差違理解

覚え書:「村上春樹さん:単独インタビュー 『孤絶』超え、理想主義へ」、『毎日新聞』2014年11月03日(月)付。

- 村上春樹さん:単独インタビュー 「孤絶」超え、理想主義へ 毎日新聞 2014年11月03日 作家の村上春樹さんが、5年ぶりに本紙の単独インタビューに応じた。1979年のデビューから35年。創作活動や海外での読まれ方、現代における文学の役割まで、幅広い…

日記:英語のネイティブスピーカーはなぜ白人だけに限定されなければならないのか。

よく思うのだけど、どこまで白人に対する愛憎まみれた卑屈さを持ち、その鬱憤を返す刀の如き形で、アジア蔑視へと注ぎ込む。人間は相互に平等ではなかったのか(今更だけど。卑屈と蔑視であたかも中庸に位置する如き錯覚として自己を序列化する発想は卒業し…

書評:樋口直人『日本型排外主義 在特会・外国人参政権・東アジア地政学』名古屋大学出版会、2014年。

樋口直人『日本型排外主義 在特会・外国人参政権・東アジア地政学』名古屋大学出版会、読了。果たしてフラストレーションやルサンチマンといった社会不安だけが日本の排外主義の動機となっているのか。本書は先行研究を踏まえ、著者自身の聞き取り調査も加え…

覚え書:修復的正義論の観点

- わたしは、民主主義を、じっさいには平等でも自由でもない諸個人が、それでも平等に扱われることを求めたさいに、一つひとつ制度を精査し、批判的に現状を捉え、改革していく政治システムだと考えている。その意味において、軍事的性奴隷制という人道に対…

日記:「問題」は「見えない所」へ封じ込めて、例えば、「差別は存在しません」というアナウンスが日本社会の構造。

- 橋下氏、在特会と面談 ヘイトスピーチ巡り応酬 2014年10月21日 (写真キャプション)激しく言い合う在特会の桜井誠会長(右)と橋下徹大阪市長 ヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)の対策を検討している大阪市の橋下徹市長は20日、「在日特権を許さない市…

覚え書:「内外メディア、反応に温度差 閣僚が在特会元幹部と写真」『朝日新聞』2014年10月08日(水)付。

- 内外メディア、反応に温度差 閣僚が在特会元幹部と写真 2014年10月8日日本外国特派員協会で開かれた山谷氏の会見 (C)FCCJ 安倍内閣の新閣僚や自民党幹部が「在日特権を許さない市民の会」(在特会)などの関係者と写真に写っていたことが相次いで発…

覚え書:「Listening:<朝日新聞>慰安婦・吉田調書問題 新聞への信頼回復、外国人記者に聞く」、『朝日新聞』2014年10月06日(月)付。

- Listening:<朝日新聞>慰安婦・吉田調書問題 新聞への信頼回復、外国人記者に聞く 2014年10月06日 従軍慰安婦や東京電力福島第1原発の報道をめぐって朝日新聞が謝罪した後も、報道機関の在り方を問う議論がやまない。こうした嵐のような状況は…

日記:カトリック信仰者の靖国神社への収斂とはこれいかに。

歴史的仮名遣の『神社新報』まとめて読んでいたら、わりとうけまくってしまい、つらい。 ( ※特定のイデオロギーの紐帯としての神社信仰には唾棄を覚えるけれども、熊楠のような対峙と同化と臆面もなく錯覚するのとは同義ではない包摂には憧憬を覚えますがね…

覚え書:「耕論:ヘイトスピーチへの処方箋 樋口直人さん、師岡康子さん、阪口正二郎さん」、『朝日新聞』2014年10月02日(木)付。

- 耕論 ヘイトスピーチへの処方箋 樋口直人さん、師岡康子さん、阪口正二郎さん 2014年10月2日 全国に広がるヘイトスピーチ(憎悪表現)。今夏、国連の二つの機関が相次いで日本政府に対処を求めた。だが、法規制には慎重論もある。どんな処方箋(せん)が必…

覚え書:「排外主義の悪循環を超えて テッサ・モーリス=スズキ『日本を再発明する』」、『朝日新聞』2014年9月30日(火)付夕刊。

- 排外主義の悪循環を超えて テッサ・モーリス=スズキ「日本を再発明する」 2014年9月30日 日本や東北アジアの近現代史研究で知られる、オーストラリア国立大学のテッサ・モーリス=スズキ教授。今年邦訳が出た『日本を再発明する』では、個々人が国境とい…

