていこう」と思っていたけど……1995年という問題。

こないだ若い衆と呑んだとき話題になったのが、村上春樹さんが、“「孤絶」超え、理想主義へ」”(*1)を語ったこと。思い出すと、春樹さんではないけど、高校3年の時に、ベルリンの壁が崩壊したボクにも「未来はよくなる」というか「よくしていこう」と思…

覚え書:くらしの明日 私の社会保障論 博打解禁という博打=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年11月05日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 博打解禁という博打 統合型リゾート整備推進法案 湯浅誠 社会活動家 「ふつうのこと」をやっていたのでは、もうジリ貧。これからは「ふつうじゃないこと」をやらなければならない。−−こう言われるようになって久しい。「ふつ…

日記:一国の首相が根拠に基づかず、一報道機関を誹謗中傷という総底抜け日本。

「Y君の辞職きまりし朝はあけて葬(はふ)りのごとく集ひゐたりき」昭和十二年十二月一日(南原繁『歌集 形相』より) 南原繁が歌のなかでY君と呼ぶのは、昭和十二年、筆禍により東京大学より追われた矢内原繁忠雄のこと。戦前日本の言論抑圧のひとつの事例…

日記:英語のネイティブスピーカーはなぜ白人だけに限定されなければならないのか。

よく思うのだけど、どこまで白人に対する愛憎まみれた卑屈さを持ち、その鬱憤を返す刀の如き形で、アジア蔑視へと注ぎ込む。人間は相互に平等ではなかったのか(今更だけど。卑屈と蔑視であたかも中庸に位置する如き錯覚として自己を序列化する発想は卒業し…

書評:石光勝『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義』新潮社、2014年。

石光勝『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義』新潮社、読了。カミュの探求を「正義」と捉え、その生涯と思索を、15本の「映画」で辿る異色のカミュ伝。仕掛けの多い構成ながら抜群に「読ませる」一冊だ。著者は若き日、カミュに傾倒したテレビマン。…

書評:樋口直人『日本型排外主義 在特会・外国人参政権・東アジア地政学』名古屋大学出版会、2014年。

樋口直人『日本型排外主義 在特会・外国人参政権・東アジア地政学』名古屋大学出版会、読了。果たしてフラストレーションやルサンチマンといった社会不安だけが日本の排外主義の動機となっているのか。本書は先行研究を踏まえ、著者自身の聞き取り調査も加え…