覚え書:「発信箱:米倉斉加年さん=落合博(論説委員)」、『毎日新聞』2014年09月18日(木)付。

- 発信箱:米倉斉加年さん=落合博(論説委員) 毎日新聞 2014年09月18日 「グラバーの息子」は英国人の父と日本人の母を持ち、長崎で生まれ育った倉場富三郎(英名トーマス・アルバート・グラバー)の生涯を描いた演劇作品で、米倉斉加年(よねくら・まさか…

覚え書:「みんなの広場 政府の慰安婦対応は日本の恥」、『毎日新聞』2014年09月14日(日)付。

- みんなの広場 政府の慰安婦対応は日本の恥 無職 72(東京都小平市) 菅義偉官房長官は、国連人権委員会が従軍慰安婦に関して謝罪と賠償を勧告した報告書に対し「国際社会で誤解が生じている。政府の立場と取り組みをこれまで以上に説明してきたい」と述べ…

覚え書:「物語、『他者に成る』力与えてくれる アンデルセン賞・上橋さん、式典で語る」、『朝日新聞』2014年09月12日(金)付。

- 物語、「他者に成る」力与えてくれる アンデルセン賞・上橋さん、式典で語る (写真キャプション)授賞式であいさつする作家の上橋菜穂子さん=メキシコ市 「児童文学のノーベル賞」と言われる国際アンデルセン賞の授賞式が10日、メキシコ市であり、同賞…

覚え書:「みんなの広場 『おもてなし』が疑われる」、『毎日新聞』2014年09月03日(水)付。

- みんなの広場 「おもてなし」が疑われる 会社員 46(東京都品川区) 不動産関係の仕事をしていますが、取引先の不動産会社を訪ねた際、耳を疑うことがありました。そこはいわゆる町の不動産屋さんで、社長と雑談していると、女性の2人連れが来店しまし…

書評:ベネディクト・アンダーソン(加藤剛訳)『ヤシガラ椀の外へ』NTT出版、2009年。

ベネディクト・アンダーソン(加藤剛訳)『ヤシガラ椀の外へ』NTT出版、読了。『想像の共同体』の著者が、その地域研究の軌跡を振り返りながら、学問とは何か縦横に論じた一冊。抜群に面白い。学問で重要なのは、大学の制度や母国といった「ヤシガラ椀」…

拙文:「書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社」、『第三文明』9月、第三文明社、2014年、98頁。

- 書評 『アジア主義 その先の近代へ』 中島岳志著 潮出版社 定価1900円+税「思想としてのアジア主義」の可能性 アジア主義とは国家を超えたアジアの連帯を模索する戦前日本の思想的営みと実践のことだが、日本思想史においては、これほど罵倒にみまれ…

書評:ブルース・ローレンス(池内恵訳)『コーラン』ポプラ社、2008年。

ブルース・ローレンス(池内恵訳)『コーラン』ポプラ社。イスラームの聖典は一人のアラブ商人が受けた啓示から始まり、長い年月を経て人々に広がり、解釈され強大な信仰となった。その成り立ちと変遷を辿る本書は初学者の最初の一冊に相応しい。巻末に塩野…

覚え書:「くらしの明日 私の社会保障論 『ホンネ』使い間違えた? 釈然としない都議会ヤジ謝罪=湯浅誠」、『毎日新聞』2014年07月16日(水)付。

- くらしの明日 私の社会保障論 「ホンネ」使い間違えた? 釈然としない都議会ヤジ謝罪 湯浅誠 社会活動家 「個人の幸せは、それ自体が目的として尊重されるべきであり、別の目的の手段として位置づけられるべきではない」 これは正論だ。正論だから表立って…

書評:金山泰志『明治期日本における民衆の中国観 教科書・雑誌・地方新聞・公団・演劇に注目して』芙蓉書房出版、2014年。

金山泰志『明治期日本における民衆の中国観』芙蓉書房出版、読了。知識人の中国観研究は数多く存在するが民衆のそれは皆無。本書はその嚆矢。「日本社会一般で漠然と共有されていた中国観=一般民衆の中国観」に着目し「教科書・雑誌・地方新聞・公団・演劇…

書評:河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、2014年。

河添房江『唐物の文化史 舶来品からみた日本』岩波新書、読了。唐物とはもと中国からの舶来品を指す言葉で、転じて広く異国からもたらされた品を指す。本書は、古代から現代まで、唐物というモノを通して日本文化の変遷を問う一冊。日本人はなぜ舶来品が好き…

書評:ミシェル・ヴィノック(大嶋厚訳)『フランスの肖像 歴史・政治・思想』吉田書店、2014年。

ミシェル・ヴィノック(大嶋厚訳)『フランスの肖像 歴史・政治・思想』吉田書店、読了。「フランスについて、簡単に説明していただけますか」。本書は、フランス近現代史の大家がその疑問に答える「フランス入門」。「フランス国民はフランスの存続を望んで…

覚え書:「『ハンナ・アーレント』 矢野久美子著 宇野重規(政治学者・東京大教授)・評」、『読売新聞』2014年05月04日(日)付。

- ・宇野重規(政治学者・東京大教授) 『ハンナ・アーレント』 矢野久美子著誠実な政治哲学者の生涯 ハンナ・アーレントというと、全体主義やら革命を論じた、ちょっと怖そうな政治哲学者というイメージがあるかもしれない。ところが、日本でも話題になった…

覚え書:わたしたちは、いい人だと言われただけで安心していられない

- SNさんがドイツに行く決心をした時、ドイツ人は日本人よりもっとひどいから行くな」と言って家族は猛反対したそうだ。隣にすわっていたドイツ人の夫が笑いながらうなずいている。「韓国では日本人の悪口をいつも聞いていたが、ドイツに来てから出会った…

書評:宮崎幸江編『日本に住む多文化の子どもと教育 ことばと文化のはざまで生きる』上智大学出版、2013年。

宮崎幸江編『日本に住む多文化の子どもと教育 ことばと文化のはざまで生きる』上智大学出版、読了。本書は、日本で育つ多文化の子どもたちの持つ「ことばの力」と「多文化アイデンティティ」の形成をどう支えていくのか、読者と共に考える論集。海外に行かな…

書評:宮島喬『多文化であることとは 新しい市民社会の条件』岩波書店、2014年。

宮島喬『多文化であることとは 新しい市民社会の条件』岩波書店、読了。グローバル化と人口減少社会の到来は、異なる人々との共存を必然する。違いを認め対等な関係を構築し、相手の立場で考えることが必要になる。本書は欧州の移民問題を研究する社会学者の…

書評:前田朗編『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか 差別、暴力、脅迫、迫害』三一書房、2013年。

前田朗編『なぜ、いまヘイト・スピーチなのか 差別、暴力、脅迫、迫害』三一書房、読了。「憎悪言論」と訳されるように言論・表現の自由のうちで理解されがちだが、果たしてそうなのか。 本書は最良の「ヘイト・スピーチを克服する思想を鍛えるためのガイド…

日記:「『大切な遍路道』を朝鮮人の手から守りましょう」こそ、空海の精神、そして仏教の精神、そしてもっといえば、宗教とは全く対極の立場

日本仏教の現状に私は懐疑的であるし、大戦下において一部の密教僧侶のルーズベルト呪詛などというソレは確かに噴飯ものだけど、インドで誕生し、中国・朝鮮半島を経て日本へ伝来した三国仏教史としての日本的展開(文化内開花)を考えるならば、その直因は…

書評:角田由紀子『性と法律 変わったこと、変えたいこと』岩波新書、2013年。

角田由紀子『性と法律』岩波新書、読了。法律における女性差別の是正は筆者らの永年の努力で「1ミリ1ミリ」変わってきたが、問題は山積している。何が「変わったこと、変えたいこと」(副題)なのか。本書はその歴史と最前線を丁寧に概観する。 男女平等を…

書評:宮崎賢太郎『カクレキリシタンの実像 日本人のキリスト教理解と受容』吉川弘文館、2014年。

宮崎賢太郎『カクレキリシタンの実像 日本人のキリスト教理解と受容』吉川弘文館、読了。第一人者の著者は30年近くに渡る聞き取り調査に基づき、「カクレキリシタン」とは隠れたキリスト者ではなく日本化した土着信仰としてその受容を考察する一冊。 「『…

書評:片桐庸夫『民間交流のパイオニア 渋沢栄一の国民外交』藤原書店、2013年。

片桐庸夫『民間交流のパイオニア 渋沢栄一の国民外交』藤原書店、読了。近代日本における資本主義興隆の父・渋沢栄一は、晩年を民間外交に捧げ、「対米・中・韓関係の改善に尽力」(帯)した生涯だったという。本書はその全体像を明らかにする試み。通商関係…